全員が同じ終わり方をするゲームと、人によって違うゲーム
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遊び終えた友達に「どうだった?」と聞く場面を考えてみます。全員が同じ結末にたどり着く作品なら、話題は「結末そのもの」にはなりにくく、「あの場面で迷った」「あそこが長かった」といった経過に移りそうです。人によって終わり方が違う作品なら、「自分はこうなった」「そっちはどうなった?」と、終わりが会話の入口になりそうです。 ただし、これは直感にすぎません。終わりが多様でも、他人の終わりが見えなければ話は広がらないかもしれません。終わりが同じでも、経過の面白さで十分に語りたくなるかもしれません。この記事では、結論を先に出さず、自分や身近な数人で「終わりの多様さ」と「語りたくなる気持ち」を記録し、関係を確かめる分析の手順を組み立てます。数値の結果は載せません。数える枠組みと、数えた後の読み方だけを示します。
問いを分ける:多様さと語りたさは別のものさし
題名の問いは、二つの量に分けて考えると扱いやすくなります。
- 終わりの多様さ:同じ作品を遊んだ人たち(または同じ人の複数回のプレイ)で、終わり方がどれだけばらけるか
- 語りたくなる気持ち:遊んだ直後に、誰かに話したいと感じる強さと、話したくなる内容の種類
ここで押さえたいのは、「語りたくなる気持ち」を一つの数字にしないことです。話したい強さが同じでも、「結末を話したい」のか「自分の判断を話したい」のかで、作品の設計に返ってくる意味が違うからです。
仮説は三つに分けておきます。結果を見る前に書いておくと、後から都合よく解釈しにくくなります。
- 終わりが多様な作品ほど、話したい強さが高い
- 終わりが多様な作品ほど、「他の人との違い」を話したくなる
- 終わりが同じ作品では、話したい強さは「経過」や「自分の判断」の面白さに左右される
どれも「成り立つかもしれない」という仮説にとどまります。以下は、これを検証するための準備と記録の方法です。
「終わり方」を数える前に決める3つのこと
数え方を先に決めないと、後から「これも違う終わりに数えよう」と恣意的になります。次の三点を、プレイ前に書き出しておきます。
1. 終わりの定義
「ゲームが止まる条件」と「プレイヤーが受け取る結果」を分けて考えます。たとえば失敗回数が上限に達して止まる作品と、最後まで進んで評価が出る作品は、停止条件が違います。同じ停止条件でも、評価の帯が違えば受け取る結果は違います。どちらを「終わり方」と呼ぶかを決めます。
2. ラベルの粒度
ラベルを細かくしすぎると、どんな作品でも全員が違う終わり方になります。粗くしすぎると、どんな作品でも全員同じになります。次の三段階から選ぶと、判断がぶれにくくなります。
- 停止条件、ラベルの例:規定どおり完走/失敗上限で終了/自分でやめた、向く場面:終わり方の骨格を比べたいとき
- 結果の帯、ラベルの例:評価を三つ程度の帯に分ける(帯の区切りは遊ぶ前に自分で決める)、向く場面:点数や評価がある作品
- 経過の型、ラベルの例:序盤で崩れた/終盤で持ち直した、など、向く場面:終わりが一種類でも経過に差があるとき
三つの粒度で同じプレイを分類し、比べる方法もあります。ラベル数が粒度に引きずられているのか、作品の性質なのかが見分けやすくなります。
3. 「自分でやめた」の扱い
飽きてやめる終わりを数えるかどうかも決めます。数えるなら「中断」という独立のラベルにします。どれかの終わりに混ぜると、多様さの数字が歪みます。
記録シートと集計の単位
集計の単位は「1プレイ=1行」です。人単位にまとめると、一人が何度も遊んだ影響が消えたり、逆に偏ったりします。まず1行ずつ書き、後でまとめます。
1行に書く項目
- 作品名と、選んだコースやルート
- 遊んだ人(本名でなく記号で十分です)
- 何回目のプレイか
- 終わりのラベル(粒度ごとに1つずつ)
- 話したい度(遊んだ直後に1〜5で自己申告)
- 実際に誰かに話したか(はい/いいえ)
- 話した(または話したかった)内容のタグ:A結末、B経過、C自分の判断、D他の人との違い(複数可)
タグは1プレイにつき何個付いてもかまいませんが、数えるときは「そのタグが付いたプレイが何回か」にします。発言の件数ではなく、プレイ単位で数えるのが目的です。
作品ごとの集計
- ラベルの種類数:ラベルが何種類出たか
- 最頻ラベルの割合:最も多いラベルの件数を総プレイ数で割ります。1に近いほど「みんな同じ終わり」です
- 話したい度の分布:平均だけで済ませず、1〜5のどこに何件あるかを並べて見ます
- タグ別の割合:A〜Dそれぞれが付いたプレイの割合
人数と回数の目安
身近な3〜5人が、1作品につき3回ずつ遊ぶと、1作品あたり9〜15行になります。統計的な結論を出せる量ではありません。パターンの当たりを付けるための記録です。人数が増えても、単純な比較より「同じ人の中での違い」と「人の間での違い」を分けて見るほうが有益です。
比べる作品の選び方(公式作品の例)
終わり方の性質が違いそうな作品を2〜3本選びます。ここでは、アソバースの公式作品で確認済みの仕様から、手がかりになる点だけを挙げます。どの作品が「全員同じ終わり」に近いかは、実際に開いて確かめる部分です。
- 紙ひこうき郵便:海辺・丘・山の3ルートがあり、最後の6秒で赤い郵便受けへ向かう構成です。風船にぶつかると紙が傷み、3回で終了します。完走と、傷みによる終了という二つの停止条件が確認できます。集めた手紙の数を結果の帯に使えるかどうかは、画面を開いて確かめます。
- 時計じかけの台所:6つのレシピがあり、料理ごとに100点評価が出ます。本番にはミス3回までの制限があり、時間制限のない見習いもあります。停止条件に加え、評価の帯でも終わりを分けられそうです。帯の区切りは遊ぶ前に自分で決めます。
- こだまの森:6・8・10ラウンドの3コースがあり、間違い3回で終了します。聴き直しは15点減、間違いは30点減です。コースによって終わりの長さが変わるので、コースを揃えて比べるか、あえて混ぜるかを決めておきます。
- 潮だまり:8種の生きものと図鑑、観察ノートがあります。終わりを競う作品というより、見つけた種類が積み上がる構成です。「終わり」をどう定義するかが、前の三つとは別の問いになります。
- 余白の庭:時間制限がなく、自分で終わりを決める庭づくりです。終わりのラベルを付けるなら「自分でやめた」が中心になるため、先ほどの「中断」の扱いが効いてきます。
終わりの形が違う作品を比べると、定義の決め方によって数字が大きく変わることに気づくはずです。それも観察の一部として記録しておきます。
結果の読み方と起こりやすい誤り
記録がそろったら、作品ごとに「多様さ」と「話したい度」を並べて見ます。次の四つの形が考えられます。
- 多様さが高く、話したい度も高い:仮説1に沿う形です。タグDが多いかも見ます。Dが多ければ「違いが話題になっている」と読めます
- 多様さが低く、話したい度が高い:終わり以外が語りの源になっている形です。タグBやCが多いなら、経過や判断の面白さが支えていると読めます
- 多様さが高く、話したい度が低い:違いが見えていない可能性があります。自分の終わりしか知らなければ、比べる相手がいません。相手の終わりを知る手段があるかを考えます
- 多様さが低く、話したい度も低い:語る材料が少ない作品か、記録の取り方に問題があるかのどちらかです。ラベルの粒度を見直します
起こりやすい誤り
- 事前にラベルを決めずに、遊びながら増やしてしまう
- 同じ人だけが何度も遊び、人による違いと本人内の変化が混ざる
- 話したい度を、友達の反応を見た後に付ける(直後に付けます)
- 「話した」を、記録のために話した場合でも数える(実際に話したかどうかは、記録とは別に思い出して答えます)
- ごく少数のプレイで「傾向がある」と断定する
終わりを他人と見比べる手段について
アソバースの確認済みの範囲では、ゲーム内スコアの共通ランキング、フレンド、チャットは未提供です。レビューは1〜2,000文字で書けますが、これは終わり方の記録ではなく感想です。ランキングで切り替えられるプレイ回数は、作品の起動を数えた回数で、人数ではありません。終わり方の分布の代わりにはなりません。
したがって、他人の終わりを知る手段は、周囲の人に聞くなど、サイトの外で作る必要があります。作る人が投稿作品で終わり方を集計できる共通の仕組みがあるかどうかは、確認済みの範囲にありません。必要なら現在の案内で確認します。
次の行動
まず、遊ぶ作品を2本選び、終わりのラベルと帯の区切りを遊ぶ前に紙に書きます。次に、身近な3人ほどに各作品を3回ずつ遊んでもらい、1プレイ1行で終わりのラベルと話したい度、話した内容のタグを記録します。最後に、ラベルの種類数、最頻ラベルの割合、タグ別の割合を並べ、上の四つの形のどれに近いかを読んでみます。

