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字幕の訳を読める長さに収める:文字数と表示時間から削る順番を決める

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

字幕を表す長さの異なる紙片と、表示時間を確かめるストップウォッチのイメージ
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

結論から言うと、字幕は「表示秒数から上限文字数を先に決め、①言い淀みや呼びかけ、②重複する言い換え、③文脈で分かる主語・目的語、④程度や緩衝の修飾語、⑤言い回しの圧縮、の順に削る」と迷いにくくなります。数字・固有名詞・否定・条件は、最後まで削りません。それでも収まらないときに初めて、字幕を2枚に分けるか、副次的な情報を落とすかを考えます。 この記事では、その順番を表にし、短縮前後の例を5組示し、AIに短縮案を出させる依頼文と、人が確認する点まで載せます。例はすべてこの記事のために作った説明用のもので、実際の作品や案件の結果ではありません。

この記事の目次
  1. 先に上限文字数を決める
  2. 削る順の優先リスト
  3. 短縮前後の例5組(説明用の例)
  4. AIに短縮案を出させる
  5. 人が確認することと、記録の残し方

先に上限文字数を決める

削る基準がないと、「まだ長い気がする」という感覚だけで削り続けてしまいます。まず1枚に使える文字数を出します。

上限文字数 = 表示秒数 × 読み速度(1秒あたりの文字数)

読み速度と1行の文字数は、納品先やプラットフォームの仕様で決まります。仕様書があればその数字を使ってください。ここでは説明用に、読み速度を1秒あたり4〜5文字と仮置きします。公式の基準ではなく、一般的な目安として置いた値です。

  • 2秒、上限の目安(4〜5文字/秒):8〜10文字
  • 3秒、上限の目安(4〜5文字/秒):12〜15文字
  • 4秒、上限の目安(4〜5文字/秒):16〜20文字
  • 5秒、上限の目安(4〜5文字/秒):20〜25文字

句読点や数字を何文字と数えるかも仕様次第です。この記事の例では、句読点を1文字、数字は1桁を1文字として数えています。数え間違いを避けるには、表計算ソフトの =LEN(セル) で確認するのが確実です。ただし、空白や改行が入ったセルは、それも1文字に数えられる点に注意してください。

削る順の優先リスト

ここが本題です。上から順に試し、上限に収まった時点で止めます。

  • 0、試すこと:表示時間を延ばせるか、判断の問い:前後に無音や空きがあるか。次の字幕やカット変わりをまたがないか
  • 1、試すこと:言い淀み・間投詞・呼びかけ、判断の問い:「えーと」「まあ」「ねえ」を消しても意味と態度が変わらないか
  • 2、試すこと:重複・言い換え、判断の問い:同じ内容を2回言っていないか(強調だけなら1回で足りる)
  • 3、試すこと:主語・目的語・指示語、判断の問い:直前の字幕や映像で誰の話か分かるか
  • 4、試すこと:程度・緩衝の修飾語、判断の問い:「かなり」「ちょっと」「たぶん」を消すと、断定が強くなりすぎないか
  • 5、試すこと:言い回しの圧縮、判断の問い:「することができる」→「できる」など、同じ意味で短い形があるか
  • 6、試すこと:2枚に分ける、判断の問い:切れ目に自然な区切りがあり、各枚が読める秒数を確保できるか
  • 7、試すこと:副次的な情報を落とす、判断の問い:例が3つあるなら1つに絞れるか。本筋に影響しないか

順0を先頭に置くのは、訳を削るより時間を延ばすほうが情報の損失がないからです。ただし、タイミングの変更が許されない案件もあります。作業の権限を先に確認してください。

削らないもの

次の要素は、上限を超えていても原則として残します。収まらないときは順6(分割)で対応します。

  • 数字・日付・金額・単位
  • 固有名詞(音声で聞き取れるものは特に)
  • 否定(「〜ない」)、条件(「もし〜なら」)、義務と許可の違い
  • 質問の焦点と、それに対する答え
  • 後の場面で言及される語(伏線、専門用語)

短縮前後の例5組(説明用の例)

文字数は句読点込みです。秒数は想定で、実際の映像はありません。

例1:言い淀みと緩衝表現(順1・4)

  • 原文:Well, you know, I think we should probably get started now.
  • 想定:3秒(上限12〜15文字)
  • 前:えーと、まあ、そろそろ始めた方がいいんじゃないかなと思うんですよ(32文字)
  • 後:そろそろ始めましょうか(11文字)

「えーと」「まあ」を落とし、提案のやわらかさは「〜ましょうか」で残しました。

例2:重複する言い換え(順2)

  • 原文:We need to cut costs, reduce spending, and save money wherever we can.
  • 想定:3.5秒(上限14〜17文字)
  • 前:コストを削減し、支出を減らし、できる限りお金を節約する必要があります(34文字)
  • 後:できる限り経費を抑えないと(13文字)

原文は同じ趣旨を3回言っています。1つにまとめ、「必要がある」の意味は「〜ないと」で残しました。

例3:文脈で分かる主語・目的語(順3)

  • 原文:I told her that I would send the report to her by Friday.
  • 想定:4秒(上限16〜20文字)
  • 前:私は彼女に、金曜日までにそのレポートを彼女に送ると伝えました(30文字)
  • 後:金曜までにレポートを送ると伝えました(17文字)

「彼女」は直前の字幕で誰か分かる前提です。分からない場合は「彼女に」を残して他を削ります。日付の「金曜」は残しています。

例4:程度の修飾語は残し、回りくどさを削る(順5)

  • 原文:It's actually quite a bit more complicated than it might seem at first glance.
  • 想定:3秒(上限12〜15文字)
  • 前:実際には、一見そう思えるよりも、かなり複雑な話なんです(27文字)
  • 後:見た目より、かなり複雑です(13文字)

順4に当たる「かなり」は残しました。消すと「複雑です」と言い切る形になり、原文の程度が変わるためです。

例5:数字・否定・条件を守る(順3・5)

  • 原文:If you don't submit the form by the 15th, we can't process your refund.
  • 想定:5秒(上限20〜25文字)
  • 前:15日までにフォームを提出されない場合は、返金の手続きを進めることができません(39文字)
  • 後:15日までに提出がないと、返金できません(20文字)

「15日」、条件と否定を表す「ないと」、結果の「返金できません」が残っています。「フォーム」は画面に出ていない場合、「申請」などの語を補ってください。

AIに短縮案を出させる

AIには、短縮案の作成と、何を削ったかの説明を任せます。文字数の最終確認と、残すべき情報の判断は人が行います。AIが自己申告する文字数は誤ることがあるので、上限内かどうかは必ず表計算などで数え直してください。

渡す情報は、原文、現在の訳、表示秒数、上限文字数、前後の字幕、固定したい用語です。未公開の映像や社外秘の台本は、固有名詞や数字をダミーに置き換えてから渡します。学習に使われない設定にすることと、秘密を守ることは別の話です。

あなたは英日字幕の編集者です。次の字幕訳を、上限文字数以内に短くしてください。

# ルール
- 次の順で削ること:言い淀み・呼びかけ → 重複 → 文脈で分かる主語/目的語 → 程度の修飾語 → 言い回しの圧縮
- 数字、日付、固有名詞、否定、条件は削らない
- 固定用語:{用語集}
- 句読点は1文字として数える
- 意味を足さない。推測で補わない

# 入力
前の字幕:{直前の字幕}
原文:{英語}
現在の訳:{日本語}
表示秒数:{秒}/上限:{文字数}

# 出力(表形式)
案A・案B/各案の文字数/削った要素/残した理由/意味が変わる恐れのある点

案を2つ出させるのは、安全寄り(削りが少ない)と短さ優先を比べられるようにするためです。

DeepL APIで翻訳を作っている場合、公式ドキュメントによると、テキスト翻訳APIの custom_instructions は1リクエストに最大10件、各指示は300文字以内で、1つの指示には1つのルールだけを書くよう勧められています。たとえば「口語の言い淀みは訳さない」のように1件ずつ分けて入れる形です(Custom instructions、2026年10月28日に閲覧)。この記事では、これで上限文字数に収まるかを検証していません。利用できる契約や言語の条件も含めて公式ドキュメントで確認し、結果は文字数で検証してください。

context パラメータは、前後の文章を渡して短い断片の曖昧さを減らすためのものです。課金対象は text の文字だけで、context は対象外と説明されています。一方、トーンや翻訳ルールを指示する用途には向かず、その場合はスタイルルールやカスタム指示、用語集を使うとされています(How to Use the Context Parameter、2026年10月28日に閲覧)。字幕の前の1〜2枚を context に入れ、短くする指示は custom_instructions に分ける、という使い分けが考えられます。

人が確認することと、記録の残し方

AIの短縮案を採用する前に、次の点を見ます。

  1. 文字数:表計算で数え直し、上限以内か。
  2. 音声と画面との整合:聞き取れる固有名詞や数字が消えていないか。画面内の文字(看板、資料)と矛盾していないか。
  3. 前後とのつながり:削った主語が、直前の字幕で本当に分かるか。次の字幕で同じ語を繰り返していないか。
  4. 断定の強さ:「たぶん」「〜かもしれない」を落として、言い切りになっていないか。
  5. 声に出して読む:表示秒数の間に、つかえずに読み切れるか。

迷うときは順を一つ戻して削りを減らし、足りない分を順6の分割で補います。意味を落とすより、字幕を1枚増やすほうが安全な場面は多くあります。

複数の字幕を直すときは、どの順まで使ったかを記録しておくと後から見直せます。表計算に「原文」「現訳」「短縮後」「秒数」「上限」「文字数(LEN)」「使った順」の列を作り、上限を超えた行だけ色を付けます。依頼元への説明も、「順3までで収めた」と言えば、何を落としたかが伝わります。

出典・参考資料