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AIにゲームのレベルデザインを作らせる方法と検品の仕方

遊びをつくる

執筆にClaudeを使用しています。

定番の盤面に一つだけ赤い通り道を加え、選択が変わる様子を描いた版画風イラスト。
記事のテーマをもとに制作したAI生成イラスト。

ゲームの「レベルデザイン」とは、ステージの難易度曲線・敵の配置・報酬のタイミング・プレイヤーが体験する順番を設計する仕事です。コードやビジュアルよりも地味に見えますが、「難しすぎてやめた」「簡単すぎて飽きた」という感想のほとんどはここに原因があります。 AIはコードや画像を生成するツールとして使われることが多いですが、レベルデザインの領域でも十分に活用できます。ただし「面白いステージを作って」と丸投げしても使えるものは出てきません。AIが答えやすい問い方の形式と、出力を実際に使う前に何を確認するかの基準を知っておく必要があります。 この記事では、AIへの問いかけ方・出力の読み方・検品の手順を順に説明します。一通り読めば、自分のゲームのジャンルに当てはめて試せる状態になることを目指しています。

この記事の目次
  1. レベルデザインをAIに頼む前に決めておくこと
  2. AIへの問いかけの組み立て方
  3. 出力を「設計の叩き台」として読む
  4. 検品の手順
  5. 修正サイクルをAIと回す
  6. 次の行動

レベルデザインをAIに頼む前に決めておくこと

AIは「制約が多いほど有用な出力を返す」という性質を持っています。レベルデザインで言えば、次の4点を先に自分で決めておくことが前提です。

  • ゲームのコアループ:プレイヤーが1回の操作で何をして、何を得るか(例:ブロックを壊す→スコアが増える→次のエリアに進む)
  • 難易度の変数:何を増やしたり減らしたりすると難しくなるか(例:敵の速度・障害物の密度・制限時間)
  • 想定プレイ時間:1ステージあたり何秒〜何分か
  • ステージの総数:全体で何本用意するか

これらが決まっていないままAIに依頼すると、「一般的なゲームの例」として無関係な事例が返ってくるだけです。自分のゲームの仕様書の断片として渡せる状態にしておくことが第一歩です。

AIへの問いかけの組み立て方

レベルデザインの依頼で有効なプロンプトの構造は、前提→目的→出力形式の指定の3段構成です。

前提を渡す

自分のゲームの仕様を短く書きます。「横スクロールアクション、主人公はジャンプのみで攻撃できない、敵は左右に動くだけ、1ステージ=60秒以内」のような形で十分です。長い文章よりも、箇条書きで変数を列挙した方が出力の精度が上がります。

目的を明示する

「ステージ1〜10の難易度曲線を設計してほしい」「ステージ5で新しい要素を1つ導入するとしたら何が適切か」のように、依頼の粒度を一つに絞ります。複数の問いをまとめて投げると、どちらも浅い回答になりがちです。

出力形式を指定する

「表で出力する」「ステージ番号・導入要素・難易度コメントの3列で返す」のように形式を指定すると、そのまま自分のスプレッドシートや設計メモに貼り込めます。自然文で返ってくると読み飛ばしやすく、抜け漏れに気づきにくくなります。

実際のプロンプト例を示します。

以下の仕様のゲームのステージ1〜8の難易度設計を作ってください。
出力はステージ番号・敵の数・移動速度(低/中/高)・新要素の有無・推定クリア率コメントの5列の表形式にしてください。

【仕様】
- ジャンルはパズルゲーム
- プレイヤーは色の付いたブロックを左右に動かしてそろえる
- 難易度変数:ブロックの数・色の種類・タイムリミット
- 1ステージあたりの想定プレイ時間:30秒〜2分
- 全8ステージ

この形式で問いかけると、AIは穴を埋める作業として処理するため、意図から外れにくくなります。

出力を「設計の叩き台」として読む

AIが返してきたレベル設計をそのまま使うのは危険です。理由は二つあります。一つは、AIは実際にそのゲームをプレイしていないため、数値の感覚が実態とずれている点。もう一つは、「推定クリア率」などのコメントは推測であり、根拠のある数値ではない点です。

出力は「設計の叩き台」として扱い、次の観点で読み直します。

単調な上昇になっていないか:難易度がステージごとに一直線に上がる設計は、プレイヤーが息をつく場所を作れません。3〜4ステージに1回は難易度を下げるか、既習の要素だけで構成したステージを挟むと離脱が減ります。AIの出力はこのメリハリが抜けやすいので、自分でチェックします。

新要素の密度が高すぎないか:1ステージに新しい仕掛けや操作が複数入っている場合は分割を検討します。プレイヤーが一度に学習できる新要素は1つが目安です。

最終ステージが突出していないか:ラストに難しい要素を詰め込む構成になっていないか確認します。クライマックスは難しさより「これまでの要素を全部使う」構成の方が達成感を生みやすいです。

検品の手順

出力を叩き台として修正したあと、実際にゲームに反映する前に次の3段階で確認します。

1. 紙の上でシミュレーションする

ゲームを起動せずに、ステージの設計を頭の中でたどります。「このステージで初めてジャンプと攻撃を同時に使う場面がある」「その前のステージでは片方ずつしか使っていない」のように、要素の順番が論理的かを確認します。実装前に矛盾を見つける最も速い方法です。

2. 自分で1周通しプレイする

設計通りに実装したら、必ず自分で全ステージを順番にプレイします。この時点で「詰まりすぎる」「逆に物足りない」と感じた箇所をメモします。作者は解法を知っているため難しさを低く見積もりがちです。意識的に「初見のプレイヤーなら」という視点を保ちます。

3. チェックリストで抜け漏れを確認する

以下の項目を1ステージずつ確認します。

  • チュートリアルで説明していない操作や概念を初めて要求していないか
  • クリア不能な状態(詰み)が発生しないか
  • 最短クリア経路が存在するか
  • 最長プレイ時間が想定の2倍を超えないか(超える場合は難しすぎるサインです)

このチェックリスト自体もAIに作らせることができます。「このゲームのレベルデザインを検品するためのチェックリストを作ってほしい」と仕様を渡して依頼すると、ゲーム固有の観点が入った項目が返ってきます。汎用のリストより使いやすくなります。

修正サイクルをAIと回す

1周目のプレイで見つかった問題点は、AIに再投入できます。「ステージ5でプレイヤーが詰まりやすい。原因として考えられるものと、修正案を3つ出してほしい」のように、症状と改善案の依頼をセットで出します。

このとき、元の設計表をそのままコンテキストとして貼り付けると、AIが元の設計との整合性を考慮した回答を返しやすくなります。会話の途中で仕様が変わった場合は、変更点を明示してから再依頼します。「ステージ3からブロック色が4色から5色に変わった。この変更を前提に再設計してほしい」のような形です。

レベルデザインは一発で決まることはほとんどなく、プレイ→修正→再プレイの繰り返しが前提です。AIはその繰り返しを速くする道具として使うのが現実的な位置づけです。完成品を生成するツールではなく、叩き台と修正案を素早く出してくれる作業パートナーとして扱うことで、実際の設計時間を短縮できます。

次の行動

まず自分のゲームの「難易度変数」を3つ以上書き出し、それをAIへの前提情報として渡すプロンプトを一本作ってみてください。出力を受け取ったら、単調な上昇になっていないかだけを確認する練習から始めると、検品の感覚が身につきます。完成したゲームはアソバースにZIPまたはHTMLファイルとして投稿し、実際のプレイヤーの反応を次の設計の参考にしてください。