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議事録を誰にどこまで共有するか:録音・文字起こし・要約の公開範囲の決め方

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

録音機を入れた鍵付きの小箱、分厚い全文の紙束、付箋付きの1枚の要約が机に並び、要約だけが輪の外の人に手渡されようとしている会議室の場面
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

共有範囲は「議事録」とひとまとめにせず、成果物ごとに決めるのが安全です。目安は次の三段階です。 • 録音・録画データ:開催者と、必要な担当者だけに限定します。 • 文字起こし全文:会議の参加者までを基本とします。参加者以外へ広げるなら、理由を決めます。 • 要約・決定事項・TODO:人が確認した後なら、関係者へ広く共有できます。 録音には声や言い間違いまで残ります。全文には雑談や未確定の発言も入ります。要約は用途に合わせて削った情報です。情報量が多い成果物ほど、見られる人を絞る必要があります。この記事では、判断表、Teamsの設定の確認点、共有時の添え書き、AIに頼める確認作業の順に説明します。

この記事の目次
  1. 3種類の成果物は、何が違うのか
  2. 成果物別の判断表
  3. ツール側で確認したい設定(Teamsの例)
  4. 共有時に添える一文の例
  5. 共有前の確認をAIに手伝わせる
  6. 迷ったときの決め方

3種類の成果物は、何が違うのか

  • 録音・録画、含まれるもの:声、画面、発言のニュアンス、雑談、主なリスク:本人の意図しない記録の拡散、削除しづらさ
  • 文字起こし全文、含まれるもの:発言のほぼ全部、誤認識を含む、主なリスク:誤変換による誤解、未確定の議論の流出
  • AI要約、含まれるもの:重要と判断された部分だけ、主なリスク:抜け落ち、実際と違う断定、発言者の取り違え

要約は安全そうに見えます。しかしAIが作った時点では、内容が正しいと確認されていません。人が目を通すまでは、開催者だけの下書きとして扱います。

成果物別の判断表

以下は編集部の提案で、公式の仕様や法的な基準ではありません。社内ルールがある場合は、そちらを優先してください。

  • 録音・録画、標準の共有先:開催者+共同開催者、広げてよい条件:欠席者が確認する必要があるなど、目的が明確で期限を決められる、避けたいこと:チャットやメールへのファイル添付、全社への公開
  • 文字起こし全文、標準の共有先:会議の参加者、広げてよい条件:欠席した担当者に、該当部分だけ渡す、避けたいこと:人事・評価・取引条件などを含んだまま部署外へ渡すこと
  • AI要約(未確認)、標準の共有先:開催者のみ(下書き扱い)、広げてよい条件:人が確認し、確定版になった時点、避けたいこと:確認前に参加者以外へ転送すること
  • 確定議事録(人が確認した版)、標準の共有先:参加者+関係部署、広げてよい条件:機密区分に問題がないと確認できた場合、避けたいこと:外部の取引先へそのまま渡すこと
  • 決定事項・TODOの抜粋、標準の共有先:実行する担当者、関係者、広げてよい条件:担当・期限が確認済み、避けたいこと:理由や経緯の発言を、確認なしで付け足すこと

使い方は次のとおりです。

  1. 「この会議で、誰が何を知る必要があるか」を考えます。
  2. 表の標準の共有先から出発します。
  3. 広げる場合は、条件を満たしている根拠を一行で書き残します。

ツール側で確認したい設定(Teamsの例)

共有範囲はルールだけでなく、ツールの初期値にも左右されます。以下は2026年10月28日にMicrosoftのサポートページで確認した記述です。プランや管理者設定で変わる可能性があります。なお、ここで確認したのはTeamsだけです。

  • 通知と同意:録画が始まると、会議の参加者全員に通知が出ると説明されています。地域によっては、記録前に全員の許可が必要になる場合があるとも書かれています。日本の自社の会議でどう扱うかはこのページでは分かりません。社内規程や担当部署に確認してください(録画の開始・停止・検索)。
  • 保存先と操作権限:録画は職場または学校用のOneDriveかSharePointに保存されます。ダウンロードと削除ができるのは、開催者と共同開催者だけです。閲覧できる人は会議の種類で異なります。たとえばプライベート会議では、招待された人と参加した人(チャットメンバー)です(同ページ)。
  • アクセス範囲の設定:録画・文字起こし・AI要約へのアクセスは、「全員」「開催者と共同開催者」「特定のユーザー」から選べます。「特定のユーザー」は、開催者に加えて選んだ発表者も見られる設定です。ただしCopilotまたはTeams Premiumのライセンスが必要です。チャネル会議と即席会議では使えません。会議の開始前に設定します。会議中に変更した場合は、会議を終了して再開しないと反映されません。SharePoint、秘密度ラベル、サードパーティ製アプリからの直接アクセスは、この設定では制限されません(アクセスできるユーザーのカスタマイズ)。
  • 文字起こしの編集と削除:編集できるのは開催者、削除できるのは開催者と共同開催者です。AIノートを生成する前に文字起こしを削除すると、そのノートは利用できなくなります。削除の順番に注意してください(トランスクリプトの編集または削除)。

つまり「アクセス設定をしたから安心」とは言い切れません。保存先を移したり、別アプリに取り込んだりすると、制限が及ばなくなる場合があります。他のツールを使う場合も、①保存先、②初期の共有先、③誰が削除できるか、の三点は最初に確認してください。

共有時に添える一文の例

渡す相手に「どこまで使ってよいか」を伝えないと、転送が連鎖します。以下は説明用の例で、会議名や日付は架空です。( )には実際の情報を入れてください。

参加者へ全文を渡すとき

○/○ 定例会議の文字起こし全文です。AIによる自動生成で、固有名詞や数字に誤りがあります。参加者以外への転送はせず、引用する場合は確定議事録を使ってください。保管期限は○/○までです。

欠席者へ要約を渡すとき

○/○ 定例会議の要約です。AIの下書きを(担当者名)が確認済みです。決定事項は3点で、担当と期限は末尾の表にあります。経緯や発言者の詳細が必要な場合は、私に声をかけてください。全文は共有していません。

録画を限定して渡すとき

○/○ 定例会議の録画リンクです。(部署名)の(担当者名)のみ、(目的)のために視聴を許可しています。ダウンロード・再共有はしないでください。視聴期限は○/○です。

どの文にも、何か(種別)/確認済みか/再共有してよいか/期限の四つを入れます。

共有前の確認をAIに手伝わせる

全文の中から「渡してはいけない箇所」を探す作業は、AIに任せると速くなります。ただし、会議の内容を外部のAIサービスに入れてよいかは、社内規程で先に確認してください。個人情報保護委員会は2023年6月2日に、生成AIサービスの利用に関する注意喚起等を公表しています(個人情報保護委員会の注意喚起)。具体的な適用は利用目的や契約内容で変わるため、入力前に社内の担当部署へ確認してください。

入力する際は、実名や社名を仮名に置き換えます。以下はプロンプトの説明用の例で、実際に実行した結果ではありません。

次の会議メモ(仮名化済み)を、部署外の人に共有する前提で確認してください。
1. 共有を控えたほうがよい箇所を、行ごとに理由つきで挙げてください
   (人事評価、金額、未確定の方針、個人への批判など)
2. 決定事項・担当・期限だけを表にしてください
3. 発言が曖昧で、決定と言えない箇所は「未確定」と書いてください
4. メモにない情報は補わないでください

【会議メモ】
Aさん:来期のB社向け見積は、いったん100万円台で考えている。
Cさん:Dさんの対応は課題がある。次の面談で伝える。
Eさん:資料は金曜までに私が出す。

AIの出力は、次の順で人が確認します。

  1. 「控えたほうがよい」と指摘された箇所だけでなく、指摘されなかった行も目視で読む。
  2. 担当者名と期限が、元の発言と合っているかを確認する。
  3. 「未確定」とされた箇所が、決定事項に混ざっていないかを確認する。
  4. 確認した人の名前を、添え書きに入れる。

AIは見落としをします。「AIが問題なしと言った」ことは共有の根拠になりません。判断するのは人です。

迷ったときの決め方

  • 誰に渡すか決まらない → 開催者だけに残し、要約を先に作る。
  • 録画を欠席者に見せたい → 全文や要約で足りないか、先に考える。
  • 部署外に出したい → 確定議事録の抜粋にして、全文は出さない。
  • 保管期限が決まらない → 添え書きに「確認後に削除」と書き、削除する人を決めておく。

会議の冒頭で「録音・文字起こしをします。共有先は参加者までです」と一言伝えておくと、後の説明が楽になります。

出典・参考資料