アンパッサンができるのは一手だけ:その一手を見逃さない練習
遊びを見つける執筆にClaudeを使用しています。

白のポーンがe5にいて、黒がd7のポーンを二つ進めてd5に置いた場面を考えてみます。盤を見ると、白ポーンの真横に黒ポーンが立っています。ここで「斜め前に黒の駒がないから、取れない」と判断すると、アンパッサンを見逃します。逆に、一手指したあとでも「まだ横にいるから取れるはず」と思うと、今度は反則の手を指そうとします。 アンパッサンは、取れる期間がたった一手だけの特殊な取り方です。その一手が過ぎれば、盤上の配置がまったく同じでも取れません。ルールの文面を覚えるより、権利が生まれる局面と消えた局面を並べて見比べる練習のほうが、感覚として残りやすいはずです。 この記事では、スタート局面から数手で作れる四つの練習問題を用意しました。どの局面も、初期配置からの手順で作れます。ブラウザ上の盤で手を進めながら、答えを自分で確かめてください。
この記事の目次
権利が成立する三つの条件
先に確認事項を整理します。アンパッサンが使えるのは、次の三つがすべてそろったときだけです。
- 取る側のポーンが、自分から数えて5段目にいる(白ならe5のような5段目、黒なら4段目)。
- 相手のポーンが、直前の一手で二つ進んで、その真横に止まった。
- 取る手を指すのが、その直後の一手である。
取り方は、相手のポーンが一つだけ進んだかのように、その通過したマスへ斜めに進みます。そして横にいた相手のポーンを盤から外します。移動先のマスには何も置かれていない点が、普通の取りと違います。
見逃しの多くは、条件2と3から起きます。「二つ進んだ」ことと「直前の一手」を、盤面の見た目だけで判断できないためです。直前の手を覚えておく必要があります。
問題1:権利が生まれる局面
初期配置から、次の四手を指します。
- 白 e4(e2のポーンをe4へ)
- 黒 a6(a7のポーンをa6へ)
- 白 e5(e4のポーンをe5へ)
- 黒 d5(d7のポーンをd5へ)
ここで白番です。盤の状態を言葉で整理します。白は、e2のポーンがe5に進んでいる以外、初期配置のままです。黒は、a7がa6に、d7がd5に動いている以外、初期配置のままです。
問い:白のe5ポーンで取れる黒の駒はありますか。あるなら、移動先はどこですか。
答えは、取れます。黒のd5ポーンをアンパッサンで取る手で、棋譜は exd6 と書きます。e5のポーンはd6へ進み、d5の黒ポーンが盤から消えます。d6は空きマスで、普通の取りでは届かないd5の駒を外すところがポイントです。
e5のポーンが攻撃できるのは斜め前のd6とf6で、横のd5ではありません。そのため、d5を取れる手がアンパッサンだと意識していないと、見つけられません。
黒にはこのあと、c7のポーンやd8のクイーンで d6 を取り返す選択肢があります。この手が良いかどうかは別の話で、ここでは「指せる」ことの確認が目的です。
問題2:同じ配置なのに権利が消える局面
問題1の局面から、白が exd6 以外の手を指す場面を考えてみます。
- 白 Nf3(g1のナイトをf3へ)
- 黒 Nc6(b8のナイトをc6へ)
これで再び白番です。e5の白ポーンと、d5の黒ポーンの位置は変わっていません。
問い:白は exd6 を指せますか。
答えは、指せません。黒が二つ進めたのは三手前で、直前の一手ではなくなったためです。盤の見た目が同じでも、条件3を満たさなくなった局面です。
問題1の局面と問題2の局面を、頭の中で並べてみてください。違いは盤面ではなく、直前の手にあります。
もう一つ、権利が最初から生まれない局面も確認します。
- 白 e4
- 黒 d5
- 白 e5
黒が二つ進めた時点で、白ポーンはe4にいて、4段目でした。黒のポーンはe4の真横ではなく、斜め前のd5にいます。この局面では、白は普通の取りで exd5 を指せましたが、そこで取らずにe5へ進めました。その後、e5とd5が真横に並んでも、アンパッサンは成立しません。条件1と2が、同じ時点でそろっていなかったためです。
問題3:黒から見た逆向きの局面
黒の側でも同じことが起きます。次の手順を指します。
- 白 a3(a2のポーンをa3へ)
- 黒 d5(d7のポーンをd5へ)
- 白 a4(a3のポーンをa4へ)
- 黒 d4(d5のポーンをd4へ)
- 白 e4(e2のポーンをe4へ)
黒番です。白は、a2がa4、e2がe4に動いている以外、初期配置のままです。黒は、d7がd4に動いている以外、初期配置のままです。
問い:黒のd4ポーンで取れる白の駒はありますか。
答えは、取れます。白のe4ポーンをアンパッサンで取る手で、棋譜は dxe3 です。黒のd4ポーンはe3へ進み、e4の白ポーンが消えます。黒は盤の上から下へ進むため、白の場合と向きが反転します。白は5段目から取りましたが、黒は4段目から取ります。
e3には何も置かれていないので、普通の取りでは届きません。取り返しは、d2やf2の白ポーンから指せます。
白番の問題だけ練習すると、黒番で見落としやすくなります。黒側の局面も同じ数だけ解くと、均等に身につきます。
灯りのチェスで確かめる手順
「灯りのチェス」は、アンパッサンに対応しています。同じ画面でのふたり対局を使えば、一人で白と黒の両方を指して、上の手順を再現できます。
手順は次のとおりです。
- 同じ画面でのふたり対局を始め、問題1の四手を指します。
- 白番で、e5のポーンを選びます。移動先としてd6が表示されるか確認します。表示の細部は、作品を開いて確かめてください。
- 一度 exd6 を指し、取った駒の表示と全棋譜の記録を見ます。取られた黒ポーンがd5から消えているかを確認します。
- 新しい対局で問題2の六手目までを指し、同じポーンを選びます。d6が移動先に出ないことを確かめます。
「一手戻す」やヒントが使える場面は、作品を開いて確認してください。駒の動き方ガイドも用意されていますが、そこにアンパッサンの説明がどう出るかは、実際に開いて確かめる部分です。
記録の取り方と、結果の読み方
練習は「見て答えるだけ」にすると身につきません。次の形で記録すると、弱点がはっきりします。
- 各問題を、別の日に3回ずつ解く。
- 盤を見る前に、「取れる/取れない」と移動先を紙に書く。
- そのあと盤で確かめ、〇か×を付ける。
結果は、間違いの種類で読みます。
- 問題1で「取れない」と答える、疑うべきこと:斜め前に駒がないと取れない、という思い込み
- 問題2で「取れる」と答える、疑うべきこと:直前の一手かどうかを確認していない
- 問題3だけ間違える、疑うべきこと:黒の進行方向と段の数え方の混乱
- 移動先を横のマスと答える、疑うべきこと:取る駒の位置と、移動先のマスの混同
もう一つ、実戦で気をつける点があります。アンパッサンで二つのポーンが同じ段から消えた結果、自分のキングが攻撃を受ける形になることがあります。その場合、この取りは指せません。具体的な局面は、実際の対局で見つけたときに、全棋譜を見返して確かめてください。
次の行動
まず「灯りのチェス」のふたり対局で、問題1と問題2を続けて再現してください。同じ盤面で、取れる場合と取れない場合を見比べるのが、いちばん早い練習です。慣れたら問題3を、黒の側から指してみてください。
参考資料
- FIDE チェス競技規則


