序盤10手を毎回同じにしたら勝率は変わるか
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オセロで負けた直後に、同じ出だしでもう一度挑む場面を考えてみます。序盤の10手をそっくり同じに打てば、中盤以降の展開も似てきて、勝てる形が見つかりそうに思えます。一方で、相手が違う応手を返せば、出だしはすぐに崩れます。「出だしを固定する」ことは、自分の手を固定することであって、対局全体を固定することではありません。 この記事が確かめるのは、固定した出だしで10局打つと、自由に打つ10局と比べて結果が変わるのか、そして中盤以降はどこで分かれるのかです。結果の数字はここには書きません。記録の取り方と読み方を、読者が自分で行える手順として示します。 使う作品は、ひとり対局に3段階の相手を備えた「潮目のオセロ」を想定します。ヒントと一手戻すはひとり対局だけの機能です。相手の応手が毎回同じか、自分の手番が選べるかなどは、確認済みの案内にありません。この部分は作品を開いて確かめます。
問いを数えられる形にする
「勝率は変わるか」は、そのままでは数えられません。次の3つに分けます。
- 勝敗:固定条件と自由条件で、勝ち・引き分け・負けが何局ずつか。
- 最終石差:終局時の自分の石数から相手の石数を引いた値。勝敗よりも細かい差が見えます。
- 分岐手番:同じ出だしから始めた局が、何手目で前の局と違う道に入ったか。
「序盤10手」の数え方も先に決めます。この記事では、黒白を合わせて10手、つまり黒5手・白5手とします。自分が黒なら、自分の手は1・3・5・7・9手目です。置けずにパスになった手番は、手数に数えません。この定義は最初に決め、途中で変えません。
比べる相手も決めます。固定条件の10局だけでは、勝率の高低を判断する物差しがありません。そこで、同じ難易度で出だしを自由に打つ10局を用意します。
出だしを固定する準備と手順
出だしを決める
定石に詳しくなくても構いません。1局目を自然に打ち、最初の5手(自分の手)と、相手がそれに返した5手を、1手ごとにメモします。盤に座標表示があれば「d3」のように、なければ「上から3行目・左から4列目」のように書きます。作品によって表示は違うので、記録に使う書き方を最初に一つに決めます。
出だしの選び方には条件が一つあります。自分が迷わず再現できる手であることです。局面を覚えきれない複雑な手順は、再現のたびにずれやすくなります。
相手の応手を予備調査する
本番の前に、小さな調査をします。同じ難易度で、自分の最初の1手を同じにして3局始め、相手の応手を記録します。1手目だけで構いません。
- 3局とも同じ応手なら、相手の序盤は決まっている可能性があります。
- 応手が分かれたら、相手には選択の幅があります。
この結果によって、本番の進め方が変わります。一手戻すで同じ局面に戻れば、相手が同じ応手を返すか確かめられます。ただし戻したあとの挙動は作品を開いて見るしかありません。また、一手戻すは予備調査だけに使い、本番では使いません。
一致局の定義と打ち切り
固定条件の局は、次の基準で2つに分けます。
- 一致局:自分の5手を計画どおりに打ち、相手の5手も1局目と同じだった局。
- 不一致局:相手の応手が1局目と違い、出だしが途中で変わった局。
数えるのは一致局です。不一致局は捨てずに、別枠で残します。相手がどの手番で、どう違う応手を返したかが、そのまま「分かれ方」のデータになるためです。
一致局が10に達するまで続けると、終わらないことがあります。最初に上限を決めておきます。たとえば最大30局で打ち切り、その時点の一致局の数をそのまま報告します。一致局が少ないこと自体が、一つの発見です。その場合は「序盤10手」を6手や8手に短くして、同じ手順でやり直します。
交互に打つ
固定条件を先に10局、自由条件をあとで10局とすると、後半に慣れや疲れが偏って入ります。そこで「固定、自由、固定、自由」と交互に打ちます。上達のゆるやかな効果が両条件に同じくらい混ざり、比較が公平になります。不一致局が出た場合は、その局を自由条件側に数えず、別枠のままにします。
記録表:何を、どの単位で、何回
記録は1局ごとに1行です。「潮目のオセロ」のひとり対局の記録は、画面を開いている間しか残りません。保存のある作品は限られているので、紙か表計算ソフトに書き写します。
- 局番号、内容:打った順の通し番号
- 条件、内容:固定/自由
- 難易度、内容:3段階のうち使った段階(全局で同じにする)
- 一致、内容:一致局/不一致局(固定条件のみ)
- 最初の分岐手番、内容:前の局と最初に違った手の手数目(相手の手も含む)
- 分岐したのは誰か、内容:自分/相手
- 結果、内容:勝/分/負
- 最終石差、内容:自分の石数 − 相手の石数
- 20手目の石数差、内容:任意。中盤の形勢を見るためです
- ヒント・戻し、内容:使った回数。基本は0にします
- メモ、内容:迷った局面、ミスに気づいた手
「最初の分岐手番」は、固定条件では1局目の棋譜と照らして数えます。自由条件では、直前の自由局の棋譜と比べます。2局を並べて、最初に違った手を探すだけの作業です。
石差を結果と別に残すのは、勝敗だけでは差が粗すぎるからです。20局では、1局の結果が全体に大きく響きます。
結果の読み方
記録が揃ったら、次の順に見ます。
勝敗を見る
固定条件の勝ち数と、自由条件の勝ち数を並べます。差が1〜2勝にとどまるなら、偶然の揺れとして扱うのが安全です。公平なコインを10回投げても、表が6回や7回出ることは珍しくないのと同じ理屈です。差が大きく見えても、10局ずつでは断定できません。判断を固めたいなら、同じ手順でさらに10局ずつ足し、傾向が続くかを見ます。
石差を見る
石差は、並べて平均を出すだけでなく、小さい順に並べた真ん中の値(中央値)も出します。1局だけ大差で勝った、あるいは負けた局があると、平均はそれに引っ張られます。平均と中央値が大きく違うなら、外れた1局を特定してメモを読み返します。
分岐手番を見る
固定条件の一致局では、自分の最初の10手は全局で同じです。それでも中盤以降の局面は分かれます。そのときの分かれ方で、次のように読めます。
- 全局で相手の応手が同じ:分岐は自分が出だしの外に出た手から始まっています。相手の応手が決まっている可能性があります。ただし、そう言い切るにはより多くの局が必要です。
- 相手の応手が早い手番から分かれる:固定は「自分の手だけ」の固定になり、一致局は集まりにくくなります。序盤を短くする判断材料になります。
- 自分の分岐が毎回ほぼ同じ手番に集まる:その手番の局面で、迷いや癖が出ている可能性があります。メモ欄を読み、その局面を重点的に見直します。
結果を言い換えるときの注意
固定条件のほうが成績が良くても、「その出だしが強い」とは限りません。同じ形に慣れて、中盤の判断が速くなっただけかもしれません。交互に打つ設計で順番の影響は薄まりますが、消えるわけではありません。「この出だしを使うと勝ちやすい」ではなく、「この条件では、固定のほうが成績が良かった」と、記録の範囲で言い切るにとどめます。
固定条件と自由条件に差が見えない場合も、それは一つの答えです。出だしを暗記するより、中盤以降の判断に時間を使うほうが得、という方針につながります。
起こりやすい誤り
- 10手の数え方が途中で変わる:黒白合計か自分の手だけかを決めたら、最後まで同じにします。パスの扱いも同様です。
- 難易度を途中で変える:負けが続いて下げると、条件が混ざります。変えたい場合は、記録を分けて新しく始めます。
- ヒントや一手戻すを一部の局だけ使う:使うなら全局で使うか、使った局を別枠にします。返る石のプレビューは使えますが、これも全局で同じ扱いにします。
- 不一致局を一致局に混ぜる:応手が違った局は、出だしが同じではありません。別枠に残します。
- 勝った局だけ書く:負け局にこそ、分岐の手がかりがあります。20局すべてを同じ形式で書きます。
- 出だしを局ごとに手直しする:固定と決めた手は、途中で良さそうな手に差し替えません。差し替えるなら、そこで記録を切り替えます。
- 画面を閉じて記録を失う:記録は画面を開いている間だけ残ります。1局終えるたびに、手元に書き写します。
次の行動
まず1局目を打って最初の5手をメモし、そのあと同じ最初の1手で3局、相手の応手だけを書き留めてください。この予備調査の結果で、「序盤10手」を10手のままにするか、短くするかが決まります。そのうえで、固定と自由を交互に10局ずつ打ち、記録表を埋めてみてください。数字が揃ったら、勝敗、石差、分岐手番の順に見ていきます。


