石が1個も返せない手はなぜ打てないのか:ルールの境界を試す
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オセロの初手で、黒の石が置ける場所は4か所しかありません。盤の中央にある石に触れているマスは、ほかにもたくさんあるのに、そこには置けません。「隣に白がいるのだから、置いてもよさそうなのに」と感じたことがある人は多いはずです。 置けない理由は、オセロの手が「置く」ことと「挟んで返す」ことのセットで成り立っているからです。返せる石が1個もないマスは、どれだけ中央に近くても合法手になりません。この記事では、置けそうで置けないマスを練習問題として取り上げ、合法手の判定を自分の手で確かめられるようにします。 配置はすべて言葉で示します。紙に8×8の盤を書くか、頭の中の盤で追ってください。座標は、列を左からa〜h、行を上から1〜8とします。たとえば左上のマスがa1、中央の4マスがd4、e4、d5、e5です。
合法手を決める3つの条件
問題に入る前に、判定の基準を3つにまとめます。置きたい空きマスから、縦・横・斜めの8方向を1つずつ見ていきます。
- 置きたいマスが空いていること。
- ある方向の隣のマスに、相手の石があること。
- その方向へ相手の石が連続したあと、自分の石に突き当たること。途中に空きマスや盤の端が来たら、その方向では挟めません。
8方向のうち1方向でも条件を満たせば、そのマスは合法手です。複数の方向が満たされれば、すべての方向の石が同時に返ります。8方向のどれでも満たされなければ、そのマスには置けません。
つまり「隣に相手の石がある」だけでは足りません。つまずきやすいのは条件3です。相手の石が並んでいても、その先が空きマスなら挟めていません。
練習1:初期局面の「置けそうで置けない」マス
最初に、対局開始直後の局面で考えます。盤上の石は4個だけです。
- 白:d4、e5
- 黒:e4、d5
黒の番です。次の4つのマスに黒が置けるか、1つずつ判定してみてください。
- (a) c3
- (b) d6
- (c) e3
- (d) c4
答えと理由
(a) c3は置けません。c3の右下の斜め方向には、d4に白、その先のe5にも白があり、さらにその先のf6は空きマスです。白が2個続いたあと自分の石に突き当たらないので、挟めていません。c3の隣にある相手の石はd4だけで、ほかの方向には何もありません。
(b) d6は置けません。真上のd5は黒、つまり自分の石です。ほかの7方向には石が1つもありません。条件2の時点で、すべての方向が外れています。
(c) e3も置けません。真下のe4が黒で、(b)と同じ理由です。
(d) c4は置けます。右へ進むと、d4が白、その先のe4が黒です。白を1個挟めているので、d4が返ります。
初期局面で黒が置けるのは、このc4のほかにd3、f5、e6の計4か所です。いずれも、白を1個だけ黒で挟める位置にあります。
(a)は、条件1と2を満たしているのに置けない例です。置けそうで置けない感覚は、こういうときに生まれます。ここで条件3を確認する癖をつけてください。
練習2:黒が一手打ったあとの白番
次は、黒がd3に置いた直後の局面です。d3の下にはd4の白があり、その先のd5が黒なので、d4が返っています。盤上の石は次のとおりです。
- 黒:d3、d4、d5、e4
- 白:e5
石の総数は5個で、初期の4個に1手ぶん足した数と合っています。白の番です。次の6つのマスのうち、置けるのはどれでしょうか。
- c3
- c5
- e3
- f4
- d6
- f6
答えと理由
置けるのはc3、c5、e3の3つです。この局面で白が置けるマスは、この3つだけです。
- c3、見る方向:右下、隣の石:d4(黒)、その先:e5(白)、結果:d4が返る
- c5、見る方向:右、隣の石:d5(黒)、その先:e5(白)、結果:d5が返る
- e3、見る方向:下、隣の石:e4(黒)、その先:e5(白)、結果:e4が返る
- f4、見る方向:左、隣の石:e4(黒)、d4(黒)、その先:c4(空)、結果:挟めない
- d6、見る方向:上、隣の石:d5、d4、d3(すべて黒)、その先:d2(空)、結果:挟めない
- f6、見る方向:左上、隣の石:e5(白)、その先:―、結果:隣が自分の石
f4とd6は、隣に黒が並んでいても、その列の端が空きマスです。端に白がなければ、何個並んでいても挟めません。f6は、隣にあるのが自分の石なので、そもそも条件2を満たしません。
この局面で白は、黒が3個続いたd列を縦に挟めません。上の端のd2も下の端のd6も、白の石がないからです。一方、e5の白が1個あるだけで、そこを終点にした3方向が成立しています。挟む側の石がどこにあるかを先に探すと、合法手を見つけやすくなります。
「返せない手」を許すとどうなるか
ここからは考え方の整理です。返せない手を許すルールを、仮に想像してみます。
そのルールでは、自分の石が隣り合うマスにも、何も返らないまま自由に置けます。すると、盤の上では「挟まなくても石は増やせる」ことになります。相手の石を挟むという、オセロの中心になる駆け引きが弱くなり、石を置く順番だけの競争に近づきます。実際の公式ルールは、返せないマスには置けないと定めているため、毎手が「どこなら挟めるか」を探す作業になります。
この制限は、合法手が1つも残らない局面も生みます。そのときは、置けない手番は自動的に飛ばされます。これがパスです。潮目のオセロのオンライン対局には、置けない手番を自動でパスにする仕組みがあります。打てる手がない状態は、反則ではなく、ルールが自然に生む状態です。
潮目のオセロで自分の目で確かめる手順
ここまでの判定が合っているかどうかを、実際の対局画面で確かめられます。潮目のオセロには、ひとり対局に「返る石のプレビュー」「理由付きヒント」「一手戻す」があります。これらを使うと、判定の練習がしやすくなります。
手順
- ひとり対局を、いちばん弱い相手の段階で始めます。
- 最初の黒番で、盤上の4つの石の位置が練習1の配置と同じかどうかを見ます。座標が盤に表示されているかどうかは、作品を開いて確かめてください。表示がなければ、中央の4石を基準に数えます。
- 練習1の4つのマス(c3、d6、e3、c4)に、矢印キーとEnterで1つずつ順に近づきます。返る石のプレビューが出るマスと出ないマスを書き留めます。
- 置けないマスを選んだときの画面の反応は、作品を開いて確かめます。反応が合法手のときと違うかどうかを見てください。
- 理由付きヒントを使い、画面の説明が3つの条件のどれに当たるかを照らし合わせます。ヒントが出る形式は、作品を開いて確かめます。
- d3に置いて局面を練習2と同じにしたあと、白の番で、練習2の6マスを自分で判定します。その後、白の番を相手が打つ場面で、相手がc3、c5、e3のどれを選んだかを見ます。相手の選択はそのつど変わるため、毎回同じとは限りません。
記録のしかた
紙に次のような表を作り、1手につき1行ずつ書き込みます。
- 手番(黒か白か)
- 自分が合法と考えたマス
- プレビューで返るとわかったマス
- 予想と違ったマスと、その理由
予想と違った行だけを見直せば、苦手なパターンが見えてきます。目安は10〜20手分です。1局を通して続けても、局面を変えて何度か繰り返しても構いません。
結果の読み方と、起こりやすい誤り
予想が外れた行の理由は、おおむね次の3つに分けられます。
- 隣に相手の石がなかった(条件2の見落とし)
- 相手の石は並んでいたが、先が空きマスか盤の端だった(条件3の見落とし)
- 隣の石が自分の色だった(色の取り違え)
条件3の見落としが多いと感じたら、置きたいマスから石の列を端まで指でたどる習慣をつけてください。
なお、ヒントと一手戻すはひとり対局でのみ使えます。友達とのオンライン対局では使えないので、練習は先にひとり対局で行うのが向いています。
次の行動
最初に、練習1の4マスを自分で判定し直してください。そのあとで、潮目のオセロのひとり対局を開き、返る石のプレビューと理由付きヒントを使いながら、置けないマスの判定を10手分記録してみましょう。外れた予想の理由が3つの型のどれに入るかを数えれば、次に見るべきポイントがわかります。


