マガジン

Claudeに自分の文体を覚えさせる:過去の文章からスタイルガイドを作る手順

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

文章見本の線のパターンを一枚の用紙へ整理し、文体のスタイルガイドを作る様子を描いた挿絵
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

Claudeに文体を揃えてもらう近道は、過去の文章を毎回貼ることではありません。自分の文章を数本読ませて特徴を言葉にし、「スタイルガイド」という1枚の指示書にして、依頼のたびに添えることです。 流れは4ステップです。 1. 自分が書いた文章を3〜5本選ぶ 2. Claudeに特徴を抽出させる 3. 出てきた特徴を自分で直し、スタイルガイドにする 4. ガイドをProjectsなどに置き、依頼のたびに使う この記事の依頼文と雛形は説明用の例で、実際に動かして効果を測ったものではありません。出力は毎回変わるので、最初の数回は結果を見ながら直してください。

この記事の目次
  1. 1. 見本にする文章を選ぶ
  2. 2. 特徴を抽出させる依頼文
  3. 3. スタイルガイドの雛形
  4. 4. ガイドの置き場所と毎回の依頼文
  5. 5. 仕上がりを確認して、ガイドを育てる

1. 見本にする文章を選ぶ

見本は、自分が納得して出した文章から選びます。量より揃い方が大切です。

  • 用途、選ぶ:同じ種類(例:社内報告メール)、避ける:用途がばらばら
  • 本数、選ぶ:3〜5本、避ける:1本だけ、または大量
  • 出来、選ぶ:直されずに通ったもの、避ける:他人が大幅に書き直したもの
  • 内容、選ぶ:固有名詞を置き換えたもの、避ける:顧客名・個人情報・未公開情報がそのまま入ったもの

固有名詞や数字は「A社」「○○円」のように置き換えてから貼ります。文体の分析に実名は要りません。仕事の文書は、社内のAI利用ルールにも従ってください。

用途が違う文章(メールとブログなど)は、ガイドも分けます。1つに混ぜると、どちらにも合わない指示になりがちです。

2. 特徴を抽出させる依頼文

見本を貼り、次の依頼文を使います。ポイントは、感想ではなく「真似できる規則」で書かせることです。<見本1>などの区切りは、どこまでが1本かを示すために私が付けた目印で、名前は自由です。

以下は私が書いた文章の見本です。文体の特徴を分析し、
別の人が読んでも再現できる規則として書き出してください。

観点:文末表現/一文の長さ/敬語の度合い/結論を置く位置/
段落の作り方/よく使う言い回し/使わない言い回し/数字や記号の扱い

条件:
- 各規則に、見本から引用した短い根拠を1つ付ける
- 「親しみやすい」のような抽象語だけで済ませない
- 見本が少なくて判断できない点は「不明」と書く

<見本1>…</見本1>
<見本2>…</見本2>
<見本3>…</見本3>

3. スタイルガイドの雛形

抽出結果をそのまま採用せず、自分の感覚と違う項目を直します。たとえば「結論は冒頭」と出ても、実際は背景から書く人もいます。直したものを次の雛形に入れます。以下は説明用の例で、実在の誰かの文体ではありません。

# スタイルガイド:社内の進捗報告メール

## 基本
- 文体:です・ます調。「ご確認ください」までは使うが、「何卒」「恐縮ですが」は使わない
- 構成:1行目に結論 → 理由を2〜3点 → 依頼事項
- 長さ:全体で300字前後。1文は60字以内

## 語彙・表記
- 使う:「共有します」「見込みです」「今週中に」
- 使わない:「させていただきます」の連発、「〜かと存じます」
- 数字は算用数字。日付は「10/28(水)」形式

## 避けること
- 感嘆符、絵文字
- 事実が未確認のときの断定(「〜のはず」と書く)

## 見本(良い例)
<example>
Aの検証は予定どおり完了しました。残るのは権限設定のみです。…
</example>

## 迷ったとき
- 規則同士が矛盾したら、「短く・結論先行」を優先する

「使わない表現」と「迷ったときの優先順位」を入れると、仕上がりのぶれを抑えやすくなります。短い良い例を1つ添えるのも有効です。

4. ガイドの置き場所と毎回の依頼文

置き場所は使い方で選びます。

  • Projects:プロジェクト指示にガイドを書くと、その指示はプロジェクト内のチャットに適用されます(パーソナライズ機能の解説)。長いガイドや見本はプロジェクト知識に文書として追加できます。ヘルプによると、プロジェクト知識に入れていない情報は、プロジェクト内のチャット間で共有されません。無料ユーザーが作れるプロジェクトは最大5つです(Projectsの作成と管理、2026年10月28日確認)。文書の種類ごとにプロジェクトを分ければ、ガイドも分けられます。
  • アカウント全体の指示:すべての会話に適用されます(同じ解説ページ)。用途が1つに絞れる人向きです。
  • スキル:特定の繰り返し作業で、Claudeが従える明確な手順があるものに向くと説明されています(カスタムスキルの作り方)。文体ガイドを入れられるかはこのページでは確認できませんでした。手軽さの点で、まずはProjectsで足りると考えています(筆者の判断)。

画面の名称や使える機能は、プランや時期で変わることがあります。

毎回の依頼文は短くて構いません。ガイドは置いてあるので、中身だけを渡します。

スタイルガイドに従って、次のメモから進捗報告メールを書いてください。
メモ:
- Aの検証は完了
- 権限設定が未了。担当はBさん、期限は金曜
- 来週の会議で判断してほしい点が1つある

ガイドと違う書き方を選んだ箇所があれば、末尾に一行で理由を書いてください。

最後の一文は、ガイドから外れた箇所を見つけやすくするためのものです。

5. 仕上がりを確認して、ガイドを育てる

最初の出力は、元の見本と並べて読みます。確認する点は次のとおりです。

  • 事実や数字がメモと一致しているか(文体を寄せる作業で内容が変わることがあります)
  • 禁止した表現が入っていないか
  • 自分が書かない言い回しが紛れていないか
  • 読み手に対して、丁寧さが足りないか、過剰でないか

ずれが見つかったら、出力を直すだけで終わらせず、原因を1行の規則としてガイドに追記します。たとえば「『ご対応のほど』は使わない」のように、具体的な表現で足します。

規則が増えて矛盾し始めたら、古い項目を削ります。10項目前後だと読み返しやすいですが、これは目安で、公式の上限ではありません。

文体の再現は完全ではありません。Claudeに任せるのは下書きの文体を寄せることまでです。内容が正しいか、送るかどうかの判断は、書き手が持ってください。

出典・参考資料