フォークを受けたときの逃げ方:両取りを一手で解消する局面
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ナイトが敵陣から跳んできて、自分のルークとビショップに同時に当たる場面を考えてみます。「どちらかは諦めるしかない」と思いがちですが、局面によっては、一手で両方を無傷、あるいは損なしに済ませられます。反対に、どう指しても一方を失う局面もあります。 この記事の問いは、その二つの局面を何で見分けるかです。先に結論を言えば、見るのは三点だけです。フォークした駒を取れるか、当たっている駒同士で守り合えるか、王手で手番を奪えるか。以下の問題で、この三点を実際に確かめていきます。 局面は白番、先手側(1段目側)が白で、黒は上から下へ向かいます。駒の価値の目安はポーン1、ナイトとビショップ3、ルーク5、クイーン9です。
三つの問いを先に決めておく
フォークされたら、次の順に自分へ問いかけます。
- フォークしている駒を取れる駒はあるか(取れるなら最優先です)。
- 当たっている駒の一方が動き、もう一方を守れるか。守った後の交換で損をしないか。
- 王手や、相手の駒を取る手など、相手が無視できない手で手番を奪えるか。
三つとも「いいえ」なら、その局面に両方を守る手はありません。残る仕事は、損を小さくする手を選ぶことです。
問題1:ルークとビショップに当たるナイト
配置は次のとおりです。
- 白:キングg1、ルークc3、ビショップf4
- 黒:キングh7、ナイトd5
白番です。ナイトd5は、白のルークc3とビショップf4の両方に当たっています。黒のナイトを守る駒も、ナイトに当たっている白の駒もありません。どの王手も一手では決まらないので、白の最善手を探してみてください。
候補手を一つずつ確かめる
- Rd4、その後:ルークはナイトの攻撃範囲から出て、ナイトに当たりを返し、f4のビショップも横の筋から守ります。Nxf4 Rxf4 でナイトとビショップの交換になり、ルークが残ります。
- Rc4、Rf3、その後:どちらもナイトの攻撃範囲の外で、f4を守れます。結果はRd4と同じ交換です。
- Bd2、その後:ビショップがルークc3を守る形になります。しかし Nxc3 Bxc3 は、ルーク(5)がナイト(3)と引き換えになり、白の損です。
- Rd3、Rc5、その後:ナイトに当たりを返しますが、f4を守っていません。Nxf4 でビショップを失います。
- Rh3+、その後:h3は安全なマスで、h7の黒キングに王手がかかります。ナイトは王手を止められず、黒キングが動きます。その次に白がビショップを逃がせます。
答えは Rd4、Rc4、Rf3 の三つです。いずれも「当たりを避ける」と「相手を守る」を一手で兼ねています。守り合いで見落としやすいのは、守る駒の価値です。Bd2 は形としては守り合いですが、守られる側のほうが高価なので、交換で損をします。
Rh3+ は、一手で両方を守る手ではありません。手番を奪って、次の一手でビショップを逃がす手です。区別して覚えておくと、問いの3番と2番を混同しません。なお Rc7+ も王手ですが、c7はナイトの攻撃範囲なので、ナイトに取られて終わります。王手でも、取り返される場所では時間を稼げません。
問題2:王手つきのフォークで、取れる場合と取れない場合
次は、ナイトが王手をかけながらルークにも当たる局面です。まず(a)です。
(a)
- 白:キングe1、ルークf4、ポーンe2
- 黒:キングg8、ナイトd3
白番です。d3のナイトは e1 のキングに王手をかけ、同時に f4 のルークにも当たっています。
王手なので、ルークを動かすことはできません。王手の解消に使えるのは、キングを動かすか、ナイトを取るかのどちらかです。ナイトの王手は、キングの隣のマスからは来ないので、キングでは取れません。この局面で取れるのは e2 のポーンです。答えは exd3 で、ナイトを取って王手を解消し、ルークも無傷です。キングを動かす手だと、その後に Nxf4 でルークを失います。
次に(b)です。
(b)
- 白:キングe1、ルークf4
- 黒:キングg8、ナイトd3
(a)からポーンe2を取り除いた配置です。王手を解消するのはキングの移動だけで、行き先は d1、d2、e2、f1 です。f2 はナイトに攻撃されているので入れません。
どこへ動いても、ルークf4を守る位置(e3、e4、e5、f3、f5、g3、g4、g5)には届きません。Nxf4 でルークを失います。つまり(b)には、両方を守る手が存在しません。
ポーン一枚の有無が、両方を守れるかどうかを分けています。
両方を守れる局面の見分け方
二つの問題から、条件を整理します。
- 取れる駒がある:(a)のポーンのように、フォークした駒に利いている駒がある局面は救いがあります。ナイトの王手は隣から来ないので、キングは頼れません。
- 守り合いの形が作れる:一方が動いた先がもう一方を守る位置で、しかも相手の攻撃範囲の外であることが条件です。問題1の Rd4 などがこれにあたります。
- 守る手が損な交換になっていない:守る駒の価値が、守られる駒より高くないかを確かめます。
- 王手で手番を奪える:王手の先で取り返されないことが条件です。
どれも当てはまらなければ、損を小さくする方向に切り替えます。たとえば価値の高い駒を優先して逃がす、といった判断です。
自分の対局で見つける方法
この局面は、実際の対局の中でも探せます。「灯りのチェス」では、3段階の相手と対局でき、ヒントと一手戻すが使えます。駒の動き方ガイドも用意されています。
- ひとりで対局し、相手のナイトやポーンが両取りをかけてきたら、一度手を止めます。
- 取れる駒、守り合い、王手の三点を、問題1の表のように声に出して確かめます。
- 指した結果が思わしくなければ、一手戻すで局面に戻り、別の手を試します。
- 取った駒と棋譜の表示を見て、フォークがどの手で準備されたかをたどります。多くの場合、その一手前に避ける手があります。
フォークに遭った回数と、(取れた/守れた/王手で切り返せた/失った)のどれだったかを、メモに残しておくのも有効です。回数が増えてきたら、自分がどの対処を見落としやすいかが分かります。
次の行動
次にフォークを受けたら、まず「取れる駒はあるか」を確かめ、次に「守り合えるか」と「王手があるか」を順に見てください。問題2の(b)のように何もない局面では、損を小さくする手を落ち着いて選べば十分です。
「灯りのチェス」を開き、ひとり対局で、フォークを仕掛けられる場面を探してみてください。見つけたら、この三つの問いを一度ずつ確認してみましょう。


