同じ人物を複数ショットで保つ:架空キャラクターの動画一貫性の設計
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

AI動画で同じ人物を複数カットに出す方法に、確実な正解はありません。現実的な答えは「顔を完全に同一にしようとせず、見る人が『同じ人だ』と判断する手がかりを顔以外にも散らし、ズレが出やすい場面を構図とカット割りで避ける」ことです。 この記事では、そのための道具を2つ用意します。1つは生成前に決めておくキャラクター設定シート、もう1つはズレを目立たせないカット割りの選択肢一覧です。短い説明動画やショートムービー向けで、人物は架空のキャラクターを想定しています。 なお、文中のシートや依頼文は「説明用の例」です。特定のツールで生成して成功を確かめた結果ではないので、自分の使うツールで試し、出力を見て調整してください。
この記事の目次
先に押さえる前提:ツールの参照機能は助けになるが、保証ではない
主要な動画生成ツールには、手持ちの画像を渡して人物を揃える仕組みがあります。
- Runwayは、画像・動画・音声を参照として渡せ、プロンプト欄で @ を入力してアップロード済みや保存済みの素材を呼び出す方式です。単一の画像から異なる場面や照明で一貫したキャラクターを作る用途も挙げられています(Runwayヘルプ:参照メディアの使い方)。参照は保存して名前を付けられ、一時的な参照はそのセッション限りです。
- Google DeepMindのVeoのページでは、映像の一貫性や創作上の制御性が紹介されています(Google DeepMind:Veo)。同ページでキャラクター参照画像を使って別シーンの見た目を保つ機能は確認できませんでした。
ただし、どちらのページも「必ず同じ顔になる」とは述べていません。参照できる枚数、対応モデル、プランごとの差は変わりやすいため、ここでは数値を書きません。使う前に各ツールの最新ヘルプで確認してください。
以下は、参照機能があってもなくても使える、編集側の設計の話です。
キャラクター設定シートを作る
目的は、カットごとに依頼文がぶれないようにすることです。ポイントは顔の記述を少なくし、識別の手がかりを服・色・小道具・シルエットに分けることです。顔は細部が動きやすく、服の色や小道具のほうが目で追いやすいためです(これは編集上の方針です)。
Veoのプロンプトガイドは、人物の外見を具体的に書く例を示しています(Google DeepMind:Veoのプロンプトガイド)。抽象的な形容より、見て分かる特徴を選びます。
設定シートのテンプレート
- 呼び名、書く内容:依頼文で使う短い名前、固定度:固定
- 年齢感・体型、書く内容:「30代前半、中肉中背」程度、固定度:固定
- 髪、書く内容:色・長さ・形を1行で、固定度:固定
- 顔の特徴、書く内容:見て分かる特徴を最大2つ、固定度:固定(ここは盛らない)
- **識別アイテム**、書く内容:1カットで必ず見える服・小道具(2〜3点)、固定度:厳守
- 色の指定、書く内容:メイン色1つ+差し色1つ、固定度:厳守
- 表情の幅、書く内容:基本は穏やか、笑顔まで、固定度:可変
- 禁止する変化、書く内容:眼鏡の有無、髪型、服の着替え、固定度:変えない
- 参照画像、書く内容:正面・自然光・無表情の1枚+全身1枚、固定度:固定
記入例(説明用の例)
架空のキャラクター「ミナト」の例です。
- 呼び名、記入例:ミナト
- 年齢感・体型、記入例:30代前半、中肉中背
- 髪、記入例:黒のショートで、前髪は右に流す
- 顔の特徴、記入例:丸い黒縁眼鏡、右目の下に小さなほくろ
- 識別アイテム、記入例:黄色いレインコート、紺のトートバッグ、白いスニーカー
- 色の指定、記入例:メイン:黄色、差し色:紺
- 表情の幅、記入例:穏やか〜小さな笑顔
- 禁止する変化、記入例:眼鏡を外さない、フードをかぶらない
- 参照画像、記入例:正面バストアップ、全身立ち姿
黄色いレインコートのように、画面に小さく映っても分かるものを主役にします。ほくろのような顔の細部は、近づいたときの補助にとどめます。
参照画像の作り方
Runwayの画像生成ガイドでは、プロンプトを視覚的な描写で書くこと、Gen-4 Imageでは否定プロンプトがサポートされず、否定表現が逆の結果につながる場合があると説明されています(Runwayヘルプ:Gen-4 Imageのプロンプトガイド)。これは画像生成向けの説明です。設定シートの「禁止する変化」を依頼文に使う場合は、「眼鏡を外さない」ではなく「丸い黒縁眼鏡をかけている」のように肯定形で書く方法があります。
ズレを目立たせないカット割りの選択肢
顔が見える時間が長く、近く、正面に近いほど、ズレは気づかれやすくなります。以下は、その条件を避けるための選択肢です。効果の大小は題材によって変わるので、全部使う必要はありません。
- 後ろ姿・肩越し、内容:顔を映さず服とシルエットで見せる、ズレへの強さ:強い、向く場面:移動、到着、会話の聞き手、注意点:表情で感情を伝えられない
- 引きの全身、内容:人物を画面の小さな要素にする、ズレへの強さ:強い、向く場面:場所の説明、導入、注意点:識別アイテムが小さくなりすぎない配色に
- 手元・小道具のアップ、内容:バッグ、傘、スマホ操作など、ズレへの強さ:強い、向く場面:手順説明、動作の見せ場、注意点:手の形が崩れやすいので短く
- シルエット・逆光、内容:輪郭と色で人物を示す、ズレへの強さ:強い、向く場面:回想、夜、感情の場面、注意点:服の色が沈まない照明にする
- 短い切り返し、内容:1カット2〜3秒で別アングルへ、ズレへの強さ:中、向く場面:会話、反応、注意点:顔のアップが続くと差が出る
- 場所を変えて同じ服を見せる、内容:背景を替えても識別アイテムを固定、ズレへの強さ:中、向く場面:時間経過、移動、注意点:服の細部(ボタン、ロゴ)を足さない
- 遮蔽物を挟む、内容:窓、傘、人混み、手前のぼかし、ズレへの強さ:中、向く場面:見せたくない一瞬、注意点:不自然に多用しない
- 顔のアップ、内容:正面、長尺、ズレへの強さ:弱い、向く場面:最後の見せ場だけに、注意点:参照画像と並べて確認する
構成の目安は、最初の1カットで識別アイテムを見せ、その後は顔の出ない強いカットを多めに入れ、顔のアップは本当に必要な場面に絞ることです(編集上の提案です)。
依頼文の型:カットごとに「固定部分」を貼り付ける
毎回、文章を言い換えると見た目が変わりやすくなります。そこで、設定シートから作った固定文をすべてのカットに同じ表現で貼り、変えるのは構図・動作・場所だけにします。
固定文(説明用の例):
30代前半の人物ミナト。黒のショートヘアで前髪は右に流している。丸い黒縁眼鏡をかけている。黄色いレインコートを着て、紺のトートバッグを肩にかけ、白いスニーカーを履いている。
Runwayのように参照素材を呼び出せるツールでは、固定文の前に @ で保存した参照を指定します。以下は書き方の例で、動作確認はしていません。
カット1(引きの全身):
@ミナト 固定文。雨の商店街を奥から手前へ歩く。カメラは固定、引きの全身ショット。傘はさしていない。夕方の柔らかい光。
カット2(後ろ姿):
@ミナト 固定文。同じ商店街で、カメラは人物の背後から。肩越しにシャッターの降りた店を眺める。顔は映らない。
カット3(手元):
@ミナト 固定文。紺のトートバッグから鍵を取り出す手元のアップ。黄色い袖口が見える。
背景や天候、光の向きも各カットで揃えると、服の色の見え方が安定します。場所を変えるときは、「同じ服」を最優先にします。
生成後の確認手順
- 並べて見る。 全カットの静止画を1枚の画面に並べ、顔ではなく服と小道具から確認します。黄色が別の色味になっていないか、バッグの有無が揃っているか。
- ズレの種類を分ける。 顔だけがずれたなら、そのカットを後ろ姿や引きに差し替える候補にします。服がずれたなら、依頼文の固定文を見直して再生成します。
- 顔のアップは最小に。 残すアップは、参照画像と見比べて許容できるものだけにします。
- 音声で補う。 同じナレーションやBGMでつなぐ方法もあります。音声の自動生成に頼りすぎず、ナレーションは別録りも検討してください。
- 直す順番を決める。 再生成は、①識別アイテム → ②構図 → ③顔の記述の順で見直します。顔を直すために文章を長くすると、他の要素が崩れやすくなります(経験則として提案しますが、検証した結果ではありません)。
実在の人物の顔を参照にして動画を作る場合は、肖像や同意の問題が絡みます。この記事は架空キャラクターのみを対象にしています。

