画像生成AIのプロンプトでアートスタイルを指定する用語集
遊びをつくる執筆にClaudeを使用しています。

ゲーム用の画像を生成AIで作るとき、「もう少しレトロな雰囲気にしたい」「アニメっぽくしたい」と思っても、どう言葉にすればいいか迷うことがあります。画像生成AIはプロンプト(指示文)の語彙次第で出力が大きく変わるため、スタイルを指定する用語を知っているかどうかが、仕上がりの精度に直結します。 この記事では、ゲーム制作でよく使われるアートスタイル関連の用語を、意味・使い方・選び方の観点から整理します。単語の辞書的な列挙にとどまらず、「どの場面でどれを選ぶか」の判断基準と、プロンプトへの組み込み方まで説明します。
スタイル指定の基本構造を理解する
画像生成AIにスタイルを伝えるプロンプトは、大きく三つの層に分かれます。描画技法・メディアの種類(手描き、ピクセルアートなど)、参照するアートムーブメントや文化的文脈(印象派、サイバーパンクなど)、品質・仕上げに関わる修飾語(細密、ノイズ感など)です。この三層を意識して組み合わせると、意図したスタイルが再現されやすくなります。
たとえば「pixel art, 16-bit, warm color palette」は技法と色調の組み合わせで、「oil painting, impressionist, loose brushwork」は技法とムーブメントの組み合わせです。層をまたいで語句を混ぜすぎると、モデルが解釈に迷い、どちらつかずの出力になりやすい点に注意が必要です。
技法・メディア系の用語
ピクセル・レトロ系
pixel art はドット絵全般を指します。解像度感を強調したいときは low-res pixel art や 8-bit / 16-bit を添えると、粗さの度合いが調整できます。ファミコン風なら 8-bit NES style、スーパーファミコン風なら 16-bit SNES style と書くとより近い出力が得られます。dithering(ディザリング:限られた色数で濃淡を点描で表現する技法)を加えると、古いグラフィックハードウェアを模した粒状感が出ます。
CRT scanlines はブラウン管テレビの走査線を模したエフェクトで、レトロゲームのUI画面や背景に雰囲気を加えたいときに使えます。
手描き・絵画系
hand-drawn は鉛筆や手描き感の総称で、sketch に近いですが後者はより線画・ラフ稿のニュアンスが強くなります。ink illustration はペン画・墨画系、watercolor は水彩、gouache(ガッシュ:不透明水彩)は塗りが均一でポスター的な仕上がりになります。
oil painting は重厚なテクスチャを求めるとき、acrylic painting はやや平坦で鮮やかな発色が欲しいときに使い分けられます。ゲームの背景グラフィックでは、油彩よりもアクリルや水彩の語句のほうが軽やかな印象になることが多いです。
デジタル・ベクター系
digital illustration は汎用的すぎて方向性が定まりにくいため、flat design (陰影を省いたシンプルな面塗り)、vector art(ベジェ曲線で描いたきれいな輪郭)、cel shading(アニメのセル画風にアウトラインと単色塗りで表現する技法)など、具体的な語句を選ぶほうが意図が伝わります。cel shading はゲームの3D風2Dキャラクターに向いており、flat design はUIアイコンや背景の単純化に適しています。
アートムーブメント・文化的文脈の用語
日本的なスタイル
anime style は広義のアニメ絵を指しますが、時代や作風によって出力がばらつきます。より絞り込むには 1990s anime style(80〜90年代の手描きセル画風)や modern anime style のように時期を添えると効果的です。
manga style はモノクロの漫画表現に向いており、スクリーントーンや集中線が欲しい場面では screentone, speed lines を併記します。chibi(頭身が低くデフォルメされたキャラクター表現)はゲームのアイコンやサブキャラに使いやすい語句です。
ukiyo-e(浮世絵)は和風ゲームの背景やロード画面に使えます。woodblock print style を添えると版画的なざらつきが加わります。
西洋・歴史的スタイル
art nouveau(アール・ヌーヴォー:植物的曲線と装飾性が特徴の19〜20世紀初頭のスタイル)はファンタジーゲームのUI枠やタイトルロゴ周辺に合います。art deco(アール・デコ:直線的・幾何学的で対称性のある1920〜30年代スタイル)は探偵モノやレトロモダンな世界観と相性が良いです。
impressionist(印象派:光と色の揺らぎを短いタッチで表現)は背景の自然描写に使えます。expressionist(表現主義:主観的な歪みや強い色対比)はホラーやサイコロジカルスリラー系のゲームに向いています。
ジャンル・世界観系
cyberpunk はネオンと暗闇のコントラスト、steampunk は歯車・蒸気・真鍮の質感、dark fantasy は暗く重厚なファンタジー、cottagecore は田舎の自然を温かく描いたスタイルを呼び出すキーワードです。これらは世界観ごとに定番のビジュアル文法がAIに学習されているため、一語加えるだけで色調・質感・構成要素がまとまって変化します。
品質・仕上げ修飾語の使い方
highly detailed や intricate は細密さを求めるときに使いますが、ピクセルアートなどのシンプルさが持ち味のスタイルと組み合わせると方向性が衝突します。スタイルの性質と品質語の方向性を揃えることが大切です。
rough texture(粗さ)、grungy(汚れ・使い込み感)、clean linework(きれいな線画)、soft shading(ソフトなグラデーション)は仕上げの方向を微調整する語句です。ゲームUIでは clean 系、ホラー・ダーク系では grungy 系が馴染みやすいです。
cinematic lighting(映画的な劇的ライティング)、flat lighting(均一な光源のないライティング)、rim lighting(逆光気味の縁取り光)はキャラクターや背景の立体感をコントロールします。アクションゲームのキービジュアルなら cinematic lighting、UIアイコンやシンプルなスプライトなら flat lighting が扱いやすいです。
組み合わせるときの判断基準と失敗しやすい点
スタイル用語は「多く書けばいい」ものではありません。互いに矛盾する語句(hyper-realistic と pixel art など)を並べると、モデルが折衷した中途半端な出力を返すことがあります。まず技法を一つ決め、それと整合する修飾語だけを添える、という優先順位が基本です。
参照したい具体的なゲームや映像作品がある場合、その固有名詞をプロンプトに入れる方法もありますが、著作権やライセンスの扱いは利用するサービスの規約によって異なります。個別の判断は各サービスの利用規約や専門家の見解で確認してください。
生成モデルによって同じ語句でも出力の傾向が異なります。使っているモデルで語句の効き方を実際に試し、反応が薄い語句は別の表現(類義語や英語の言い回し)に替えてみることが、精度を上げる最短の方法です。
次の行動
この記事で挙げた用語を手元にメモしておき、次に素材を生成するときに技法・文化的文脈・仕上げの三層からそれぞれ一〜二語ずつ選んでプロンプトを組み立ててみてください。スタイルが決まったら、ゲームとして仕上げた作品はアソバース(https://aso-verse.com)にHTMLまたはZIPファイルで投稿して公開できます。ぜひ制作したゲームを多くのプレイヤーに届けてください。
参考資料
- Stable Diffusion 公式ドキュメント(Stability AI)
- Midjourney 公式ドキュメント
- DALL·E 公式ドキュメント(OpenAI)

