作者が見ていない状態で遊んでもらう:録画の頼み方
遊びをつくる執筆にClaudeを使用しています。

作ったゲームを友人に見せる場面を考えてみます。横に座っていると、相手が少し止まっただけで「そこは左のボタンです」と言いたくなります。その一言で、迷いが起きた場所も、迷った長さも、観察の材料から消えてしまいます。 そこで、作者が見ていない状態で遊んでもらい、画面録画だけを受け取る方法を考えます。この記事が確かめるのは、次の2点です。 結果はこの記事には書きません。依頼の準備、依頼文、記録の取り方、読み方を、読者が自分の作品で実行できる形で示します。
録画で見えること、見えないこと
画面録画は、誰がいつ何を押したか、どこで画面が止まったかを、時間付きで残せます。一方で、相手の表情や、画面の外で起きていることは映りません。先に整理しておくと、録画に期待しすぎずに済みます。
- 最初の操作までの時間、録画から読める:読める、読めない:迷っていたのか、通知に気を取られていたのかは区別できない
- 押した場所・触った場所、録画から読める:読める、読めない:押すつもりだった場所は分からない
- 説明文を読んだか、録画から読める:スクロールや停止から推測できる、読めない:実際に読んだかは分からない
- 音、録画から読める:録音の設定次第、読めない:端末の音量や消音設定は映らないことがある
- 気持ち、録画から読める:読めない、読めない:声に出してもらえば手がかりになる
つまり、録画は「何が起きたか」を残し、「なぜ起きたか」は残しません。理由は推測になります。推測が必要な箇所は、後で短い質問を1つ添えて補います。これは後半で扱います。
依頼する前に決めておくこと
録画の範囲と条件を決める
「最初の30秒」を測るには、ゲームを開く直前から録画を始めてもらうのが確実です。開いた瞬間を相手が自分で合わせると、数秒ずれます。録画の時間表示を基準にして、リンクを押した時点を起点に30秒を数えます。
条件は次のとおりにそろえます。
- 遊んでもらう回数は1人1回にします。2回目は学習済みなので、最初の30秒の観察としては別物になります。
- 事前に遊び方を説明しません。説明が必要になる箇所を見たいからです。
- 端末は相手が普段使うものにします。スマホかPCかは記録しておきます。
- 人数は3〜5人を目安にします。統計を取る人数ではなく、同じ停滞が重なるかを見るための人数です。
遊んでもらう入口を用意する
相手が開ける入口は、公開済みの作品ページか、自分で公開しているURLです。アソバースの下書き状態のまま他の人に遊んでもらえるかは、確認済みの案内にありません。この点は現在の案内で確認してください。確認できない場合は、公開後に依頼するか、自分で公開しているURLを使います。
もう1点、プレイ回数にも注意が要ります。アソバースのプレイ回数は作品起動の実測回数で、人数ではありません。同じ端末・同じ作品の30分以内の再起動は重複として除かれます。依頼で増えた起動は、後で数字を見るときに混ざります。依頼した日と人数をメモしておくと、あとで区別しやすくなります。
映ってはいけないものを先に潰す
録画で最も起きやすい事故は、ゲームと無関係な情報が映ることです。依頼前に、相手が自分で確認できる項目を渡します。
- 通知(メッセージ、メール、予定)が画面に出ないよう、通知を一時的に止める
- ほかのタブやアプリに、見られたくない内容を開いたままにしない
- 画面に名前やメールアドレスが映る場面を避ける
- 声や周囲の音が入る設定かを確認し、入れたくなければ音声なしにする
画面録画の操作方法は、端末やOSのバージョンで異なります。依頼文に手順を書く場合は、相手の端末の公式の案内を確認し、相手が迷わない言い方にしてください。録画の方法で相手が詰まると、ゲームの観察以前に疲れてしまいます。
依頼文の作り方
依頼文には、相手が安心して引き受けられる情報と、結果を歪めない情報だけを入れます。入れるものと入れないものを分けます。
入れるもの:
- 何をしてほしいか(1回遊んで録画する)
- かかる時間の目安(たとえば、準備を含めて10分程度)
- 評価されるのは作品であって相手ではないこと
- いつでも止めてよいこと
- 録画の扱い(誰が見るか、どこに保存するか、いつ消すか)
- 録画を送る方法と期限
入れないもの:
- 「面白いので」「簡単なので」といった評価や期待
- 操作方法やルールの説明
- 見てほしい箇所(相手がそこばかり見てしまいます)
依頼文の例
以下は、読者が自分の言葉に直して使える例です。
作っているブラウザゲームを、1回だけ遊んでもらえませんか。画面を録画して、その動画を送ってもらう形です。遊び方の説明は、あえてしません。分かりにくいところを知りたいので、途中で分からなくなったり、やめたくなったりしても大丈夫です。そのまま止めてください。うまく遊べなかったとしても、それは作品側の課題で、あなたの出来不出来ではありません。お願いの流れは次のとおりです。1. 通知をオフにして、見られたくない画面を閉じます。2. 画面録画を始めます。声は入れても入れなくても構いません。3. 下のリンクを開いて、好きなように遊びます。4. 区切りのいいところ、または飽きたところで録画を止めます。動画は、確認するのは作者だけです。ほかの人には見せず、確認が終わったら削除します。削除の目安は受け取りから7日以内です。途中でやめたくなったときは、動画を送らなくても構いません。録画の最後に、一言だけ教えてもらえると助かります。「何をするゲームだと思いましたか」。
最後の質問は、録画では読めない理由を補うためのものです。1問に絞ると、相手の負担が小さく、答えも比較しやすくなります。「声に出して考えながら遊んでください」という依頼は、慣れていない人には負担が大きいので、必須にはせず任意として添えるのが無難です。
録画には本人の画面や声が映ります。未成年に頼む場合は保護者に確認してください。録画の扱いに関する法的な取り決めが気になる場合は、専門家や公式の情報で確認してください。
記録の取り方と結果の読み方
録画1本ごとに書き出す
録画を受け取ったら、最初の30秒を5秒ごとの6区間に分けて見ます。1本の録画につき、次の項目を表にまとめます。
- 0〜5秒、記録すること:画面に何が出たか、操作があったか
- 5〜10秒、記録すること:最初の操作までの秒数、押した場所
- 10〜15秒、記録すること:同じ場所の連続操作、停止
- 15〜20秒、記録すること:説明文やボタンへの視線の動き(推測可)
- 20〜25秒、記録すること:目的に近づく操作が出たか
- 25〜30秒、記録すること:継続しているか、離脱したか
あわせて、1本ごとに次の4つを数値や○×で記録します。
- 最初の操作までの秒数
- 同じ場所の連続操作の有無(目安として、同じ場所を3回以上)
- 画面が動かないまま5秒以上たった区間の数
- 30秒時点で、何をするゲームかを言えていそうか(最後の一言の答えで確認)
再生は等倍で一度、気になる区間を二度目に見ます。早送りすると、短い停止を見落とします。
結果の読み方
全員分を並べて、同じ区間で同じ停滞が重なるかを見ます。ここでの数字はあくまで目安です。
- 3人以上が同じ区間で止まっている: 画面の見せ方や導線に原因がある可能性が高く、直す対象の候補です。
- 2人が同じ箇所で止まっている: 保留にして、直す前にもう1人に依頼します。
- 1人だけ: その人の環境や好みの可能性もあります。記録だけ残します。
直す場合は、1回に1か所だけ変えます。複数を同時に変えると、どれが効いたのか分かりません。直したら、別の人に同じ依頼でもう一度頼みます。同じ人にはもう頼めません。学習済みだからです。
起こりやすい誤り
録画での観察は、やり方次第で簡単に歪みます。よくある誤りを挙げます。
- 依頼文で期待を上げる: 「自信作です」と書くと、相手は「うまく遊ばなければ」と構えます。
- 事前に説明してしまう: 口頭で一言足すだけで、最初の30秒の迷いが消えます。
- 録画を始めるタイミングを任せすぎる: 開く直前から録画してもらわないと、起点がそろいません。
- 一人の離脱を過大に読む: 来客があったなど、ゲームと無関係な理由もあります。
- 理由を決めつける: 録画で読めるのは出来事までです。理由は最後の一言や、後日の短い会話で補います。
- 録画を保存しっぱなしにする: 約束した期限に削除しないと、次に頼むときの信頼に響きます。
- 自分の作品に慣れすぎている: 何度も遊んだ作者は、迷う箇所を想像できません。そのため、観察前に「ここで迷うはず」と決めつけないでください。
最後に、録画の頼み方そのものも観察の対象です。依頼して録画が返ってこない場合は、手順が重すぎる可能性があります。その場合は依頼文の手順を減らして、次の人に頼み直します。
次の行動
まず、自分の作品の入口(URL)と、依頼文を書いてください。依頼文には、録画の扱いと削除の期限を必ず入れます。次に、3人に1回ずつ頼み、受け取った録画を5秒ごとの6区間で書き出してください。同じ区間で3人以上が止まっていたら、そこを1か所だけ直し、別の人にもう一度頼みます。

