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数学の途中式をAIに見てもらい、最初につまずいた行を特定する手順

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

方眼ノートに並んだ途中式の2行目の付箋に鉛筆の先が当てられ、その行に丸印が付いている机上の様子
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

途中式の間違い探しをAIに頼むなら、「1行ごとに番号を振って貼り、前の行から正しく導けなくなる最初の行を1つだけ答えさせる」のが基本です。解答全体の採点や、正しい答えの提示は頼みません。ある行の誤りは、その後の行に引き継がれます。最初の1か所が分かれば、そこから先は自分で直せます。 この記事では、そのまま貼れる依頼文、途中式の貼り方の型、指摘後に自力で直す3ステップ、AIの返答を確かめる判断表を順に示します。AIも計算や変形を間違えることがあるため、指摘された行は必ず自分でも確かめます。

この記事の目次
  1. 「最初の1行」だけを聞く理由
  2. 途中式の貼り方の型
  3. 指摘後に自力で直す3ステップ
  4. AIの指摘をどう扱うか:判断表
  5. 教える人が生徒に使わせるとき
  6. 迷ったときの運用ルール

「最初の1行」だけを聞く理由

ある行で符号を間違えると、それ以降の行は「間違った式から正しく変形した結果」になります。後ろの行をいくら見直しても、直すべき場所は見つかりません。

「この解答のどこが間違っていますか」と聞くと、複数の行にコメントがつくことがあります。どれが原因でどれが結果なのか、読んでいて分からなくなります。そこで質問を次の一点に絞ります。

各行が、直前の行から正しい変形で得られているかを上から順に確認し、最初に正しくない行を1つだけ教えてください。

解き方を丸ごと書き換えてもらうより、自分で考える部分が残ります。

途中式の貼り方の型

  1. 問題文を先に書く。 何を求める問題か分からないと、変形の妥当性を判断できません。
  2. 1行に1回の変形だけを書く。 展開と移項を同じ行で済ませると、どちらで崩れたのか特定できません。
  3. 行番号を振る。 「行2」と答えてもらえば、指摘が曖昧になりません。
  4. 使った公式があれば行の横に書く。 例:「(a+b)²の展開」。
  5. 手書きの写真を使うなら、最初に文字起こしを確認する。 AIに式をテキストで書き起こさせ、自分の式と一致してから本題に進みます。読み取りの誤りが指摘に混ざるのを防げます。
  6. 名前、学校名、氏名欄は消すか、書かない。 数式だけで足ります。

そのまま使える依頼文

以下は一次方程式の途中式です。
【問題】3(x−2)−2(x−5)=7 を解く。
【私の途中式】
行1: 3(x−2)−2(x−5)=7
行2: 3x−6−2x−10=7
行3: x−16=7
行4: x=23

お願い:
- 各行が直前の行から正しい変形で得られているかを、上から順に確認してください。
- 最初に正しくない行を1つだけ、行番号で答えてください。
- どの変形が、なぜ正しくないのかを2文以内で説明してください。
- 正しい式、正しい答え、それ以降の行の添削は書かないでください。
- 誤りが見つからなければ「見つからない」とだけ答えてください。

「正しい式は書かない」と明記するのがポイントです。書かないと、AIが修正版まで出してしまい、自力で直す機会がなくなります。

説明用の例:期待する返答

上の途中式は、説明のために私が作った例です。実際にAIへ入力した結果ではありません。誤りは行1→行2の展開に仕込んであります。−2(x−5)は−2x+10になるのに、行2では−10になっています。行3と行4は、行2を正しく処理した結果です。

期待したい返答は、次のような形です。

行2です。−2(x−5) を展開するとき、−2×(−5)=+10 になるはずが −10 になっています。

「答えが違います」と言われるより、直す場所がはっきりします。実際の出力は、ツールやモデルによって変わります。

指摘後に自力で直す3ステップ

ステップ1:指摘行を見ずに、直前の行から書き直す

指摘が行2なら、行1だけを見て行2を自分で書きます。元の行2は見ません。同じ間違いを繰り返さないかを、自分の手で確かめられます。間違えた原因(分配のときの符号など)を言葉にできれば理想的です。

ステップ2:直した行から最後まで書き直す

後ろの行は前の行に依存しているので、部分的に直すより上から作り直すほうが安全です。この例なら、行2は3x−6−2x+10=7、行3はx+4=7、行4はx=3になります。

ステップ3:検算で自分の答えを確かめる

AIに「合っていますか」と聞く前に、自分で確かめます。

  • 方程式なら、求めた値を元の式に代入する。 元の答えx=23を代入すると、左辺は3×21−2×18=27で、右辺の7と合いません。直したx=3では、3×1−2×(−2)=3+4=7となり、右辺と一致します。
  • 変形を疑うときは、適当な数を入れて比べる。 行1と行2の左辺にx=0を代入すると、行1は4、行2は−16です。展開や整理で式の形を変えただけなら値は変わらないはずなので、この変形は誤りです。移項のように両辺が動く行は、「左辺−右辺」の値が前の行と一致するかを比べます。
  • 検算で合わないときは、別の誤りが残っています。ステップ1に戻ります。

AIの指摘をどう扱うか:判断表

AIは自信のある口調で間違いを言うことがあります。返答ごとに次のように対応します。

  • 行Nを指摘し、理由が納得できる、まず確認すること:行N−1と行Nに同じ数を代入して比べる(上の検算参照)、次の行動:値が違えば指摘は正しい。ステップ1へ
  • 行Nを指摘したが、自分には正しく見える、まず確認すること:理由の中の計算を自分で手計算する、次の行動:AIの計算が誤っていれば、その点を示して再確認を頼む。教科書や先生にも確認
  • 「見つからない」だが、答えが合わない、まず確認すること:問題文の写し間違い、最初の式の立て方、次の行動:式の立て方が原因かもしれないと伝え、問題文との対応を確認させる
  • 複数の行を指摘した、まず確認すること:最も上の行だけ採用、次の行動:「最初の1行だけ」と依頼し直す
  • 読み取った式が自分の式と違う、まず確認すること:文字起こしを自分の式と照合、次の行動:式をテキストで貼り直す

代入による確認は、AIの出力が正しいかどうかに関係なく使えます。AIより自分の手計算のほうが信頼できる場面がある、と考えておいてください。

教える人が生徒に使わせるとき

学校や塾で使う場合は、先にルールを確認します。文部科学省の生成AIの利活用に関するガイドラインのページは、児童生徒が学習活動で使う場面について、発達の段階や情報活用能力の育成状況に十分留意し、生成AIのリスクや懸念に対策を講じたうえで検討するよう示しています。2026年10月28日に確認した時点では、令和6年12月26日改訂のVer. 2.0の内容でした。改訂される可能性があるので、運用前に最新版を見てください。

この記事の手順は、誤りを含む出力を鵜呑みにしない練習に向いています。AIの指摘を生徒自身が代入で確かめる作業を含めてください。名前や学籍番号が写った答案は、そのまま入力させないようにします。

入力の扱いにも注意が必要です。Claudeのヘルプ(機密性の高い情報を入力する場合、誰が会話を見られるか、2026年10月28日確認)には、次の趣旨が書かれています。

  • モデル改善の設定をオンにした場合、会話はユーザーIDから切り離されたうえで、モデル訓練に関わる限られた担当者が確認することがある。
  • シークレットチャットは、設定がオンでもClaudeの改善には使われない。
  • 安全分類器が会話に懸念ありと判定した場合は、この設定に関わらず、安全性に関するモデルの改善、有害コンテンツの検出、規約の運用、安全研究に使われることがある。

学習に使われない設定でも、第三者が一切見られないとは限りません。契約形態や他のサービスでは扱いが異なる場合があるため、使うツールの案内を確認してください。数式だけを貼る使い方なら、この問題は小さくなります。

迷ったときの運用ルール

  • 1回の依頼で見てもらうのは1問、10行程度までにします。長い解答は区切って貼ります。
  • 同じ依頼でも、聞き直すと返答が変わることがあります。納得できないときは、依頼文を変えずにもう一度聞き、指摘行が一致するかを見ます。
  • 指摘が一致せず自分でも決められないときは、先生や参考書の解説と照らします。
  • 間違いの種類(符号、分配、移項、約分など)をノートに1行メモすると、自分の癖が見えてきます。

まずは、直近で間違えた問題を1問選び、行番号を振って、上の依頼文の【問題】と【私の途中式】だけを差し替えて貼ってみてください。

出典・参考資料