AIが作った誤りを公開後に見つけたとき:訂正文の書き方と対応手順
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

公開後にAIの誤りを見つけたら、まず一次資料で正しい内容を確認します。次に、誤りが読者の判断に影響するかどうかで「静かに修正」「訂正注記つきで修正」「削除(取り下げ)」のどれかを選びます。訂正文は、何が誤りで、何が正しく、いつ直したかを短く書きます。誤りの出どころがAIであっても、公開した責任は発信者にあります。この記事では、判断表、訂正文テンプレート3種、対応手順表を順に示します。 なお、記事中のサンプルは「説明用の例」で、実在の製品や事例ではありません。手順やテンプレートは編集上の提案であり、実際に運用して検証した結果ではありません。
修正・追記・削除の使い分け
迷ったときは、「誤りを信じた読者が、お金・時間・行動で損をするか」を基準にします。
- 誤字、表記ゆれ、リンク切れなど。結論や判断に影響しない、区分:軽微な修正、本文の扱い:そのまま直す、読者への見せ方:末尾に更新日と一行の履歴
- 数値、固有名詞、手順、日付などの事実誤りで、判断や操作に影響する、区分:訂正、本文の扱い:本文を正しい内容に直す、読者への見せ方:冒頭に訂正注記(テンプレートB)
- 公開後に新情報が出た。当時の記述は誤りではない、区分:追記、本文の扱い:元の文は残し、追記部分を明示、読者への見せ方:「追記」と日付を付ける
- 誤りが記事の中心で、直すと別の記事になる。または根拠が確認できない、区分:削除・非公開、本文の扱い:本文を下げる、または概要だけ残す、読者への見せ方:取り下げの説明(テンプレートC)
「追記」と「訂正」は区別します。最初から誤っていたなら訂正、後から状況が変わったなら追記です。誤りを「情報の更新」として処理すると、読者は自分が見た内容が誤りだったと気づけません。
また、商品やサービスの紹介記事で、効果・性能・価格などを誤って書いた場合は、一般の記事より優先して直します。消費者庁は、景品表示法で、実際よりも著しく優良、または有利だと誤認させる表示を、事業者による不当表示として整理しています(消費者庁「表示規制の概要」)。個人の発信や記事が同法の対象になるかは、取引との関係や立場によって変わります。判断に迷う場合は、専門家に相談してください。
訂正文テンプレート3種
角括弧の部分を置き換えて使います。下の例は、説明用の例です。
テンプレートA:軽微な修正(末尾の更新履歴)
【更新履歴】
[YYYY年M月D日] [修正箇所]の表記を「[旧]」から「[新]」に修正しました。内容と結論への影響はありません。説明用の例:2026年10月28日 手順3の画面名を「設定」から「環境設定」に修正しました。内容と結論への影響はありません。
テンプレートB:事実誤りの訂正(記事冒頭)
【訂正】[YYYY年M月D日]
初版([公開日]公開)で、[箇所]を「[誤]」と記載していましたが、正しくは「[正]」です。
原因:[生成AIが作成した下書きを、公開前に一次資料で確認していなかったため/確認できた範囲で書く]
影響:[この数値を使った比較表・結論も修正しました/結論は変わりません]
対応:本文を修正し、出典として[資料名とリンク]を追加しました。
ご指摘・ご質問は[連絡先]までお願いします。説明用の例:【訂正】2026年10月28日 初版(10月20日公開)で、ツールXの無料枠を「月100回」と記載していましたが、正しくは「月50回」です。原因:生成AIが作成した下書きを、公開前に公式ページで確認していなかったためです。影響:コスト比較表も修正しました。対応:本文を修正し、公式ページへのリンクを追加しました。
原因の欄は、事実として確認できることだけを書きます。「AIが間違えました」だけで済ませると、確認を怠った点が見えなくなります。原因が不明なら、その欄は削って構いません。
テンプレートC:削除・取り下げ
【記事の取り下げについて】[YYYY年M月D日]
「[記事タイトル]」([公開日]公開)は、[理由:根拠を確認できない記述が含まれていた/中心となる情報に誤りがあった]ため、公開を停止しました。
該当記事の情報に基づいて[行動]された方は、[公式の情報源]をご確認ください。
修正版を公開する場合は、このページでお知らせします。削除すると履歴ごと消えます。URLを消す前に、取り下げの説明ページを置くか、同じURLに説明文だけを残すかを決めておきます。
発見から公開までの対応手順表
- 1、やること:誤りの指摘を保存する(日時、内容、連絡元)、担当:人、確認のポイント:指摘そのものも未検証として扱う
- 2、やること:一次資料で正しい内容を確認する、担当:人、確認のポイント:AIの再回答を根拠にしない。公式ページの閲覧日を控える
- 3、やること:同じ誤りが他の箇所にないか洗い出す、担当:AI+人、確認のポイント:本文、表、見出し、画像内の文字、要約、SNS投稿
- 4、やること:区分を決める(軽微/訂正/追記/削除)、担当:人、確認のポイント:上の判断表を使う
- 5、やること:訂正文と修正案を作る、担当:AI(下書き)+人、確認のポイント:原因欄は人が事実確認してから残す
- 6、やること:公開責任者が承認する、担当:人、確認のポイント:修正後の文に、新しい誤りが入っていないか
- 7、やること:本文を更新し、訂正注記を載せる、担当:人、確認のポイント:更新日、タイトル、メタ情報も揃える
- 8、やること:配信先に反映する(SNS、ニュースレター、転載先)、担当:人、確認のポイント:元の投稿を直せない場合は、訂正の投稿を出す
- 9、やること:再発防止を記録する、担当:人、確認のポイント:公開前チェックに「数値・固有名詞は一次資料で確認」を足す
手順2より前に本文を直し始めると、直した内容も誤る恐れがあります。先に事実を固めます。
AIに任せる部分と、人が確認する部分
AIには、影響範囲の洗い出しと訂正文の下書きを任せられます。誤りの確定、原因の判断、公開の可否は人が決めます。
渡す情報は、記事本文、確認済みの正しい情報、誤りの箇所だけにします。読者の個人情報や非公開の資料は渡さず、必要なら説明用のデータに置き換えます。学習利用をオフにしても秘密保持が保証されるわけではないため、利用中のサービスの規約を確認してください。
依頼文の例:
次の記事本文に、下記の誤りと同じ内容の記述が他にないか、箇所を全て挙げてください。
言い換えや表、見出しも対象です。修正案はまだ書かないでください。
【誤り】ツールXの無料枠は「月100回」と記載
【正しい情報】月50回(公式ページで[閲覧日]に確認)
【本文】
(ここに本文を貼る)出力を受けたら、次の依頼で訂正文の下書きを作らせます。
上の洗い出し結果をもとに、テンプレートBの形式で訂正注記を作ってください。
条件:原因欄には「公開前に公式ページで確認していなかった」とだけ書く。
推測で原因や影響を足さない。断定できない点は[要確認]と書く。AIが挙げた箇所は、人が本文を検索して照合します。AIの洗い出しは漏れる可能性があります。
訂正の履歴を読者に見せる方法
読者に見せる履歴は、次の三段階にすると分かりやすくなります。
- 冒頭の訂正注記:判断に影響する誤りは、本文を読む前に目に入る位置に置きます。
- 末尾の更新履歴:日付と変更点を、新しいものが上になるように並べます。
- 誤りの元の記述:誤りが広く共有されている場合は、取り消し線などで残すと、すでに情報を受け取った読者が自分の理解を直せます。残すかどうかは、記事の性質で決めてください。
訂正の履歴を載せることと、AIを使ったことの表示は別の話です。EUのAI規則(AI Act)第50条第4項では、公共の利益に関する事項について公衆に情報提供する目的で公開されるAI生成・操作テキストは、原則として明確な表示が必要です。ただし、内容について人が実質的に確認するか、編集主体が事実確認などを行い、内容を承認・変更・却下できる編集管理があれば、この表示義務の対象外です。スペルチェックや文法修正だけでは該当しません。第50条の透明性義務は2026年8月2日から適用されます(欧州委員会「Article 50 FAQ」)。適用範囲は発信者の立場や活動、公開するテキストの目的・内容などで変わるため、EU域内の読者に向けて発信する場合は、個別の適用条件を確認してください。
いずれの場合も、訂正注記は表示義務を満たす代わりにはなりません。公開前の人による確認を記録しておくことが、訂正の質と説明のしやすさの両方につながります。

