作品名を10個書き出して一つに絞るには、何を基準に消していくか
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ゲームはほぼ完成していて、投稿画面の「作品名」の欄だけが空いている場面を考えてみます。仮の名前の「新しいゲーム2」を入れたまま、公開ボタンの手前で手が止まります。名前を決める作業は、作るより後に回されやすく、思いつきの一案で確定してしまうことも少なくありません。 この記事で確かめるのは、10個の候補を書き出して一つに絞るとき、どう出してどう消せば理由を説明できる名前に残れるか、という問いです。結果をこちらから示すことはしません。読者が自分の作品で実験できるように、準備、手順、記録の取り方、結果の読み方、つまずきやすい点を順に並べます。 核は二つです。一つは候補の出し方で、思いつくまま書くのと、軸を決めて書くのとで、並ぶ名前がどう変わるかを見ます。もう一つは消す基準で、好みで選ぶ前に、何を基準に消すかを紙に書いておきます。
この実験で確かめる問い
確かめることは次の三つです。
- 思いつくまま10個書いた場合と、軸を割り当てて10個書いた場合で、候補の顔ぶれはどう違うか。
- 先に決めた基準で消していくと、最後に残る名前は、最初に気に入っていた名前と同じか。
- 作品名だけを見た第三者は、どんなゲームを想像するか。それは作者の意図とどれくらい近いか。
比べる条件は二つです。
- 条件A:軸を決めず、思いつくまま10個書く。
- 条件B:軸を5つ決め、各軸で2個ずつ、合計10個書く。
どちらが優れているかは、あらかじめ決めません。記録を見て、自分の作品に合う出し方を判断します。
準備するもの
- 作品を説明する一文。例は「光る葉の順番を覚えて音で返す記憶ゲーム」のような、30字前後の文です。
- 記録用の表。紙でもスプレッドシートでも構いません。列は後で示します。
- タイマー。時間を区切らないと、考えるうちに好みで絞り始めてしまいます。
- 第三者2〜3人。任意ですが、いるほうが「距離」の判断がしやすくなります。ゲームを遊んだことのない人が向いています。
- 付箋か別紙。条件Aの10個と条件Bの10個を、混ざらないように分けて書きます。
最初に、作品の説明文を一文で書いておきます。これは名前を決める基準の土台になります。一文で言えないゲームは、名前も迷いやすくなります。
手順1:候補を10個出す
まず条件Aです。タイマーを5分に設定し、思いつくまま10個書きます。書いたものは消さず、直しません。
次に条件Bです。10分でタイマーを設定し、次の5つの軸から各2個ずつ書きます。
- 遊びの動詞、問い:遊ぶ人は何をするか、例の方向:集める、返す、運ぶ、そろえる
- 場面・舞台、問い:どこで何が起きるか、例の方向:海辺、森、台所、夜
- 手触り・感情、問い:遊んで残る感じは何か、例の方向:静けさ、あわただしさ、余白
- 数字・ルール、問い:数や制約に特徴はあるか、例の方向:3回まで、16ステップ、8ステージ
- 造語・言葉遊び、問い:音や響きで遊べるか、例の方向:二語の組み合わせ、繰り返し
軸ごとに2個書くのは、同じ軸の中で最初の案を捨てやすくするためです。1個目は浮かびやすい案になりがちで、2個目から別の角度が出てくることがあります。
公式作品の名前を軸に当てはめて眺める
アソバースの公式作品13本の名前を、この軸に当てはめて眺めてみます。あくまで名前と中身の対応を読むだけで、命名の経緯は何も分かっていません。
- 「紙ひこうき郵便」は、紙ひこうきで手紙を集めて赤い郵便受けへ向かう内容と、名前に出てくる言葉が重なっています。
- 「時計じかけの台所」は、針が緑の範囲に来たら止める遊びと、時計という言葉がつながっています。
- 「潮だまり」は、潮を切り替えて生きものを観察する内容と、場面の言葉が直接対応しています。
- 「かたちのあいだ」は、数字をそろえるスライドパズルです。名前の中に数字もパズルも出てこないので、名前と中身の距離は近くありません。
- 「WAVE / WAVE」は、音を並べてループさせるリズムスタジオです。波形や繰り返しを思わせる言葉の反復が名前になっています。
名前と中身の距離は、作品ごとに違います。この距離をどう使うかは、手順2の「距離」の基準で扱います。各作品の実際の遊び心地や、名前がどう読めるかは、作品を開いて確かめてください。
手順2:消すための基準を先に決める
候補が出そろったら、好みで選ぶ前に消去の基準を紙に書きます。基準は4つです。
- 足切り、確かめること:読めるか、書けるか、人に口で伝えられるか、既存の名前とまぎらわしくないか、記録の仕方:○か×の二択
- 距離、確かめること:名前から、何をするゲームかが想像できるか、記録の仕方:0〜2点
- 並んだ姿、確かめること:一覧や検索結果に並んだとき、読みやすく区別できるか、記録の仕方:0〜2点
- 翌日の再生、確かめること:一晩置いて、紙を見ずに思い出せるか、記録の仕方:○か×の二択
足切りの確かめ方
足切りは、点数をつけずに○か×で判定します。×が一つでもついた候補は、以降の採点から外します。
- 読み方:漢字や造語で、複数の読み方が浮かぶ名前は×にします。口頭で紹介するときに困るためです。
- 書けるか:同じ名前を、迷わず入力できるかを見ます。
- 名前の重なり:アソバースでは、作品名だけでなくクリエイターの名前やハンドルでも作品を検索できます。候補を実際に検索し、同じ名前や似た名前の作品がないか確認します。サイト外の検索でも確認しておきます。
- 権利:既存の商品名やサービス名と同じ場合の扱いは、断定できません。気になる場合は、専門家や公式の案内で確認してください。
距離の見方
0点は「名前から何も想像できない」、1点は「雰囲気は分かるが、遊びの中身は分からない」、2点は「何をするゲームか、おおよそ想像できる」とします。
ただし、距離が近いほど良いとは限りません。「かたちのあいだ」のように中身との距離がある名前は、遊んだあとに意味が見えてくる面白さがあります。そこで、距離が遠い候補には、説明文と組み合わせて補えるかという確認を加えます。説明文は投稿画面で書きます。「紹介文と遊び方を作成」で生成した下書きも、「この文章を使う」を押したときだけ反映されます。名前の候補を決める機能ではないので、役割を混同しないようにしてください。
並んだ姿の見方
投稿画面は、入力、表示の確認、公開の3段階です。「表示の確認」の段階で、実際にカードや詳細画面に出る姿を見られます。そこで次の点を確かめます。
- 長すぎて途中で切れないか。
- 他の作品と並んだとき、見分けがつくか。
- 日本語と英語の表示切り替えを使ったとき、作者が入力した作品名は書き換わりません。英語で表示しても、日本語の作品名はそのまま出ます。そのため、日本語の名前を読めない人の目にどう映るかも、一度想像しておきます。英字の併記を足すかどうかは、ここで決めます。
公式作品では、タイトルの文字組みも作品ごとに違います。縦組みの明朝、手描き文字、郵便ラベル、夜の標識などです。名前は、文字の見せ方と一緒に目に入ります。字面が漢字中心か、ひらがな中心か、英字かによって、見え方は変わります。
手順3:記録して絞る
記録表の列は次のとおりです。1候補を1行にします。
- 候補番号と名前
- 出した条件(AかB)と、Bなら軸の名前
- 足切り(○か×)
- 距離(0〜2点)
- 並んだ姿(0〜2点)
- 第三者の予想(後述)
- 翌日の再生(○か×)
進め方は次の順です。
- 20個(条件Aの10個と条件Bの10個)を全部表に書き、足切りをします。同じ名前や似た名前は一つにまとめます。
- 足切りを通った候補に、距離と並んだ姿の点数をつけます。合計が高い順に上位3〜4個を残します。
- 残った候補で、第三者テストを行います。作品名だけを見せ、「どんなゲームだと思うか」を一言で書いてもらいます。好みは聞きません。人によって見せる順番は入れ替えます。順番で印象が変わるためです。
- 候補を一晩置き、翌日に紙を見ずに思い出せるかを確かめます。思い出せた名前に○をつけます。
人数は2〜3人で足ります。多数の意見を集める実験ではなく、自分では気づけない読み違いを見つけるための確認だからです。
結果の読み方
記録がそろったら、次のように読みます。結果の数字や傾向は、読者自身の記録から出るものです。
第三者の予想が作品に近いか
予想が作品の中身に近ければ、距離は十分あります。予想がばらけて、中身と違う場合は二通りに分かれます。
- 違っていても、遊ぶ前の期待として悪くない場合は、説明文とカバー画像で補えます。
- 違う内容を期待させてしまう場合は、プレイ後の落胆につながりやすくなります。その候補は順位を下げます。
点数が並んだとき
合計点が並んだら、次の順で決めます。
- 翌日に思い出せた名前を優先します。
- それでも並ぶ場合は、足切りで迷った項目が少なかった名前を選びます。
- 最後は好みで決めます。好みは、基準を通過した候補の間で使うものです。
条件AとBの違いの読み方
最終的に残った名前が、どちらの条件から出たかを見ます。
- Bの軸が偏っていれば、自分は特定の軸で考えやすいと分かります。偏っていない軸を使って、もう一度候補を出す価値があります。
- Aに比べてBの顔ぶれが多様なら、軸を決める出し方が自分には合っています。
- 差がなければ、軸を決める手間は不要だったということです。それも立派な結論です。
全部落ちたとき
足切りで全滅した場合は、軸ごとに別の2個を追加します。軸そのものを変えてもよいです。
起こりやすい誤り
- 基準の後付け:好きな名前が先にあると、基準をその名前に有利になるよう書いてしまいます。基準は、候補を見る前に紙に書いて、変えません。
- 第三者に好みを聞く:「どれが好きですか」と聞くと、答えは感想になります。聞くのは「何のゲームだと思うか」だけにします。
- 長すぎる名前:説明をすべて名前に入れようとすると、一覧で読みにくくなります。説明は紹介文に任せます。
- ジャンル名だけの名前:「パズルゲーム」のような名前は、距離は近くても、他の作品と区別がつきません。
- 完璧を求めすぎる:作品は、公開後に内容を更新できます。ただし、更新で作品名を変えられるかどうかは、確認済みの案内にありません。投稿画面で、更新時に編集できる項目を確認しておいてください。名前を変えにくいと分かれば、この実験にかける時間を増やす理由になります。
次の行動
作品の説明を一文で書き、タイマーを5分にして、条件Aの10個を書いてみてください。続けて10分で条件Bの10個を書き、記録表の足切りまで進めると、基準の働きが見えてきます。第三者テストと翌日の確認は、残った3〜4個だけで十分です。
