AIにゲーム制作を任せるときの進め方と、つまずきやすい判断点
遊びをつくる執筆にClaudeを使用しています。

「AIにプロンプトを打てばゲームが完成する」という話を聞いて、実際に試した人が感じるのは、完成した喜びよりも「思ったのと違う」という戸惑いであることが多いです。コードは出力される、画面も動く、でもゲームとして面白くない。あるいは途中でAIの出力が崩れて、どこを直せばいいかわからなくなる。 AIをゲーム制作に使うときに問題になるのは、AIの性能ではなく、「どこまでAIに決めさせるか」の境界線があいまいなことです。この記事では、AIへの依存度を段階に分けて整理し、各段階でどんな判断を人間が担う必要があるかを示します。制作前・制作中・完成後の三つのフェーズに沿って説明するので、自分のプロジェクトのどこに問題があるかを確認しながら読んでみてください。
この記事の目次
AIへの依存度は「三つの層」で考える
ゲーム制作でAIが担える作業は大きく三つに分かれます。コード生成(ロジック・描画・入力処理)、素材生成(画像・音・テキスト)、設計の提案(ルール・難易度・UI構造)です。この三層のうち、すべてをAIに任せようとするとほぼ必ず行き詰まります。理由はシンプルで、AIは「整合性のあるコードを出す」のは得意ですが、「プレイヤーが楽しいと感じる体験を設計する」という目的を自律的に持てないからです。
実用的な分け方として、「コード生成はAIに任せる・設計の意思決定は人間が持つ」という原則を最初に決めておくことをお勧めします。この原則を最初に決めずに着手すると、AIに「面白いゲームを作って」と投げ続けるループに入り、出力されるたびにゲームの方向性がずれていきます。
制作前:AIに渡す前に決めておく三点
AIへのプロンプトを書く前に、人間が決めておくべきことが三つあります。
1. ゲームの「終わり」を決める
勝利条件・失敗条件・終了条件のどれか一つでもあいまいなまま着手すると、AIはそれらしいコードを出しますが、プレイしてみると「終わらないゲーム」や「何をしても同じ結果になるゲーム」になりがちです。「スコアが100になったらクリア」「3回ミスしたらゲームオーバー」というレベルで言語化してからプロンプトを書いてください。
2. 操作の数を決める
「直感的な操作にして」とだけ頼むと、AIはマウス・キーボード・タップを混在させたコードを出すことがあります。「クリックだけで操作できる」「矢印キー四方向だけ」など、入力手段を制限した仕様を先に決めると、コード生成の精度が上がり、後の修正も減ります。
3. 画面の構成要素を言葉で列挙する
「ゲーム画面にはスコア表示・自機・障害物・背景だけがある」といった要素のリストを作っておきます。AIはプロンプトに書いていない要素を自己判断で追加することがあり、後で削除しようとすると依存関係が生まれて崩れやすくなります。
制作中:AIの出力を「受け取り続ける」ための作業習慣
AIとのやり取りが長くなるにつれ、出力のコードが前のバージョンと矛盾し始めることがあります。これを防ぐには、会話ごとに「今の状態」を整理して渡す習慣が重要です。
具体的には、修正を依頼するたびに「現在の仕様(変えない部分)」「今回変えたい部分」「変えてはいけない部分」の三点をプロンプトに含めます。特に「変えてはいけない部分」を書き忘れると、AIが既存の動作を上書きしてしまうことがあります。
もう一つの注意点は、コードをまとめて渡しすぎないことです。数百行のコードを「全体を改善して」と渡すと、AIは全体を読んだうえで出力しますが、変更範囲が広くなりすぎてどこが変わったかわかりにくくなります。機能ごとに小さく切り出し、一度のやり取りで一機能だけを修正する粒度を保つほうが、デバッグが楽になります。
素材生成(画像・音)については、コード生成とは別のAIツールを使うことが多くなります。このとき注意したいのは、生成した素材のライセンスです。商用利用の可否、クレジット表記の要否などは生成ツールによって異なります。公開を前提にするなら、使用するツールの利用規約を確認してから素材を確定させてください。法律的な判断が必要なケースでは、専門家や公式情報に当たることをお勧めします。
AIが苦手な部分:「面白さ」の調整は人間の仕事
難易度調整・テンポ・フィードバックの気持ちよさ——これらはAIに「いい感じにして」と頼んでも、期待通りに動くことはまずありません。たとえば「難易度を上げて」とプロンプトを送ると、敵の速度を数値で上げるだけの出力が返ってくることが多いです。プレイヤーが感じる難しさは速度だけでなく、予測可能性・リトライの短さ・視覚的なフィードバックの組み合わせで決まります。これらの調整は、自分でプレイしながら人間が判断するしかありません。
面白さに関わる変数(速度・出現間隔・ミス時のペナルティ量など)は、コードの中で定数として名前をつけて一か所にまとめておくと、後から自分で数値を変えやすくなります。AIにコードを生成してもらうときも「調整しやすいように定数を先頭にまとめて」と明示しておくと、出力の構造が変わります。
完成後:公開前に人間が確認すべき項目
AIが生成したコードは動作するように見えても、特定の操作やブラウザで想定外の動作をすることがあります。公開前に少なくとも次の点を人間が確認してください。
- 終了条件が必ず発生するか:無限ループになっていないか、ゲームオーバーが発生するシナリオを意図的に試す。
- モバイル・PCの両方でレイアウトが崩れていないか:画面幅が変わったときのレイアウトは、AIがデスクトップ前提でコードを書きがちなため、スマートフォンで確認する。
- 外部リソースへの依存がないか:CDNからライブラリを読み込んでいる場合、そのURLが将来無効になる可能性があります。長期公開するつもりなら、依存ファイルをZIPに同梱する構成に変更しておくほうが安定します。
- 素材のライセンスを確認したか:生成した画像・音・フォントのライセンスを再確認し、記録として手元に残しておきます。
アソバースへの投稿はHTMLファイルまたはZIPファイルで行えます。外部リソースに依存している場合はZIPにまとめて投稿すると、公開後のリンク切れリスクを減らせます。
次の行動
まず「ゲームの終わり」「操作の数」「画面の構成要素」の三点を箇条書きで書き出してから、AIへの最初のプロンプトを作ってみてください。すでに制作中であれば、難易度に関わる数値を定数としてコードの先頭にまとめ直すことから始めると、以降の調整が楽になります。完成したゲームはアソバース(https://aso-verse.com)からHTMLまたはZIPで投稿・公開できます。

