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AIを使って制作した納品物は、依頼主へ何をどう伝えるか

AIを使いこなす

Claudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

イラスト原稿と無地の添付用紙を納品用の封筒に収める手元
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

契約書がない仕事でも、AIを使ったなら依頼主には「どの工程で使ったか」「何を入力したか」「サービス規約上の制約」「人が確認した範囲」の4点を伝えておくのが安全です。納品時に一文で済ませるのではなく、入力素材が絡む場合は作業を始める前に一度確認します。 依頼主が困るのは、AIを使ったこと自体よりも、納品後に知って判断の機会を失うことです。公開先の規約、社内ルール、権利の扱いを、依頼主が自分で決められる状態にしておくのが目的です。 この記事では、納品時にそのまま使える申告文と、事前相談が必要な場面のリストを示します。法律の個別判断はしません。迷う案件は依頼主と相談し、必要なら専門家に確認してください。

この記事の目次
  1. 伝える4点と、その理由
  2. 納品時の申告文テンプレート
  3. 事前相談が必要な場面のリスト
  4. 契約書がない場合の事前連絡文
  5. 規約と入力素材を確認する手順
  6. 権利に関する書き方で避けたい表現

伝える4点と、その理由

  • 使用工程、具体的に書くこと:案出し、下書き、画像生成、翻訳、校正など。納品物のどの部分か、依頼主が判断できること:公開可否、修正依頼の範囲
  • 入力素材、具体的に書くこと:依頼主の資料、第三者の素材、人物や個人情報を入れたか、依頼主が判断できること:秘密や個人情報の取り扱い
  • 規約上の制約、具体的に書くこと:使ったサービス名、プラン、確認日。商用利用や出力の扱い、学習利用の設定、依頼主が判断できること:自社の用途に使えるか
  • 人の確認範囲、具体的に書くこと:加筆修正、事実確認、既存作品との類似確認をどこまでやったか、依頼主が判断できること:追加確認の要否

入力素材を独立させているのは、個人情報保護委員会の生成AIサービスの利用に関する注意喚起(2023年6月2日)が、入力された個人情報が機械学習に使われる可能性を挙げ、利用規約やプライバシーポリシー等の確認を求めているためです。依頼主の素材を預かる受注側にも関係します。

納品時の申告文テンプレート

次の文面は編集部が作った書式例です。実際の案件で使った結果ではありません。【】の部分を埋め、該当しない行は削除してください。

標準版(AIを実質的に使った場合)

【AI利用に関するご報告】納品物:【名称】

1. AIを使った工程
   【案出し/下書き/画像生成/翻訳/校正】
   使用箇所:【例:バナー背景画像、記事の見出し案】

2. 使用サービス
   【サービス名・プラン名】(規約の確認日:【年月日】)

3. 入力した素材
   【貴社提供の素材を入力した/していない】
   【第三者の素材(出所:    )を入力した/していない】
   【人物写真・個人情報を入力した/していない】

4. 規約上の確認事項
   商用利用:【可と確認/要確認】
   学習への利用設定:【オフにした/設定できない/確認できていない】

5. 私が行った確認・加工
   【加筆修正の内容/事実確認の方法/既存作品との類似確認の方法】

6. 権利面について
   AI生成部分は、権利の発生や帰属が明確でない可能性があります。
   独占利用や権利譲渡を前提にされる場合は、公開前にご相談ください。
   他者の権利を侵害しないことを保証するものではありません。

AI部分を手作業に差し替える場合は【別途ご相談】ください。

短縮版(補助利用にとどまる場合)

本納品物の【構成案づくりと誤字確認】にAI(【サービス名】)を使用しました。
貴社提供の資料は入力していません。本文・デザインの最終判断と加筆は私が行っています。

AIを使っていない場合

使っていないなら、申告文は不要です。ただし発注書に「AI不使用」と書かれているなら、翻訳や校正の補助も含めて使っていないか、納品前に自分の作業を見返してください。

事前相談が必要な場面のリスト

納品時の申告だけでは遅い場面があります。次のどれかに当てはまるなら、AIに入力する前に依頼主へ聞きます。

  • 依頼主の未公開原稿・図面・顧客情報をAIに入力する、先に聞くこと:入力してよいか。どのサービスまでなら可か
  • 人物の顔写真・声・個人が特定できる情報を使う、先に聞くこと:本人の同意や社内ルールの有無。そもそも入力しない選択肢
  • 実在の作家・ブランド・キャラクターの「風」を指示する、先に聞くこと:その指示が依頼内容に含まれているか。避ける案を出せるか
  • ロゴ、キャラクター、商標など独占性が求められるもの、先に聞くこと:AI生成を使ってよいか。独占や権利譲渡の前提
  • 発注書や募集要項にAI利用の禁止・制限の記載がある、先に聞くこと:禁止の範囲(下書き補助も含むか)
  • 実在の人物や場所に似せた画像・動画、報道風のコンテンツ、先に聞くこと:公開先、表示の要否(下の欄で補足)
  • 無料プランや個人向け規約で業務案件をこなそうとしている、先に聞くこと:商用利用や学習設定の確認ができるプランに切り替えるか
  • コンテスト応募、取引先への再納品など二次利用が決まっている、先に聞くこと:提出先の規約でAI利用が認められているか

実在人物に似せたコンテンツでは、公開先の法域も関係します。EUのAI規則第50条は、2026年8月2日から適用されており、ディープフェイクの表示などは利用者側(deployer)の義務です。EU委員会の第50条FAQでは、明らかに芸術・風刺・フィクション等の作品に含まれるディープフェイクは、作品の鑑賞を妨げない適切な方法での開示で足りるとされています。受注側・依頼主のどちらが義務を負うかは、AIの利用や管理の実態によって異なります。EU向けに公開するなら、受注側はAI使用の事実を早めに伝え、表示の要否と担当を依頼主と確認します。日本国内の公開については、このFAQから結論は出ません。

契約書がない場合の事前連絡文

見積もりや着手の連絡に、次の依頼文を添えます。これも説明用の例です。

○○様
お見積もりの件です。制作の一部(【案出し/画像の下書き】)に生成AIを使う想定です。
つきましては以下をご確認ください。
・AI利用そのものに支障はありませんか(社内規定・発注先の条件など)
・ご提供いただく【資料名】をAIサービスに入力してもよいですか。
  不可の場合は、入力せずに作業します
・納品時に、使用工程・サービス名・私の確認内容を一覧にしてお渡しします
・AI生成部分については、権利の扱いが明確でない可能性があります。
  独占利用を前提とされる場合は、手作業に切り替える対応も可能です(別途お見積もり)
【日付】までにご返信がない場合は、入力素材を使わない範囲で進めます。

返信はメールやチャットのまま残しておきます。口頭だけだと後日「聞いていない」となりやすいためです。

規約と入力素材を確認する手順

  1. 使うサービスの利用規約と、出力の扱いに関するページを開きます。個人向けか法人向けかで条件が違うことが多いので、自分のプランに対応する版を見ます。
  2. 商用利用の可否、出力の権利の扱い、禁止用途をメモします。メモには確認日を入れます。規約は変わるため、納品時の申告文にも確認日を書きます。
  3. 学習利用の設定を見ます。学習に使われない設定と、秘密が守られることは別の話です。 保存期間や閲覧される可能性など、扱いは規約ごとに違います。学習オフにできても、依頼主の未公開情報を入れてよいとは限りません。
  4. 依頼主の素材を入れる前に、固有名詞や数値を伏せた形で足りるか考えます。足りるなら、置き換えた素材で作業します。
  5. 入力した素材の種類を作業メモに残します。申告文の「入力した素材」はこのメモから埋めます。

権利に関する書き方で避けたい表現

「著作権はすべて貴社に帰属します」「他者の権利侵害の恐れはありません」といった断定は避けます。AI生成物の保護は国や事実関係で扱いが異なるためです。文化審議会のAIと著作権に関する考え方についてでも、日本での著作物性は、個別具体的な事例に応じ、創作的寄与を総合的に考慮して判断すると整理されています。

米国著作権局が2025年1月29日に公表したAIの著作物性に関する報告書(第2部)の発表ページでは、プロンプトを入力しただけでは保護の根拠にならず、人が作った著作物がAI出力の中に認識できる場合や、人が創作的に編集・改変した場合に人の寄与が認められうる、と整理されています。これは米国の見解で、日本の判断を示すものではありません。ただ、「どこまでが人の仕事か」を記録しておく発想は、日本の案件でも申告文の「私が行った確認・加工」欄を具体的にすることにつながります。

書くのは、確認できたことと、できていないことに分けます。たとえば「商用利用は規約で確認した」「類似する既存作品の確認は画像検索で行ったが、網羅は保証できない」のように、やったことの範囲を書きます。

次の案件から始めるなら、まず4点の表を自分のメモにコピーし、見積もり連絡に事前連絡文を添えるところから始めると取り入れやすいです。

出典・参考資料