外国語動画の自動字幕を直す:固有名詞と同音語の聞き間違いを優先して確認する
AIを使いこなす執筆にClaudeを使用しています。

自動字幕は、全部直さなくて構いません。先に見るのは、意味が変わる誤りです。否定や数字の取り違え、人名・社名・製品名の綴り、同音語の取り違えの順に拾えば、読者が誤解する字幕を少ない手間で減らせます。 流れは3段階です。 1. 用語表を作り、字幕全体を機械的に検索する 2. 検索で拾えない疑わしい行を、AIに候補として挙げさせる 3. 候補の行だけ、人が音声を聞いて直す この記事の例はすべて説明用で、実在の動画や実行結果ではありません。例は英語ですが、考え方は他の言語でも同じです。否定語や数詞は、言語に合わせて入れ替えてください。字幕をテキストで取り出して校正できる環境を前提にし、字幕エディタの画面操作は扱いません。
確認の優先順位を決める
誤字の数ではなく、読者の理解への影響で並べます。右端の「直す基準」は編集上の目安で、公式の基準ではありません。
- 1、誤りの種類:否定・数量・日付・単位、説明用の例:can't が can になる/fifteen と fifty、確認の方法:数字と否定語を検索し、全件を音声で確認、直す基準:音声と違えば必ず直す
- 2、誤りの種類:固有名詞(人名・社名・製品名・地名)、説明用の例:Lindqvist が Lindquist になる、確認の方法:用語表と照合。表にない大文字語は要確認、直す基準:正表記を確認できれば直す。できなければ保留
- 3、誤りの種類:専門用語・同音語、説明用の例:cell count が sell count になる、確認の方法:分野の文脈に合うかを見て、疑わしい語を音声で確認、直す基準:意味が通らない・変わるなら直す。誤解がなければ時間のあるときに
- 4、誤りの種類:文の崩れ、説明用の例:主語や動詞が抜けている、確認の方法:前後を読み、意味が通らない行だけ音声で確認、直す基準:直す
- 5、誤りの種類:言い淀み・句読点・大文字小文字、説明用の例:えーと、やり直しの繰り返し、確認の方法:後回し、直す基準:読みやすさのためだけなら直さなくてよい
字幕が自然な英文に見えても、否定が抜ければ逆の内容になります。そのため優先度1は「読んで怪しいか」で選ばず、該当語を全部拾って確認する作業にします。
用語表を作って一括検索する
用語表は、誤りを探すためのチェックリストです。正表記はAIの推測ではなく、動画の外にある資料から取ります。たとえば概要欄、スライド、登壇者の紹介ページ、所属先の公式サイト、製品の公式ページです。
列は4つで足ります(説明用の例)。
正表記,聞き間違い候補,種別,メモ
Harbor Lane Robotics,"Harbour Lane Robotic; Harbor Lane Robotics's",社名,公式サイトの表記
Mae Lindqvist,"May Lindquist; Mae Lindquist",人名,登壇者紹介ページで綴りを確認
cell count,sell count,同音語,電池の話題では cell が正
fifty,fifteen,数字,聞き分けにくいので全件確認「聞き間違い候補」は最初は空欄でも構いません。校正しながら実際に出た誤りを書き足すと、同じシリーズの次回から検索語として使えます。
字幕テキストをエディタに貼り、次の順に検索します。
- 「聞き間違い候補」の語を検索し、ヒットした行をすべて確認する
- 「正表記」を、大文字小文字を区別しない検索で探し、綴りや表記の揺れを見る
- 数字(15 のような数字表記と fifteen のような語表記の両方)と、否定語(not、n't、no、never、without など)を検索し、全件確認する
ここまでは手作業で済みます。AIに頼むのは、検索で拾えない部分です。
AIには怪しい行の抽出だけを頼む
字幕の文字だけを渡すAIは、音声を聞いていません。そこで「直して」ではなく「怪しい行を理由つきで挙げて」と頼みます。勝手に書き換えさせると、どこが変わったか分からなくなるためです。次の依頼文をそのまま使えます。
あなたは英語動画の字幕校正の補助者です。
音声は聞けないので、文脈と用語表だけから「誤りの疑いがある行」を挙げてください。
字幕を書き換えたり、正解を断定したりしないでください。
【動画の情報】
話者:(例)ロボット企業の技術責任者
テーマ:(例)バッテリー開発の進捗報告
【用語表】
(上のCSVを貼る)
【字幕】
(番号とタイムコードつきで貼る)
【出力】
表で出してください。列は次の順です。
番号 / 該当部分 / 疑いの種類(用語表違反・固有名詞・同音語・否定・数字・単位・文の崩れ)/ 修正候補 / 理由 / 優先度(高・中・低)
【ルール】
- 用語表にない固有名詞は「要確認」とし、綴りを推測で確定しない
- 疑いのない行は出力しない
- 優先度が高いものから最大30件字幕に機密が含まれる場合は、貼る前に社名や数値を説明用のものに置き換えます。未公開の社内動画では、利用するAIサービスの契約や社内規程を先に確認してください。
入力と出力の形を、説明用の例で示します。
12
00:01:10,000 --> 00:01:14,000
Doctor May Lindquist from Harbour Lane Robotic said
13
00:01:14,500 --> 00:01:18,000
we can ship before March, and the sell count is fifteen.依頼文で指定した表の形は、次のようになります。これは出力の形を示す例で、実際にAIを実行した結果ではありません。
- 12、該当部分:May Lindquist、疑いの種類:固有名詞、修正候補:Mae Lindqvist、理由:用語表の聞き間違い候補と一致、優先度:高
- 13、該当部分:can ship、疑いの種類:否定、修正候補:can't ship?、理由:文脈によっては否定の可能性がある、優先度:高
- 13、該当部分:sell count、疑いの種類:同音語、修正候補:cell count、理由:電池の話題では cell が自然、優先度:中
- 13、該当部分:fifteen、疑いの種類:数字、修正候補:fifty?、理由:聞き分けにくい組として用語表に登録済み、優先度:高
「修正候補」は、音声を聞くための手がかりです。候補をそのまま確定すると、かえって誤りを増やすことがあります。
候補の行を音声で確認する
候補の表ができたら、次の順で進めます。
- 優先度「高」の行から、字幕の開始時刻の数秒前から再生する
- 聞こえた語を、字幕・用語表・AIの候補と並べて決める。聞き取れないときは、再生速度を落とすか、イヤホンで聞き直す
- 決められない固有名詞は、概要欄や公式サイトで綴りを確認する。確認できなければ推測で埋めず、保留にして確認者に回す
- 直した誤りは、用語表の「聞き間違い候補」に書き足す
- 最後に数字と否定語の検索をもう一度かけ、修正で新しい誤りを入れていないかを見る
- 通しで一度再生し、流れに不自然な箇所がないかを見る
AIの候補に載らなかった行に、誤りが残ることはあります。重要な動画では、優先度1の数字・否定語と、固有名詞が出る箇所は、AIの結果に関係なく音声で確認してください。
翻訳に回すときは用語集を別に作る
校正済みの字幕を日本語などに翻訳するなら、用語表の知識を翻訳側にも使えます。DeepLの用語集は、指定した訳語を使わせる機能です。字幕の聞き間違いを見つける機能ではないので、校正を終えてから使います。
DeepLのヘルプで確認できた内容は次のとおりです。プランや時期で変わることがあるため、使う前に現行のヘルプを見てください。
- 用語集は、手動なら全ユーザーが作れます。CSVのアップロードは、Advanced以上の有料プランが対象です(用語集の作成)。
- CSVはUTF-8で保存します。1言語ペアなら原文と訳文の2列にし、1行目から最初のエントリを書きます。コメントは入れられず、同じ原文の重複も不可です(用語集のアップロード)。
- 1つの用語に入れる訳語は1つだけです。代案を並べることはできません(用語集の作成)。
- エントリは目的言語の文法に合わせて自動で適応されるため、複数形や活用形を別々に登録する必要はありません。保存先は、無料ユーザーはブラウザ内、有料プランはアカウントです。解約すると、非アクティブ化の90日後に用語集が削除されます(用語集について)。
校正用の4列の表は、そのままでは翻訳用に使えません。ヘッダー行や「聞き間違い候補」の列を外し、原文と訳文の2列だけのCSVを別に作ってください。たとえば Harbor Lane Robotics,ハーバーレーン・ロボティクス のようにします。カタカナ表記は、公式の日本語表記があればそれに合わせ、なければ社内で決めて統一します。

