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提案への反対意見をAIに言わせて、想定問答にまとめる準備法

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

机の上で、手が付箋を4つの区画に分けて貼り分けている。ひとつだけ色の違う付箋が残り、答えを用意できていない質問を表している。
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

結論から言うと、準備は「AIに質問だけを出させる → 分類して重要なものに絞る → 答えと根拠は自分で埋める」の3段階で進めます。AIは「聞かれそうなこと」を広く出すのが得意です。一方で、自社の予算や規程、他部署の事情は知りません。回答の中身まで任せると、もっともらしい一般論で埋まりがちです。 この記事では、質問を整理する4分類の枠、AIに渡せる依頼文、想定問答票の雛形を紹介します。記入例はすべて説明用の架空の例で、実際に運用して得た結果ではありません。

この記事の目次
  1. 質問は「費用・リスク・実行・代替案」で分けると漏れに気づきやすい
  2. AIへの依頼文:質問だけを出させる
  3. 想定問答票の雛形
  4. 回答を埋める手順と、人が確認する点
  5. 入力前の置き換えと、時間がないときの最低ライン

質問は「費用・リスク・実行・代替案」で分けると漏れに気づきやすい

反対意見を雑に出させると、似た質問ばかりが並びます。先に観点を決めておくと、自分の提案で薄い部分が見えます。

  • 費用、聞き手が確かめたいこと:出すお金に見合うか、質問の型:総額は? 継続費用は? 回収時期は?、答えの根拠になるもの:見積書、現行コストの数字
  • リスク、聞き手が確かめたいこと:失敗や事故が起きないか、質問の型:情報漏えいは? 失敗時の損害は? 規程に反しないか、答えの根拠になるもの:社内規程、情報システム部門の見解
  • 実行、聞き手が確かめたいこと:本当にやり切れるか、質問の型:誰がやる? いつまで? 通常業務との両立は?、答えの根拠になるもの:体制表、スケジュール
  • 代替案、聞き手が確かめたいこと:他の方法ではだめか、質問の型:今のままでは? 他の手段は? 小さく試せないか、答えの根拠になるもの:比較表、現状の課題データ

「効果は本当にあるのか」のように2分類にまたがる質問は、費用(回収時期)か代替案(今のままとの比較)のどちらに入れても構いません。分類は答える側の整理のためなので、迷ったら「答えを探すとき、どの資料を開くか」で決めます。

AIへの依頼文:質問だけを出させる

Googleの公式ガイドでは、プロンプトを書くときに考える要素として、ペルソナ、タスク、背景情報、形式の4つが挙げられています。結果が期待と違うときはプロンプトを調整し、出力は使う前に内容を見直すよう案内されています(Writing Effective AI Prompts for Business|Google Workspace)。このガイドはGoogle WorkspaceのGeminiを対象にしたものです。以下の依頼文は、この4要素を参考にした編集上の構成なので、他の生成AIにも応用できます。

あなたは、この提案を審査する立場の管理職です。
提案に慎重な立場で、承認前に確認したい質問を出してください。
回答や擁護は書かず、質問だけを出してください。

# 背景
- 聞き手:部長・経理担当・情報システム担当
- 場面:稟議の事前説明(10分)

# 提案の要点(伏せ字・概数にしたもの)
【ここに提案の目的、内容、費用、期間、体制、代替案を貼る】

# 出力形式
- 「費用」「リスク」「実行」「代替案」の4分類で、各5問まで
- 各質問に、質問しそうな人の役割(部長/経理/情シス)と重要度(高・中・低)を付ける
- 提案の要点に答えが書かれていない質問には「資料に記載なし」と付ける
- 表形式

ポイントは3つです。

  • 「回答は書かない」と明記する:答えを先に出させると、根拠のない数字が混ざります。
  • 「資料に記載なし」を付けさせる:提案書の抜けがそのまま見つかります。
  • 4分類で各5問まで:上限がないと、重要度の低い質問が大量に出ます。

質問が一般的すぎるときは、「経理担当の視点でもう一度」「実行の分類だけ、現場の負担に絞って追加で10問」のように追加で依頼します。

想定問答票の雛形

出てきた質問を、次の票に移します。AIの出力をそのまま貼らず、重要度が「高」のものと「資料に記載なし」のものから優先して入れ、自分の言葉で答えを書き込みます。

  • 1、分類:費用、想定質問:、質問者:、重要度:高/中/低、回答(結論を1文):、根拠・資料:、状態:確認済/未確認、次の一手:
  • 回答は結論1文:口頭で答える長さにそろえ、詳しい説明は根拠の列に回します。
  • 根拠・資料:見積書や規程など、ファイル名やページまで書きます。書けない回答は「未確認」にします。
  • 状態:「未確認」が残ったまま説明に行かないための列です。
  • 次の一手:誰に何を確認するか、「追加資料を作る」などを書きます。

記入例(説明用の架空の例)

「営業部で週次報告の下書きにAIを試験導入する」という架空の提案を想定しています。数字や規程名はすべて例です。

  • 1、分類:費用、想定質問:3か月試すと総額はいくらか、質問者:経理、重要度:高、回答(結論を1文):試験期間中の追加費用は、見積書の合計(例:◯万円)で収まります、根拠・資料:見積書(例:見積_v2.pdf)、状態:確認済、次の一手:―
  • 2、分類:リスク、想定質問:顧客名や取引額を入力してしまわないか、質問者:情シス、重要度:高、回答(結論を1文):入力は伏せ字データに限り、手順書で禁止事項を明記します、根拠・資料:利用ルール案(例:p.2)、状態:未確認、次の一手:情シスに社内規程との整合を確認
  • 3、分類:実行、想定質問:担当者は通常業務と両立できるのか、質問者:部長、重要度:中、回答(結論を1文):週1回30分以内の作業に限定し、対象は3名です、根拠・資料:体制表、状態:確認済、次の一手:―
  • 4、分類:代替案、想定質問:既存のテンプレート改善だけでは足りないのか、質問者:部長、重要度:高、回答(結論を1文):資料にない(未回答)、根拠・資料:―、状態:未確認、次の一手:現行の作成時間を1週間記録して比較資料にする

4行目のように「答えられない質問」が見つかることが、この準備の一番の収穫です。説明前に答えを作るか、提案を修正するかを判断できます。

回答を埋める手順と、人が確認する点

  1. 提案書を読み返し、自分の言葉で答える。まず自力で書きます。
  2. 答えにくい質問だけAIに相談する。たとえば次のように頼みます。
次の質問に対する回答案を、結論1文+根拠の候補で作ってください。
提案の要点に書かれていない数字や社内規程は作らず、
その箇所は【要確認:誰に何を確認するか】と書いてください。
質問:【票から1問貼る】
提案の要点:【伏せ字済みの要約を貼る】
  1. 人が確認する。回答案にある数字、規程名、他部署の事情は、必ず元の資料に当たります。根拠を書けない回答は「未確認」のままにします。
  2. 模擬の読み合わせをする。同僚に質問を読み上げてもらい、結論1文で答えられるか試します。詰まった質問は、根拠の資料を足すか、提案側を直します。

AIに任せるのは「質問の洗い出し」と「回答案のたたき台」までです。何を決めるか、どこまで約束するかは、提案者が判断します。

入力前の置き換えと、時間がないときの最低ライン

提案書には、取引先名、単価、人事に関わる情報が含まれることがあります。AIに貼る前に、社名や金額を伏せ字や概数に置き換えます。質問を出させるだけなら、細かい数字がなくても用が足ります。

「入力内容を学習に使わせない」といった設定があっても、社外に出してよいという意味にはなりません。学習利用の設定と、秘密保持の取り決めは別の話です。使ってよいサービスや入力してよい情報の範囲は、自社の規程と情報システム部門の案内に従ってください。

時間がないときは、次の3点だけでも実行できます。

  • 依頼文で、4分類×5問を出させる
  • 重要度「高」と「資料に記載なし」の質問だけ、票に移す
  • 根拠が書けない回答には「未確認」を付け、説明前に確認先を決める

出典・参考資料