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カバーを描き直す:公開後に変えてよいか

遊びをつくる

執筆にClaudeを使用しています。

丸や四角の色紙と色見本を使ってゲームの画面を検討する机。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イメージ。実際のゲーム画面ではありません。

公開から日が経った作品のカバーを見返して、描き直したくなる場面を考えてみます。ゲームの雰囲気とずれている、小さく表示すると何の絵か分からない、後から作った要素が反映されていない。直したい理由はいくらでも見つかります。 一方で、ためらう理由もあります。一度遊んだ人は、内容そのものより先に、カバーの色や形で「あの作品」を覚えているかもしれません。カバーを変えると、その人にとって作品が別物に見え、再訪の手がかりが消える可能性があります。新しく見る人に伝わりやすくなる得と、遊んだ人の記憶の目印を失う損は、同じ変更の裏表です。 この記事は結論を示しません。代わりに、旧カバーと新カバーを使って「遊んだ人は新カバーでも同じ作品だと気づけるか」「初めて見る人には新カバーのほうが内容が伝わるか」を、自分で確かめる実験の設計書を示します。結果は書きません。数人の協力者と1時間ほどの準備があれば、自作品について答えが出ます。

この記事の目次
  1. 何を確かめる実験か
  2. 準備するものと記録シート
  3. 手順
  4. 結果の読み方
  5. 起こりやすい誤り
  6. 次の行動

何を確かめる実験か

問いは二つに分けます。混ぜると結果が読めなくなります。

  • 問いA(記憶):一度遊んだ人が、数日後に新カバーを見たとき、旧カバーを見たときと同じ程度に「遊んだ作品だ」と選べるか。
  • 問いB(伝達):まだ遊んでいない人が、新カバーを見たとき、旧カバーを見たときより作品の中身を正しく想像できるか。

問いAは変更の損、問いBは変更の得を測ります。両方を同じ表に並べて、はじめて「変えてよいか」の判断材料になります。

プレイ回数で効果を測る方法は主役にしません。アソバースのプレイ回数は作品の起動を実測した回数で、同じ端末・同じ作品の30分以内の再起動は重複として除かれますが、人数ではありません。同じ人が何度も起動すれば増えますし、曜日や紹介のされ方でも変わります。しかも同じ作品のカバーは同時に2種類出せないため、旧と新を同時に比べることができません。前後比較になるので、補助の記録にとどめます。

準備するものと記録シート

準備するものは次のとおりです。

  1. 旧カバーの書き出し:更新前に、現在のカバー画像を手元に保存します。差し替えた後は元に戻せない場合もあるためです。
  2. 新カバー案:公開前の段階で、画像として完成させておきます。
  3. ダミーカバー4枚:本物の候補に紛れさせる「ほかの作品らしい」画像です。自分で作るか、自作の別作品のカバーを使います。他の作者の作品のカバーを無断で使うのは避けます。使いたい場合は、利用条件を各作品の案内で確認してください。色味や絵のタッチ、文字の有無を旧・新カバーとある程度そろえます。ひとつだけ雰囲気が違うと、記憶に関係なく消去法で当たってしまいます。
  4. 協力者:問いA用に「実際に作品を遊んだ人」を各群5人以上、問いB用に「遊んでいない人」を各群5人以上。最低でも合計20人です。集めにくければ、人数を減らして傾向を見るだけにします。
  5. 名前を隠した版と名前入りの版:カバーにタイトル文字が入っている場合、文字で当てられてしまうため、文字を消した版と入れた版の両方を用意します。
  6. 記録シート:下の表を紙や表計算ソフトに作ります。
  • 協力者ID、単位:1人1行、内容:名前でなく番号
  • 群、単位:旧/新、内容:無作為に割り当て
  • 遊んでからの日数、単位:日、内容:問いAのみ
  • 名前なし版の選択、単位:1枚またはなし、内容:5枚中どれか
  • 確信度、単位:1〜5、内容:名前なし版の選択時
  • 名前入り版の選択、単位:1枚またはなし、内容:同上
  • 自由記述、単位:文章、内容:選んだ理由、気づいたこと
  • 想像した内容(問いB)、単位:文章、内容:後で採点
  • 遊んでみたい度(問いB)、単位:1〜5、内容:

手順

1. 遊んでもらう(問いA)

問いAの協力者全員に、同じ作品を同じ時間遊んでもらいます。時間は数分で十分です。このとき、カバーを見せないことが重要です。作品へは直接URLなどで案内し、プレイ前に旧カバーを見せていない状態にします。見せてしまうと、「旧を見て覚えた」という別の記憶が混ざります。

2. 間をあける

プレイから最低でも2〜3日あけます。直後は、タイトルや画面の細部まで鮮明に覚えているため、カバーの違いが結果に出にくくなります。あける日数は全員そろえ、記録シートに書きます。

3. 無作為に2群へ分ける

協力者を旧群と新群に分けます。くじやコイン投げなど、作者の意図が入らない方法にします。親しい人を片方に寄せると、その時点で比較が崩れます。

4. 5枚から選んでもらう

旧群には「旧カバー+ダミー4枚」、新群には「新カバー+ダミー4枚」を、毎回並び順を変えて見せます。まず名前なし版で「この中に、先日遊んだ作品のカバーはありますか。あれば1枚、なければ『ない』と答えてください」と聞き、確信度を1〜5で書いてもらいます。続けて名前入り版で同じ質問をします。順序は必ず「名前なし → 名前入り」です。逆にすると、文字を見た後の記憶が混ざります。

選んだ理由は、一言でよいので自由記述にしてもらいます。

5. 初見の人に見せる(問いB)

遊んでいない人を新旧の2群に分け、片方に旧カバー、もう片方に新カバーだけを見せます。ダミーは使いません。聞くことは二つです。

  • 「どんなゲームだと思いますか。操作や内容を想像して書いてください」
  • 「遊んでみたい度を1〜5で答えてください」

想像の内容は、作者が事前に採点基準を決めます。たとえば「ジャンルが合っている」「雰囲気を表す言葉が合っている」「操作の種類が合っている」の3項目を各1点とし、3点満点で採点します。採点基準は、結果を見る前に紙に書いておきます。

6. 補助:公開後の見え方とプレイ回数

実際に差し替えるときは、公開内容の更新でカバーを変えられるかを、投稿画面で確認してください。差し替えの手順や反映の仕方は、現在の案内で確認します。

差し替えた後は、自分のアカウントで次の点を見ます。

  • 「あとで遊ぶ」や「好きな作品」の一覧で、新カバーがどう並んで見えるか。
  • 一覧のサイズで、新カバーの主題が読み取れるか。

プレイ回数は、更新前後で同じ長さの期間(たとえば前後7日ずつ)を取って記録します。ただし、これは「他の要因が混ざった参考値」として扱います。

結果の読み方

記録がそろったら、まず問いAを群ごとに集計します。見るのは「正解のカバーを選んだ人の割合」と「確信度の平均」です。名前なし版と名前入り版を分けます。

  • 旧群は当て、新群は外す。確信度も新群が低い、読み取れること:旧カバーが記憶の目印になっており、変更でそれが切れている、次の判断:新カバーに旧の要素(色、モチーフ、文字組み)を戻して再テスト
  • 両群とも同じ程度に当てる、読み取れること:変更しても気づける、次の判断:変更しても大きな損はなさそう
  • 両群とも外し、ダミーを選ぶ人が多い、読み取れること:記憶の問題ではなく、カバー自体が埋もれている、次の判断:新旧どちらにも見た目の個性を足す必要がある
  • 名前なしで外し、名前入りで当たる、読み取れること:識別がタイトル文字頼み、次の判断:新カバーでも文字組みを維持する
  • 旧群のほうが確信度は高いが正答率は同じ、読み取れること:気づけるが、迷いが増えている可能性、次の判断:自由記述の「迷った理由」を確認

次に問いBを読みます。新カバーの群で、想像の採点と遊んでみたい度が旧より明らかに高ければ、変更には伝達の得があります。差が小さいか逆なら、描き直す理由が薄いことになります。

最後に、問いAの損と問いBの得を並べます。ここで大事なのは、少人数の差を断定しないことです。各群5人なら、1人の違いで割合が20ポイント動きます。差が人数1〜2人分にとどまるなら、「差がある」と言い切らず、人数を増やすか、自由記述の中身を重く見ます。

おすすめの判断は、次の順です。

  1. 新群が明らかに外しているなら、描き直しを止めるか、旧の要素を残した折衷案を作る。
  2. 折衷案で再度問いAだけを回す。
  3. 問いAが問題なく、問いBで得が見えたら、差し替える。

起こりやすい誤り

  • 遊んですぐテストする:記憶が鮮明なため、どちらのカバーでも当たります。差が出ない結果は「変えてよい」とは限りません。
  • ダミーが違いすぎる:ひとつだけ色が違うなどの理由で、消去法で当たります。ダミーは新旧と同じ作り方にそろえます。
  • 作者本人が説明してしまう:「こんなカバーなんだけど」と話すと、それが記憶になります。進行は決まった文章を読み上げる形にします。
  • 親しい人だけを協力者にする:気を遣って「見覚えがある」と答える人が出ます。確信度が高いのに理由が書けない回答は、割り引いて読みます。
  • 新旧を同じ人に両方見せる:比較は人にとっては簡単でも、どちらの記憶かが分からなくなります。1人には片方だけ見せます。
  • プレイ回数だけで判断する:起動の実測回数であって、人数ではありません。カバー以外の変更(紹介文、更新内容)が同時に入ると、何の効果か分からなくなります。カバー以外は変えない期間を作ります。
  • 採点基準を後から決める:想像の内容は、結果を見てから基準を作ると、都合のよい採点になります。

次の行動

まず今のカバーを画像として書き出し、新カバーとダミー4枚を同じタッチで用意してください。次に、作品を遊んだことのある人に声をかけ、数分遊んでもらった日と、テストをする日を記録シートに書きます。差し替えの前にテストを回しておけば、変更の損得を見てから判断できます。