作品名と作者名の並び:どちらが先に目に入るべきか
遊びをつくる執筆にClaudeを使用しています。

作品カードを一覧にずらりと並べた画面を考えてみます。カードには作品名と作者名が載っていて、見る人は一枚あたり1秒もかけずに通り過ぎていきます。このとき、先に目に入るのが作品名なのか作者名なのかで、遊んでもらえる確率は変わるのでしょうか。作る側は、名前の大きさや太さ、位置を決めるたびにこの問いに答えを出していることになります。 この記事は答えを書きません。どちらが先に目に入るべきかは、作品の性格や見る人の状況によって変わるからです。代わりに、カード上の情報の優先順位を自分の手で確かめる実験を設計します。紙とブラウザがあれば行えて、結果は読者自身の手元で出ます。 扱うのは「作品名を大きくした案」「作者名を大きくした案」「同じ大きさの案」の3案です。見る人に何が見えたか、何を手がかりに選ぶか、あとで何を覚えているかを記録し、その読み方まで示します。
問いを3つに分ける
「どちらが先に目に入るか」は、実は性質の違う3つの問いが混ざっています。分けて測らないと、結果の解釈で迷います。
- 視線の問い:一瞬見ただけで、どちらが先に認識されるか。
- 選択の問い:複数のカードが並んだとき、遊ぶ作品を選ぶ理由としてどちらが使われるか。
- 記憶の問い:見たあとで、どちらの名前が思い出せるか。
3つの結果は一致するとは限りません。作者名のほうが先に読まれても、選ぶ理由は作品名、という分かれ方はあり得ます。逆に、作品名しか覚えていなくても、作者名が選ぶ決め手になっていることもあります。1つの質問で全部を決めつけず、3つを別々に記録します。
もう一つ、見る人の状況も変数です。アソバースでは、ログインするとお気に入りの作者をフォローでき、名前やハンドルで作品を検索することもできます。すでに作者を知っている人にとっては、作者名が手がかりになる場面があります。一方で、初めて一覧を眺める人は、作品名やカバー画像から入る可能性があります。この実験では、見る人を「作者を知らない状態」にそろえて、まず初見の場面を調べます。作者を知っている場面は、別の実験として切り分けます。
実際のアソバースの作品カードでどの情報がどう並ぶかは、公開中のサイトを開いて確かめてください。この実験は、自分の作品の表示名や作者名の付け方を判断するための材料づくりです。
準備するもの
次のものを用意します。
- 同じ作品を示すカードの3案
- A案:作品名が大きく、作者名が小さい。
- B案:作者名が大きく、作品名が小さい。
- C案:両方が同じ大きさ。
- ダミーの名前の組:作品名と作者名を、それぞれ数組。実在の作品、人物、団体と重ならないか、事前に検索して確認します。実在の名前を使うと、知っているかどうかが結果を汚します。
- カバー画像の扱い:3案で同一の画像にするか、無地にします。案ごとに画像を変えると、名前の効果なのか画像の効果なのか区別できません。
- 見てくれる人:目安として1案あたり5人以上です。人数が少ないので、出るのは統計的な結論ではなく傾向です。
- 記録用紙:回答を書き留める表(次の章で示します)。
文字の大きさ以外は、案のあいだでそろえます。文字の太さ、色、行の位置、余白を変えると、何が効いたのか分からなくなります。上下の順序は「上が作品名、下が作者名」で固定し、サイズだけを変える案から始めるのが無難です。順序そのものの効果を調べたくなったら、2回目の実験で上下を入れ替えます。
手順
一人あたりの流れ
見てくれる人は、3案のうち1つだけを見ます。同じ人に複数の案を見せると、2回目以降は「さっきと比べて」という見方になり、初見の反応ではなくなるためです。
- 案ごとに見る人を割り当てます。偏りを避けるため、くじ引きや出席順の交互などで決めます。
- 「ゲームを探している場面です」とだけ伝え、カードを3秒間見せて隠します。
- 質問1:「何が書いてありましたか。見えた順に書いてください」。自由記述で答えてもらいます。
- 質問2:「このゲームを開くとしたら、何を理由に開きますか」。
- 一覧の課題:同じ案のスタイルで作ったカードを6枚並べ、「いちばん遊んでみたいもの」を1枚選んでもらい、理由を一言で聞きます。
- 任意:1日以上あけて、「先日見たカードに書かれていた名前を思い出せますか」と尋ねます。
質問1の「見えた順」は、読んだ順番と書いた順番が一致しているとは限りません。目安として扱い、結論はほかの質問とあわせて出します。
3秒表示の最小ツール
紙の代わりにブラウザで3秒表示をしたいときの、単独で動くHTMLです。保存してブラウザで開き、アドレスの末尾に #A、#B、#C を付けて案を切り替えます。通信は行いません。
<!doctype html>
<meta charset="utf-8">
<style>
.card{width:240px;padding:16px;border:1px solid #888;
border-radius:8px;font-family:sans-serif;font-weight:bold}
</style>
<p>案:<span id="v"></span>(アドレス末尾の #A #B #C で切替)</p>
<button id="go">3秒だけ見る</button>
<div id="stage" style="min-height:80px"></div>
<textarea id="ans" rows="3" cols="30"
placeholder="見えた文字を、見えた順に"></textarea><br>
<button id="save">記録する</button>
<pre id="log"></pre>
<script>
const v=(location.hash.slice(1)||"A").toUpperCase();
const size={A:["24px","12px"],B:["12px","24px"],C:["18px","18px"]}[v]||["24px","12px"];
document.getElementById("v").textContent=v;
const stage=document.getElementById("stage");
document.getElementById("go").onclick=()=>{
stage.innerHTML='<div class="card"><div style="font-size:'+size[0]+'">星の船</div>'
+'<div style="font-size:'+size[1]+'">あおぞら見本</div></div>';
setTimeout(()=>{stage.innerHTML="";},3000);
};
document.getElementById("save").onclick=()=>{
const a=document.getElementById("ans");
document.getElementById("log").textContent+=v+"\t"+a.value+"\n";
a.value="";
};
</script>コード内の「星の船」「あおぞら見本」は例のダミー名です。使う前に、実在の名前と重ならないか自分で確かめて、差し替えてください。
記録の取り方
記録は「何を」「どの単位で」「何回」を決めておくと、あとで比べられます。
- 質問1で先に書かれた名前、単位:作品名/作者名/両方同時/どちらも無し、回数:1人1回
- 質問1で書かれた名前の正確さ、単位:作品名と作者名それぞれ、正確/一部/誤り、回数:1人1回
- 質問2の理由、単位:作品名/作者名/画像/その他(自由記述をあとで分類)、回数:1人1回
- 一覧課題で選んだ1枚の理由、単位:同上、回数:1人1回
- 日をあけた再生、単位:作品名/作者名それぞれ、思い出せた/出せない、回数:1人1回、任意
自由記述は、回答を集めてから分類します。分類基準を先に決め、できれば別の人に同じ基準で分類してもらい、食い違いを確認します。同じ人が分類すると、期待する結果に引き寄せられやすいためです。
結果の読み方
結果が集まったら、案ごとに、質問1で先に書かれた名前の内訳を並べます。そこから、次のように読みます。
- A案で作品名が先に書かれ、B案で作者名が先に書かれる:大きさが視線を動かしています。優先したい情報を大きくする、という素直な設計が働く状況です。次は、選択と記憶の結果と照らします。
- どの案でも作品名が先に書かれる:作者を知らない初見の見る人にとっては、作品名のほうが先に処理される可能性があります。名前を大きくしても動かないなら、作者名は小さく添える役割で足ります。
- どの案でも差がほとんどない:案同士の差が小さすぎるか、画像などほかの要素が支配している可能性があります。文字サイズの差を広げて再実験するか、画像を無地にして確かめ直します。
- 先に書かれるのは作者名だが、選ぶ理由は作品名:視線と選択が別の働きをしています。作者名は目印、作品名は決め手という役割分担になっているかもしれません。大きさの優先順位は、決め手になる側に置くのが筋です。
- 思い出せるのは作者名ばかり:作者名のほうが覚えやすい、あるいは短くて覚えやすい名前だった、の両方が考えられます。ダミー名の長さを変えて確かめます。
人数が少ないうちは、1人の回答で割合が大きく動きます。差が数人分しかないときは「傾向が見える」にとどめ、設計の決定に使う前に人数を増やすか、別のダミー名で繰り返します。
起こりやすい誤り
- 同じ人に複数案を見せる:2回目以降は比較の目で見るため、初見の反応になりません。
- 名前の長さや字種がそろっていない:作品名が短く、作者名が長いと、大きさとは別に目立ち方が変わります。ダミー名の文字数は近づけます。
- ダミー名が実在に近い:知っている名前に引きずられます。事前検索で確認します。
- 質問が誘導的:「作者名は見えましたか」と聞くと、見えた気になります。質問1は必ず「何が書いてありましたか」とだけ聞きます。
- 見る人が身近な人ばかり:作る側の意図を察して答えがちです。ゲームの作り手ではない人にも見てもらいます。
- 一つの実験で全部を決めようとする:サイズ、位置、太さ、色を同時に変えると、どれが効いたのか分かりません。1回につき変えるのは1つにします。
次の行動
まず、自分の作品名と作者名ではなくダミー名で、A・B・Cの3案を作り、上のHTMLか紙のカードで1案あたり5人に見てもらってください。質問1の「先に書かれた名前」の内訳を案ごとに並べるところまでできれば、最初の傾向が見えます。そのうえで、自分の作品を投稿する際の表示名と作者名の付け方を決めてください。

