タッチの強さを変えて弾く:弱い音と強い音の使い分け
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同じメロディーを弾いても、すべての音が同じ大きさだと、平らな印象になりがちです。逆に、音の大きさに差をつけるだけで、同じ音の並びが「話しかけるような音」や「歌い上げる音」に聞こえることがあります。ここで確かめたいのは、鍵盤で弱い音と強い音を弾き分けると、自分の耳に何が起きるかです。 ブラウザの「雨音のピアノ」には、タッチを3段階から選ぶ機能があります。この記事では、その3段階を使い、弱い音と強い音を弾き分ける練習を手順にします。結果は書きません。どれくらい差が聞こえるか、どの組み合わせが心地よいかは、読者自身の耳で確かめる設計です。作業は1回10〜15分ほどを想定しています。
強弱は「音量の数字」より「差」で伝わります
楽譜では、弱く弾くことをp(ピアノ)、強く弾くことをf(フォルテ)と書きます。どちらもイタリア語で、中くらいはmf(メゾフォルテ)です。ピアノという楽器の名前も、もとは「弱くも強くも出せる鍵盤楽器」を指す言い方に由来するといわれます。
大事なのは、音の大きさを絶対的な数字で決めるものではない、という点です。ある音が「弱い」と聞こえるかどうかは、前後の音との比較で決まります。小さい音が続いた後の中くらいの音は大きく聞こえます。強い音が続いた後では同じ音が小さく聞こえます。つまり練習の目的は、強い音を出すことではなく、弱い音と強い音の差を意図して作ることです。
そこで、この記事の手順は3つの問いに絞ります。
- 3段階のタッチの差は、自分の環境で聞き分けられるか
- 3音のフレーズに強弱の形を付けると、聞こえ方はどう変わるか
- 録音して聞き返したとき、弾いたときの意図が再生に残っているか
準備:比べるための条件をそろえます
強弱の練習では、音量そのものがぶれると比較ができなくなります。始める前に、次の条件を固定します。
- 端末の音量を中くらいに合わせ、練習中は動かさない
- イヤホンかスピーカーのどちらかに決め、途中で替えない
- 周囲の音が少ない場所を選ぶ
- 紙かメモアプリに、下の記録シートを用意する
雨音つきの自由演奏では、雨音が背景に流れます。雨音が弱い音の聞き取りに影響するかどうかは、環境によって違うので、自分の耳で確かめてください。最初の聞き比べで弱い音が埋もれると感じたら、再生中の背景の扱いを見直す、端末音量を少し上げるなど、条件を変えて同じ手順をやり直します。条件を変えたら、変えた内容を必ず記録に残します。
キーボード操作も確認します。作品では、A W S E D F T G Y H U J のキーが鍵盤に対応しています。並びから見ると、A S D F G H J が手前の段、W E T Y U が奥の段で、ピアノの白鍵と黒鍵の配置に近い形です。Z と X で音域を変えられます。各キーがどの音名に当たるかは、作品を開いて確かめてください。
手順:聞き比べから録音まで
手順1:音色を決めて、同じ音を3段階で鳴らします
- 作品を開き、自由演奏の画面にします。
- 音色(フェルトかガラス)を一つ選びます。この手順の間は変えません。
- タッチの設定を探します。3段階の並びが、弱い側・中間・強い側の順になっているか、画面の表示で確かめます。
- 同じ鍵を一つ決め、タッチを弱い側にして1音だけ弾きます。余韻が消えるまで待ちます。
- 同じ鍵で、中間、強い側の順に1音ずつ弾きます。
- 3音をもう一度、同じ順で繰り返します。合計で各段階2回ずつ聞きます。
記録するのは「3つの違いが聞き分けられたか」と「どの2つが近く感じたか」の二点です。聞き分けにくい組み合わせがあれば、そのままメモします。後の手順で、差の小さい組み合わせは使いにくいと分かります。
手順2:音色を替えて、同じ比較をやり直します
- 音色をもう一方に切り替えます。
- 手順1の4〜6を、同じ鍵で繰り返します。
- 余韻の設定も、同じ内容で比較できるように、最初は変えずに行います。
フェルトとガラスで、段階ごとの違いの出方が同じかどうかを見ます。音色によって「弱い側の音が聞き取りやすい」「強い側の音が耳に刺さる」といった違いが出るなら、自分の環境にはその音色が向いているかどうかの手がかりになります。感想は言葉にして、「柔らかい」「明るい」「かたい」など自分の表現で一行書きます。
手順3:3音のフレーズに強弱の形を付けます
隣り合う3つの鍵を選び、「低い、真ん中、高い」の順に弾く3音のフレーズを作ります。この同じ3音で、次の4通りを弾き分けます。
- 3音とも中間のタッチ(比較の基準)
- 弱い側、中間、強い側の順(だんだん強く)
- 強い側、中間、弱い側の順(だんだん弱く)
- 真ん中だけ強い側、前後は弱い側
各パターンを2回ずつ、同じ速さで弾き、聞こえた印象を一言で記録します。音楽用語では、2を「クレッシェンド」、3を「ディミヌエンド」と呼びます。
タッチの切り替えは、音を弾く間にも手を動かす作業になります。弾いている最中に切り替えにくいと感じたら、次のように分けます。
- 1音ずつ、鳴らし終えてからタッチを切り替える
- 画面の操作に慣れるまでは、ゆっくり弾く
- 切り替えにくさ自体をメモに残す
切り替えやすさは、強弱を付ける練習のしやすさに直結します。弾く速さを上げる前に、まず切り替えの手順を確認しておくのが近道です。
手順4:余韻を切り替えて、強弱の聞こえ方を比べます
余韻とは、鍵を弾いた後に音が残る長さのことです。余韻が長いと音が重なり、前の音が次の音の聞こえ方に影響します。強弱の差が埋もれやすくなる場合もあれば、逆に響きが強調される場合もあります。
- 手順3の「だんだん強く」を、余韻を切り替えて弾きます。
- 余韻の切り替えがどの項目にあり、どんな選択肢が出るかは、作品で確かめます。
- 余韻ありと余韻なし(またはもっとも短い設定)で、同じフレーズを2回ずつ聞き比べます。
- 「強弱の差が分かりやすいのはどちらか」を書き留めます。
手順5:録音して聞き返します
作品には、30秒・128音までの録音機能があります。録音は画面を開いている間だけ残ります。ページを閉じたり再読み込みしたりすると消えるので、記録は手元のメモに書いてください。
- 手順3の4パターンを、続けて弾きながら録音します。パターン間に短い間をあけると、後で区切りが分かります。
- 録音を止めて、その場で再生します。
- 再生を聞きながら、パターンごとに「弾いたときの意図が聞こえるか」を確かめます。
- 強弱の差が再生で聞き取りにくい部分は、タッチを変えて弾き直し、もう一度録音します。
録音が弾いた強弱をそのまま再生するかどうかは、作品を開いて自分の耳で確かめるのが確実です。弾いたときの印象と再生の印象が違うなら、その差が練習の材料になります。128音という上限があるため、4パターンを2回ずつ弾くと上限に近づきます。録音を使う場合は、弾く回数を減らして収めてください。
手順6:記憶ゲームで、強弱を付けて弾いてみます
3音から8音まで育つフレーズの記憶ゲームがあります。お手本の速さを選べます。ここでは、強弱を付けて答えたときの扱いを確かめます。
- お手本の速さを遅めに選び、3音のフレーズから始めます。
- 通常のタッチで答え、正解になることを確かめます。
- 次の回で、タッチを変えて答えます。
- タッチを変えても正解になるかどうか、画面の反応で確かめます。
ゲームが音の高さの順序だけを見ているのか、強弱も見ているのかは、確認済みの情報にありません。結果は作品を開いて確かめてください。
記録シートと結果の読み方
次の表を、紙やメモアプリに写して使います。□の部分は、実際に試して自分で記入する欄です。
- フェルト:同じ鍵で聞き分けられたか、弱い側:□、中間:□、強い側:□
- ガラス:同じ鍵で聞き分けられたか、弱い側:□、中間:□、強い側:□
- 近く感じた組み合わせ、弱い側:□、中間:□、強い側:□
読み方の目安は次のとおりです。
- 3段階すべてが聞き分けられた:手順3の4パターンで、差の付け方による印象の違いを見ます。
- 2つが近く感じた:その2つを続けて使うフレーズは差が伝わりにくいので、弱い側と強い側を中心に使います。
- 弱い側が聞き取りにくい:端末音量、雨音の影響、音色の選択を一つずつ変えて、同じ手順をやり直します。
- 録音の再生で意図が薄れた:弾く間隔を少し広げる、余韻を短くするなど、聞き取りやすい条件を探します。
条件は一度に一つだけ変えるのがコツです。二つ同時に変えると、どちらが効いたのか分からなくなります。
つまずきやすい点
- 音量の途中変更: 練習の途中で端末の音量を変えると、比較が成り立ちません。変えた場合は最初からやり直します。
- 弱い音ばかり使う: 差を付けようとして小さい音を連続させると、全体が聞こえなくなります。弱い側は、強い側とセットで使う意識を持ちます。
- 切り替えに気を取られて速さが乱れる: タッチを切り替える操作に集中すると、拍が崩れます。ゆっくりした速さで、切り替えの動きを固めてから速めます。
- 音色の違いと強弱の違いを混ぜる: 音色と余韻とタッチを同時に変えると、何が効いているのか分かりません。変える項目は一つにします。
- 録音の消去に気づかない: 録音は画面を開いている間だけ残ります。気に入った録音があっても、後から聞き返せません。メモには感想を書き残します。
次の行動
まず、同じ鍵を3段階のタッチで鳴らし、記録シートの最初の行を埋めてください。そのうえで、3音のフレーズを「だんだん強く」「だんだん弱く」の二つで弾き分け、録音して聞き返してみてください。聞き分けにくい組み合わせが見つかったら、それが次に調整する課題になります。



