規程やマニュアルの新旧版でAIに変更点を洗い出させる:見落としを減らす確認の流れ
AIを使いこなす執筆にClaudeを使用しています。

規程やマニュアルの新旧版の違いは、AIに洗い出させることができます。ただし、出てきた一覧を「網羅された正解」として受け取るのは危険です。AIには変更の候補を広く拾わせ、確定は人が原本で行います。この分担なら、全文を読み比べる手間を減らしつつ、見落としも抑えられます。 流れは4段階です。 1. 渡すファイルと版を整える 2. 旧→新と新→旧の2回、突き合わせさせる 3. 決まった形式の「変更点一覧」で受け取る 4. 数値・主語・例外などを、人が原本で確認する 本文の依頼文と表は、そのまま使える雛形です。表の中身は説明用に作った架空の例で、実際にClaudeで実行した結果ではありません。
渡す前に整えること
ファイルの条件を確認します。 Claudeのヘルプ(2026年10月27日閲覧)によると、チャットには1チャット20ファイル、1ファイル500MBまでアップロードでき、PDFやDOCX、TXTなどに対応しています。PDFは1000ページまでです。100ページ以下ならテキストと図表などの視覚要素の両方が分析され、101〜1000ページはテキストのみが処理されます(Upload files to Claude)。画面に表示される制限が優先されます。
ここから、次の準備が決まります。
- 図やフロー図が重要なマニュアルは、101ページ以上のPDFだと図の変更が拾われません。章ごとに分けるか、図の差分は人が目で見る前提にします。
- 上記ヘルプには、チャットに添付したDOCXの変更履歴やコメントの扱いが書かれていません。そのため、変更履歴を「すべて承諾」した版を別名で保存して渡すのが無難です。なお、Wordの中で使う別機能「Claude for Word」は変更履歴やコメントを読むとされていますが、対象プランとWordの要件があります(Claude for Word)。本稿はチャットへの添付を前提にします。
- ファイル名に「旧_2024年4月版」「新_2026年10月版」のように版を入れ、取り違えを防ぎます。
- 個人名、取引先名、金額などは、AIに渡してよい範囲を社内ルールで確かめます。迷うときは「A社」「X部」のように置き換えます。数値の比較ができなくなる箇所は、人が見ます。
- 条番号が読み取り結果に含まれるかはファイルによって違う可能性があります。最初にClaudeへ「見えている条番号を列挙して」と頼み、原本と合うか確かめます。
2回に分けて突き合わせさせる
1回で「違いを教えて」と頼むと、大きな変更だけが並び、細かな数値や言い回しの変更が抜けやすくなります。そこで方向を変えて2回頼みます。
1回目(旧→新):2ファイルを添付し、〔〕内を書き換えて送ります。
添付の2ファイルは同じ規程の旧版と新版です。
旧版:〔ファイル名〕/新版:〔ファイル名〕
旧版の条・項・号を順にたどり、新版の対応箇所と突き合わせて
変更点一覧を作ってください。
- 変更がない条は、最後に条番号だけ列挙する
- 数値、期間、金額、日付、主語、義務の強さ(できる/しなければならない)、
例外・但し書き、他条や別表への参照、用語の言い換えは、小さな変更でも拾う
- 旧版・新版の原文を、変更部分を中心に短く引用する
- 対応箇所が見つからないときは推測せず「対応箇所不明」と書く
- 実務への影響は「AIの見立て」列に書き、断定しない
- 表の列:No/旧版の位置/新版の位置/種別/旧版の原文/新版の原文/AIの見立て
- 種別:追加・削除・修正・移動・表現のみ・対応箇所不明2回目(新→旧と数値の抜き出し):同じチャットで続けます。
今度は逆方向で確認してください。
1. 新版の条・項・号を順にたどり、旧版に対応がない箇所を全て挙げる
2. 先ほどの一覧にない変更が他にないか探し、あれば同じ形式の表で追加する
3. 両版に出てくる数字・日付・金額・期間を全て抜き出し、旧と新を並べた表にする
(同じ値のものも含める)3の数値表は、人が数字だけを順に目で追える別の確認材料になります。
変更点一覧の出力形式
AIの出力に、人が埋める「確認」の列を足して使います。AIが書く列と人が書く列を分けるのが要点です。
- 1、旧版の位置:第5条第2項、新版の位置:第5条第2項、種別:修正、旧版の原文:週2日まで、新版の原文:週3日まで、AIの見立て:上限が増えた、原本で確認(人):□、判定(人):確定/要確認/誤り
- 2、旧版の位置:第7条、新版の位置:第8条、種別:移動、旧版の原文:(条文は同一)、新版の原文:(条文は同一)、AIの見立て:番号のみ変更。参照元に影響、原本で確認(人):□、判定(人):
- 3、旧版の位置:なし、新版の位置:第9条、種別:追加、旧版の原文:-、新版の原文:申請は前日までに行う、AIの見立て:新たな期限の追加、原本で確認(人):□、判定(人):
- 4、旧版の位置:第10条、新版の位置:-、種別:対応箇所不明、旧版の原文:〜できる、新版の原文:-、AIの見立て:削除か統合か不明、原本で確認(人):□、判定(人):
※説明用の架空の例です。実際の出力ではありません。
- 「移動」の行は、移動先を参照する他の条の番号もずれていないか確認します。
- 「対応箇所不明」は最も手間がかかります。新版全体を検索し、統合や削除の有無を確かめます。
- 「誤り」と判定したら、どう間違っていたかを一言メモします。次回の依頼文の改善材料になります。
見落とし確認チェックリスト
一覧ができたら、原本(Wordなどの元ファイル)を開いて確認します。
網羅性
- □ 旧版の条数が「一覧の条+変更なしの条」の合計と一致する
- □ 新版の条数についても同様に一致する(新設の漏れがない)
- □ 「対応箇所不明」を全て検索で解決した
- □ 別表、様式、附則も比較対象に入っていた
正確性
- □ 引用された原文が原本と一字一句合っている(特に数値と助詞)
- □ 数値表を抜き打ちではなく全件、原本と照合した
- □ 「できる」「しなければならない」など義務の強さの変化を拾えている
- □ 「ただし」「この限りでない」などの例外の増減を確認した
- □ 申請者、所属長、管理部門などの主語の変更を確認した
波及と周辺
- □ 条番号の移動に伴う、他の条・別表・関連文書の参照のずれを確認した
- □ 用語の言い換えの反映漏れがないか検索した
- □ 図表やフロー図の変更を目で確認した(読み落とす前提にする)
- □ 施行日、経過措置、旧版の適用範囲を確認した
最終判断
- □ 権利・義務・期限・金額に関わる変更は、AIの見立てではなく、担当者が自分の言葉で説明できる
AIの出力が怪しいときの扱い
- 引用が原本と違う、考えられる原因:言い換えや補完の混入、人の対応:その行は採用せず、原本から引用し直す
- 「変更なし」の条に変更があった、考えられる原因:見落とし、人の対応:数値表と逆方向の結果を照合し、該当条だけ再依頼する
- 「対応箇所不明」が多い、考えられる原因:章立ての大幅変更、または読み取りの欠落、人の対応:条番号の欠落を疑い、章ごとに分けて再実行する
- 2回の結果が食い違う、考えられる原因:AIの出力は毎回同じとは限らない、人の対応:食い違い箇所を最優先で原本確認する
大規模な改定では、章や節ごとにファイルを分けて同じ手順を繰り返すと、確認の粒度を保てます。「判定」列がすべて埋まり、「要確認」が残らなければ、その一覧を周知資料や新旧対照表の下書きに使えます。Wordなどの比較機能で機械的な差分を取り、AIの一覧と照らす併用も有効です。なお、この記事は自動校閲を経たもので、実際の規程での動作検証は行っていません。

