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AIが作ったスライドの数字・固有名詞・出典を確認するチェックリスト

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

印刷したスライドの数字と、元の報告書の表を鉛筆で見比べながら、ログ用紙に確認の印を付けている机の上の様子
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

AIが作ったスライドで先に確認すべきなのは、数字、固有名詞(社名・人名・製品名・法令名)、日付、引用や出典の4種類です。どれも「それらしく書けてしまい」、間違っていても文として自然に読めます。見た目の整い方では誤りを見分けられません。 進め方は3段階です。 1. AIに、スライド本文から「確認が必要な箇所」を抜き出させる 2. 抜き出した箇所を、人が一次資料(発行元の統計表、公式サイト、原文書)で照合する 3. 照合結果を、簡易ログに1行ずつ残す AIには洗い出しと表づくりを任せ、「合っているか」の判定は人が一次資料で行います。 MicrosoftのCopilot in PowerPointのFAQには、生成された内容が不正確、誤解を招く、または無関係な場合があり、共有前に確認・編集・検証すべきだという趣旨の記載があります。同社のCopilot出力の評価ページの「精度」の項も、事実・数字・名前・日付・参照を含むすべての詳細を確認し、信頼できる情報源で裏づけられるかを自問する流れです(いずれも2026年10月28日に閲覧。ページに更新日の表示はありません)。以下の4分類は、この考え方をスライド作業向けに具体化した、本誌の編集上の提案です。使うAIがCopilotでなくても、手順は同じです。

この記事の目次
  1. AIに「確認箇所の洗い出し」を頼む依頼文
  2. 数字・固有名詞・日付・引用の確認表
  3. 確認済みを残す簡易ログの書式
  4. 発表前の手順と、確認できなかった場合の判断

AIに「確認箇所の洗い出し」を頼む依頼文

スライドの文章をAIに貼り、検証ではなく抽出を頼みます。「この内容は正しいですか」と聞くと、「正しいです」の一言で終わり、人が確認すべき箇所の一覧が手に入りません。

以下はプレゼン資料のスライド本文です。内容が正しいかの判定はしないでください。
発表前に人が一次資料で確認すべき箇所を、すべて抜き出してください。

【抜き出す種類】
A. 数字(金額、割合、件数、順位、倍率、単位)
B. 固有名詞(組織名、人名、製品・サービス名、法令名、調査名)
C. 日付(年月日、年度、「最新」「現在」など時点を示す語)
D. 引用・出典(「〜によると」「調査では」「専門家は」、出典の記載)

【出力形式】表で、列は次のとおり
スライド番号 / 種類 / スライド上の記載(原文のまま) / 確認すべき一次資料の種類 / 出典がスライドに書かれているか(有・無)

【注意】
- 出典の記載がない数字や「調査では」は、必ず抜き出す
- 確認先のURLは推測で書かない。資料の「種類」だけ書く

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(ここにスライド本文を貼る)

未公開の数値や顧客名を含むスライドは、そのまま貼る必要がありません。「売上 ○○円」のように伏せ字にして抽出だけさせ、実際の値の照合は手元で行えば足ります。利用中のAIサービスのデータの扱いは、別途、組織の規則と提供元の説明で確認してください。

AIが返した表に抜けがある可能性は残ります。スライドを上から目で追って、自分でも印をつけてください。

数字・固有名詞・日付・引用の確認表

洗い出した項目を、種類ごとに次の観点で確かめます。

  • 数字、見落としやすい点:単位の取り違え(万/億)、%とポイントの混同、年度と暦年の混同、合計が合わない、丸め方、確かめる一次資料:統計の発表元の表、決算資料、調査報告書の本体、照合の観点:原表の数字と一致するか。調査対象・期間・母数が文の主張と合うか
  • 固有名詞、見落としやすい点:似た名称との混同、旧社名・旧製品名、人物の肩書き、法令名の言い違い、確かめる一次資料:組織や製品の公式サイト、法令の公式データベース、照合の観点:表記・正式名称が一致するか。現在も存在・有効か
  • 日付、見落としやすい点:発表日と施行日の混同、「最新」が古い、年が1つずれる、確かめる一次資料:発表元のプレスリリース、公式の更新履歴、告示・公報、照合の観点:日付の種類(発表/施行/提供開始)が合っているか。いつ時点の情報か
  • 引用、見落としやすい点:実在しない出典、言っていない発言、要約が原意とずれる、確かめる一次資料:原文そのもの(論文、報告書、記事、発言の記録)、照合の観点:原文に該当箇所があるか。文脈を変えていないか。書誌情報は正しいか

数字では、グラフ化の過程で値や軸が変わることがあるため、グラフの元データと文中の数字が同じかも見ます。日付では、サービスの機能や料金、制度の話ほど、公式ページの現在の記述を優先します。AIの知識が古い可能性があるためです。

引用で最も危険なのは、出典名も年も尤もらしいのに原文が存在しないケースです。AIが挙げた出典は、自分で原文を開いて該当箇所を確認できるまでスライドに残さないのが安全です。

なお、著作権法上の引用の要件など権利面の判断は、本稿の対象外です。ここでは「事実として正しいか」の照合だけを扱います。

確認済みを残す簡易ログの書式

記録は表計算ソフトの1シートで足ります。列は次のとおりです。

  • ID、書く内容:種類の頭文字+連番(N01、D01など)
  • スライド、書く内容:スライド番号
  • 種類、書く内容:数字/固有名詞/日付/引用
  • 記載(修正前)、書く内容:スライド上の表記
  • 一次資料、書く内容:資料名と発行元
  • URLまたは所在、書く内容:公式ページのURL、社内資料名など
  • 資料の時点、書く内容:資料の発行日・更新日・対象期間
  • 結果、書く内容:一致/修正/確認不可/削除
  • 記載(修正後)、書く内容:直した表記。変更なしなら空欄
  • 確認者・確認日、書く内容:誰がいつ照合したか

次は書式の見本です。説明用の架空の例であり、実在の資料や実際の確認結果ではありません。

  • N01、スライド:3、種類:数字、記載(修正前):利用率が15%増加、一次資料:A社 調査報告書(例)、URLまたは所在:(資料のURLを記入)、資料の時点:2025年度調査、結果:修正、記載(修正後):利用率は40%から55%へ(15ポイント増)、確認者・確認日:氏名・日付
  • D01、スライド:5、種類:日付、記載(修正前):2024年4月に発表、一次資料:B省 公式発表(例)、URLまたは所在:(URLを記入)、資料の時点:発表日:同年3月、結果:修正、記載(修正後):発表は3月、開始は4月と区別して書く、確認者・確認日:氏名・日付
  • Q01、スライド:8、種類:引用、記載(修正前):「〜と専門家が指摘」、一次資料:出典不明、URLまたは所在:なし、資料の時点:なし、結果:削除、記載(修正後):スライドから削除、確認者・確認日:氏名・日付

N01は、40%から55%への変化を「15%増」と書いた誤りの想定です。ポイント差と相対的な増加率は別物なので、どちらを言いたいのかも決めて書きます。

発表前の手順と、確認できなかった場合の判断

時間は資料の量で変わるので、次の順で進めます。

  1. 依頼文で確認箇所を抽出し、表を作る
  2. 出典のない項目、数字、引用を先に確認する(間違いの影響が大きいため)
  3. 一次資料を開き、ログに1行ずつ記入する。AIが示した出典は、自分で原文を開いたものだけ「一致」にできる
  4. 修正した内容を、スライド、グラフ、発表者ノートに反映する
  5. スライド全体を読み直し、修正で前後の文が食い違っていないか見る

一次資料に行き着けない場合の扱いは次のとおりです。

  • 一次資料で一致した、扱い:そのまま残し、ログに「一致」
  • 数字や日付が違った、扱い:一次資料の値に直し、修正前後をログに残す
  • 二次的な記事しか見つからない、扱い:「〇〇の報道による」と出所を明記して残すか、結論に使わない
  • 一次資料が見つからない、扱い:削除する。話したい場合は「未確認」と断って口頭で補う程度にとどめる
  • 出典がAIの提示のみで原文を開けない、扱い:削除する。内容を残したいなら自分で調べ直して書く

発表前の最後の関門は、ログに「確認不可」が残っていないことです。上の表に従い、すべて「削除」か出所明記の形に落とし込みます。

AIが生成した図表のラベルなど、画像内の文字はテキスト検索に引っかからず見落としやすい箇所です。表示された文字を目で読み、同じ4種類で確認してください。

また、MicrosoftのFAQでは、PowerPointのデザイン提案機能が公式にサポートするのは en-US のみで、他の言語ではネイティブスピーカーによる確認が必要とされています。この記載はデザイン提案機能に関するものですが、日本語で作る資料でも、固有名詞の表記ゆれと、自然な言い回しに隠れた事実の誤りには特に注意してください。

出典・参考資料