紙の盤で記憶ゲームを作る:音の代わりに何を使うか
遊びをつくる執筆にClaudeを使用しています。

「こだまの森」は、光る葉の順番を覚え、4つの音色で返す記憶ゲームです。これを紙の上に移すと、真っ先に困るのが音です。紙は鳴りません。では、音色の役目を何に引き継げばよいのでしょうか。この記事は、その問いを手を動かして確かめるための実験の設計書です。結果は書きません。読者が自分で試して答えを出す形にしています。 手がかりが一つあります。こだまの森は音なしでも遊べます。順番を伝える役目は、光る葉だけでも成り立つように作られていると読み取れます。そうなると、音色は何を担っているのかが気になります。「順番を見る」と「順番を返す」は別の動作で、返すときの手段が4つの音色です。紙版では、この返す手段をまるごと作り直す必要があります。 そこで問いを次のように絞ります。見せ方と返し方を入れ替えたとき、「順番を覚えて返す」手応えが残るのは、どの組み合わせでしょうか。 比べる対象は、視覚、手触り、声の3種類です。
準備するもの
必要なのは、身近な紙ものと文具だけです。
- 画用紙(A3か、A4を2枚つなげたもの):盤になります。
- 4色のペンと、はさみ:葉のカードを作ります。
- 質感の違う素材4種:紙やすり、アルミホイル、フェルトや布、クッキングシートなどです。同じ大きさ(名刺程度)に切り、台紙に貼ります。
- タイマー(スマホで十分):見せる速さを揃えるために使います。
- 記録用紙:後述の表を印刷するか、手書きで写します。
- 4人(2人×2組が理想です):出題者、回答者、記録者を回します。2人でも行えますが、記録は出題者が兼ねることになります。
出題の順番は、手元のサイコロでも作れます。ただし、同じ葉が続きすぎないよう調整する必要があります。次の短いHTMLをブラウザで開くと、1〜4の数字を10個並べた出題表ができます。同じ数字が3回連続しないようにしてあります。出題者だけが画面を見ます。
<!doctype html>
<meta charset="utf-8">
<title>順番カード</title>
<button id="b">10個の順番を作る</button>
<p id="o" style="font-size:2em;letter-spacing:.3em"></p>
<script>
const N=["1","2","3","4"];
document.getElementById("b").onclick=()=>{
const s=[];
while(s.length<10){
const c=N[Math.floor(Math.random()*4)];
const n=s.length;
if(n>=2&&s[n-1]===c&&s[n-2]===c)continue;
s.push(c);
}
document.getElementById("o").textContent=s.join(" ");
};
</script>盤とルールを決める
盤は、4枚の「葉」を置く場所を描くだけで十分です。葉の位置は動かさず、4色で塗り分けます。葉1〜4と呼び、色と番号を対応させます。
こだまの森には、次の要素があります。これらを紙版にも持ち込みます。
- 6・8・10ラウンドの3コース
- 聴き直し:15点減
- 間違い:30点減、3回で終了
- 一時停止
ここから先は、紙版の仮置きです。元の作品の細部は不明なので、作品を開いて確かめてください。
- ラウンド:ラウンドnで順番の長さがnになる、と仮置きします。元の作品でラウンドごとに順番がどう変わるかは、作品を開いて確かめてください。
- 持ち点:紙版は100点から始めます。元の作品の持ち点や計算は、作品を開いて確かめてください。
- 聴き直し:出題者が同じ順番をもう一度見せます。1回につき15点減です。
- 間違い:間違えたら30点減です。同じ長さの新しい順番で、そのラウンドをやり直します。3回間違えたら終了です。
- 一時停止:回答者が「待った」と言えば、タイマーを止めます。止めている間は順番の再提示をしません。
元の作品を触らずに紙版だけ作ると、どこを変えたのかが分からなくなります。先にこだまの森を、音あり・音なしの両方で遊んでおくことを勧めます。そのとき、葉が光る順番と音色がどう結びつくのかを見ておいてください。
見せ方と返し方を入れ替える3条件
比べる条件は3つです。見せ方(出題者がすること)と返し方(回答者がすること)を、次のように組み合わせます。
- A:視覚→指す、見せ方:出題者が葉を1枚ずつ指す、返し方:回答者が同じ順に葉を指す、狙い:音なしのこだまの森に最も近い形
- B:視覚→手触り、見せ方:出題者が葉を1枚ずつ指す、返し方:回答者は目を閉じ、葉に対応する素材4種を順に触る、狙い:音色の役目を触感が担えるか
- C:声→声、見せ方:出題者が4つの短い声(例:ぽ・と・り・ん)を1つずつ発する、返し方:回答者が同じ声で返す、狙い:音を声に置き換える形
Bでは、4つの葉と4つの素材の対応を先に決めます。例として、葉1は紙やすり、葉2はアルミホイル、葉3はフェルト、葉4はクッキングシートとします。対応表は回答者が事前に触って覚えます。この練習は、1素材につき1分程度に統一してください。
Cは「紙の盤なのに音を使うのは本末転倒だ」と感じるかもしれません。ただ、ここでは音の代わりに何を使うかを比べたいので、声という手作りの音も候補に入れておきます。
どの条件でも、見せる速さを揃えます。タイマーを1秒ごとに鳴らし、1回の合図で1つの葉を示します。速さが条件ごとに違うと、比較できません。
記録の取り方
1回のプレイ(1コース)を単位にして、次の項目を記録します。
- 条件(A/B/C)、記録のしかた:記号で書きます
- コース、記録のしかた:6・8・10のどれか
- 到達ラウンド、記録のしかた:終了時(クリアまたは3回間違い)のラウンド
- 聴き直し回数、記録のしかた:回数
- 間違い回数、記録のしかた:回数。「順番の間違い」と「識別の間違い」を分けて数えます
- 最終得点、記録のしかた:100点からの計算結果
- 主観難易度、記録のしかた:回答者が1〜5で答えます
- 所要時間、記録のしかた:開始から終了まで(秒)
「識別の間違い」とは、順番は覚えているのに、素材や声を取り違えたものです。条件Bで特に起こりやすいので、記録者は、回答者が触った素材を見て判別します。間違いのたびに、どちらだったかをメモします。
回数の目安は、条件ごとに3回です。3条件で合計9回のプレイになります。順序を揃えると学習の効果が偏るため、組ごとに条件の並びを変えます。たとえば1組目はA→B→C、2組目はB→C→A、3組目はC→A→Bと回します。最初は6ラウンドのコースで始め、慣れたら8、10と伸ばしてください。
条件ごとの3回は少ない数です。ここで出るのは傾向であり、結論ではありません。
結果の読み方と起こりやすい誤り
記録がそろったら、条件ごとに到達ラウンドと得点の並びを見ます。判断の目安を、考えられる読みとして挙げます。
- 3条件で到達ラウンドがほぼ同じなら、返し方より順番そのものを覚える部分が体験の中心にあると読めます。音色は、そこでは飾りに近い役目かもしれません。
- 条件Bだけ「識別の間違い」が多く、順番の間違いが少ないなら、触感は記憶を助けるどころか別の負荷になっている可能性があります。素材の差を大きくするか、対応を覚える練習を増やして、もう一度確かめてください。
- 条件Cで聴き直しが減るなら、声のほうが順番を言葉として保持しやすい可能性があります。ただし、声は繰り返すと自分の耳に残るので、記憶ではなく反復の効果かもしれません。条件Aの回答者にも、頭の中でつぶやいた人がいたか尋ねておくと整理しやすくなります。
- 主観難易度と到達ラウンドが食い違うなら、その条件は「やりにくい」だけで「難しい」わけではないかもしれません。
起こりやすい誤りもあります。
- 出題者の癖:指す速さや間が、無意識に変わることがあります。タイマーの合図に合わせて、必ず同じ間隔で示してください。
- 順番の偏り:特定の葉ばかりが続くと、易しくなります。上のコードのように、同じ葉が連続しない出題表を、あらかじめ複数用意してください。
- 盤の覗き見:回答者が、出題者の持つ出題表を見てしまうことがあります。表は出題者側に伏せてください。
- 素材の汚れや湿気:紙やすりは摩耗し、アルミホイルは折れます。同じ素材を使い続けると、触り心地が変わります。
- 学習効果:同じ順番を何度も見ると覚えてしまいます。毎回新しい出題表を使い、同じ順番を再利用しないでください。
- 点数だけで比べる:点数は聴き直しと間違いの両方が影響します。到達ラウンドも併せて見ないと、読み違えます。
次の行動
こだまの森を、音あり・音なしの両方で遊び、葉の光る様子と音色の関係を確かめてください。そのうえで、まず条件Aだけを2人で試し、記録用紙の使い勝手を確かめます。慣れたら、条件B・Cを加えて、9回分の記録を取ってみてください。

