30ページの既存資料を発表用の8枚に短くする手順:AIに任せる所と残す所
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30ページを8枚にするとき、AIに任せてよいのは「章ごとの要点と根拠の抜き出し」と「8枚の下書き作り」です。何を残し、何を削り、何を付録に回すかは、聴き手に何を決めてもらうかで変わるので、人が決めます。 「30ページを8枚に要約して」と一括で頼むと、ページ数は減ります。ただ、聴き手の判断に必要な前提条件や但し書きが落ちても、気づきにくくなります。そこでこの記事では、次の順で進めます。 1. 発表の条件を3行で固定する(人) 2. 章ごとに要点を抜き出す(AI) 3. 残す・削る・付録に回すを仕分ける(人が決め、AIが案を出す) 4. 8枚に割り付けて下書きを作る(AI) 5. 数字と但し書きを原文と突き合わせる(人)
この記事の目次
手順1:発表の条件を3行で固定する(人の仕事)
AIに資料を渡す前に、次の3行だけ書いてください。これが仕分けの物差しになります。
- 聴き手:誰が聞くか。例:部門長3名。前提知識は少ない
- 求める反応:聞いた後に何をしてほしいか。例:来期の予算案への賛否を決める
- 持ち時間:例:10分。8枚なら1枚あたり1分強
「全部伝えたい」と感じても、求める反応に関係しない内容は、本編から外す候補です。
手順2:章ごとに要点を抜き出す指示文
30ページを丸ごと渡さず、章単位で渡します。長い文書は一度に処理できる量に限りがあるためです。たとえばMicrosoftのヘルプでは、Copilot in PowerPointが1回のプロンプトで処理できる語数に限りがあると説明されています(Frequently asked questions about Copilot in PowerPoint。2026年10月28日に確認)。章ごとに渡せば、抜けや取り違えも確認しやすくなります。
次の指示文を、章ごとに使います。【】の部分を差し替えてください。
以下は発表資料の元になった文書の「【第3章 現状の課題】」です。
発表条件:聴き手=【部門長3名】/求める反応=【来期予算案への賛否の判断】/持ち時間=【10分】
次の表を作ってください。
| 項目 | 内容 |
| 章の主張 | 1文。原文にある内容だけで |
| 根拠の数字・事実 | 原文の表記のまま。単位・期間・対象範囲も付ける |
| 前提条件・但し書き | 削ると誤解を招くもの |
| 判断への関係 | 求める反応に「直接関係する/補足/関係しない」のどれか。理由を1行 |
| 原文で読み取れない点 | 推測せず「不明」と書く |
ルール:原文にない数字や事実を足さない。言い換えで意味が変わりそうな箇所は原文をそのまま引用する。
【ここに章の本文を貼る】ポイントは「判断への関係」の行です。次の仕分けで、そのまま使えます。
機密情報を含む資料は、社名・顧客名・金額などをダミーに置き換えてから貼ってください。サービスによっては学習利用をオフにできますが、それは秘密保持の取り決めとは別の話です。社内の取り扱いルールを先に確認してください。
手順3:残す・削る・付録に回すの仕分け表
章ごとの表がそろったら、内容を次の基準で3つに分けます。AIに案を出させても構いませんが、最終判断は手順1の3行を見ながら人が行います。
- 残す(本編)、基準:求める反応に直接関係する。外すと聴き手の判断が変わる、よくある内容:結論、判断に使う数字、選択肢と比較、費用とリスク、決めてほしいこと
- 付録に回す、基準:質問が出たら見せたい。ただし説明しなくても判断はできる、よくある内容:詳細データ、計算の前提、調査方法、用語の定義、経緯の詳細
- 削る、基準:聴き手の判断に関係せず、質問されても資料としては不要、よくある内容:作業の苦労話、重複する説明、他の会議向けの背景
迷ったときは次の問いで決めます。
- この内容を知らないまま聴き手が賛否を決めたら、判断が変わるか → 変わるなら「残す」
- 数字は残すが根拠は長い → 結論の数字を本編、算出過程を付録
- 前提条件が結論を左右する → 前提は本編に1行残す
仕分け案をAIに出させる指示文は次のとおりです。
手順2で作った章ごとの表を貼ります。発表条件は【聴き手/求める反応/持ち時間】です。
各章の項目を「残す/付録に回す/削る」に仕分けし、理由を1行ずつ付けてください。
「削る」にした項目のうち、削ると誤解を招く可能性があるものには「要確認」と付けてください。「要確認」が付いた項目は、人が原文に戻って判断します。
手順4:8枚に割り付けて下書きを作る
「残す」に入った項目だけを使い、8枚に割り付けます。次は型の一例です。資料の種類に合わせて変えてください。
- 1、内容:結論と、今日決めてほしいこと
- 2、内容:背景と課題
- 3、内容:現状の数字
- 4、内容:選択肢の比較
- 5、内容:推奨案と理由
- 6、内容:実行計画
- 7、内容:費用とリスク
- 8、内容:決めてほしいことの再確認と次の一歩
付録は、本編とは別にスライド9枚目以降にまとめます。割り付けの指示文は次のとおりです。
「残す」に仕分けした項目を、次の8枚構成に割り付けてください。
1枚ごとに、見出し(結論が分かる文)、箇条書き3点以内、使う数字(原文の表記のまま)、話す要点を1〜2文で出してください。
「付録に回す」項目は、付録スライド案として別に一覧にしてください。
原文にない情報は足さないでください。スライド作成ツールに渡すとき
仕分け後の8枚構成をそのままツールに渡す方法が安全です。30ページ全体を渡して自動で縮めさせると、残す・削るの判断をツール任せにすることになります。以下は2026年10月28日に各社の公式ヘルプ(英語版)を読んで確認した範囲です。機能はアカウントの種類、プラン、画面の版で変わる可能性があり、この記事では実際の操作は試していません。
- Copilot in PowerPoint:既存のWord文書から下書きを作れますが、扱えるのは一度に1ファイルです。ヘルプによると、個人向けのCopilot ProではWordファイル1つ、職場向けのMicrosoft CopilotではPDFや暗号化ファイルも使えます(前掲FAQ)。ファイルの指定は、プロンプト欄に「Create presentation from file」と入力して候補から選ぶ手順です(Prepare your presentation with Microsoft Copilot)。
- Gamma:新規作成にはGenerate(題材からAIが下書き)、Paste(既存テキストをAIが整形)、Import(既存ファイルや資料を変換)があります(Gammaのヘルプ)。取り込みの上限は、ヘルプ上でWord(.docx)が1ファイル200MB、PDFが100MBです。取り込んだ文章の扱いについては、旧来のClassic Generatorに、内容を補うGenerate、短くするCondense、「追加・削除・言い換えをせず原文のまま保つ」Preserveの3択がある、と説明されています。Gamma 5では、同じ希望をプロンプトに書いて指定する形です(Gammaの取り込みヘルプ)。自分で仕分けた8枚構成を渡すなら、内容を変えられたくないので、PreserveまたはPreserve相当のプロンプトにする案が考えられます。これは編集上の提案です。
手順5:人が原文と突き合わせる所
Microsoftのヘルプは、Copilotが作る内容は不正確になりうるので、書かれた内容を必ず読んで確認するよう案内しています(前掲FAQ)。下書きの見直しを促す記述は、ファイルから作る手順のページにもあります。AIを使う以上、次のチェックは人が8枚の下書きに対して行います。
- 数字:すべての数字を原文と照合する。単位、期間、対象範囲が一致しているか
- 但し書き:「ただし」「暫定」「見込み」などの語が、スライド上で断定に変わっていないか
- 比較:選択肢の比較で、削った項目が結論を有利に見せていないか
- 削った項目:「要確認」にした項目を、削ったままにして問題がないか
- 付録:質問されそうな点に、付録のどこで答えるか言えるか
- 機密:ダミーに置き換えた箇所を、本物に戻し忘れていないか、または本物が混ざっていないか
説明用の例:仕分け結果のイメージ
次は、架空の「業務改善の報告資料(30ページ)」を仕分けた場合の例です。実際に実行した結果ではなく、表の見方を示すための説明用の例です。
- 第1章 経緯(4ページ)、判断:本編は1行、残りは削る、理由:賛否の判断には、現状と課題があれば足りる
- 第3章 現状の数字(6ページ)、判断:結論の数字を本編、内訳を付録、理由:数字は判断に必要。内訳は質問への備え
- 第5章 費用試算(5ページ)、判断:合計と前提を本編、計算表を付録、理由:前提が変わると合計も変わるため、前提は1行残す
- 第7章 他社事例(3ページ)、判断:削る(要確認)、理由:判断に直接関係しないが、比較の根拠なら残す
縮める作業は、情報を消す作業ではありません。本編・付録・元資料のどこに置くかを決める作業です。8枚にしても、付録と元資料が残っていれば、質問に答える手段は失われません。

