マガジン

スライドの図解案をAIに比べてもらう:比較・手順・関係・推移の選び方

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

同じ内容を4種類の図解にした紙のスケッチが机に並び、手がそのうち1枚を選んで手前に引き寄せている場面
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

結論から言うと、図解の型は見た目の好みではなく、聞き手に持ち帰ってほしい関係で決めます。AとBの違いなら比較、順番があるなら手順、つながりや包含なら関係、時間による変化なら推移です。AIに「図にして」と頼む前に、この4つのどれに当たるかを一文で言えるようにしておくと、出てくる案の質が安定します。 迷う場合は、同じ説明を4つの型で一度ずつ案にしてもらい、並べて選ぶ方法が手早いです。この記事では、そのための依頼文と判断表を用意しました。

この記事の目次
  1. 先に決めるのは「聞き手に何を理解してほしいか」
  2. 型を選ぶ判断表
  3. 同じ説明を4つの型にさせる依頼文
  4. AIの案を見るときの確認項目
  5. 選んだ案をツールで形にする
  6. 迷ったときの使い分け

先に決めるのは「聞き手に何を理解してほしいか」

MicrosoftのサポートページはSmartArtの選び方として、レイアウトを選ぶ前に「何を伝えたいか」を自問するよう勧めています。種類も用途で分かれています。リストは順序のない情報、プロセスは手順や段階(タイムラインや予定表も含む)、循環は繰り返し、階層構造は決定木や組織図、関係は階層や進行のないつながり、マトリクスは情報を二次元で分類して全体や中心との関係を示す、という具合です(Choose a SmartArt graphic)。ソフトが用意する型も、結局は「どんな関係を見せるか」で分かれています。

そこで、AIに渡す前に次の一文を埋めてみてください。

このスライドを見た人に「___と___の違い/___の順番/___のつながり/___の変化」が分かってほしい。

埋められないときは、図の前に主張がまだ固まっていません。その場合は図解案ではなく、スライドの主張を一文にする作業をAIに手伝ってもらうほうが先です。

型を選ぶ判断表

以下は、公式の分類を参考に、日常の質問へ置き換えた編集上の整理です。公式の分類そのものではありません。

  • 2〜3個の選択肢の違い、型:比較、向いている図の例:左右2列の対比、比較表、2軸のマトリクス、避けたいケース:項目が5個を超えて文字だらけになる
  • 何から何の順にやるか、型:手順、向いている図の例:矢印でつなぐステップ、縦のフロー、繰り返しなら循環図、避けたいケース:順序がないものを矢印でつなぐ
  • 何が何に含まれる/誰が誰に連絡する、型:関係、向いている図の例:階層図(組織図)、ベン図、中心と周辺の放射図、避けたいケース:上下関係がないのに階層で描く
  • 時間とともにどう変わったか、型:推移、向いている図の例:数値なら折れ線・棒グラフ、出来事の並びならタイムライン、避けたいケース:数値の変化を、数字を書いただけの箱で済ませる

推移だけは少し注意が必要です。数値の変化を見せたいなら、図形で組む図解よりグラフが本来の置き場所です。Gammaにもグラフ(Smart Charts)とは別に図(Smart Diagrams)があり、グラフはセルにデータを入力して作ります(Gammaヘルプ:グラフと図の作成)。「推移」の案が出たら、数値があるのか、出来事の順序だけなのかを確認してください。

同じ説明を4つの型にさせる依頼文

入力例(説明用の例)

以下は説明用の架空の例です。実在の社内情報ではなく、実際にAIへ試した結果でもありません。

来月から経費精算の方法が変わる。旧方式は紙の申請書を上長に提出し、経理が月末にまとめて処理する。新方式はアプリで領収書を撮影して申請し、上長が承認すると経理が週次で処理する。承認の期限は申請から3営業日。過去3か月の平均処理日数は、旧方式の例で12日、新方式の試行で5日(数値は例)。

自分の資料に置き換えるときは、社名・個人名・金額・取引先などの機密情報をダミーに変えてから貼り付けてください。

依頼文のテンプレート

あなたはスライド構成の相談相手です。
下の【説明】を、次の4つの型で別々に図解案にしてください。
①比較 ②手順 ③関係 ④推移

【条件】
- 聞き手:(例)全社員。専門用語は使わない
- スライドは1枚、16:9。図の要素は最大6個、1要素のテキストは20字以内
- 各案に次を書く:
  a. この型で聞き手に伝わること(1文)
  b. 図の構成(要素の名前、並べ方、矢印や線の向き)
  c. 各要素に入れる文言
  d. この型で捨てることになる情報
  e. 元の説明にない情報を足した箇所(なければ「なし」)
- 4案のあとに、聞き手に最も伝わるのはどれか、理由つきで1つ推薦する
- 数値は【説明】にあるものだけを使い、新しい数字を作らない

【説明】
(ここに上の入力例、または自分の説明を貼る)

「d. 捨てることになる情報」と「e. 足した箇所」を必ず書かせるのがポイントです。型ごとに何が落ちるのかが見えるので、比較が感覚頼みになりません。上の例なら、手順案では所要日数の差が落ち、比較案では承認の3営業日という期限が落ちやすい、と予想できます。実際にどうなるかは、AIの出力で確かめてください。

選んだ案を深掘りする追加依頼

②の手順案を採用します。
・ステップ名を動詞で始めて言い換えた版を3パターン
・承認期限の「3営業日」を目立たせる位置の提案
・図の下に置く一行の結論文を3案

AIの案を見るときの確認項目

AIが出す案は、あくまで提案です。人が見るべき点は次の4つです。

  1. 元の説明にない内容が混ざっていないか。 特に「e」の欄と、数値、固有名詞、期限を原文と照合します。
  2. 矢印や階層が事実と合っているか。 「承認の後に申請」のように順序が逆転したり、並列のものを上下に置いたりすることがあります。
  3. 文字量が収まるか。 先のMicrosoftのページは、文字が多いと図の見やすさが損なわれ、メッセージが伝わりにくくなると述べています。要素数と文字数は依頼文で上限を決めておくと、後の手直しが減ります。
  4. 一枚で一つの主張になっているか。 推薦された案でも、比較と手順が一枚に混ざっているなら、スライドを分けることも検討します。

選んだ案をツールで形にする

案が決まったら、各ツールの機能に写します。

  • PowerPoint(SmartArt): SmartArtにはテキストウィンドウがあり、案の「c. 各要素に入れる文言」をここに入力できます。レイアウトを変えても、カスタマイズの大部分は引き継がれると説明されています。ただし、図形の数が固定のレイアウトでは、テキストウィンドウの一部しか図に表示されないことがあります。要素数が合うか確認してください(SmartArtグラフィックについて)。
  • Gamma: スライド上で /diagram と入力して図を挿入し、右側のメニューから図形、線、矢印、テキストなどを追加して編集します。案の「b. 図の構成」を見ながら配置すると進めやすくなります。グラフが必要な推移案は /chart を使います。Gamma 5より前に作ったガンマでは、右側の挿入メニューからSmart diagramsを選ぶ、とヘルプにあります(前掲のGammaヘルプ)。

画面の表示名や機能は、バージョンやプランで変わる可能性があります。この記事の操作は公式ヘルプの記述を確認したもので、筆者が実機で試した結果ではありません。

迷ったときの使い分け

  • 2案が僅差なら、聞き手の次の行動に近いほうを選びます。「新方式に移行して」という行動なら手順、「どちらにするか決めて」なら比較が適します。
  • 説明が長くて4案とも窮屈なら、型の問題ではなく情報量が多すぎます。依頼文の要素数の上限を4に下げて、もう一度出してもらってください。
  • 4案とも違和感があるときは、冒頭の一文(何を理解してほしいか)を書き直し、依頼文に添えて再依頼します。

出典・参考資料