AIが書き直した文書をWordの比較機能で元と突き合わせ、勝手に変わった箇所を拾う
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AIに「読みやすく整えて」と頼んだ文書は、頼んでいない部分まで変わっていることがあります。数字、「〜しない」といった否定、担当者名、期限などです。これを目で追って探すのは現実的ではありません。 そこで、Wordの「比較」機能で元の文書とAI版を突き合わせます。違いが変更履歴の形で出るので、変わった箇所だけを順に確認できます。Microsoftの公式ページには、比較しても比較元の文書は変更されないと書かれています。 この記事では、比較の手順、差分の判断表、記録のテンプレートを紹介します。操作はMicrosoftの公式サポートページの記載をもとにまとめたもので、私が実機で試した結果ではありません。記事内の例は説明用に作ったものです。
この記事の目次
手順1:元の文書とAI版を、別々のWordファイルで用意する
比較には、Wordファイル(.docx)が2つ必要です。
- 元の文書:AIに渡す直前の状態を別名で保存して固定します。例:企画書_元.docx
- AI版:AIの出力をWordの新規文書に貼り付けて保存します。例:企画書_AI版.docx
AIに渡す文書は、社内規程で許される範囲にとどめてください。社名、個人名、金額を仮の値に置き換えると安全です。学習への利用を止める設定があっても、情報の扱いが自動的に安全になるわけではありません。
依頼文に制約を入れておくと、差分が減って確認しやすくなります。
以下の文書を、読みやすくなるように書き直してください。
次のルールを守ってください。
- 数字、日付、固有名詞、金額、単位は変更しない
- 否定や条件(「〜しない」「〜の場合のみ」)の意味を変えない
- 見出しの順序と段落の数は変えない
- 元の文にない事実や根拠を追加しない
- 書き直した箇所の一覧を、最後に「元の表現→新しい表現」で付ける
【文書】
(ここに本文を貼る)AIが出す変更一覧が、実際の差分と一致する保証はありません。確認の主役は、次のWordの比較です。
手順2:Wordの「比較」で差分を出す
Windows版の手順
Microsoftの法的ブラックライン比較の説明ページ(日本語)によると、対象はWord for Microsoft 365、Word 2024、Word 2021です。(英語版も同内容です。)
- 比較する2つの文書を開きます。
- 「校閲」タブの「比較」グループで「比較」を選びます。
- 「ドキュメントの2つのバージョンを比較する(法的ブラックライン)」を選びます。
- 「元の文書」に企画書_元.docx、「変更されたドキュメント」に企画書_AI版.docxを指定します。
- コメント、書式設定、テキストの変更など、比較する項目を選びます。「変更の表示」は文字レベルか単語レベルかを選べます。
- どちらかに変更履歴が残っていると、確定してよいかを尋ねるメッセージが出ます。変更履歴が入ったファイルを使う場合は、念のためコピーで作業してください。
- 第3の新しい文書に、差分が変更履歴として表示されます。
指定を逆にすると、挿入と削除の見え方も逆になります。元の文書が「元」、AI版が「変更された文書」です。
設定の選び方(編集上の提案)
数字や否定の確認が目的なら、まず文字レベルを試してください。1文字単位で差が出るので、数字や助詞の違いを見つけやすくなります。差分が多すぎて読めない場合は、書式設定の比較を外して文章の変更だけを見る方法があります。その場合、書式の崩れは別に目視します。これは公式の仕様ではなく、私の提案です。
「変更の表示先」は、既定では新しい文書です。元の文書やAI版を表示先にもできますが、確認用には新しい文書のままをおすすめします。
Mac版について
公式ページで確認できたのは、Word 2019 for Macの説明のみです。その説明ページでは、「Review」タブの「Compare」から「Compare Documents」を選び、「Original document」と「Revised document」を指定します。元のコピーは変更されず、差分は変更履歴で示されると書かれています。詳細設定は、同ページでは「Tools」メニューの「Track Changes」から開く案内です。新しいバージョンのMac版や日本語表示の名称は未確認なので、お使いの画面で読み替えてください。
手順3:拾った差分を判断表で仕分ける
差分を上から順に見て、次の表で分類します。
- 数字・日付・金額・単位、見るポイント:桁、年月、税込/税抜、「万」「千」、判断の目安:1つでも違えば元に戻し、根拠資料と照合する
- 否定・条件・範囲、見るポイント:「しない」「のみ」「原則」「など」の増減、判断の目安:意味が変わるなら戻す
- 固有名詞・部署名・製品名、見るポイント:表記ゆれ、略称化、敬称の増減、判断の目安:社内の正式表記に合わせる
- 主語・担当・期限、見るポイント:「誰が」「いつまでに」が曖昧になっていないか、判断の目安:元の情報が落ちていれば戻す
- 追加された文、見るポイント:元にない根拠、数値、一般論、判断の目安:出典を確認できなければ削除する
- 削除された文、見るポイント:注意書き、前提、例外条件、判断の目安:必要なら復活させる
- 順序の入れ替え、見るポイント:手順や優先順位の並び、判断の目安:意味が変わるなら戻す
- 言い回しだけの変更、見るポイント:「です・ます」の統一、接続詞の整理、判断の目安:趣旨が同じなら採用してよい
「言い回しの整理」に見える変更に、意味の変化が混ざることがあります。短い差分でも、読み上げて意味を確認してください。
説明用の例
次は、差分の見え方を説明するために作った例です。実際に実行した画面ではありません。
- 元:「新システムの導入は、原則として来期第2四半期に行う。」
- AI版:「新システムを来期第1四半期に導入する。」
比較すると、「原則として」の削除と、「第2」から「第1」への変更が差分に出るはずです。前者は例外の余地の消失、後者は時期の事実が変わった例にあたります。どちらも採用せず、元の表現に戻します。
手順4:意図しない変更を記録して、次の依頼文に反映する
直すだけでは、次の依頼で同じ変更が起きます。次の簡単な記録を残します。
【確認記録】
文書名:
元ファイル/AI版ファイル:
確認日:
比較設定(表示単位/書式の比較の有無):
No. | 箇所(見出し・段落) | 元 | AI版 | 種類 | 対応(戻す/採用/修正)
1 | | | | |
2 | | | | |
戻した件数: 採用した件数:
次回の依頼文に追加する制約:「種類」には判断表の分類を書きます。数字の変更が続くなら、「数字は変更しない」を「数字は一字一句そのまま残す」に強めるなど、依頼文に反映します。
最終版は、比較結果の文書をそのまま使うより、元の文書を土台に採用した変更だけを反映するほうが安全です。比較結果の文書は、確認の記録として別に保存します。
比較では分からないこと
比較機能が示すのは「何が変わったか」だけで、「変わった内容が正しいか」は判断しません。
- 追加された数値や根拠:資料と照合してください。
- 図や画像の中の文字:比較の設定項目はコメント、書式設定、テキストの変更などです。図の中の文字は対象外と考え、目視で確認してください。
- 提出前の最終読み:変更を反映したあと、全文を通して読み、文脈のつながりを確認します。
文章の整形はAIに任せ、数字・意味・根拠の確認は人が行います。比較機能は、その確認を差分に絞るための道具です。

