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レポートでAIを使った事実をどう書くか:所属先のルールに合わせた記録メモ

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

机の上で、付箋つきのレポートと空欄のある記録用紙を見比べながら、鉛筆で項目にチェックを入れている手元。
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

レポートで生成AIを使ったとき、どう書くか。答えは次のとおりです。全員に共通する正しい書き方はありません。まず「明記が必要か、どの形式か」を所属先(大学、学校、授業担当者)に確認し、そのうえで、どの工程で何をAIに任せたかを記録しておき、指定の形式に当てはめて書きます。 順番が大事です。書き方を先に探すと、禁止されている科目で使ってしまったり、指定欄があるのに本文の注記で済ませたりしかねません。逆に、使った工程の記録が手元にあれば、「使用の有無だけ書く」「プロンプトも添付する」など、どの様式を求められても対応しやすくなります。この記事では、確認の順序、記録メモの項目、記載文の例を紹介します。

この記事の目次
  1. まず確認する:要否と書式は所属先が決める
  2. 使用記録メモの項目
  3. 記載文の例
  4. 記録を残す:会話ログは消えることがある
  5. 教える人へ:課題文に書いておくと学習者が迷わない項目
  6. 提出前チェック

まず確認する:要否と書式は所属先が決める

文部科学省は2023年7月13日の発表で、大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて、利活用が想定される場面例や留意すべき観点をまとめて各大学・高専に周知しました。同ページには、各大学・高専が教育の実態に応じて主体的に対応することが重要、という趣旨も書かれています(文部科学省「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて」)。レポートでの具体的な扱いは、機関や授業ごとに決まると考えておくのが安全です。なお、このページは大学・高専向けの周知です。高校など他の学校や、企業・団体への提出物では、それぞれの規則や担当者の指示を確認してください。また、今回確認したのは発表ページの記述の範囲で、周知文書(PDF)の本文までは確認していません。

確認する場所は、次の順が現実的です。

  1. その授業のシラバス、課題文、LMS(授業支援システム)の掲示
  2. 学部・学科や学校の生成AI利用指針、学習・成績に関する規程
  3. 担当教員や事務への直接の質問

科目ごとに指示が違うことはよくあるので、学内の一般指針より授業の指示を優先して見てください。

状況別の判断表

  • 利用禁止と書かれている、取る行動:使わない。判断に迷う作業(翻訳、文法チェックなど)は、使う前に質問する
  • 利用可で、明記の形式が指定されている、取る行動:指定どおりに書く。記録メモから必要項目を転記する
  • 利用可だが、明記の方法が書かれていない、取る行動:担当者に形式を質問する。回答が来るまで、記録メモを添えられる状態にしておく
  • 利用についての記載が見つからない、取る行動:使う前に質問する。回答は保存しておく
  • 工程ごとに可否が分かれている(例:構成は可、本文生成は不可)、取る行動:工程ごとに可否を表にして、使う作業をその範囲に収める

使用記録メモの項目

AIを使った作業は、その日のうちに書き留めるのが確実です。後から思い出すと、どの文をAIが出したのか分からなくなります。次の項目を、メモアプリや表計算ソフトに作っておくと便利です。

【AI使用記録メモ】
科目・課題名:
提出日:
確認したルール(出典と確認日):  例)シラバス第○回の記載を2026/○/○に確認
使った日:
サービス名・モデル名・プラン:   画面で確認できる範囲で
使った工程:   構成案 / 資料探し / 文章案 / 言い換え / 校正 / 要約 / 翻訳 / 計算・コード / その他
AIに入力した内容:   要点(個人情報・未公開資料・他人の文章は入れない)
AIの出力のうち採用した部分:   どこをどう使ったか
自分で変えた・確認した点:   事実確認、出典の確認、書き直し
採用しなかった出力:   誤り、根拠不明などで外したもの
最終的な責任の所在:   内容は自分が確認した
会話ログの保管場所:   ファイル名・URL・スクリーンショット

ポイントは3つあります。

  • 入力した内容は要点で足ります。 全文の提出が必要かどうかは所属先の指定次第です。求められたときに出せる状態にしておけば十分です。
  • 「確認した点」を必ず書きます。 AIの出力には誤りが含まれ得ます。実在しない文献や誤った数字がないか、元資料に当たって確かめた結果を残します。ここは人の担当です。
  • 機密や個人情報は入力しません。 他人の文章、未公開データ、個人が特定できる情報は、AIに渡す前に説明用の仮データへ置き換えます。サービスの設定を理由に、入力してよいと判断するのは避けてください。

記載文の例

以下は説明用の例です。実際に提出して認められた文言ではありません。所属先が書式を指定している場合は、そちらに合わせてください。

工程が限られている場合(短い注記)

本レポートの作成にあたり、第2章の構成案の検討に生成AI(サービス名・モデル名)を使用しました。AIの出力は参考にとどめ、本文は自分で執筆し、引用文献はすべて原典で確認しました。

複数の工程で使った場合(項目立て)

【生成AIの使用について】- 使用したサービス:○○(使用日:2026年○月○日)- 使用した工程:①序論の論点整理、②第3段落の表現の校正- 入力した内容:研究テーマの概要(個人情報・他者の文章は含まない)- 採用の範囲:論点整理の案を参考にした。校正案のうち3か所を採用した- 確認:事実関係と出典は自分で確認し、AIが挙げた参考文献1件は実在を確認できなかったため使用しなかった- 責任:本レポートの内容は執筆者が責任を負う

使っていない場合

所属先が「使用の有無を記入する」形式なら、使っていないことも書きます。

本レポートでは生成AIを使用していません。

書くときの注意

  • 「AIが書いた」「自分が書いた」のどちらか一方に寄せず、工程ごとの役割を書きます。
  • 使っていない作業を使ったように、使った作業を使っていないように書くのは避けます。

記録を残す:会話ログは消えることがある

記録メモの裏づけになるのは会話ログです。ただ、サービス側の履歴は、自分で削除すると戻せません。たとえばChatGPTのヘルプでは、チャットを削除するとアカウント上からすぐに表示されなくなり、30日以内にシステムから完全に削除する手配がされると説明されています。ただし、個人を特定できない形に処理済みの場合などは例外とされています。削除したチャットは、ChatGPT内でもOpenAIサポート経由でも復元できません。一方、アーカイブをしても保持期間は変わらないとされています(OpenAI Help「ChatGPTでのチャットの削除とアーカイブ」)。この説明はChatGPTのものです。他のサービスや、学校・組織が管理するアカウントでは扱いが異なる場合があります。

実務的には次のようにします。

  • 提出が終わり、評価が確定するまでは、課題に関係するチャットを削除しない。
  • 重要なやり取りは、テキストまたはスクリーンショットで自分のフォルダに保存する。
  • 保存した資料に個人情報や他人の文章が入っていないか確認する。

教える人へ:課題文に書いておくと学習者が迷わない項目

学習者の側で解決しにくいのは、ルールが見つからない、または曖昧なケースです。課題文に次のように書いておくと、問い合わせの手間も、後日の食い違いも減らせます。

【生成AIの利用について(この課題)】
- 利用:可 / 不可 / 次の工程のみ可(    )
- 明記:必要 / 不要。必要な場合は、使用した工程・サービス名・採用範囲を末尾に記載
- 会話ログの提出:求める / 求めない
- 提出物の内容は、AIの利用の有無にかかわらず、提出者が責任を負う
- 不明な点は、利用前に(連絡先)へ質問すること

提出前チェック

  • [ ] この科目・課題のルールを確認し、確認日を記録した
  • [ ] 使った工程が、許可された範囲に収まっている
  • [ ] 記載文が、指定の書式または担当者の回答に沿っている
  • [ ] AIが出した事実・数字・文献を、原典で確認した
  • [ ] 記録メモと提出物の記載が一致している
  • [ ] 会話ログの保管場所を控えた

出典・参考資料