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作品名の読みを決める:ひらがな・カタカナ・漢字の選択

遊びをつくる

執筆にClaudeを使用しています。

玉とゴールが見えるゲーム模型を、小さなフレームで切り取る写真風イメージ。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

仮に、料理を題材にしたゲームの名前を「ほしくず食堂」にすると決めたとします。そこで、友人に画面を見せずに名前だけをメモで渡す場面を考えてみます。「ほしくず食堂」と書いたメモと、「星屑食堂」と書いたメモでは、受け取る側が最初に思い浮かべる店の姿が同じとは限りません。「ホシクズ食堂」なら、さらに別の店を思い浮かべるかもしれません。言葉は同じでも、文字の種類が変わると、読む速さ、読みの確かさ、連想するジャンルが変わる可能性があります。 この記事が確かめる問いは「同じ言葉を3つの表記で見せたとき、読み・印象・記憶・入力のしやすさはどう違うか」です。結果は書きません。自分の作品名で、自分で見比べられる実験の設計書として、準備、手順、記録、判断基準、誤りやすい点を順に示します。 アソバースの公式作品の名前を並べると、表記の型は一通りではありません。ひらがな中心の名前、漢字とカタカナが混ざる名前、英字と記号を使う名前があります。作品ごとにタイトルの文字組みも違います。ただ、これは表記の型がさまざまだという事実にとどまり、どれが優れているかを示す材料ではありません。判断の材料は、自分の作品名を実際に誰かに見せて得るしかありません。

この記事の目次
  1. 問いを一つに絞り、表記案を3つ用意する
  2. 準備するもの
  3. 手順:4つの小さな観察
  4. 記録の取り方と結果の読み方
  5. 起こりやすい誤り
  6. 次の行動

問いを一つに絞り、表記案を3つ用意する

最初に、見たいものを一つに絞ります。「印象」だけを聞くと答えが散らばるので、次の4点に分けて考えます。

  • 読み:迷わず正しく読めるか。
  • 印象:どんな雰囲気やジャンルを連想するか。
  • 記憶:後日、その名前を思い出して書けるか。
  • 入力:スマートフォンで打ち込めるか、変換で手間取らないか。

次に、同じ読みの表記案を3つ用意します。冒頭の例なら「ほしくず食堂」「ホシクズ食堂」「星屑食堂」です。「ほしくずしょくどう」と全部ひらがなにした案を足して4つにしてもかまいません。ただし、案が増えるほど見せる人数も必要になるので、最初は3つを勧めます。

案には、読みが揺れそうなものも1つ入れておくと、差が見えやすくなります。例えば「星屑」は「ほしくず」と読む人が多そうですが、他の読みが頭に浮かぶ人もいるかもしれません。それが実際に起きるかどうかは、見せてみないと分かりません。

準備するもの

次の4つを揃えます。

  1. 表記案のカード:同じフォント、同じ文字サイズ、同じ背景で作ります。ひらがな・カタカナ・漢字は字の幅や黒みが違うので、フォントを変えると「表記の差」と「フォントの差」が混ざります。
  2. 見てもらう人:5〜10人を目安にします。これは数字の根拠があるわけではなく、読みの傾向を大づかみに見るための目安です。できればゲームに詳しい人と詳しくない人の両方を入れます。
  3. 質問用紙:後述の4つの手順で聞く内容を書いておきます。
  4. 記録シート:紙でも表計算でもかまいません。

カードを順番に出す作業を楽にしたい場合は、次の最小構成のHTMLが使えます。ファイルを保存してブラウザで開き、スペースキーでカードを進めます。進めた間隔がミリ秒で記録されるので、「表示してから読み終えたと判断するまでの目安」として使えます。URLの末尾に #0、#1、#2 と付けると、見せる順序が一つずつずれます。

html
<!doctype html>
<meta charset="utf-8">
<title>表記カード</title>
<style>
body{font-family:"Hiragino Sans","Yu Gothic",sans-serif;text-align:center;padding:2em}
#card{font-size:48px;margin:1em 0;min-height:1.5em}
</style>
<div id="card">スペースキーで開始</div>
<p id="log"></p>
<script>
const names = ["ほしくず食堂","ホシクズ食堂","星屑食堂"];
const k = Number(location.hash.slice(1)) || 0;
const order = names.map((_, j) => names[(j + k) % names.length]);
let i = -1, t0 = 0;
const rows = [];
addEventListener("keydown", e => {
  if (e.code !== "Space") return;
  const now = performance.now();
  if (i >= 0) rows.push(order[i] + ":" + Math.round(now - t0) + "ms");
  i++;
  if (i >= order.length) {
    card.textContent = "終了";
    log.textContent = rows.join(" / ");
    return;
  }
  card.textContent = order[i];
  t0 = performance.now();
});
</script>

押すのは実施者です。見てもらう人が声に出して読み終えた瞬間にスペースを押します。人が押す以上、数百ミリ秒の誤差は避けられません。この時間は秒単位の大きな違いを見つけるための目安として扱い、細かな差で優劣を決めないでください。

手順:4つの小さな観察

観察1:読みの確認

カードを1枚見せ、声に出して読んでもらいます。読めたか、別の読みをしたか、止まったかを記録します。ここで「正解は○○です」と教えてはいけません。教えると、次のカードの読みに影響が出ます。

観察2:印象語の選択

カードを見せたまま、次のような対になった言葉から、近いほうを選んでもらいます。

  • やわらかい/かたい
  • 古風/現代的
  • 親しみやすい/近寄りがたい
  • 静か/にぎやか
  • 手作り/既製品

あわせて「どんなゲームだと思うか」を一言で答えてもらいます。ジャンルの選択肢を先に示すと、答えが選択肢に引っぱられます。自由記述のほうが、思い込みの違いが見えます。

観察3:1日以上あけた再現

ここが見落とされやすい手順です。観察を終えて1日以上あけ、名前を見せずに「先日見た名前を思い出して書いてください」と頼みます。正確に書けたか、別の表記に変わったか、読みだけ合っていたかを記録します。文字の種類によって覚え方が変わるのかを見る観察です。

観察4:入力のしやすさ

スマートフォンで名前を打ち込んでもらいます。読みだけ聞いて打つ形にすると、漢字変換の手間が差として表れます。「星屑」が一度で出るか、「ホシクズ」が一度で打てるかを、変換回数と合わせて記録します。

見せ方の分け方

同じ人に3つの表記を全部見せると、最初に見たものが後のものの印象に影響します。人数が確保できるなら、1人に1つの表記だけを見せる形が理想です。人数が少ない場合は、全員に3つ見せたうえで順序を入れ替えます。上のコードの #0、#1、#2 はそのためのものです。観察3の再現を見たいなら、全員に3つを見せると、どれを思い出したのかの比較が難しくなります。その場合は1人に1つだけ見せる形にしてください。

記録の取り方と結果の読み方

記録は、1人の1回の観察を1行にして、次のような表にします。

  • A、見せた表記:ほしくず食堂、見せた順:1、読み:一致、読了の目安(ms):記録値、印象語:記録、ジャンル予想:記録、翌日以降の再現:記録、入力の変換回数:記録

読み欄は「一致」「別の読み」「止まった」の3区分にします。「なんとなく読めた」のような曖昧な書き方にすると、後で集計できません。印象語は、対ごとに選ばれたほうを数えます。

結果の読み方は、「こうなれば、こう判断する」という形で先に決めておきます。後から都合よく解釈するのを防ぐためです。

  • 読みが別の読みや止まった人が複数いた表記:そのまま採用するなら、読み仮名の併記を前提にします。作品名の欄だけでなく紹介文にも読みを入れることになります。
  • 印象語が、狙った雰囲気と逆に偏った表記:表記を変えるか、狙いのほうを見直します。やわらかいゲームにしたいのに「かたい」が集まるなら、表記が合っていない可能性があります。
  • 再現で別の表記に変わる人が多かった表記:覚えにくい、または書き方が定まりにくい名前かもしれません。人に口で伝えられる名前かどうかも考えます。
  • 入力で変換回数が多い表記:検索や人づての紹介で手間が増えます。遊んでほしい人が打ち込む場面を想像して判断します。
  • 差がほとんど出なかった場合:表記より、名前そのものの言葉選びのほうが効いている可能性があります。その場合は、作品の絵や紹介文との釣り合いで選んで十分です。

どの項目を優先するかは作品次第です。名前を聞いてすぐ検索してほしい作品なら読みと入力が重要です。雰囲気で惹きつけたい作品なら印象語を優先します。優先順位は、集計の前に決めてください。

起こりやすい誤り

実験の結果を歪めやすい点を挙げます。

  • 自分の好きな案を目立たせる:好きな案だけ大きく見せたり、説明を丁寧にしたりすると、結果が偏ります。カードの扱いはすべて同じにします。
  • 身近な人だけに聞く:作品の背景を知っている人は、何を見ても読めてしまいます。名前を初めて見る人を混ぜます。
  • フォントや背景を変える:先に述べたとおり、表記の差と見た目の差が混ざります。
  • 正解を教える:観察1の後に読みを教えると、以降の読みも再現も意味を失います。
  • 数が少ないのに断定する:5〜10人の観察で分かるのは傾向までです。「この表記が正しい」とは言えません。
  • 公開後のプレイ回数で比べる:公開内容を更新して表記を変え、プレイ回数の増え方で比べたくなるかもしれません。ただしプレイ回数は人数ではなく作品を起動した回数で、同じ端末・同じ作品の30分以内の再起動は重複が除かれます。名前以外に、公開した時期、カバー画像、紹介文の違いも混ざります。名前の効果だけを取り出す指標としては使いにくい点に注意してください。

もう一つ、英語表示との関係も確認しておきます。アソバースは日本語・英語の表示切り替えに対応していますが、作者が入力した作品名や紹介文は書き換えません。つまり、英語で見る人にも日本語表記の名前がそのまま届きます。ひらがなや漢字の名前が読めない人にどう見えるかを考えるなら、紹介文にローマ字や英語の言い換えを自分で添える必要があります。この点も、観察1で「読めない人」を一人混ぜると確かめやすくなります。

最後に、名前の入力は投稿の流れの中で行います。投稿画面は入力、表示の確認、公開の3段階で、下書き保存ができます。公開後に内容を更新できますが、作品名が更新の対象に含まれるかどうかは、投稿画面で確認してください。実験の結果を反映する前に、変更できる範囲を把握しておくと安心です。

次の行動

まず、いま考えている作品名を、同じ読みのひらがな・カタカナ・漢字の3案に書き分けてください。次に、同じフォントと大きさのカードにして、5人以上に観察1から順に試してみてください。結果は記録シートに残し、判断基準を先に決めたうえで読みます。名前が決まったら、投稿画面の下書き保存を使って、紹介文と並べた見え方も確認してみてください。