初めての10局の負け方を数える:次に直す一つを決める手順
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「灯りのチェス」で初めて10局を指し終えたとき、手元に残るのは勝ち負けの数だけ、ということがよくあります。ここでは、負けた局の終わり方ではなく、負け方の種類を数える方法を考えてみます。 ある夜の一局を想定します。序盤にポーンを一つ取られ、そのまま駒の数で差をつけられ、最後はチェックメイトで終わりました。このとき「最後にキングを守れなかったのが敗因」と考えると、次の局の反省は「もっとキングに気をつけよう」になります。しかし本当の分かれ目は、ポーンを取られた数手前にあったかもしれません。 この記事の問いは、10局分の負け方を何種類かに分け、次に直す点を一つに絞れるか、です。ここでは結果を示しません。分類の箱、記録の取り方、数え方、結果の読み方を設計書として並べます。読者が自分の10局で試せば答えが出る形にしています。
この記事の目次
敗因は「最後の一手」ではなく「最初に駒を失った場面」にある
チェスの負けは、ほとんどの場合、チェックメイトの数手前ではなく、もっと早い段階で決まっています。駒の数で大きく差がつくと、残りの局面は苦しくなるからです。
そこで、見るべき場面を「その局で自分が最初に駒を失った手番」に固定します。最後の詰みの形ではありません。理由は二つあります。
- 詰みの形は種類が少なく、「キングが守られていなかった」でほぼ片づいてしまい、分類しても次の行動につながりません。
- 最初に駒を失った場面は、自分の一手に原因があることが多く、何を確認すれば防げたかを言葉にしやすくなります。
「灯りのチェス」には、取った駒の表示と全棋譜の表示があります。局が終わったら棋譜を最初から読み、駒が取られた最初の手を探します。棋譜の書式は作品を開いて確かめてください。標準的な記法なら、取りを表す「x」が目印になります。
このとき、自分が取られた手だけを探します。相手の駒を先に取っていた場合は、そのあと自分の駒が取られた最初の手を探します。最初から最後まで一度も駒を失わずに負けた局は、別枠の「駒得なしで負け」として記録します。
準備:条件をそろえて10局の記録欄を作る
10局を比べるには、条件をそろえる必要があります。相手の強さが局ごとに違うと、負け方の違いが、癖の違いなのか相手の違いなのか分からなくなります。
- 相手の段階を一つに決め、10局の間は変えません。「灯りのチェス」の相手は3段階です。どの段階から始めるかは、自分で選びます。
- 自分の色を決めます。交互にしてもかまいませんが、その場合は記録欄に色を書きます。
- ヒントの使い方を決めます。使わないと決めるのが分かりやすいです。使った場合は、使った局に印をつけます。ヒントが何を示すかは、作品を開いて確かめてください。
- 「一手戻す」も、使わないと決めるのが分かりやすいです。使った場合は印をつけます。戻して指し直した手は、本当に最初に指した手ではなくなるためです。
記録は、ゲームの外に書きます。この作品の記録や棋譜は、画面を開いている間だけ残る前提で扱うのが安全です。画面を閉じたり再読み込みしたりすると消えるかもしれないので、1局ごとに紙かメモアプリへ書き写します。
1局ごとの記録欄は、次の5項目で足ります。
- 局の番号と自分の色
- 結果(勝ち・負け・引き分け)
- 最初に駒を失った自分の手番の番号(何手目か)
- 失った駒の種類
- 負け方の箱(次の節で決める)と、一言のメモ
負け方の6つの箱
分類の箱は少なく、はっきり区別できるものにします。多すぎると、後で数えるときに迷います。初心者の最初の10局で起きやすいものを6つ挙げます。実際の局に合わなければ、自分の箱を足してかまいません。
- ①放置、起きていること:相手の駒に狙われている自分の駒を、守らずに放置した
- ②無防備な移動、起きていること:自分の駒を動かした先が、すでに相手に狙われていた
- ③両取り、起きていること:一つの駒が二つの駒を同時に狙い、片方を取られた
- ④串刺し・釘付け、起きていること:直線上で、動かせない駒や、奥にある大きな駒を狙われた
- ⑤割の悪い交換、起きていること:価値の低い駒で、価値の高い駒を取られるなど、交換で損をした
- ⑥王手への見落とし、起きていること:王手や、詰みにつながる筋を見落とした
用語を補います。「両取り」(フォーク)は、一つの駒が二つの駒に同時に攻撃をかける手です。「釘付け」(ピン)は、動かすとその奥にある大事な駒が取られてしまうため、動かせなくなる状態です。「串刺し」(スキュアー)は、前にある大きな駒が逃げると、後ろの駒が取られる形です。
分類のコツは、「その手の直前に、何を確認していれば防げたか」を問うことです。
- ①と②は、どちらも「駒が取られる」点は同じです。違いは狙われている駒が、動かす前から狙われていたか(①)、動かした先で狙われたか(②)です。
- ③と④は、相手の駒の効きの重なりを見落とした場合です。
- ⑤は、取られること自体は織り込み済みで、価値の見積もりが誤っていた場合です。
迷ったら、直前に確認すべきだった問いを一言書いて、それに近い箱に入れます。完璧な分類より、同じ基準で10局を分けることが大切です。
10局後の集計:回数と、失った価値の両方で見る
10局が終わったら、箱ごとに数えます。ただし、回数だけで判断しないでください。ポーン一つを失った局と、クイーンを失った局を同じ「1回」と数えると、重みが変わってしまうからです。
一般的な駒の価値の目安は、次のとおりです。
- ポーン:1
- ナイト、ビショップ:3
- ルーク:5
- クイーン:9
箱ごとに、回数と失った駒の価値の合計の両方を出します。計算のやり方だけ、仮の数字で確かめます。実際の結果ではありません。
仮に、箱Aが4回で、失った駒がすべてポーンなら、価値の合計は4です。箱Bが2回で、失った駒がナイトとクイーンなら、合計は12です。
この仮定では、回数の最頻は箱Aですが、失った価値の大きさでは箱Bのほうが重く見えます。どちらを優先するかは、自分の10局の数字を見て決めます。基準は次のとおりです。
- 回数も価値の合計も同じ箱が一番なら、迷わずその箱を選びます。
- 回数と価値の合計で一番の箱が分かれたら、価値の合計が大きい箱を第一候補にします。大きい駒を失う癖は、一度で局面を決めてしまうためです。
- 同点なら、直前の問いを一言で言える箱を選びます。習慣に変えやすいからです。
「駒得なしで負け」が多い場合は、⑥の見落としか、終盤の技術の問題が考えられます。その場合は箱を増やし、直前に何が起きたかを棋譜から確かめます。
次に直す一つを、確認の習慣に変える
選んだ箱は、「気をつける」という気持ちのままでは直りません。指す前に必ず行う、短い確認の問いに変えます。
- ①放置が多いなら:指す前に「相手が次に取れる自分の駒はないか」を、盤上の全部の駒で見ます。
- ②無防備な移動が多いなら:駒を動かす前に「動かした先を、相手の駒が攻撃できるか」を見ます。「灯りのチェス」の駒の動き方ガイドで、相手の駒の動きを確かめるのも一つの方法です。
- ③両取りが多いなら:相手のナイトやクイーンが次に動いて、二つ以上の駒を狙えるマスがないかを見ます。
- ⑤割の悪い交換が多いなら:取るか取られるかの前に、価値を数えます。一手で終わらず、取り返された後の損得まで見ます。
- ⑥見落としが多いなら:相手の王手になる手をすべて挙げ、その返しを確かめます。
直す点は一つだけにします。全部を一度に直そうとすると、確認が長くなり、指すたびに疲れてしまいます。次の10局では、選んだ一つの問いだけを、毎手続けます。
次の10局が終わったら、同じ表で数えます。結果は次のように読みます。
- 選んだ箱の回数と価値の合計が減っていたら、確認の習慣が働いている可能性があります。次に多い箱へ進みます。
- 選んだ箱が減らず、別の箱が増えていたら、確認に意識を使いすぎて、他の部分が手薄になっているのかもしれません。問いをもっと短くします。
- どの箱も変わらなければ、確認を毎手続けられていない可能性があります。確認を省いた手が何手あったか、その場で一言メモします。
起こりやすい誤り
- 10局の数字を過信する:10局は少ない標本です。数字は「傾向の目安」にとどめ、1局の偶然で箱を決めません。
- 相手の強さを途中で変える:相手が強くなると、負け方の質が変わります。比較したいなら、段階は固定します。
- 結果で一喜一憂する:勝ち数が増えたかではなく、選んだ箱が減ったかを見ます。
- 箱を増やしすぎる:迷って「その他」ばかりになったら、箱の定義を見直します。
- 勝った局を記録しない:勝った局でも、自分が最初に駒を失った場面は、同じように記録します。負けた局だけだと、標本がさらに少なくなります。
次の行動
まず1局指し、棋譜から「自分が最初に駒を失った手」を一つ探して、6つの箱のどれに入るかを書いてみてください。それを10局分続けると、自分の癖が数字で見えます。そのうえで、次の10局では直す箱を一つに絞り、指す前の確認の問いを一つだけ持ち込んでください。


