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企画書の数字と主張を「事実・出典・仮定」に分ける前提メモの作り方

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

企画書の前提を四色に分け、横に置いた報告書で根拠を確認する構図
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

結論から言うと、企画書に載せる数字を1つずつ表の1行にし、「区分」「出典または根拠」「確認日」「外れたときの影響」を書き込めば、前提メモになります。区分は次の4つで足ります。 • 事実:出典の該当箇所を、自分の目で開いて確認できる数字 • 推計:事実の数字から計算で導いた数字(元の事実と式を残す) • 仮定:根拠が薄い、または自分たちで置いた数字 • 未確認:まだ裏が取れていないもの(結論には使わない) 見分ける基準は「出典を指させるか」です。指せれば事実、指せても加工していれば推計、指せなければ仮定です。AIには下書きを任せられますが、「事実」にしてよいかの最終判断は、出典を開いた人が行います。以下、雛形、架空の記入例、仮定の文例、AIへの依頼文の順に示します。

この記事の目次
  1. 前提メモ表の雛形
  2. 記入例(説明用の例・架空)
  3. 仮定の置き方の文例
  4. AIに下書きさせる依頼文
  5. 提出前の判断表

前提メモ表の雛形

次の表をスプレッドシートやドキュメントにコピーして使います。企画書の本文とは別の1枚にして、提出時に添付するか、聞かれたらすぐ出せる状態にしておきます。

  • 1、数字・主張:、区分:事実/推計/仮定/未確認、出典・根拠(資料名、ページ、取得日):、確認者・確認日:、外れたときの影響:結論が変わる/変わらない、見直しのタイミング:

書くときのルールは3つです。

  1. 単位と期間を数字に含める:「月1,200件」のように、集計範囲まで書きます。
  2. 推計には式を書く:「A×B×C」の形で、元の行番号も添えます。
  3. 「外れたときの影響」は必ず埋める:結論が変わる数字ほど、出典の確認を優先します。

記入例(説明用の例・架空)

以下は、架空の会社が会議室予約システムの導入を企画する場面です。数字はすべて説明用に作ったもので、実在の調査や実測ではありません。紙面の都合で「確認者・確認日」「見直しのタイミング」の列は省いています。

  • 1、数字・主張:月間の会議室予約 1,200件(9月分)、区分:事実、出典・根拠:現行予約ログの9月集計(総務の抽出)、影響:変わる
  • 2、数字・主張:重複予約によるやり直し率 8%、区分:仮定、出典・根拠:1部署の2週間の記録から置いた。全社への当てはめは未確認、影響:変わる
  • 3、数字・主張:やり直し1件あたり 15分、区分:仮定、出典・根拠:担当者への聞き取りの印象。計測はしていない、影響:小さい
  • 4、数字・主張:時間単価 3,000円、区分:未確認、出典・根拠:経理の標準単価かを確認中、影響:変わる
  • 5、数字・主張:導入で重複が半減する、区分:仮定、出典・根拠:ベンダー資料の主張。第三者の検証は未確認、影響:変わる
  • 6、数字・主張:月間削減額 36,000円(行4が未確認のため暫定)、区分:推計、出典・根拠:1,200×8%×15分×3,000円÷60分×50%、影響:結果
  • 7、数字・主張:導入費用 600,000円、区分:事実、出典・根拠:見積書(取得日を記載)。ただし見積の有効期限を確認、影響:変わる

行6の計算は、重複が月96件、やり直しが月24時間、金額は月72,000円で、その半分の36,000円です。回収期間は約17か月になります。

この表の価値は、結論のぐらつきが見えることです。行2が8%ではなく4%だった場合、月間削減額は18,000円、回収は約33か月です。「回収の長さは、行2と行5の仮定にほぼ左右される」と、説明の前に自分で言えます。行4が未確認のままなら、金額は参考値として扱うか、企画書の結論から外します。

仮定の置き方の文例

仮定は悪いものではありません。問題になるのは、仮定だと言わずに事実のように書くことです。そのまま使える言い回しを、場面別に示します。

自分たちの観測から置くとき

「やり直し率8%」は、A部署の2週間の予約記録から置いた仮定です。全社に当てはまるかは未確認のため、導入後1か月で実測し、結果次第で見直します。

幅で示すとき

やり直し率は4%を下限、8%を中位、12%を上限として試算します。本文の数字は中位です。

提供元の主張を使うとき

〇〇社の資料には「重複予約を半減できる」と記載されています。第三者による検証は確認できていないため、本企画では割り引いて30%減で試算します。

未確認のものを扱うとき

時間単価は現時点で確認できていません。経理部に確認し、〇月〇日までに更新します。確認前は、金額を結論の根拠に含めません。

数字にしない判断をするとき

利用者満足度の改善は根拠となる数字がないため、定量化せず、導入後のアンケート項目として設計します。

仮定を書くときの順序は、①その数字が必要な理由、②置いた根拠、③外れたときの影響、④確かめる方法と時期、です。この4点が1〜2文に収まっていれば、読み手は「どこまで信じてよいか」を判断できます。

AIに下書きさせる依頼文

数字が多い企画書では、抜き出しと区分の下書きをAIに任せると手間が減ります。任せるのは「分類案の作成」と「抜け漏れの指摘」までです。出典の確認は人が行います。

AIは、事実と異なる内容や、与えた資料と食い違う内容を出すことがあります。Anthropicの公式ガイドでは、分からないと答えてよいと明示する、長い資料では先に原文の引用を抜き出させる、裏づけの引用が見つからない主張は取り下げさせる、といった方法が挙げられています。同ガイドは、これらで幻覚を大きく減らせても完全にはなくならず、重要な情報は必ず検証するよう述べています(Reduce hallucinations|Claude Docs)。次の依頼文はその考え方を取り入れた例です。

あなたは企画書の査読者です。下の【企画書本文】から、数字と主張をすべて抜き出し、前提メモ表の下書きを作ってください。

ルール:
- 区分は「事実」「推計」「仮定」「未確認」のいずれかにする。
- 「事実」にしてよいのは、【資料】に該当箇所がある場合だけ。
  該当箇所を原文のまま引用する。見つからなければ「未確認」にする。
- 【資料】にない出典や数字を作らない。一般知識で補わない。
  判断材料がないときは「判断材料がありません」と書く。
- 推計には計算式と元の行番号を書く。
- 最後に、その数字が外れると結論が変わるものを3つ挙げる。

出力は表(No./数字・主張/区分/根拠の引用/外れたときの影響)。

【企画書本文】
(ここに貼る)

【資料】
(見積書、集計結果などの抜粋を貼る)

貼る情報を絞る

社外秘の数字や、個人が特定できる情報は、そのまま貼らないでください。取引先名は「A社」、金額は概数、氏名は削除に置き換えます。AIサービスの設定によって入力内容の扱いは異なるため、貼ってよい範囲は、使うサービスの規約と社内ルールで先に確認してください。

人が確認すること

AIが返した表を、そのまま前提メモにしないでください。次の4点を確認します。

  1. 「事実」とされた行は、引用が実際に資料にあるか(言い換えで意味が変わっていないか)
  2. 集計期間、対象範囲、単位が数字と食い違っていないか
  3. 「推計」の計算式を電卓や表計算で再計算して合っているか
  4. 「仮定」が「事実」に書き換わっていないか。出典の発行日が古くないか

提出前の判断表

迷いやすいケースの区分の目安です。

  • 社内システムの集計値で、抽出条件が分かる、区分の目安:事実、一言添える内容:抽出日と条件
  • 公的機関の統計や、提供元の仕様・価格の資料に記載がある、区分の目安:事実(資料名と取得日を明記)、一言添える内容:改定の可能性
  • 事実を掛け合わせた金額、区分の目安:推計、一言添える内容:式と元の行
  • 一部の部署や期間のデータを全体に当てはめた、区分の目安:仮定、一言添える内容:当てはめの範囲
  • ベンダーや他社の効果の主張、区分の目安:仮定、一言添える内容:第三者検証の有無
  • 人の記憶や印象、区分の目安:仮定、一言添える内容:計測予定
  • 誰かから聞いたが資料がない、区分の目安:未確認、一言添える内容:確認担当と期限

この表があれば、「この数字の根拠は?」と聞かれたときに、行を指して答えられます。まずは企画書の中で最も結論に効いている数字を3つ選び、表の3行だけでも埋めてみてください。

出典・参考資料