Claudeで複数の文書を比較する手順:先に観点表を作り、差分を同じ形で抜き出す
AIを使いこなす執筆にClaudeを使用しています。

複数の文書をClaudeで比べるときは、文書を並べて「違いを教えて」と聞くより、先に比較の観点表を決め、文書ごとに同じ形式で抜き出させてから差分を作る方法がおすすめです。観点が決まっていないと、どの違いが拾われるかが依頼のたびに揺れ、文書ごとに切り口の違う要約が出て、後から並べて比べにくくなるためです。 流れは次の5段階です。 1. 比較の目的を一文で決める 2. 観点表を作る 3. 文書ごとに同じ形式で抜き出させる 4. 抜き出した表だけで差分表を作らせる 5. 人が原文と照合する 文中の文書名・数値・表の内容はすべて説明用の例です。実際にClaudeで実行した結果ではありません。
先に確認:渡せるファイルの条件
Claudeのヘルプ「Uploading files to Claude」(2026年10月27日確認)には、次の記載があります。
- 1チャットに添付できるのは最大20ファイル、1ファイル500MBまで
- PDFは1,000ページまで。100ページ以下ではテキストと図表などの視覚要素を分析し、101〜1,000ページではテキストのみを処理する
- PDF以外の文書はテキストだけを抽出し、埋め込まれた画像は読み取れない
- XLSXの添付には、アカウントでコード実行とファイル作成を有効にする必要がある
比較に使う箇所が画像や図表になっている文書は、抜き出しが不完全になるかもしれません。その部分はテキストで貼るか、手順5で人が見ます。上限や対応形式は変わり得るため、使う前にヘルプで最新の記載を確認してください。
手順1〜2:目的を一文にして、観点表を作る
観点は目的から決まります。例を挙げます。
- 「A社とB社の委託サービス資料から、来期の発注先を選ぶための違いを知りたい」
- 「改訂前後の社内規程で、現場の運用が変わる箇所だけを知りたい」
同じ2文書でも、目的が違えば観点は変わります。この一文は、後の依頼文にそのまま入れます。
観点表は「何を・どんな形で・なければどう書くか」を決めた表で、文書を渡す前に自分で作ります。項目が思い浮かばないときは、目的の一文だけをClaudeに渡して候補を出させ、自分で選んで削ってください。確定は人が行います。
観点表のひな形(説明用の例)
- K1、観点:契約・提供期間、抜き出す形式:開始日〜終了日、自動更新の有無、記載がないとき:記載なし
- K2、観点:料金、抜き出す形式:項目名と金額(税込・税別を明記)、記載がないとき:記載なし
- K3、観点:解約・変更の条件、抜き出す形式:通知期限(日数)と手続き、記載がないとき:記載なし
- K4、観点:サポート範囲、抜き出す形式:対応時間、窓口、対象外の事項、記載がないとき:記載なし
- K5、観点:前提条件・除外事項、抜き出す形式:箇条書き、記載がないとき:記載なし
作るときのポイントは3つです。
- 形式まで決める:「料金について」ではなく「項目名と金額、税込税別」まで書くと、文書間で比べられる形になります。
- 「記載なし」と「読み取れず」を分ける:文書に書かれていないことと、読み取れなかったことは別です。
- 観点は5〜8個程度に絞る:多いと重要な差が埋もれます。足りなければ2周目で足します。
手順3:文書ごとに同じ形式で抜き出させる
文書は1つずつ渡すと、どの文書の記述かを追いやすくなります。複数を同じ依頼に入れる場合は、文書ごとにタグで区切って名前を付けます。Claudeの公式ガイド「Prompting best practices」は、XMLタグによる構造化を扱っています。以下のタグ名は、その考え方に沿った例です。
抜き出しの依頼文(コピー用)
目的:A社とB社の委託サービス資料から、来期の発注先を選ぶための違いを知りたい。
<document name="A社_サービス資料_2026版">
(ここに本文を貼る、または添付ファイルを指す)
</document>
上の文書だけを根拠に、下の観点表の各行を埋めてください。
<観点表>
K1 契約・提供期間:開始日〜終了日、自動更新の有無
K2 料金:項目名と金額(税込・税別を明記)
K3 解約・変更の条件:通知期限(日数)と手続き
K4 サポート範囲:対応時間、窓口、対象外の事項
K5 前提条件・除外事項:箇条書き
</観点表>
ルール:
- 出力は「ID|観点|抜き出した内容|原文の該当箇所(見出し名またはページ)|原文の短い抜粋」の表と、観点外のメモだけにする。
- 文書に書かれていない観点は「記載なし」、読み取れない場合は「読み取れず」と書く。
- 推測で補わない。計算や換算はしない。
- 観点表にない違いに気づいたら、表の下に「観点外のメモ」として最大3点だけ書く。B社の文書でも、観点表とルールの部分は一字も変えずに使い回します。ここが揃っていれば、2つの表は同じ形になります。該当箇所と抜粋を出させるのは、人が原文と照合しやすくするためです。
手順4:抜き出した表だけで差分表を作らせる
A社・B社の表ができたら、別の依頼で比較させます。このとき原文は渡さず、抜き出し表だけを渡します。比較の段階で原文を読み直させず、抜き出した内容の比較に専念させるためです。
差分作成の依頼文(コピー用)
目的:来期の発注先を選ぶための違いを知りたい。
<table name="A社">(A社の抜き出し表を貼る)</table>
<table name="B社">(B社の抜き出し表を貼る)</table>
2つの表だけを使い、観点ごとに次の表を作ってください。
ID|観点|A社|B社|判定(同じ/違う/比較不能)|違いの内容を一文で
ルール:
- 「記載なし」「読み取れず」が片方でもある観点は「比較不能」とし、理由を書く。
- 金額や日数の差は、表にある数値の差だけを書く。税込・税別が揃っていなければ、揃っていないと指摘する。
- どちらが良いかの結論は書かない。結論を書かせないのは、予算や社内ルール、優先順位といった判断基準をClaudeが知らないからです。判断が必要なら基準を別途渡し、「この基準だとどの観点が論点になるか」を整理させる使い方にとどめます。
手順5:人が原文と照合する
差分表はそのまま使わず、次の順で確認します。抜き出しの誤りは差分表にもそのまま引き継がれるため、原文との照合は省けません。
- 抜粋が原文と一致しているか、方法:各行の抜粋を原文で検索して見つける
- 金額・日付・日数、方法:原文の数字と目で突き合わせる(差分表の数字だけを見ない)
- 「記載なし」は本当にないか、方法:観点のキーワードで原文を検索する。表や画像の中の記載を見落としていないか見る
- 「比較不能」の行、方法:人が原文を読んで判断する。重要な論点が隠れていることがある
- 観点外のメモ、方法:観点表に足す価値があるか判断し、足すなら両社の文書で再抽出する
状況別の進め方も整理しておきます。
- 短い2〜3文書:手順3を1つの依頼にまとめてもかまいません。出力は文書ごとの表に分けます。
- 長い文書、または4つ以上:1文書ずつ抜き出し、手順4で統合します。
- 改訂前後の比較:観点表を「条項番号/項目」ごとの行にして、変更前・変更後を抜き出します。
- 機密文書:実名・金額・個人情報を伏せた説明用データで、まず手順を試します。実際の文書を渡してよいかは、利用中のプランや社内規程で先に確認してください。
契約や規程に関わる文書の最終的な解釈は、担当部署や専門家の確認に回してください。
最初の1回は、手元の2文書で観点表を3行だけ作り、手順3の依頼文を両方に使います。2つの表の形が揃い、各行に原文の抜粋が付いていれば手順4へ進めます。揃わない場合は、観点表の「抜き出す形式」の書き方が曖昧です。そこを直して同じ依頼をやり直します。

