同じ音を8回弾く:等間隔の練習
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「ポン、ポン、ポン」と同じ音を8回、同じ間隔で弾く場面を考えてみます。簡単そうですが、弾き終えて録音を聞き返すと、3回目と4回目の間だけ詰まっていたり、最後の2回が駆け足になっていたりすることがあります。メロディーや和音の練習の前に、まずこの「同じ間隔で鳴らす」力を確かめておくと、あとの練習が楽になります。 この記事の問いは、「一音だけを8回弾くとき、自分の間隔はどこで、どちらの方向にずれるか」です。音程を変えず、指も動かさなければ、聞こえてくるずれはタイミングのずれだけになります。リズムの基礎を一音で切り出して練習する、というのがこの記事の考え方です。 使うのは、ブラウザで遊べる「雨音のピアノ」と、手元で保存して開ける小さなHTMLです。結果は読者の指が決めるので、この記事には数値を載せていません。手順と読み方だけを示します。
この記事の目次
一音で練習する理由
メロディーを弾くときは、次にどの鍵盤を押すかを考える負荷がタイミングに混ざります。そのため、間隔が乱れても、原因が指の移動なのか拍の感覚なのかが分かりません。
同じ鍵盤を押し続ければ、原因の候補は「拍の取り方」と「指の力の入れ方」に絞られます。ずれ方も次の3つに分けて考えられます。
- 前のめり:だんだん間隔が短くなる
- 後ろ向き:だんだん間隔が長くなる
- 不規則:長短がばらばらに混ざる
自分がどれに当てはまるかが分かれば、次の練習の方針が決まります。前のめりなら、拍を数える声をゆっくりめにします。不規則なら、数え方を変える前に、鍵盤を押す動きを一定にすることから始めます。
手順:雨音のピアノで8回弾いて録音する
先に「雨音のピアノ」を開き、次の準備をします。
- 音色は「フェルト」と「ガラス」から選べます。最初は、音の立ち上がりが分かりやすいほうを選びます。
- タッチは3段階から選べます。押す強さを毎回そろえたいので、途中で変えず、1つに固定します。
- 余韻は切り替えられます。音が長く残ると次の音と重なって間隔が聞き取りにくくなるので、はじめは聞き取りやすいほうを選びます。
- 使う鍵盤はキーボードの「A」だけです。
準備ができたら、次の順に進めます。
- 目標の間隔を決めます。最初は1秒に1回(毎分60拍)がおすすめです。8回で約8秒になります。足で床を踏むか、秒針のある時計を見ると、基準が作れます。
- 声に出して「いち、に、さん、し、ご、ろく、なな、はち」と数えながら、数字に合わせて「A」を押します。数え声が先導し、指がそれに従う、という関係にします。
- 練習として2〜3回、録音なしで8回弾きます。途中で止まっても構いません。
- 録音の操作を始めて、8回弾き、少し間を置いてもう一度8回弾きます。録音は30秒・128音までなので、1秒間隔なら数セット分は収まります。
- 録音を再生します。目を閉じて、一定のリズムで机を指で軽く叩きながら聞きます。叩く動きと音が合わなくなる箇所が、ずれの出ている場所です。
- 「前のめり」「後ろ向き」「不規則」のどれに近いか、メモを取ります。1セット目と2セット目で傾向が変わるかも見ます。
雨音のピアノの録音は、画面を開いている間だけ残ります。ページを閉じると消えるので、メモは別の場所に書いておきます。
数値で確かめる:間隔メーターを作る
耳だけでは「なんとなく詰まっている」止まりになりやすいので、押した間隔をミリ秒(1000分の1秒)で見られる小さなHTMLを用意します。次のコードをメモ帳などに貼り付け、meter.html として保存し、ブラウザで開きます。外部ライブラリも通信も使わず、単独で動きます。
<!doctype html>
<meta charset="utf-8">
<title>間隔メーター</title>
<p>スペースキーを8回、同じ間隔で押してください。</p>
<pre id="out">待機中</pre>
<script>
const times = [];
const out = document.getElementById("out");
const ac = new AudioContext();
function beep() {
const o = ac.createOscillator();
o.connect(ac.destination);
o.start();
o.stop(ac.currentTime + 0.08);
}
addEventListener("keydown", e => {
if (e.code !== "Space" || e.repeat) return;
e.preventDefault();
ac.resume();
beep();
times.push(performance.now());
if (times.length < 8) {
out.textContent = times.length + " 回目";
return;
}
const gaps = times.slice(1).map((t, i) => Math.round(t - times[i]));
const avg = gaps.reduce((a, b) => a + b) / gaps.length;
out.textContent =
"間隔(ms): " + gaps.join(", ") +
"\n平均: " + Math.round(avg) +
"\n最大 − 最小: " + (Math.max(...gaps) - Math.min(...gaps));
times.length = 0;
});
</script>使い方は次のとおりです。
- 開いたページをクリックして、キー入力を受け取れる状態にします。
- 声で数えながら、スペースキーを8回押します。押すたびに短い音が鳴ります。
- 8回目で、7つの間隔と、その平均、最大と最小の差が表示されます。
- 次の1回目を押すと、自動で新しい測定が始まります。
e.repeat の判定は、キーを押しっぱなしにしたときの自動連打を除くためのものです。
結果の読み方と、起こりやすい誤り
表示された数値は、次の2つに分けて読みます。
平均が目標に近いか。 1秒間隔を狙って平均が900ミリ秒なら、全体に速めです。これはテンポ感の問題で、間隔のばらつきとは別の話です。
最大と最小の差が小さいか。 平均が目標どおりでも、差が大きければ間隔はそろっていません。「等間隔」の度合いを見るのはこちらです。最初の目標は、たとえば「平均1000ミリ秒に対して差を100ミリ秒以内」のように、自分で決めた値で構いません。ここで挙げた数字は目安の例で、基準ではありません。
ずれの方向は、7つの間隔を並べると読み取れます。
- 後ろへ行くほど小さい、読み取れること:前のめり、次に試すこと:数える声をゆっくりにする
- 後ろへ行くほど大きい、読み取れること:失速している、次に試すこと:最初の押しを少し軽くする
- 最初の1つだけ極端に長い、読み取れること:出だしの迷い、次に試すこと:弾く前に1拍ぶん数えてから入る
- 大小が交互に出る、読み取れること:押す動きが不安定、次に試すこと:指先の高さと力を毎回そろえる
- 特定の位置だけ短い、読み取れること:数え方の癖、次に試すこと:4回ごとに区切って数える
測定結果が悪い原因には、次のような誤りも混ざります。
- ミスタッチや、キーを離し切る前の次の押し込み。 指の動きが小さすぎると、離したつもりでもキーが戻りきらないことがあります。
- 数えるのをやめて音を聞き始める。 聞いてから押すと、ほぼ必ず後ろにずれます。数え声を先に立てておきます。
- 端末やブラウザの遅延。 押してから音が出るまでに遅れがあっても、毎回同じ遅れなら間隔は変わりません。遅れの大きさそのものではなく、7つの間隔のそろい方を見ます。
- 1回の測定で判断すること。 1回では偶然の影響が大きいので、5回ほど測って傾向を見ます。
- ほかの端末の数値と比べること。 数値の比較は、同じ環境で、自分の前回と今回を比べるときに有効です。
次の段階:WAVE / WAVE で機械の等間隔と聞き比べる
自分の演奏がどのくらい等間隔かを耳で判断する材料として、機械が刻む等間隔があると便利です。「WAVE / WAVE」は、4つの音を16ステップに並べてループ再生するリズムスタジオです。同じ音を等間隔のステップに置けば、そのまま基準のリズムになります。
使い方の一例です。
- WAVE / WAVE を開き、1つのトラックだけに音を置きます。ステップは等間隔に並んでいるので、1つおき、あるいは全ステップに置くと一定の刻みになります。
- テンポを、先ほど練習した1秒間隔に近い値に合わせます。
- スウィング(拍を揺らす設定)は、等間隔を聞きたいので、はじめは効いていない状態にして試します。具体的な操作は作品を開いて確かめてください。
- ループを聞きながら、パッド演奏の録音を使って自分で同じ音を重ねます。機械の刻みと自分の音がずれていく様子を、再生して確かめます。
- 慣れてきたら、トラックごとのミュートで機械の刻みを消し、自分の演奏だけを聞いて、等間隔が保てているかを見ます。
WAVE / WAVE は保存に対応しているので、いくつかのテンポで作ったパターンを残して、日を変えて同じ練習をやり直せます。雨音のピアノの録音は画面を閉じると消えるのとは対照的です。
次の行動
まず雨音のピアノで、「A」を1秒間隔で8回弾く録音を1本録り、再生して「前のめり」「後ろ向き」「不規則」のどれに近いかをメモします。次に間隔メーターで5回測り、7つの間隔の並びを見比べてください。そのうえでWAVE / WAVEの等間隔のループに自分の演奏を重ね、耳と数値の両方で同じ傾向が出るかを確かめてみてください。



