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複数の資料で数字や主張が食い違うとき、Claudeに矛盾点を整理させる方法

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

2冊の紙資料の食い違う箇所に付箋が貼られ、中央の空欄つき一覧表に手が記入しようとしている机上の俯瞰図
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

資料Aでは売上が12.4億円、資料Bでは12.1億円。片方は「導入済み」、もう片方は「検討中」。こうした食い違いを見つけたあとに困るのは、「結局どれを使えばいいのか」を説明できる形になっていないことです。 結論から言うと、Claudeには「どちらが正しいか」を決めさせず、食い違いを1項目1行に分解し、原文の位置、食い違いの種類、確認先まで並べさせるのが安全です。採用の判断は、確認結果を見た人が記録欄に書きます。この記事では、そのための依頼文、記録様式(表)、採用判断の基準表を順に紹介します。

この記事の目次
  1. Claudeに任せることと、人が決めること
  2. 渡す資料の準備
  3. そのまま使える依頼文
  4. 矛盾点一覧の記録様式
  5. 採用判断の基準表
  6. 出力の確認と、全体の流れ

Claudeに任せることと、人が決めること

役割を分けておくと、出力を信用しすぎずに済みます。

  • 資料を読み、同じ事柄についての記述を対応づける、担当:Claude
  • 食い違いの種類(数値・定義・時点・結論)を仮分類する、担当:Claude
  • 食い違いの原因の「候補」を挙げる、担当:Claude(候補のみ)
  • 原典、作成者、最新版を実際に確認する、担当:人
  • どの値・主張を採用するか決める、担当:人

原因の候補は推測です。「集計基準の違いかもしれない」とClaudeが書いても、それは確認項目であって結論ではありません。

渡す資料の準備

Claudeのファイルアップロードに関するヘルプでは、PDF、DOCX、CSV、TXTなどの文書が扱えると案内されています。XLSXはコード実行機能を有効にしている場合の対応です。同ページの記載(2026年10月28日に確認)では、チャットへのアップロードは1チャット20ファイルまで。PDFは100ページ以下なら文字と図表などの視覚要素の両方、101〜1000ページでは文字のみが分析対象です。PDF以外の文書は文字だけが抽出され、埋め込み画像は読み取れないとされています。上限や対応範囲は利用環境や時期で変わる可能性があるため、実際の画面で確認してください。

この仕様から、食い違い検出に効く準備が3つ出てきます。

  • グラフや画像内の数字は本文に書き起こす。 Wordに貼った図の数字は読まれません。
  • 資料ごとに名前・作成日・版・作成者を先頭に書く。 あとで「最新版か」を判断する材料になります。
  • 比較したい範囲を絞る。 「全部の矛盾」ではなく「売上と契約件数」のように論点を指定すると、拾い漏れも確認の手間も減ります。

社外秘の資料は、固有名詞や金額をダミーに置き換えるか、社内ルールで許可された環境だけで扱ってください。

そのまま使える依頼文

資料を貼る(または添付する)あと、次の文を送ります。【 】の部分を書き換えてください。

複数の資料を比べ、同じ事柄について食い違っている記述を洗い出してください。
どちらが正しいかは判断せず、判断材料を整理することが目的です。

【比較したい論点】売上、契約件数、実施時期
【資料】
 資料A:【名前・作成日・作成者】
 資料B:【名前・作成日・作成者】

ルール:
1. 食い違いは1項目1行の表にする。複数の論点を1行にまとめない。
2. 各資料の記述は、原文のままの短い抜粋と位置(ページ、見出し、表名など)を付ける。
   位置が特定できないときは「位置不明」と書く。推測で補わない。
3. 食い違いの種類を次から選ぶ:数値の差/定義・範囲の差/時点の差/結論の対立/表記ゆれ(実質同じ可能性)
4. 原因は「候補」として書き、断定しない。
5. 確認先は「誰に」「どの原典を」「何を」確認するかを具体的に書く。
6. 確認結果・採用案・採用判断の列は作らない(人が記入する)。
7. 食い違いに見えるが比較できない記述(前提が違うなど)は、表の下に別枠で挙げる。

表の列:No/論点/資料Aの記述(位置)/資料Bの記述(位置)/種類/原因の候補/確認先

ルール2の「推測で補わない」が重要です。位置を書かせることで、あとで人が原文に当たれます。APIで自前の仕組みを作る場合は、引用(Citations)機能で回答の根拠となる文書箇所を返させる方法もあります。チャットで使うだけなら、上の依頼文で抜粋と位置を書かせる形で十分です。

矛盾点一覧の記録様式

Claudeが出した表に、人が埋める列を足したものが記録様式です。次の見出しをスプレッドシートやWordにコピーして使えます。

  • ****、論点:、資料Aの記述(位置):、資料Bの記述(位置):、種類:、原因の候補:、確認先:、確認結果:、採用案:、採用判断:、判断者・日付:

左から「確認先」まではClaudeに作らせ、「確認結果」以降は人が書きます。

記入例(説明用の架空データ)

以下は説明のための架空の例で、実際の資料やClaudeの出力を検証した結果ではありません。

  • 1、論点:上期売上、資料A:営業報告(2026/10/3):「12.4億円」(p.2 表1)、資料B:経営会議資料(2026/10/10):「12.1億円」(p.5 本文)、種類:数値の差、原因の候補:計上基準(出荷/検収)の違い、確認先:経理担当に集計基準と元の仕訳表を確認、確認結果:(人が記入)、採用案:(人が記入)、採用判断:(人が記入)、判断者・日付:(人が記入)
  • 2、論点:新サービス、資料A:営業報告(2026/10/3):「全拠点で導入済み」(p.3)、資料B:経営会議資料(2026/10/10):「3拠点で試行中」(p.7)、種類:結論の対立、原因の候補:「導入」の定義が違う、確認先:導入責任者に拠点別の稼働一覧を確認、確認結果:、採用案:、採用判断:、判断者・日付:
  • 3、論点:顧客数、資料A:営業報告(2026/10/3):「契約1,200社」(p.4)、資料B:経営会議資料(2026/10/10):「取引先1,200件」(p.6)、種類:表記ゆれ、原因の候補:社数と件数の混同、確認先:顧客マスタの集計条件を確認、確認結果:、採用案:、採用判断:、判断者・日付:

3行目のように、実質的には同じ数字で単位や呼び方だけが違う例もあります。種類に「表記ゆれ」を用意しておくと、本当の矛盾に時間を使えます。

採用判断の基準表

確認結果が出たら、次の表を参考に採用案を決めます。これは編集上の目安なので、組織のルールがあればそちらを優先してください。

  • 一方が原典(元データ・契約書・公的な統計など)に直接当たっており、内容を確認できた、採用の考え方:原典に当たっているほうを採用、記録に残すこと:原典の名称と確認日
  • 両方が二次資料で、作成日が違う、採用の考え方:新しいほうを仮採用し、更新理由を確認(新しいことは正しさの保証ではない)、記録に残すこと:作成日と版
  • 定義や範囲が違うだけ、採用の考え方:どちらも誤りとは限らない。用途に合う定義を選び、本文に定義を併記、記録に残すこと:採用した定義
  • 確認先から回答が来ない、採用の考え方:両方を併記するか、数値を出さず「確認中」と明記、記録に残すこと:未確認の理由と期限
  • 原因不明で、結論が資料の意図に影響する、採用の考え方:決裁者に上げる、記録に残すこと:食い違いの内容と選択肢

「確認先から回答が来ない」場合に、都合のよい側を黙って選ばないのがポイントです。「採用判断」欄に理由を書くルールにしておくと、あとで経緯を説明できます。

出力の確認と、全体の流れ

表が出てきたら、全行を信用する前に次の3点を見ます。

  1. 抜粋は原文と一致しているか。 抜粋と位置を無作為に数行、原文で開いて照合します。要約が混ざっていたら、依頼文に「抜粋は原文のまま」と足して再実行します。
  2. 見落としがないか。 「他に食い違いはありませんか。特に日付・単位・対象範囲に注意して再確認してください」と追加で聞きます。完全な網羅は期待できないため、重要な論点は自分でも見返してください。
  3. 「比較できない記述」が別枠に出ているか。 前提が違う数字を無理に矛盾扱いしていないかを確かめます。

資料が多いときは、全資料を一度に比べるより、「基準にする資料1つ対他の資料」を順に回して表を結合するほうが、位置を追いやすくなります。1チャットの添付数にも上限があるため、論点ごとに分ける運用も有効です。

全体の流れは次のとおりです。

  1. 資料に名前・作成日・版を付け、図の数字は文字にする
  2. 論点を絞って依頼文を送り、表を作らせる
  3. 抜粋と位置を数行照合し、見落としを聞き直す
  4. 確認先に当たって「確認結果」を記入する
  5. 基準表をもとに「採用案」「採用判断」を人が書き、日付を入れる

食い違いが多いときは、1行目から順に処理せず、結論に影響する行から先に確認するとよいです。

出典・参考資料