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外注先にAI利用を認めるか決める:発注書に入れる取り決め項目

AIを使いこなす

Claudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

白紙の書類の脇に三色の付箋を並べ、発注条件を整理する手元
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

外注先のAI利用を認めるかどうかは、「全面的に可」か「全面的に不可」かの二択で決めない方が、あとで揉めにくくなります。おすすめは、用途ごとに3つの区分から選び、そのうえで申告・入力素材・権利帰属・修正対応の4点+αを発注書に書いておくことです。イラストでもライティングでも、この順番を出発点に、案件に必要な条件を確認します。 この記事の表と文面例は、発注側の整理用の下書きです。契約として使う前には、弁護士の確認を受けてください。

この記事の目次
  1. まず決める:AI利用の3区分
  2. 発注書に入れる取り決め項目の表
  3. そのまま使える文面例
  4. なぜこの項目か:公的資料から言えること
  5. 発注から納品までの進め方

まず決める:AI利用の3区分

最初に、案件ごとに次のどれにするかを決めます。

  • A 不可、内容:納品物の制作工程で生成AIを使わない、向いている案件の例(説明用の例):キャラクターデザイン、ブランドの顔になるイラスト、署名記事
  • B 補助のみ可、内容:構成案づくり、誤字チェック、調べ物の整理などは可。納品物の文章・絵そのものにAIの出力を入れない、向いている案件の例(説明用の例):解説記事、取材原稿の整理
  • C 申告の上で可、内容:AIの出力を納品物に含めてよい。ただしツール名と使用箇所を申告する、向いている案件の例(説明用の例):バナー背景、アイデア出し用ラフ、下書き量産

迷ったら、公開後に差し替えにくいもの(ロゴ、看板キャラ、固有名詞が多い記事)ほどAに寄せ、差し替えやすいものほどCに寄せます。区分を決めずに「適宜ご判断ください」とすると、外注先ごとに解釈が割れます。

発注書に入れる取り決め項目の表

下表が本記事の中心です。右端の「決めるのは誰か」は、発注側の社内で誰が判断するかの目安です。

  • 1、項目:利用区分、決めること:A/B/Cのどれか、条文の方向性:案件ごとに発注書に区分を明記する、決める人:発注担当
  • 2、項目:対象工程、決めること:構成、下書き、本制作、校正のどこまでで可か、条文の方向性:工程ごとに可否を書く、決める人:発注担当
  • 3、項目:申告、決めること:使った場合に何を知らせるか、条文の方向性:納品時に、使用の有無・ツール名・使用箇所を書面で申告する、決める人:発注担当
  • 4、項目:入力素材、決めること:当方が渡す資料を外部AIに入れてよいか、条文の方向性:未公開原稿、ラフ、顧客情報、個人情報は入力禁止。例外は事前の書面承諾、決める人:責任者
  • 5、項目:参照指定、決めること:特定の作家・作品名・既存キャラを指定した生成、条文の方向性:第三者の作品に似せる目的での指示を禁止し、類似の確認を義務づける、決める人:発注担当
  • 6、項目:権利帰属、決めること:成果物の権利の扱い、条文の方向性:権利が成立する範囲で譲渡または利用許諾。著作者人格権の扱いも明記、決める人:弁護士確認
  • 7、項目:ツール規約、決めること:使ったサービスの利用条件、条文の方向性:商用利用が許される契約・プランで使うこと。規約違反があれば外注先が責任を負う、決める人:責任者
  • 8、項目:責任分担、決めること:第三者から権利侵害を指摘された場合、条文の方向性:通知義務、差し替え対応、費用負担の線引き、決める人:弁護士確認
  • 9、項目:修正対応、決めること:修正のときもAIを使ってよいか、条文の方向性:修正作業にも同じ区分を適用。合意した条件に違反するAI利用が後日判明した場合の対応条件・費用負担を定める、決める人:発注担当・弁護士確認
  • 10、項目:再委託、決めること:外注先がさらに外注する場合、条文の方向性:再委託先にも同じ条件を課す。再委託は事前承諾制、決める人:発注担当
  • 11、項目:記録保存、決めること:制作過程の記録、条文の方向性:プロンプト、生成物、元データを一定期間保存し、求めに応じ提示する、決める人:発注担当
  • 12、項目:公開時の表示、決めること:「AI利用」の表示をするか、条文の方向性:適用法令や掲載先の規約を確認した上で、表示の要否と文言は発注側が決め、外注先は無断で公表しない、決める人:責任者

「弁護士確認」と書いた項目(6・8・9)は、文言次第で権利や責任、費用負担が変わります。特に権利の譲渡・許諾の範囲と、著作者人格権の不行使の書き方は、専門家に確認してから確定させてください。

そのまま使える文面例

発注前に外注先へ送る確認文(説明用の例)

○○の制作をご依頼するにあたり、AIの利用方針を共有させてください。本案件は利用区分【B:補助のみ可】です。構成案や校正での利用は可、納品物の文章・画像そのものにAI出力を含めることは不可です。利用した場合は、納品時にツール名と使用箇所をご記入ください。弊社からお渡しする資料(未公開原稿・個人情報を含むもの)は、外部のAIサービスに入力しないでください。この条件で受けていただけるか、ご回答をお願いします。

条項の下書き(説明用の例)

第○条(生成AIの利用)1. 乙は、本件業務において、甲が発注書で指定した利用区分の範囲内でのみ生成AIを利用できる。2. 乙は、納品時に、生成AIの利用の有無、利用したサービス名、利用箇所を甲に書面で申告する。3. 乙は、甲が提供した資料を、甲の事前の書面承諾なく生成AIサービスに入力してはならない。4. 乙は、第三者の著作物に類似させる目的で生成AIに指示してはならない。5. 前各項に違反した場合、乙は甲の求めに応じ、成果物の差し替えその他必要な対応を行う。

これは文例であって、そのまま契約書に貼れる完成品ではありません。報酬、検収、秘密保持などの既存条項とのつながりも、弁護士の確認で整えてください。

なぜこの項目か:公的資料から言えること

各項目の背景として、確認できた範囲を整理します。

権利帰属(項目6):米国著作権局は2025年1月29日公表の報告書「Copyright and Artificial Intelligence, Part 2: Copyrightability」で、プロンプトの提供だけでは著作権の保護に足りないとしています。一方で、AIを制作の補助に使うことや、AI生成物を人間の作った大きな作品の一部に含めることは、それだけで著作権の対象外にはならないとも述べています(同ページ)。つまり「AIで作った部分は、権利を主張しにくい可能性がある」ことを前提に、発注側は譲渡の条項を考える必要があります。ただしこれは米国の見解で、日本の判断ではありません。

日本の見方(項目5・6):文化庁は「AIと著作権について」のページで、2024年3月15日付の「AIと著作権に関する考え方について」と、同年7月31日公開の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を案内しています。後者の本文20〜21頁では、利用前の類似性確認や生成過程の記録を勧めています。また、生成物の著作物性は、利用者の創作意図と創作的寄与の程度によって判断されると説明しています。契約上は、判断が個別事案に左右される前提で、申告と記録保存(項目3・11)を厚くしておくのが安全です。

入力素材(項目4):個人情報保護委員会は2023年6月2日付で、生成AIサービスの利用に関する注意喚起等を公表しています。注意喚起の本文は、個人情報の入力が利用目的の達成に必要な範囲内かを確認し、本人の同意なく個人データを入力する場合には、サービス提供者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。一律の入力禁止を求めるものではありませんが、本記事の文面例では、契約上の方針として原則禁止を提案しています。発注側が例外を承諾する場合も、法令上の要件の確認は別途必要です。なお、サービス側で「学習に使わない」設定をしても、それは外注先との秘密保持とは別の話です。設定の有無とは切り離して、入力そのものの可否を契約に書いてください。

発注から納品までの進め方

  1. 発注前:案件ごとにA/B/Cを決め、上の表の#1〜#3と#4を発注書に転記します。#6と#8は、固定の雛形があれば流用し、なければ弁護士に相談します。
  2. 発注時:確認文を送り、外注先から「その条件で受ける」という返答を文面で残します。口頭合意にしません。
  3. 納品時:申告書を受け取り、区分と食い違いがないか確認します。Bなのに「納品画像にAI生成画像を使用」とあれば、使用箇所と合意した条件を確認し、差し替えなどの対応を協議します。
  4. 修正時:修正の依頼文にも「AI利用は区分○のまま」と一言添えます。修正だけAIに任せる、という抜け穴を防げます。
  5. 公開前:人が確認する点は、既存作品に似ていないか(画像は類似画像検索、文章はコピー確認ツールなど)、固有名詞や数字の裏取り、表示の要否(#12)です。AIを使ったかどうかの申告があっても、似ていないことの保証にはなりません。

AI利用を認める案件では、「使うなら申告し、入れてはいけない素材を守る」という条件を外注先と共有してください。まずは次の案件1本分、区分と申告欄だけでも発注書に入れるところから始めてください。

出典・参考資料