長いメールを3分の1に縮める:AIに削らせる順番と残すべき情報
AIを使いこなす執筆にClaudeを使用しています。

長いメールを短くするコツは、「短くして」と一度に頼まないことです。先に人が残す情報(依頼・期限・数字・条件)を決め、AIには「削る → まとめる → 並べ替える」を1工程ずつ頼み、最後に元の文と照合します。工程を分けると、何が消えたかを毎回確認できます。これは公式の仕様ではなく、この記事が提案する進め方です。 この記事では、削る優先順位リスト、各工程で使える依頼文、縮める前後を見比べられる例を順に示します。
この記事の目次
1. 進める順番は「残す → 削る → まとめる → 並べ替える → 照合」
- 0. 残す情報を決める、担当:人、やること:相手にしてほしいこと、期限、日付・金額・数量、条件や例外を書き出す
- 1. 削る、担当:AI、やること:意味を変えずに不要な文を消す。消した内容も一覧にさせる
- 2. まとめる、担当:AI、やること:同じ種類の内容を束ねる
- 3. 並べ替える、担当:AI、やること:依頼と期限を件名・冒頭に出す
- 4. 照合、担当:AI+人、やること:元と縮めた版を突き合わせ、抜けと追加を確認する
先に削るのは、まとめる作業を軽くするためです。言い換えの重複や経緯が残ったままだと、束ねた後も文が長くなります。並べ替えを最後にするのは、削った後のほうが「何が主役か」を判断しやすいからです。
2. 削る優先順位リスト
上から順に削ります。下に行くほど判断が必要です。
- 重ねた挨拶と前置き:定型句の連続。初めての相手や目上の相手には1文だけ残します。
- 同じ内容の言い換え:「つきましては」以降で、前の段落をなぞっている文。
- 結論に影響しない経緯:誰がいつ確認したか、仮押さえの経過など。
- 相手がすでに知っている情報:前回のやり取りの再説明。
- 自分側の作業手順:「修正して手配します」のような結果だけで足りる説明。
- 予防線のクッション語:「ご不明な点があれば」の類。
削らないものは、依頼内容、期限、日付・金額・数量・固有名詞、条件や例外(「難しい場合は代替案を」など)、決定理由の核心(1文)、添付や参照先の指示、禁止・否定の指示です。
3. 縮める前後の例(説明用の架空例)
次は説明用に作った架空のメールです。実際にAIで処理した結果ではなく、削った後の完成形のイメージです。文字数は本文の概算です。
Before(約590字)
件名:来月の取引先向け説明会についてのご相談田中様お世話になっております。営業企画の佐藤です。先日はお忙しい中、打ち合わせのお時間をいただきありがとうございました。さて、先日の打ち合わせでもお話が出ておりました、来月の取引先向け説明会の件でご連絡いたします。もともとは11月14日の午後に開催する予定で、会場も本社3階の会議室を仮押さえしておりました。ところが、その後の確認で、同じ日の午後に別部署の研修が入っていることがわかり、会場が使えない可能性が出てまいりました。そのため、日程を11月15日の午後2時からに変更できないかと考えております。15日であれば会場は問題なく使用できることを総務部に確認済みです。なお、変更した場合、案内状の再送が必要になりますが、案内状は私のほうで修正して手配いたしますので、ご心配には及びません。ただ、参加者数の把握のため、出欠の返信期限を11月1日にしたいと考えております。つきましては、15日で問題ないか、田中様のご都合をお知らせいただけますでしょうか。お忙しいところ恐縮ですが、10月30日までにご返信いただけますと大変助かります。もし15日が難しい場合は、別の候補日を2つほどいただけますと、こちらで調整いたします。資料については、前回お送りした第2版をそのまま使用する予定です。何かご不明な点がございましたら、お気軽にお申し付けください。お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
After(約240字)
件名:【10/30まで回答のお願い】取引先説明会の日程変更(11/14→11/15)田中様営業企画の佐藤です。説明会の日程変更についてご相談です。・変更案:11月14日→11月15日 午後2時開始(14日は会場が使えない可能性があるため。15日は総務部に空きを確認済み)・お願い:15日のご都合を10月30日までにご返信ください。難しい場合は代替候補日を2つほどお知らせください。・こちらで対応:案内状の修正と再送。出欠の返信期限は11月1日にしたいと考えています。・資料:前回の第2版を使用します。よろしくお願いいたします。
約590字が約240字になり、4割ほどです。3分の1(約200字)には届きませんが、返信に必要な情報は残っています。消えたのは、打ち合わせの御礼、仮押さえの経緯、「ご心配には及びません」「ご不明な点があれば」です。残ったのは日付(14日・15日・11月1日)、返信期限(10月30日)、2つの条件(会場の空き確認、難しい場合の代替日)、資料の版です。
4. 各工程の依頼文
メール本文は区切り記号で挟みます。OpenAIのヘルプは、指示を冒頭に置き、###などで指示と処理対象を分けること、長さや形式を具体的に指定することを勧めています(OpenAI Help: Best practices for prompt engineering with the OpenAI API)。複雑な依頼を小さな手順に分け、結果を見て追加指示で直す点は、Claudeのヘルプにも書かれています(Claude Help Center: My prompt isn't giving me a helpful answer)。以下の依頼文はその考え方に沿った私の案で、特定サービスで動作確認したものではありません。
工程1:削る
以下のメールから、意味を変えずに不要な文を削る作業だけをしてください。
- 削ってよい:重複した挨拶、言い換えの繰り返し、結論に影響しない経緯、相手が既に知っている情報
- 削らない:依頼、期限、日付・数字・固有名詞、条件や例外、理由の核心
- 新しい情報や言い回しは足さない。残す文は元のまま。
- 最後に「削除した内容」を箇条書きで示す。
###
(メール本文)
###工程2:まとめる
上の結果を、同じ種類の内容ごとにまとめてください。分類は「変更案」「お願い」「こちらで対応すること」「補足」。各項目は1〜2文、日付と数字は変えない。工程3:並べ替える
読み手が最初に知りたいのは「何を、いつまでにしてほしいか」です。件名と冒頭1文に依頼内容と期限を入れ、箇条書きは相手の行動が必要なものから並べてください。工程4:照合
元のメールと縮めた版を比べ、次を一覧にしてください。なければ「なし」と書く。
(1) 元にあって縮めた版にない日付・数字・固有名詞
(2) 縮めた版にあって元にない記述
(3) 条件や例外の抜け入力する前に、人名・社名・金額・案件名は仮の語に置き換えてください。学習利用をさせない設定があっても、社内の情報持ち出しルールを満たすこととは別の話です。
5. 最後の確認と、縮めない判断
照合の一覧もAIの出力なので、見落としはありえます。最後は自分で次の3点を元の文と見比べます。
- 日付・時刻・金額・人数が元と一致しているか
- 「〜できない場合は」「ただし」といった条件が残っているか
- 縮めた結果、強い言い方になっていないか(依頼が命令口調に見えないか)
状況によっては、無理に縮めないほうがよい場合もあります。
- 初めての相手、目上の相手、判断:挨拶と御礼を1文残す。削るのは重複分だけ
- 経緯が決定の根拠になっている、判断:経緯は消さず、理由を1文に圧縮する
- 依頼が複数ある、判断:1通に詰めず、件名を分けて2通にする
- 詳細が資料にある、判断:本文は要旨と期限にし、詳細は添付を参照させる
- 契約条件、金額の確定、苦情対応、判断:要約より箇条書き化にとどめ、全文を自分で確認する
3分の1にならなくても問題はありません。相手が返信に必要な情報だけが冒頭にあれば、目的は達成できています。

