短尺動画の字幕をAIで下書きし、誤変換と読む速度を直す手順
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

結論から言うと、直す順番は「固有名詞 → 改行位置 → 表示時間」です。AIの文字起こしは下書きとして使い、先に自分用の辞書メモで言葉の正解をそろえます。次にAIへ「直させる」のではなく「疑わしい箇所を一覧にさせ」、最後に音声と照らして人が決めます。改行と表示時間は感覚に頼らず、1行の文字数と「文字数÷表示秒数」で数字にして直すと迷いません。 この記事では、そのまま使える辞書メモの型、AIへの依頼文、公開前の確認チェックを順に示します。文中の動画・商品名・数値は、すべて手順を説明するための架空の例で、実測の結果ではありません。
手順1:辞書メモを先に作る
誤変換の多くは、一般語ではなく自分の動画にだけ出てくる言葉で起きます。店名、商品名、人名、略称、英字、数字の書き方です。文字起こしをかける前に、次の表を作っておきます。
辞書メモの型(説明用の例)
- ひなたノート、読み:ひなたのーと、起きがちな誤り:日向ノート、ヒナタノート、使わない表記:日向ノート、ルール・備考:商品名。ひらがな+カタカナ
- ミドリ文具店、読み:みどりぶんぐてん、起きがちな誤り:緑文具店、使わない表記:緑文具店、ルール・備考:屋号。カタカナ表記で固定
- 10月20日、読み:じゅうがつはつか、起きがちな誤り:十月二十日、使わない表記:漢数字の日付、ルール・備考:日付は算用数字
- AI、読み:えーあい、起きがちな誤り:エーアイ、ai、使わない表記:エーアイ、ルール・備考:英字は大文字
- 山田さん、読み:やまださん、起きがちな誤り:山田さんの別漢字、使わない表記:―、ルール・備考:敬称は字幕でも「さん」
作り方は次のとおりです。
- 過去の投稿文、台本、商品ページから、固有名詞をすべて拾う
- 「音は同じで表記が複数ありえる言葉」に、使う表記と使わない表記を書く
- 数字・日付・単位・英字の書き方を、1語ずつではなくルールとして書く
- 字幕を直していて新しい誤りを見つけたら、その場で1行足す
最初から完璧を目指す必要はありません。10行ほどでも、次の動画から効きます。
手順2:AIには「直す」ではなく「疑いを挙げる」を頼む
文字起こしのテキストをAIに渡すとき、AIが聞いているのは音声ではなく、渡した文字だけです。AIが勝手に自然な文章へ直すと、話者が実際に言っていないことが入り込みます。そこで役割を「疑い箇所の洗い出し」に限定します。
依頼文(そのまま貼れます)
あなたは字幕の校正補助です。
下の【辞書メモ】と【字幕の下書き】を照らし合わせてください。
ルール:
- 字幕を書き換えた全文は出力しない
- 辞書メモにある語との表記ゆれ、同音異義の疑い、数字・日付の表記違いを一覧にする
- 文脈から不自然な語は「要確認」とし、音声を聞かないと決められないものは推測で直さない
- 出力は表: 行番号 / 下書きの該当部分 / 疑いの種類 / 修正候補 / 確度(高・中・低)
【辞書メモ】
(手順1の表を貼る)
【字幕の下書き】
1 こんにちは緑文具店です
2 この日向ノートは来週発売です
3 予約は十月二十日から公式サイトで受け付けます上の字幕は説明用の例で、実際にAIへ入力して出力を確かめたものではありません。ご自分の環境では、出力の表が崩れないか、辞書にない語を勝手に直していないかを確認してください。
判断表:AIの指摘をどう扱うか
- 辞書と一致する表記ゆれ、例:日向ノート → ひなたノート、人の対応:そのまま採用してよい(一括置換)
- 数字・日付の表記、例:十月二十日 → 10月20日、人の対応:ルール通りなら採用
- 同音異義の疑い、例:「機関」か「期間」か、人の対応:音声を聞いて決める
- 確度が低い指摘、例:意味が通るのに別語を提案、人の対応:原則採用しない。音声で確認
- 聞き取れない箇所、例:雑音で欠落、人の対応:台本や撮影メモを見て人が補う
固有名詞の入った台本や、公開前の情報、他人の個人情報を貼る場合は注意が必要です。使うサービスの設定で学習への利用を止められても、それは情報を外部に渡さないことと同じではありません。迷う情報は、架空の名前や数字に置き換えてから貼ります。
手順3:改行位置と表示時間を数字で直す
改行の決め方
改行は文字数ではなく意味の切れ目で決めます。単語や文節の途中で切らないのが基本です。
- 悪い例:予約は10月20日から公式サ / イトで受け付けます
- 良い例:予約は10月20日から / 公式サイトで受け付けます
私の提案する出発点は、1行12〜16字、最大2行です。縦長の画面は横幅が狭いので、これは固定の規格ではなく、自分の動画で読み直して調整する仮の値としてお使いください。助詞で行を始めない、数字と単位を離さない、の2点も守ると読みやすくなります。
表示時間の確認
読む速さは「字幕の文字数 ÷ 表示秒数」で出します。目安として、1秒あたり5〜6字を超えたら、速いと感じる人が増えると考えて見直します。この数値も編集上の仮の基準です。
説明用の例です。
- 2、字幕:この日向ノートは来週発売です、文字数:14、表示秒数:2.0、字/秒:7.0、判断:速い。ひなたノートに直すと文字数が変わるので数え直し、表示を延ばす
- 2(調整後)、字幕:このひなたノートは来週発売です、文字数:16、表示秒数:3.0、字/秒:5.3、判断:許容範囲
- 3、字幕:予約は10月20日から/公式サイトで受け付けます、文字数:23、表示秒数:4.0、字/秒:5.75、判断:上限付近。言い回しを短くできないか検討
表示秒数を延ばせない場合は、字幕のほうを削ります。「受け付けます」を「できます」にするなど、意味を変えない短縮に限ります。話した言葉と字幕が大きくずれるときは、字幕を削るより、前後の字幕に分割するほうが安全です。
公開前の字幕チェック
音声つきで1回、無音で1回、実際のスマホで再生して確認します。
- [ ] 辞書メモの語がすべて正表記になっている
- [ ] 同じ語が動画内で表記ゆれしていない(ひなたノート/日向ノート)
- [ ] 数字・日付・金額が、話した内容と一致している
- [ ] 否定(「〜ない」)や「できる/できない」が、話者の意図どおりに残っている
- [ ] 人名・社名・商品名の漢字を、公式の表記と照合した
- [ ] 1行が長すぎず、単語の途中で切れていない
- [ ] 字/秒が目安を大きく超える字幕がない
- [ ] 画面下のボタンや投稿文の表示に、字幕が隠れていない
- [ ] 効果音・BGMだけの場面で、不要な字幕が出ていない
数字と否定は、見落とすと意味が反転するため、毎回必ず音声で突き合わせます。
投稿先の編集機能と注意
自動字幕を直せるかどうかは、投稿先によって異なります。YouTubeのヘルプでは、自動字幕は発音、アクセント、方言、雑音などが原因で話した内容を正しく表示できないことがあり、内容を確認して誤りを編集するよう案内されています(自動字幕起こし機能を使用する - YouTube ヘルプ)。YouTube Studioでは、字幕メニューから対象動画の字幕を開いて確認・編集できます。その他の投稿先では、編集画面の操作や直した字幕の扱いを各サービスの最新のヘルプで確認してください。アプリ側で文言を直せない場合は、動画編集ソフトで字幕を直して書き出すか、字幕ファイルを用意する方法があります。
運用は、辞書メモを育てながら、毎回のチェックで見つけた誤りを1行ずつ足していくだけで構いません。数本続けると、AIに頼む範囲と人が必ず聞く範囲が自分の中ではっきりしてきます。

