海外のプラットフォームの審査基準——通過・却下を分ける判断軸を整理する
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ゲームを作り終えて「海外のプラットフォームに出したい」と思ったとき、最初に突き当たるのが審査の壁です。Steam・Google Play・App Store・itch.io……それぞれ審査の仕組みが異なるため、「どこに何を準備すれば通るのか」が見えにくくなっています。 この記事では、主要な海外プラットフォームが審査で確認している共通の軸と、プラットフォームごとの差異を整理します。ローカライズのテキスト品質よりも先に知るべき「そもそも何が審査されているのか」という問いに答えることを目的にしています。
審査の目的は「ユーザー保護」と「プラットフォームの信頼」
海外プラットフォームの審査基準を一言で要約すると、「そのゲームがプラットフォームのユーザーと事業者にとってリスクにならないか」の確認です。品質の高低よりも、法的リスク・安全性・詐欺的な設計の有無が優先されます。
具体的には次の四つの軸が共通して存在します。
- コンテンツ適切性:暴力・性的表現・ヘイトスピーチのレベルが年齢レーティングと一致しているか
- 知的財産の侵害有無:他社の商標・著作物を無断使用していないか
- 課金・データ収集の透明性:アプリ内購入や個人情報収集の仕組みが明示されているか
- 技術的な動作要件:クラッシュや不正なAPIアクセスがなく、プラットフォームのガイドラインに沿った実装になっているか
この四軸はどのプラットフォームでも確認されますが、厳しさの程度と審査手順が大きく異なります。
プラットフォーム別:審査の厳しさと特徴
App Store(Apple)
審査担当者が手動でアプリを実際に動かして確認します。審査期間は数日から一週間程度が目安ですが、却下されると修正して再提出するサイクルが発生するため、リリース日から逆算して余裕を持った提出が必要です。
特に注意が必要な点は次のとおりです。
- 課金フローの審査:アプリ内課金はAppleの決済システムを通す設計が求められます。外部決済への誘導が見つかると即却下になるケースが多いです。
- プライバシーラベル:収集するデータの種類と用途をストア掲載情報として申告します。宣言と実装が一致しない場合は却下されます。
- コンテンツの完成度:「近日公開」などプレースホルダーが残った状態では通過しません。
Google Play
提出後に自動スキャンと人による審査が組み合わさって行われます。App Storeと比べて初回審査の通過率が高い傾向がありますが、公開後の監視も継続されるため、公開後の更新で新たに違反が見つかると公開停止になることもあります。
ターゲット年齢の申告(コンテンツレーティング)は、Google Play独自のアンケート形式で進めます。暴力・セクシャルコンテンツ・ギャンブル要素の有無を正確に申告しないと、後で強制的にレーティングが変更されてターゲット配信が制限されます。
Steam(PC・ブラウザゲーム含む)
SteamはApp StoreやGoogle Playと異なり、審査というよりもコンテンツ適切性とリリース準備の確認という位置づけです。ただし、申請前にSteam Direct料金(公式サイトで最新の条件を確認してください)の支払いが必要で、審査ではなく「審査通過の可能性を高めるための準備」に重点が置かれます。
却下になりやすい原因は主に次の二つです。
- ストアページの情報不足:スクリーンショット・説明文・年齢レーティング申告が揃っていない
- 著作権侵害が疑われる素材:アセットや音楽の権利が不明確な状態でのリリース
Steamは一度公開されてからレビュー爆撃や詐欺的なゲームとして報告されると対応が難しくなるため、審査を通過しても公開後の評判管理が重要です。
itch.io
itch.ioは審査がほぼないプラットフォームです。出品者が内容に責任を持つという方針のため、アップロード後すぐに公開できます。ただし、itch.io独自の利用規約に反するコンテンツ(違法コンテンツや他者の著作物の無断利用など)は報告後に削除されます。海外展開の最初の足がかりとして使いやすい反面、露出を得るにはプロモーションを自分で行う必要があります。
審査で特につまずきやすい三つのポイント
年齢レーティングの過小申告
暴力や課金要素を「軽微だから」と判断してレーティングを低く申告すると、審査担当者に矛盾を指摘されて却下されます。特にランダム型のアイテム購入(いわゆるガチャ)は、国・地域によってギャンブルに準じた扱いを受ける場合があります。申告は「厳しめに書く」を基本方針にしてください。
プライバシーポリシーの欠如
App StoreとGoogle Playはいずれも、ゲームが何らかのデータを収集する場合にプライバシーポリシーページのURLを提出する必要があります。広告SDKを組み込んだだけでもデータ収集とみなされるため、「自分では何も収集していない」という認識は通用しません。プライバシーポリシーは公開前に用意してください。
素材の権利関係の不明確さ
フリー素材と表記されていても、商用利用・再配布の可否・クレジット義務の有無はライセンスごとに異なります。審査では直接問われないケースが多いですが、第三者から申し立てがあったときに対応できる状態にしておくことが、長期的な公開維持につながります。
審査に向けた準備チェックの進め方
審査に提出する前に、次の順序で確認することを勧めます。
- 対象プラットフォームのデベロッパーポリシーを読む:Steamであれば「Steam Direct」ページ、Google PlayであればPlay Console ヘルプ内の「デベロッパーポリシーセンター」が一次情報です。年に複数回更新されるため、記事や体験談ではなく公式ドキュメントを参照してください。
- コンテンツレーティングを正式なツールで申告する:IARC(International Age Rating Coalition)という国際的な年齢レーティング申告システムがGoogle Play・itch.ioなどで採用されています。アンケートに答えると各国向けのレーティングが自動的に付与されます。
- プライバシーポリシーを準備する:利用している広告SDK・アナリティクスツール・クラウドセーブサービスが収集するデータを列挙して記述します。
- ストアページの素材を揃える:スクリーンショット・アイコン・説明文のうち、不足している要素があると審査前に弾かれることがあります。
- テスト端末での動作確認:Androidは複数のメーカー機で確認することが望ましく、iOSはXcodeのバリデーション機能でエラーを除去してから提出します。
次の行動
まず出したいプラットフォームの公式デベロッパーポリシーを開き、コンテンツポリシーとプライバシー要件の節だけ読んでみてください。ブラウザゲームであれば、審査なしで公開を試せるitch.ioやアソバース(https://aso-verse.com)からはじめて、ゲームの完成度を高めてからより審査の厳しいストアに展開するという順序も有効な選択肢です。
参考資料
- Google Play デベロッパーポリシーセンター(Google公式)
- App Store Review Guidelines(Apple Developer公式)
- Steam Direct ヘルプページ(Valve公式)
- IARC(International Age Rating Coalition)公式サイト

