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AIの英文添削で「なぜ直したか」を聞く:文法の誤りと言い方の好みを見分ける

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

赤ペンで印のついた英文の紙の横に、三色の付箋を貼り分けようとする手と、開いた辞書が置かれた机の上の場面
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

AIに英文を直してもらうと、修正が増えるほど「どれが本当の間違いで、どれが言い換えなのか」が分からなくなります。近道は、添削を頼む時点で変更箇所ごとに「誤り/不自然/好み」のどれかを名乗らせ、根拠を一文で書かせることです。そのうえで、「誤り」とされた箇所だけを辞書や文法書で確かめます。 AIの説明は、確認済みの事実ではなく「もっともらしい仮説」として扱うのが安全です。説明が整っていることと、正しいことは別だからです。以下に、そのための質問文と記録表を示します。

この記事の目次
  1. 手順1:三つの分類を先に決める
  2. 手順2:最初の依頼文で、分類と理由を表にさせる
  3. 手順3:聞き返しの質問を、分類ごとに使い分ける
  4. 手順4:説明用の例で、仕分けを練習する
  5. 手順5:記録表の列を作る
  6. 手順6:「誤り」と「不自然」は自分で裏を取る

手順1:三つの分類を先に決める

AIに分類させる前に、自分の側で定義を固定します。定義を依頼文に入れておくと、回ごとの基準のぶれを減らせます。

  • 誤り、定義:文法・語法の規則に反し、場面を問わず直すべきもの、見分ける問い:場面を変えても避けるべきか
  • 不自然、定義:規則上は成立するが、この場面では違和感が出やすいもの、見分ける問い:相手や媒体が変わると許容されるか
  • 好み、定義:複数の言い方が成り立ち、どちらでも問題ないもの、見分ける問い:元の文のまま送っても支障がないか

「不自然」は、誤りと好みの間の受け皿です。これがないと、迷う箇所が「誤り」か「好み」に押し込まれがちです。

手順2:最初の依頼文で、分類と理由を表にさせる

OpenAIのヘルプは、指示を冒頭に置き、### などで指示と対象の文章を区切ること、欲しい出力の形を具体的に示すことを勧めています(OpenAI Help Center)。Claudeのヘルプも、背景情報を十分に渡すことと、結果を見て追加で指示することを挙げています(Claudeサポート)。これらを踏まえた依頼文の一案です。

あなたは英語学習者向けの添削者です。下の英文を添削し、変更した箇所ごとに表で理由を示してください。

【場面】取引先へのメール(初対面ではない)
【私の英語力】日本語話者、中上級
【分類の定義】
- 誤り:規則に反し、場面を問わず直すべき
- 不自然:規則上は成立するが、この場面では違和感が出やすい
- 好み:どちらでも問題なく、元の文のままでも可
【出力形式】
表の列:番号|元の表現|修正後|分類|理由(1文)|根拠の種類(文法規則/語法/慣用/場面/スタイル)|元のままで通じる度(高・中・低)
「誤り」と分類するときは、どの規則に反するかを書いてください。確信が持てない箇所は「要確認」と明記してください。
最後に、修正後の全文も示してください。

###
(ここに英文)
###

ポイントは「元のままで通じる度」の列です。分類とは別に聞くと、「誤り」なのに通じる度が高い、といった食い違いが見つかります。ただし、この度合いもAIの自己評価にすぎません。

手順3:聞き返しの質問を、分類ごとに使い分ける

表が返ってきたら、分類に応じて追加で質問します。

「誤り」と言われた箇所

番号○を「誤り」としました。反している規則を名前付きで説明し、正しい例文と誤った例文を1つずつ示してください。「間違いとは言い切れない」使い方があるなら、それも教えてください。

「不自然」と言われた箇所

番号○を「不自然」としました。どの場面なら元の表現が自然ですか。メール、会話、論文のうち、許容されやすい順に理由つきで並べてください。

「好み」と言われた箇所

番号○を「好み」としました。元の表現と修正後で、相手に与える印象はどう違いますか。印象の差が小さい場合は、そう明言してください。

「誤り」の水増しを減らしたいとき

上の表で「誤り」に分類した行だけを見直し、本当に規則違反と言えるかを厳しめに再判定してください。「不自然」または「好み」に下げるべき行があれば、その理由を示してください。

最初の答えの影響を避けたいときは、新しいチャットで該当の文だけを渡して再判定させる方法もあります。

手順4:説明用の例で、仕分けを練習する

次の表は仕分けの流れを示すための説明用の例で、実際のAIの出力ではありません。分類は編集側の想定で、場面によって変わります。

  • I am agree with your opinion.、修正例:I agree with your opinion.、想定される分類:誤り、理由:agreeは動詞なので、be動詞と並べられない
  • I will send the file until Friday.、修正例:I will send the file by Friday.、想定される分類:誤り、理由:期限を示すにはuntilではなくbyを使う(語法)
  • I want to know the schedule.、修正例:I'd like to know the schedule.、想定される分類:不自然、理由:文法上は成立するが、ビジネスでは直接的に響きやすい
  • I think that we should move the meeting.、修正例:I think we should move the meeting.、想定される分類:好み、理由:thatは省略してもしなくても成り立つ

使い方は二通りです。自分の英文でも分類してみて、AIの分類と比べること。そして、AIが「誤り」とした箇所に、4行目のような言い換えが混ざっていないかを見ることです。thatの有無のような違いが「誤り」と書かれていたら、疑う合図になります。

手順5:記録表の列を作る

直しっぱなしでは次に生きません。スプレッドシートなどに次の列で残すと、自分の癖が見えてきます。

  • 日付・場面、入れる内容:宛先、媒体(メール、レポートなど)
  • 元の表現、入れる内容:自分が書いた部分
  • 修正後、入れる内容:AIの提案
  • AIの分類、入れる内容:誤り/不自然/好み
  • AIの理由、入れる内容:一文に要約
  • 通じる度、入れる内容:AIの自己評価(高・中・低)
  • 確認方法、入れる内容:辞書、文法書、別チャット、先生など
  • 確認後の分類、入れる内容:自分の最終判断
  • 採用、入れる内容:採用/元のまま/保留
  • 次回のルール、入れる内容:例:「期限はby、継続はuntil」

続けにくければ「元の表現」「修正後」「AIの分類」「確認後の分類」「次回のルール」の5列で十分です。「AIの分類」と「確認後の分類」を分けておくと、どの種類の指摘を信用してよいかが、自分の記録から見えてきます。

手順6:「誤り」と「不自然」は自分で裏を取る

人が確認するのは、主に次の三点です。

  • 「誤り」の根拠:AIが挙げた規則名や語法を、英英辞典や学習用文法書の例文で確かめます。同じ用法の例文が載っていれば有力な裏付けです。
  • 「不自然」の場面条件:送る相手や媒体に当てはまるかは、AIには分かりません。過去のメールや相手の文面の言い回しと照らします。
  • 「好み」の印象差:自分が出したい印象と合うかを決めます。ここは正解探しではなく選択です。

DeepL Writeのような修正ツールを併用する手もあります。DeepLのAPIドキュメントでは、日本語と英語を含む言語に対応し、文法とスペルの修正を中心にする「correct」と、文の書き換えまで行う「rephrase」が別の機能として説明されています(DeepL Documentation)。この違いを使えば、修正のみの結果を「誤り」の候補、言い換えまで含めた結果との差を「不自然/好み」の候補として見る、という目安を作れます。あくまで目安なので、最終判断は上の三点で行います。言い換えは単語単位・文単位で選べる機能もあります(DeepLの言い換え機能)。

今回開いたこれらのページに、変更理由を自動で説明する機能の記載は確認できませんでした。理由を知りたいときは、DeepLの候補をチャット型AIに貼り、手順3の質問をする使い方が考えられます。アプリで使える言語や機能はバージョンやプランで異なる可能性があるため、利用前に公式ページで確認してください。

最後に、仕事の文面を貼る場合は、社名・人名・取引内容を架空のものに置き換えます。学習利用の設定と秘密保持は別の話なので、設定をオフにしたから安全とは考えず、勤務先のルールにも従ってください。

出典・参考資料