マガジン

AIで作った口コミや紹介文は広告になる? ステマ規制の資料の読み方

AIを使いこなす

Claudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

机の上で無地のカードを手で分け、掲載内容を整理している様子
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

結論から言うと、分かれ目は「AIが書いたかどうか」ではありません。見るべきなのは、事業者が表示の内容に関与しているか、そしてそれが読者に伝わる形になっているかです。事業者が自社の商品のためにAIで作った紹介文は、第三者の自発的な感想とは言えず、広告として扱う側に寄ります。そのため、「広告」「PR」などの表示なしに個人の口コミのような顔で出すのは、ステルスマーケティング規制で問題になりやすい使い方です。 この記事では、消費者庁の公開資料の読み方を整理したうえで、AI生成の紹介文や架空人物の投稿に当てはめます。最後に、事業者の関与を確かめる質問票と、広告である旨の表示例を載せました。これらは説明用の例で、実際の案件で動かして検証した結果ではありません。個別の適法性を保証するものでもありません。

この記事の目次
  1. 資料の読み方:まず「誰の規制か」「何を事業者の表示とみるか」
  2. AI生成物に当てはめる:Q&Aの考え方を延長する
  3. 事業者の関与を確かめる質問票(10問)
  4. 広告である旨の表示例
  5. AIに任せる部分と、人が決める部分
  6. 迷ったときの動き方

資料の読み方:まず「誰の規制か」「何を事業者の表示とみるか」

消費者庁のステルスマーケティング規制の概要ページ(2026年10月29日閲覧)によると、2023年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示は景品表示法違反になります。対象にはSNS投稿やレビュー投稿などのインターネット上の表示が含まれ、インフルエンサーへの依頼・指示による広告も入ります。

規制を受けるのは、商品やサービスを供給する事業者(広告主)です。同ページでは、インフルエンサーなどの第三者は規制対象者ではないとされています。つまり、読者の立場で見え方が変わります。

  • 自社が供給する商品をAIで宣伝し、表示内容の決定に関与する事業者は、規制の当事者です。取引先の商品を紹介する場合は、自分もその商品の供給者に当たるかを確認します。
  • 報酬や商品提供を受けて投稿する第三者は、原則として直接の対象ではありません。ただし、広告主と共同で商品等を供給する場合は対象になり得ます(Q1)。また、依頼元の事業者の表示に当たれば、広告であることを明瞭にする必要があります。
  • 事業者から何も受け取らず、自分の意思で書く人は、通常は「事業者の表示」に当たらない側です。

同ページの関連資料には告示と運用基準があります。告示と運用基準では、「事業者の表示」に当たるかと、それが一般消費者に明瞭に分かるかを分けて考えます。本稿では、条文そのものの引用は避け、これらと概要ページ、実務の疑問に答えるステルスマーケティングに関するQ&Aを手がかりに説明します。

AI生成物に当てはめる:Q&Aの考え方を延長する

Q&Aを見た範囲では、生成AIや架空の人物を題材にした項目は確認できませんでした。以下の当てはめは、Q&Aが示す考え方を延長した編集上の整理です。消費者庁がAIについて個別に示した見解ではありません。

Q&Aで繰り返し出てくる軸は「事業者が内容の決定に関与したか」です。たとえば次のように書かれています。

  • Q6の割引と引き換えの口コミ投稿は、内容の指示がなく、割引程度の対価と関係性であれば、通常は事業者の表示に当たらない。星5評価や推奨コメントを条件にすると当たる。ただし、内容の指示がなくても、やり取りや対価、取引関係などから関与が認められる場合がある(Q5・Q19)。
  • 顧客の声を無作為に選び変更せず引用する部分は当たらない。好意的な回答だけを選んだり、良い点と悪い点のある回答から良い点だけを抜粋したりすると当たる(Q10)。
  • 従業員の投稿でも、販売促進が職務の人の投稿は事業者の表示に当たりうる(Q3)。
  • 事業者の依頼がない自主的な投稿に「PR」表記は不要(Q21)。

この軸に、AIが絡む典型的な場面を並べると次のようになります(すべて説明用の例です)。

  • 自社サイトの商品ページに、AIで作った紹介文を載せる、事業者の関与:事業者自身の文章、考え方:自社の宣伝だと分かる場所なら、第三者を装う問題は小さい。ただし事実と違う内容は別の問題(後述)
  • AIで「30代・会社員・購入者」という架空人物の口コミを作り、レビュー欄に載せる、事業者の関与:事業者が内容も人物像も決めている、考え方:広告を第三者の感想に見せており、ステマ規制上の問題になり得る。実在しない体験談という内容面の問題も重なる
  • 事業者がAIで投稿文の下書きを作り、インフルエンサーに「これで投稿して」と渡す、事業者の関与:内容を決定している、考え方:事業者の表示。「広告」などの明示が必要
  • 実際の顧客アンケートから、AIで好意的な声だけを要約して掲載する、事業者の関与:選別・要約している、考え方:Q10の「好意的なものだけ選ぶ」に近い。事業者の表示として明示が必要
  • 事業者から何も受け取らない個人が、AIで感想の下書きを整えて投稿する、事業者の関与:関与なし、考え方:AIを使っても自分の意思なら、事業者の表示には当たらない側(Q21の考え方)
  • 報酬を受けた人が、AIで整えた紹介文を投稿する、事業者の関与:依頼を受けた投稿、考え方:事業者の表示に当たる可能性が高い(Q19)。「依頼を受けて投稿」などと書く

最後の2行から分かるとおり、AIの使用自体で広告かどうかが決まるわけではありません。やり取りや対価、関係性などから事業者が内容の決定に関与したかを判断し、さらに表示内容全体から事業者の表示だと明瞭に分かるかを確認します。既に明瞭であれば、「広告」等の文言を追加することが一律に必要なわけではありません。

広告表示で解決しない問題

「広告」と書けば何を書いてもよいわけではありません。2026年10月20日に公表された株式会社giobaiへの措置命令では、優良誤認(景品表示法第5条第1号)とステルスマーケティング告示違反(同条第3号)が、別の違反として挙げられています。体験していない効果を体験談として書けば、広告と明示しても内容面の問題は残ります。AIが架空人物の体験談を量産すると、この問題を起こしやすくなります。

事業者の関与を確かめる質問票(10問)

投稿や紹介文を出す前に、次の10問に答えてください。説明用の例として作ったもので、公的な様式ではありません。

  • 1、質問:実在の利用者の声として載せる内容は、その本人の実際の感想に基づくものか、はい/いいえ:
  • 2、質問:紹介する商品・サービスの提供元は、自分または自分の関係者か、はい/いいえ:
  • 3、質問:金銭、商品の無償提供、割引、クーポンなど、何らかの対価があったか、はい/いいえ:
  • 4、質問:事業者(または代理店・仲介者)が投稿を依頼・指示したか、はい/いいえ:
  • 5、質問:事業者が本文、評価点、使う語句、投稿時期を指定したり、下書き(AI生成を含む)を渡したり、修正・承認したりしたか、はい/いいえ:
  • 6、質問:事業者が集めた顧客の声から、選別、抜粋、要約をしたか、はい/いいえ:
  • 7、質問:実在しない人物の口コミや、実際にはない体験をAIで作ったか、はい/いいえ:
  • 8、質問:掲載場所の見た目から、読者は事業者の表示だと分かるか、はい/いいえ:
  • 9、質問:「広告」等の表示は、読者が見落とさない位置と形で出るか、はい/いいえ:
  • 10、質問:書かれている体験や効果は事実か。体験していないことを体験談として書いていないか、はい/いいえ:

結果の読み方

  • 2〜6のどれかが「はい」: 事業者の関与を確認する手がかりです。「はい」の数だけでは判定できません。対価や依頼があっても、投稿内容が自主的に決められたと認められる場合があります(Q5・Q6)。6も、無作為に選び変更せず引用する場合は別です(Q10)。やり取りや関係性を総合して判断し、事業者の表示に当たる場合は、8・9で広告だと明瞭に分かるかを確認します。
  • 7が「はい」: 架空人物の体験談という形は避けてください。使うなら「事業者が作成した利用イメージ」と明記して、利用者の声の欄とは分けます。
  • 1が「いいえ」: 実在の利用者の感想として載せないでください。事業者が作った文面なら、公式アカウントや公式ページで事業者自身の紹介文として出す形に直します。
  • 事業者の表示に当たり、8・9から広告だと明瞭に分からない場合: 表示の文言、位置や形を直してください(次節)。
  • 10が「いいえ」: 広告表示では解決しません。文面を事実に合わせて書き直します。

広告である旨の表示例

Q&Aでは、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」のほか、全体から事業者の表示だと明瞭に分かる記載なら認められるとされています。例として「○社から提供を受けて投稿」が挙がっています(Q11)。以下は、これを踏まえた説明用の文例です。

  • 報酬を受けて依頼された投稿、表示例(説明用):【広告】株式会社○○の依頼を受けて投稿しています
  • 商品の無償提供を受けた、表示例(説明用):【PR】株式会社○○から商品の提供を受けて投稿しています
  • 事業者が文面を用意した、表示例(説明用):【広告】この投稿は株式会社○○が用意した文面をもとにしています
  • 事業者が顧客の声を選んで掲載、表示例(説明用):【広告】株式会社○○が選んだお客様の声を掲載しています
  • 事業者がAIで作った利用イメージ、表示例(説明用):【広告】株式会社○○が作成した利用イメージです。実在の利用者の感想ではありません

表示の位置にも注意が要ります。Q&Aでは次のように説明されています。

  • リプライやツリーの中だけに置いた「広告」表示は、視認性が低く、通常は明瞭とは認められない(Q14)。
  • 動画は、冒頭だけだと途中から見る人に伝わらない可能性があるため、画面上に常に表示するのが望ましい(Q15)。
  • アフィリエイトでは、サイト冒頭に「アフィリエイトを利用しています」と書くだけでは足りない場合がある。事業者の表示だと明瞭に分かる必要がある(Q13)。

なお「AI生成」というラベルは、広告の表示の代わりになりません。AIを使ったことと、事業者の広告であることは別の情報です。両方を伝えたいなら、別々に書いてください。

AIに任せる部分と、人が決める部分

AIに紹介文を書かせる場合、次のような指示をあらかじめ入れておくと、架空の口コミを作る方向へ流れにくくなります(未実行の説明用プロンプトです)。

以下の商品情報だけを根拠に、事業者が出す広告文を書いてください。
- 実在しない人物の体験談や口コミの形にしない
- 商品情報にない効果、数値、利用者の声を書かない
- 文頭に「【広告】」を入れる
商品情報:(ここに事実だけを貼る)

AIに渡すのは、商品の仕様や価格など確認できる事実にとどめます。顧客の氏名や未公開情報は貼らず、必要なら説明用のダミーに置き換えてください。人が決めるのは、質問票の1〜10への回答、広告表示の文言と位置、効果や数値の裏づけです。ここはAIに任せず、公開の直前に人が確認します。

迷ったときの動き方

判断がつかない場合は、事業者とのやり取りや関係性を確認します。それでも迷う場合に広告と明示するのは、本稿で勧める慎重な対応であり、「関与がないと言い切れないだけで違反になる」という意味ではありません。個別の事案については、消費者庁の窓口や専門家に相談してください。制度は運用や事例の積み重ねで更新されるため、公開前には先に挙げたQ&Aと概要ページの最新の記載を見直してください。この記事は、日本国内の景品表示法を前提にしています。海外向けの発信には、別の国や地域の規則が及ぶことがあります。

出典・参考資料