一手で2つのチェックをかける「ダブルチェック」の作り方
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白のルークがe列の奥から黒キングをにらんでいますが、手前に白のナイトが立っていて、チェックにはなっていません。このナイトがどこかへ跳ねたとき、ルークの道があいてチェックになります。その跳ねた先がさらにキングを攻めていたら、一手でチェックが2つ重なります。これがダブルチェック(両王手)です。 ダブルチェックは、「どかした駒」と「どいた先の駒」の両方が働く形です。作るには、どの駒をどこへどかすかを盤面から逆算する必要があります。この記事では3つの練習問題で、その逆算の仕方を確かめます。後半では、実際の対局の中でこの形を見つける条件を整理します。
ダブルチェックが強い理由
通常のチェックには、キングを動かす、攻撃駒を取る、間に駒を入れる、という3種類の受け方があります。ダブルチェックでは攻撃が2本あり、一手で両方は消せません。受けられるのは「キングを動かす」だけです。
キングが動くときも、攻撃されていない隣のマスに逃げるしかありません。攻撃駒のうち隣にいて、守られていないものを取る手は残りますが、今回の問題ではそうした駒は出てきません。
作り方の骨格は次の2段階です。
- 自分の遠距離駒(ルーク・ビショップ・クイーン)と相手キングを一直線で結び、間に自分の駒を一枚だけ挟みます。
- その挟んだ駒が、直線から外れる動きで、同時に相手キングを攻められるマスへ進めるようにします。
問題1:ナイトが開ける2本の道
局面を言葉で示します。白番です。
- 白:キングg1、ルークe1、ナイトe6
- 黒:キングe8、クイーンd8、ビショップf8、ポーンd7、ポーンf7
e列にはe1のルークとe6のナイトがあり、e2〜e5とe7は空いています。黒のポーンd7とf7はどちらもe6のナイトを攻撃していますが、白番なのでまだ取られていません。
問い:白が一手でダブルチェックをかけ、さらにチェックメイトにする手をすべて探してください。
先にナイトの行き先を挙げてみます。e6のナイトが進めるのは、c7、g7、d8、f8、c5、g5、d4、f4です。このうち、e8のキングを攻撃できるのはc7とg7です。
解答:Nc7# と Ng7# の2つです。
Nc7では、ナイトが抜けたe列をルークが通り、e8に届いてチェックになります。同時にc7のナイトもe8を攻撃しているので、ダブルチェックです。黒のキングの行き先は次のとおりです。
- d7、f7:自分のポーンがいます。
- d8、f8:自分のクイーンとビショップがいます。
- e7:e1のルークが攻撃しています。
逃げ場がないので、これでチェックメイトです。d8のクイーンはc7のナイトを取れますが、それではルークのチェックが残るため、受けになりません。
Ng7も同じ理屈です。g7のナイトはビショップf8に取られる位置ですが、ダブルチェック中はキング以外の駒で応じられません。
問題2:ビショップが開ける2本の道
次はビショップを使います。白番です。
- 白:キングg1、ルークe1、ビショップe4
- 黒:キングe8、クイーンd8、ルークf8、ポーンd7、ポーンh7
e列にはe1のルークとe4のビショップがあり、e2、e3、e5、e6、e7は空いています。f5、g6、f7も空いています。
問い:ビショップのBg6とBxh7は、どちらがダブルチェックでしょうか。また、ダブルチェックになる手は黒に何を許すでしょうか。
解答:Bg6だけがダブルチェックで、しかもチェックメイトです。
Bg6では、ビショップがe4から抜けてe列があき、ルークのチェックが生まれます。同時にg6のビショップがf7を通ってe8を攻撃します。黒キングの行き先は次のとおりです。
- d7:自分のポーンがいます。
- d8、f8:自分のクイーンとルークがいます。
- e7:ルークが攻撃しています。
- f7:g6のビショップが攻撃しています。
Bxh7+ はポーンを取りますが、チェックはe列のルークの一本だけです。黒はQe7で間に駒を入れる、またはKf7と動くなどして受けられます。
この差から、ダブルチェックは「取れる駒が増える手」ではなく「攻撃線が2本そろう手」だとわかります。
問題3:配置を少し変えると何が壊れるか
問題1の局面を使い、一か所ずつ変えます。それぞれ、白のナイトの手でダブルチェックが成立するかを考えてください。
- 黒のポーンをe7に足します。
- 白のルークをe1ではなくe2に置きます。
- 白のナイトをe6ではなくe5に置きます。
解答の方針:
- 1は成立しません。e7のポーンがルークの道をふさぐため、ナイトが跳んでもチェックは1本だけです。
- 2は成立します。e2〜e7が空いていれば、ルークはe8に届きます。
- 3は成立しません。e5のナイトが進めるのはd7、f7、c6、g6、c4、g4、d3、f3で、どれもe8を攻撃しません。
3には色の規則が隠れています。e8は明るいマスです。ナイトが明るいマスを攻撃するには暗いマスに立つ必要があり、ナイトは一手で必ずマスの色が変わります。つまり、ナイトが挟み役になって自分でもチェックをかけるには、キングと同じ色のマスに立っていなければなりません。
e列でe8と同じ色のマスはe2、e4、e6です。e4のナイトなら、Nd6+ やNf6+ がその候補になります。
ほかの駒でも同じように、「どいた先から、本当にキングを攻撃できるか」を一つずつ確かめます。ビショップが挟み役のときは、ルークの縦横の線から斜めへ外れ、ビショップの斜めの利きでキングに届くマスを探します。
対局の中で見つける・作る
この形は、ゲーム画面の中で探せます。「灯りのチェス」には、駒の動き方ガイド、ヒント、一手戻す、取った駒と全棋譜の表示があります。ふたり対局を同じ画面で行えるので、友達と一緒に検討しながら進められます。ただし、任意の局面を自由に並べる機能は確認済みの案内にありません。問題の配置を直接作れるかは、作品を開いて確かめてください。
自分の対局で探すときは、次の順に見ます。
- 自分のルーク、ビショップ、クイーンのどれかが、相手キングと同じ直線上にいるかを探します。
- その線の間に、自分の駒が一枚だけ挟まっているかを確かめます。相手の駒が混ざっていたら成立しません。
- 挟んだ駒の行き先を、駒の動き方ガイドでたどります。直線から外れ、かつキングを攻撃するマスがあるかを見ます。
- 行き先が相手の駒に取られても関係ないかを確かめます。ダブルチェックでは、キング以外の駒では受けられません。
- キングの逃げ場を数えます。逃げ場が残るなら、その先に何があるかを見ます。
実行前に、一手戻すで確認する癖をつけると安全です。ヒントは次の手を示してくれますが、ダブルチェックを専門に探す機能ではありません。手に入れた形が本当に二重になっているかは、自分の目で盤面から数える必要があります。
対局後は、棋譜の表示でその一手を見直します。どの駒を挟み役にしたのか、どのマスに跳んだのかを振り返ると、次の対局で同じ形を狙いやすくなります。
次の行動
問題1と問題2を、紙の盤か頭の中で並べ直し、自分で解いてみてください。その後、「灯りのチェス」で自分の対局を一局進め、自分の長距離駒と相手キングの間に、自分の駒が一枚だけ挟まる瞬間を探してみましょう。見つけたら、その駒が跳べるマスを動き方ガイドで確かめます。


