カメラの動きをAI動画の指示に直す:パン・ドリー・ズームの言い換え表
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

結論から言うと、映像用語はそのまま単語だけ書くより「何が動くか(カメラ本体かレンズか)」「どこからどこへ」「どのくらいの速さで」の3点を平易な文にして書くほうが、意図を伝えやすくなります。たとえば「パン」とだけ書くより、「カメラは位置を変えず、ゆっくり左へ首を振り、机の上のノートから窓の外へ視線を移す」と書く、という置き換えです。 この記事では、よく使う8つのカメラの動きについて、狙い・指示文の型・使いどころを1枚の表にまとめます。そのあとに、用語の取り違えが起きやすい組み合わせの判断基準と、試すときの手順を示します。 なお、本文中の指示文はすべて「説明用の例」です。特定のツールで生成して効果を確かめたものではありません。ツールやモデルごとに反応は変わるため、手元で数回試して調整してください。
この記事の目次
公式ガイドが示している基本の考え方
Google DeepMindのVeo 3向けプロンプトガイドは、構図とカメラの動きを意識的に決めることを促しています。How to create effective prompts with Veo 3では、アングル(たとえばローアングル)や、シーンを横切るパンなどを例に、「どう切り取り、どう動かすか」を考えるよう案内しています。
同じくGoogle DeepMindのGemini Omniのプロンプトガイドには、「static」「locked off」といった固定の指定や、「push in」「punch in」「dolly zoom」といった動き、「one continuous shot」のような1カットの指定が挙げられています。ワイド・ミディアム・クローズアップなど画角の選択と、カメラがゆっくり滑るのか急に迫るのかといった動きの質を、あわせて決める考え方です。プロンプトの要素としては、構図・動き、スタイル、照明、場所、動作を組み合わせるとされています。また、会話で少しずつ修正でき、直したい点だけを指示する使い方も紹介されています。
ここから先の「言い換えの型」は、これらの考え方を踏まえた編集上の整理です。公式が定めた書式ではありません。
対応表:カメラ用語→狙い→指示文の型
英語併記にしているのは、上記の公式ガイドの例文が英語で書かれているためです。日本語だけで反応が弱いときに、英語版も試す価値はあります。
- 固定(ロックオフ)、狙い:動きを入れず、被写体の動きだけを見せる、指示文の型(説明用の例):「カメラは三脚に固定され動かない」 / Locked-off camera, the camera stays still.、使いどころ:商品の説明、人物のセリフ、画面に文字を重ねる前提のカット
- パン、狙い:位置はそのまま、横に首を振って見せる対象を移す、指示文の型(説明用の例):「カメラは位置を変えず、ゆっくり左から右へ振り、本棚から机へ視線を移す」 / The camera pans slowly from left to right, from the bookshelf to the desk.、使いどころ:部屋や風景の紹介、2つの対象をつなぐとき
- ティルト、狙い:位置はそのまま、縦に首を振る、指示文の型(説明用の例):「カメラは位置を変えず、足元から顔までゆっくり上に振る」 / The camera tilts up slowly from the shoes to the face.、使いどころ:高さの表現、建物の見上げ、人物の登場
- ドリーイン/アウト、狙い:カメラ本体が前後に進み、被写体との距離と背景の見え方が変わる、指示文の型(説明用の例):「カメラがゆっくり前進し、テーブルの上のカップに近づく」 / The camera slowly pushes in toward the cup on the table.、使いどころ:注目させたい瞬間、感情の高まり、離れていく余韻
- ズーム、狙い:レンズの画角を変えて拡大/縮小する(カメラ自体は動かない)、指示文の型(説明用の例):「カメラは動かず、レンズだけで画面を徐々に拡大していく」 / A gradual zoom in, with the camera position unchanged.、使いどころ:手軽な強調、監視カメラ風・ドキュメンタリー風の質感
- トラッキング(横移動・追従)、狙い:動く被写体に合わせてカメラも移動する、指示文の型(説明用の例):「カメラが歩く人物の横を並んで進み、同じ距離を保つ」 / The camera tracks alongside the walking person, keeping the same distance.、使いどころ:移動する人や乗り物、歩きながらの説明
- オービット(回り込み)、狙い:被写体を中心に弧を描いて回る、指示文の型(説明用の例):「カメラが椅子を中心に、右へ半円を描いてゆっくり回り込む」 / The camera orbits slowly around the chair, moving to the right in a half circle.、使いどころ:製品や立体物の見せ場、導入のインパクト
- 手持ち、狙い:わずかな揺れで臨場感やドキュメンタリー感を出す、指示文の型(説明用の例):「手持ち撮影のように小さく揺れ、被写体を追う」 / Handheld camera with subtle shake.、使いどころ:現場感のある説明、体験談風のカット
Veo 3のガイドには、揺れのあるファウンド・フッテージ風の映像を狙った長めの例文もあります。手持ちの質感は、「揺れ」だけでなく「誰の目線か」まで書くと伝わりやすい、という参考になります。
指示文の型:4つの要素を1〜2文で書く
表の指示文を毎回ゼロから作る必要はありません。次の型に当てはめます。
【画角】+【カメラの動き(何が動くか)】+【始点→終点】+【速さ・質感】+【動かないもの】
入力例(説明用の例):
ミディアムショット。カメラは位置を変えず、ゆっくり右へパンし、
窓際の観葉植物から作業机のノートPCへ視線を移す。
動きは一定の遅さで、揺れはなし。部屋の照明は朝の自然光。英語併記版(説明用の例):
Medium shot. The camera pans slowly to the right, from the plant by the
window to the laptop on the desk. Steady, smooth movement. Soft morning light.書くときのコツは次のとおりです。
- 動かないものも明示する:「カメラは位置を変えない」と書くと、パンとドリーの混同を減らせる可能性があります。
- 動きは1カットに1種類を基本にする:パンしながらズームしてオービット、と重ねると、どれも中途半端になりやすいと考えられます。複数が必要なら、カットを分けます。
- 始点と終点を名詞で書く:「右へ」より「植物からノートPCへ」のほうが、動きの範囲が決まります。
- 否定形より肯定形:「ブレない」「動かない」を書くより、「固定されている」「三脚に載っている」と、起きてほしい状態を書くほうが無難です。これも編集上の提案で、ツールによっては否定形が効く場合もあります。
取り違えやすい組み合わせの判断基準
一番多い失敗は、見た目が似た動きを混同することです。次の表で選び分けてください。
- ドリーイン vs ズームイン、違い:ドリーは背景との距離感も変わり、奥行きが出る。ズームは画角が変わるだけで平面的、選び方:立体感・没入感ならドリー、手軽な強調や監視映像風ならズーム
- パン vs オービット、違い:パンはその場で首を振る。オービットはカメラ自体が回り込み、背景も変わる、選び方:対象を「つなぐ」ならパン、対象を「見せ回す」ならオービット
- パン vs トラッキング、違い:パンは位置固定。トラッキングは被写体と一緒に移動する、選び方:被写体が動くならトラッキング、風景を見渡すならパン
- ドリーイン vs ドリーズーム、違い:ドリーズームは前進と逆方向のズームを組み合わせ、背景が伸び縮みする特殊効果、選び方:不安や衝撃を出したい特別な場面だけ
ドリーズームは名前だけ書いても意図通りに出るとは限らないため、「被写体の大きさはほぼ変わらず、背景が引き伸ばされるように見える」と効果も文章で添えると安全です。
試すときの手順と人が確認すること
AIに任せられるのは、動きの候補出しと指示文の言い換えです。最終的に「意図した動きになっているか」「説明動画として破綻していないか」は、人が確認します。
- まず固定カットで素材を作る:同じ構図で、動きなしの指示を1回生成します。基準にするためです。
- 動きを1種類だけ足す:上の型で、パンならパンだけを足し、固定カットと見比べます。
- ずれ方を見て文を直す:ずれの原因は、おおむね次のように切り分けられます。
- 近づくだけで背景が動かない → ズームになっている可能性。「カメラ自体が前進する」と書き直す。
- 動きが速すぎる → 「ゆっくり」「一定の遅さで」を足す。
- 被写体が勝手に動く → 被写体の動きを別の文で明示するか、「被写体は静止している」と書く。
- 直す点は1つずつ:Gemini Omniのガイドは、会話で必要な部分だけを修正する使い方を紹介しています。一度に複数の語を変えると、何が効いたか分からなくなります。
確認のチェック項目は次の4つです。
- 始点と終点が、指示した対象になっているか
- 動きの種類(パン/ドリー/ズームなど)が意図と合っているか
- 動きの速さと一定さが、説明の読み上げや字幕に合うか
- 人物や商品の形が、動きの途中で崩れていないか
社内資料や未公開商品の動画を作るときは、実物の写真や名称をそのまま入力せず、説明用のダミー(例:「白いマグカップ」「ノートPC」)に置き換えて動きだけを先に検証すると、情報の持ち出しを避けられます。
手元に置く最小メモ
最後に、コピーして使える短縮版です。
- 動かさない:「カメラは固定され動かない」
- 首を振る:「位置を変えず、ゆっくり左右(上下)に振る」
- 近づく(奥行きあり):「カメラ自体がゆっくり前進する」
- 拡大するだけ:「カメラは動かず、レンズだけで拡大する」
- 追いかける:「被写体の横を同じ距離で並走する」
- 回り込む:「被写体を中心に半円を描いて回る」
この6行を土台に、始点・終点・速さを足していけば、多くのカットは書き分けられます。

