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英語の操作説明を書く:動詞で始める一文

遊びを見つける

執筆にClaudeを使用しています。

色鉛筆の線やゲームのスケッチが描かれたノートとカード。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イメージ。実際のゲーム画面ではありません。

ブラウザゲームの遊び方に「Click the button to start.」と書いたとします。パソコンで遊ぶ人には通じますが、スマートフォンで開いた人には、画面に「Click」する手段がありません。かといって「Tap」に変えると、今度はマウスで遊ぶ人に違和感が出ます。「Press」と書けばキーボードの人は分かりますが、画面上のボタンに使うと、少し機械的に聞こえます。 この記事で確かめるのは、英語の操作説明の一文を、どの動詞で始めれば遊ぶ人が迷わないかです。核になるのは「Press」「Tap」「Drag」の使い分けです。この3語は、入力の種類(キー、指、押したまま動かす操作)とほぼ対応しているため、決め方が分かると他の動詞も同じ考え方で選べます。 ここでは、自分のゲームの操作を書き出し、動詞を割り当て、一文にして、最後に端末ごとに出し分けるコードまで作ります。例文はすべて筆者側で用意した書き方の例です。アソバースの公式作品の英語表示そのままではありません。

この記事の目次
  1. なぜ操作説明は動詞で始めるのか
  2. Press・Tap・Click・Drag の使い分け
  3. 手順:自分のゲームの操作説明を一文ずつ作る
  4. 端末によって動詞を出し分ける
  5. 起こりやすい誤りと対処
  6. アソバースに載せるときの注意
  7. 次の行動
  8. 参考資料

なぜ操作説明は動詞で始めるのか

操作説明は、読んだ人がすぐ手を動かすための文です。「The arrow keys can be used to move.」のように道具から始めると、読み手は最後の move まで何をするのか分かりません。「Press the arrow keys to move.」なら、最初の一語で「キーを押す」と分かり、続きを読む前に手が動きます。

動詞で始める形は命令文(imperative)と呼ばれます。英語のゲームやアプリの案内で広く使われている型で、丁寧さを足したいときは文末や前に添える程度にとどめるのが一般的です。操作説明に「Please」を毎回付けると、画面の限られた場所で読む量が増えます。

一文の基本形は次のとおりです。

動詞 + 操作する対象 + (to + 結果)

例:Press Enter to start. / Drag the slider to change the speed. / Tap a tile to select it.

この型に当てはめる作業の中心は、動詞の選び方です。

Press・Tap・Click・Drag の使い分け

動詞は、気分ではなく「何で入力するか」で決めます。一般に次のように使い分けられます。

  • Press、入力の種類:キーボードのキー、物理ボタン、例:Press Space to jump.
  • Tap、入力の種類:タッチ画面を指で軽く触れる、例:Tap a tile to select it.
  • Click、入力の種類:マウスやトラックパッドのボタン、例:Click Start to begin.
  • Drag、入力の種類:押したまま動かし、離す、例:Drag the slider to the right.
  • Hold、入力の種類:押したまま保つ(動かさない)、例:Hold Space to charge.
  • Swipe、入力の種類:画面上を指で払う、例:Swipe left to go back.
  • Select、入力の種類:入力方式を問わない選択、例:Select a difficulty.

ここで混乱しやすいのが、画面上のボタンです。画面に描かれた矢印ボタンは、マウスなら Click、タッチなら Tap です。Press は、キーボードのキーや本体のボタンなど「押し込む物」に使うのが基本で、画面上のボタンに Press を使うと、どの入力を指すのか曖昧になります。

Drag は、動作が三つに分かれる点が他と違います。押す、動かす、離す、の三つです。たとえば「Drag to aim.」だけでは、離したときに何が起きるのか読み手に伝わりません。「Drag to aim, then release to launch.」のように、離す動作に結果があるなら書き添えます。

Hold も Drag と取り違えやすい語です。押したまま位置を動かすなら Drag、同じ位置で押し続けるなら Hold と覚えておくと整理できます。

手順:自分のゲームの操作説明を一文ずつ作る

ここからは、実際に手を動かして作る流れです。紙でもテキストエディタでも構いません。

手順1:操作をすべて書き出す

ゲームを開き、遊ぶために必要な操作をすべて箇条書きにします。「開始する」「動かす」「決定する」「戻す」「一時停止する」のように、日本語で結果を書いてください。ここではまだ英語にしません。

公式作品を観察の題材にするなら、たとえば「紙ひこうき郵便」は左右キー、ドラッグ、矢印ボタンの三つで操縦できると案内されています。同じ「左右に動かす」でも入力が三種類あるので、動詞の練習に向いています。操作の細部は、作品を開いて確かめてください。

手順2:操作ごとに入力の種類を決める

書き出した各項目に、「キー」「マウス」「タッチ」「ドラッグ」のどれで行うかを書き添えます。一つの結果に複数の入力があるなら、入力ごとに行を分けます。

「左右に動かす」が三つの入力でできるなら、行は三つになります。

  1. 左右キーで動かす(キー)
  2. 画面をドラッグして動かす(ドラッグ)
  3. 画面上の矢印ボタンで動かす(マウスまたはタッチ)

手順3:動詞を割り当てる

先の表に照らして動詞を決めます。手順2の三行なら、次のようになります。

  1. Press the left and right arrow keys to steer.
  2. Drag left or right to steer.
  3. Tap the arrow buttons to steer.

三番目は、マウスで遊ぶ人には Click が正確です。この問題は後半の節で扱います。

手順4:一文一操作に整える

一文に二つの操作を詰め込むと、読み手はどちらを先にするのか迷います。「Press Enter or tap Start to begin and then use the arrow keys.」のような文は分けます。

  • Press Enter to begin.
  • Press the arrow keys to move.

「or」でつなぐのは、同じ結果に至る別々の入力を並べるときだけにします(例:Press Enter or tap Start to begin.)。

手順5:キー名と表記を固定する

キーの名前は、ゲーム全体で同じ綴りにそろえます。Enter、Space、Esc のどれを使うかを決め、画面上のラベルとも合わせます。「Enter key」と「Return」が混在すると、別のキーだと受け取られかねません。

複数のキーを同時に使うなら、「Press Z to undo.」のように一つずつ書き、まとめて書くなら「Press Z to undo and Y to redo.」とします。余白の庭は戻す/やり直すにZ/Yキーを使う作品なので、こうした書き分けの参考になります。

手順6:声に出して、操作しながら読む

完成した文を一文ずつ読み上げ、その文のとおりにゲームを操作します。書かれた順に操作して意図した結果になれば合格です。結果が違う、または別の操作を思いついてしまう場合は、動詞か対象が曖昧です。

可能なら、普段と違う端末(スマートフォンとパソコンなど)でも同じ確認を行います。

端末によって動詞を出し分ける

手順3の「Tap か Click か」は、ゲーム側で出し分けられます。ブラウザには、主な入力が指かマウスかを調べる pointer というメディアクエリがあります。(pointer: coarse) は指のような精度の粗い入力が主であることを表します。

次のHTMLは、単独で動く最小構成の例です。保存して index.html として開くと、端末に応じて文が変わります。

html
<!doctype html>
<meta charset="utf-8">
<title>Hint demo</title>
<p id="hint"></p>
<div id="pad" style="width:160px;height:160px;background:#9cf;touch-action:none"></div>
<p id="log"></p>
<script>
const coarse = matchMedia('(pointer: coarse)').matches;
const text = coarse
  ? { start: 'Tap the square to start.', aim: 'Drag to aim, then release.' }
  : { start: 'Click the square to start.', aim: 'Drag to aim, then release.' };
document.getElementById('hint').textContent = text.start + ' ' + text.aim;

const pad = document.getElementById('pad');
const log = document.getElementById('log');
let down = false;
pad.addEventListener('pointerdown', () => { down = true; log.textContent = 'pressed'; });
pad.addEventListener('pointermove', () => { if (down) log.textContent = 'dragging'; });
window.addEventListener('pointerup', () => { if (down) { down = false; log.textContent = 'released'; } });
</script>

このコードでは、pointerdown(押す)、pointermove(動かす)、pointerup(離す)の三段階を表示しています。Drag の説明に「release」を入れる理由を、動きとして確かめられます。マウスと指のどちらでも同じイベントで動くため、Drag の文は端末で変えずに済みます。

パソコンのブラウザの開発者ツールには、タッチ端末を模した表示に切り替える機能があります。実機がない場合は、それで文の切り替わりを確かめられます。

起こりやすい誤りと対処

操作説明でつまずきやすい点を挙げます。

  • 画面上のボタンに Press を使う。 画面のボタンは Click か Tap にします。入力が分からないときは、Select か「the Start button」のように対象を名指しする書き方で逃げられます。
  • Drag の結果を書かない。 離したときに何が起きるかを書きます。
  • 両方の入力がある端末を一つに決める。 タッチ対応のノートパソコンは、指もマウスも使えます。pointer: coarse だけで判定すると、一方の人に不自然な文が出ます。迷う場合は「Tap or click Start.」のように併記すると安全です。
  • 同じ操作に別の動詞を混ぜる。 同じ動作を、ある画面では Tap、別の画面では Touch と書くと、別の操作に見えます。語を一つに決め、全画面で使い回します。
  • キー名の揺れ。 手順5のとおり、ラベルと説明で綴りをそろえます。
  • 機械翻訳をそのまま使う。 日本語の「押す」は、キーにもボタンにもタッチにも使えるため、翻訳の結果が Press に偏ることがあります。入力の種類を手順2で決めてから動詞を選びます。

アソバースに載せるときの注意

アソバースはサイトの日本語/英語表示を切り替えられますが、作者が入力した作品名や紹介文は書き換えません。つまり、英語の遊び方を読んでもらいたいなら、作者自身が英語の文を用意する必要があります。ゲーム画面の中の文言は作品のコードに含まれるため、同様に作者が用意します。

投稿画面には「紹介文と遊び方を作成」という機能があり、公開済みURLや本人の検証済みアップロードを読み取って、選択言語の下書きを作ります。「この文章を使う」を押した場合だけ反映され、生成だけで公開されることはありません。下書きが出てきたら、この記事の手順6と同じように、書かれた動詞のとおりに実際に操作して合っているかを確認してから使ってください。利用回数には上限があります(利用者ごとに1時間3回、全体でUTC1日20回)。

また、投稿画面の「遊び方・最大参加人数」は任意の作者申告で、共通対戦を有効にするものではありません。操作説明とは別の項目として扱います。

次の行動

自分のゲームを一本選び、手順1と2で操作を書き出して、表に動詞を割り当ててください。そのうえで、パソコンとスマートフォン(または開発者ツールのタッチ表示)の両方で、書いた文のとおりに操作して通じるかを確かめてみましょう。

参考資料

  • Microsoft Writing Style Guide(UI上の操作を表す動詞の項目)
  • Apple Style Guide(タッチやクリックなどの操作を表す語の項目)
  • MDN Web Docs「pointer メディア特性」「Pointer events」