マガジン

AIゲーム制作を初めて試みる人が直面する現実と乗り越え方

遊びをつくる

執筆にClaudeを使用しています。

色紙の試作コース、小さな駒、ノートを並べたゲーム制作の作業机。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イメージ。実際のゲーム画面ではありません。

「AIを使えばゲームが簡単に作れる」という話を聞いて、試してみたいと思っている人は多いはずです。実際のところ、作業の一部は確かに短縮できます。ただし「簡単かどうか」は、何を期待してその作業に臨むかによって大きく変わります。準備なしに試して「思ったより難しかった」と感じる人と、段取りを整えてから試して「思ったより進められた」と感じる人の差は、AIツールの使い方よりも、制作の流れをあらかじめ知っているかどうかにある場合がほとんどです。 この記事では、AIゲーム制作のどこが難しくて、どこは本当に楽になるのかを整理し、初めて取り組む際に判断すべきポイントと具体的な進め方を示します。「簡単か難しいか」という問いへの答えは記事の中で段階的に出てきますが、結論を先に言えば「最初の一本を完成させるだけなら、段取り次第で数時間で可能。ただし意図通りに動くものにするには最低でも試行の繰り返しが必要」です。

この記事の目次
  1. 「簡単」と「難しい」が混在する理由
  2. 初心者が最初につまずく三つのポイント
  3. 制作の進め方:最初の一本を完成させる手順
  4. 「楽になる部分」を正確に把握する
  5. 公開まで見据えた判断基準
  6. 次の行動
  7. 参考資料

「簡単」と「難しい」が混在する理由

AIを使うゲーム制作には、大きく分けて二つの作業があります。ひとつはアイデアをコードや素材に変換する工程、もうひとつはそれを意図通りに動くゲームとして組み上げる工程です。前者はAIが大幅に担ってくれます。後者は依然として作る人の判断が必要です。

たとえば「シンプルなクイズゲームを作って」と生成AIに依頼すれば、動作するHTMLファイルが数分で出てきます。これは本当に早い。しかし「問題を10問ランダムに出して、正解したらスコアが増え、全問終了後に結果を表示する」という要件を正確に満たすには、出力されたコードを読んで確認し、意図と違う挙動があれば修正を依頼するというやり取りが必要です。

この修正のやり取りを「難しい」と感じるかどうかは、コードを読む経験があるかどうかではなく、「何が起きているかを言語化できるか」にかかっています。エラーメッセージをそのままAIに貼って「これを直して」と送るだけでも対処できる場面は多いです。一方で、エラーが出ないのに動作がおかしいケースは、問題を自分で観察して言葉にする力が求められます。

初心者が最初につまずく三つのポイント

要件の曖昧さ

AIへの最初の依頼が「シューティングゲームを作って」のように漠然としていると、AIは想定の範囲で何かを生成しますが、それが自分の思い描いていたものと一致する保証はありません。イメージと結果のずれが続くと、修正のループが長くなります。

最初の依頼では「ジャンル・操作方法・ゴール条件・画面の要素」の四点を最低限含めると、ずれが少なくなります。「スペースキーでキャラクターがジャンプし、障害物を避けてゴールに到達したらクリアになる横スクロールゲームをHTMLとJavaScriptで作ってください」のように書くと、最初の出力からかなり近い形になります。

ファイルの扱いへの不慣れ

AIが出力したコードをゲームとして動かすには、テキストをファイルとして保存し、ブラウザで開く手順が必要です。単一のHTMLファイルであればこれだけで動きますが、画像や音声を使う場合はファイルを複数管理して正しいパスで参照する必要があります。この「ファイル管理」はAIが代わりにやってくれる部分ではなく、作る人が担う工程です。

最初の一本はできるだけ単一のHTMLファイルで完結するテーマを選ぶと、この工程を飛ばせます。背景色やシンプルな図形をCSSで描く方法を使えば、画像ファイルなしでもある程度見た目のあるゲームが作れます。

「完成」の基準がない

作り始めると「もっとこうしたい」が次々出てきます。これ自体は自然なことですが、際限なく追加し続けると完成に至りません。初めて作るゲームでは、公開できる状態を「最低限の機能が動き、エラーで止まらない状態」と定義してしまうのが実際的です。磨き込みは公開後にできます。

制作の進め方:最初の一本を完成させる手順

以下は、プログラミング経験がない人が初めてAIを使ってブラウザゲームを作る際の、現実的な進め方です。

  1. ジャンルと核心ルールを一文で決める 「カードをめくってペアを揃える神経衰弱」「数字を入力して大小を当てるゲーム」のように、一文で説明できるところから始めます。複数の要素が混在するアイデアは後回しにします。
  1. 要件を四点で整理してAIに渡す ジャンル・操作・ゴール条件・技術仕様(HTMLとJavaScriptのみなど)を書いて依頼します。最初から「単一のHTMLファイルで完結させてください」と付け加えると、ファイル管理の手間がなくなります。
  1. 出力されたコードをブラウザで確認する コードをテキストエディタに貼り付けて .html の拡張子で保存し、ブラウザで開きます。ブラウザはWindowsならメモ帳、macOSならテキストエディットで代用できますが、VS Codeなど無料のコードエディタを使うと後の修正が楽になります。
  1. 意図と違う点をAIに言葉で伝える 「スコアが増えない」「ゲームオーバー後に再スタートできない」のように、何が起きているかを具体的に伝えます。エラーメッセージが出る場合はそのままコピーして渡します。
  1. 三回の修正ループを目安に最低限の完成を目指す 三回やり取りしても解決しない問題は、いったん後回しにして別の機能から進めます。完成を優先して、問題を抱えたまま公開するほうが、次の改善につながります。

「楽になる部分」を正確に把握する

AIが実際に短縮してくれる作業を正直に挙げておきます。

  • 定型コードの生成:ゲームループ、スコア計算、タイマーなど繰り返し使われる仕組みは、一から調べて書く手間なしに手に入ります。
  • CSSによる見た目の調整:「ボタンを丸くして、背景を暗めのグレーにして」のような指示で、デザインの知識がなくても見た目を整えられます。
  • エラーの原因特定:エラーメッセージをAIに渡すと、原因と対処法を説明してくれます。自分で調べるより早い場合がほとんどです。

一方、AIが代わりにできない部分も明確にあります。

  • ゲームとして面白いかどうかの判断
  • 実際に動かしたときの手触りや難易度バランスの調整
  • 自分が何を作りたいかというアイデアの決定

つまり「ゲームの本質的な部分は人が考え、実装の手間をAIが引き受ける」という分担が、現時点での正確な理解です。この分担を理解したうえで始めると、「簡単なはずなのに進まない」という感覚になりにくくなります。

公開まで見据えた判断基準

ゲームが動いたあと、どのプラットフォームに公開するかによって準備が変わります。アソバースはHTMLファイルやZIPファイルの直接投稿に対応しており、単一HTMLで完結したゲームであればファイルを一つアップロードするだけで公開できます。複数ファイルを使う場合はZIPにまとめて投稿します。

公開前に最低限確認したい点は三つです。一つ目は、ページを再読み込みしたときに正常に起動するかどうか。二つ目は、ゲームオーバーやクリアの後に再プレイできるかどうか。三つ目は、スマートフォンのブラウザでも操作できるかどうか(キーボード前提の操作はスマートフォンでは使えません)。これらを確認してから公開すると、遊んだ人が途中で止まる場面を減らせます。

次の行動

まずはジャンルと核心ルールを一文で書いてみてください。それをAIに渡せる要件の形に整えるだけで、制作の半分は終わったも同然です。動くものができたら、アソバースにHTMLファイルとして投稿して公開まで通しで試してみると、次に作るものへの判断基準が自然と身につきます。

参考資料

  • MDN Web Docs(Mozilla Developer Network)— HTML・JavaScript・CSSの基本仕様
  • 各生成AIサービスの公式ドキュメント(依頼の書き方・制限事項)
  • アソバース 投稿ガイドライン(公式サイト)