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AIで書き直した文書の版管理:ファイル名・変更履歴・確定版のルール例

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

三つの改訂稿から赤いクリップの確定稿を無地のファイルへ収める場面
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

AIで書き直した文書の版管理は、次の三つで足ります。 1. AIの出力は必ず新しいファイルとして保存する(上書きしない) 2. ファイル名に「版番号・状態・日付・担当(人かAIか)」を入れる 3. 文書の冒頭に変更履歴欄と「確定版」表示を置き、正本は1か所だけにする この記事では、そのまま使えるファイル名規則、変更履歴欄、確定版表示の雛形、AIへの依頼文を示します。例はすべて説明用で、実際の運用で検証した結果ではありません。社名や数値も架空です。

この記事の目次
  1. 保存サービスの履歴だけでは足りない理由
  2. ファイル名規則の案
  3. 変更履歴欄と確定版表示の雛形
  4. AIに書き直させるときの依頼文
  5. 迷ったときの判断表

保存サービスの履歴だけでは足りない理由

WordやExcelをOneDriveやSharePointに置くと、以前の状態を開いて復元できます。ただしMicrosoftの以前のバージョンのOfficeファイルを表示するの案内では、この履歴はOneDriveまたはSharePointに保存したファイルだけが対象です。個人のMicrosoftアカウントでは最新の25バージョンまで、職場・学校アカウントではライブラリの構成によって変わります。

SharePointのライブラリについては、バージョン管理のしくみに、Microsoft 365では新規のライブラリでバージョン管理が既定で有効になり、直近500バージョンが保存されるとあります。チェックアウトを必須にしたライブラリでは、バージョンはチェックイン時にのみ作られます。どちらも公式ページの記載なので、自社の設定は管理者に確かめてください。

自動の履歴は「うっかり戻す」ための保険で、「どれが正本か」を示す仕組みではありません。AIで何度も書き直すと、履歴には細かい版が大量に並びます。承認された版は、人が名前を付けて別に残すほうが安全です。以降のルールは保存先に依存せず、共有フォルダでも使えます。

ファイル名規則の案

基本形

文書略称_v版番号_状態_YYYYMMDD_担当.拡張子

説明用の例です。

会員施策企画書_v0.3_AI案_20261027_AI-要約改稿.docx
会員施策企画書_v0.4_修正中_20261027_佐藤.docx
会員施策企画書_v0.5_レビュー中_20261028_佐藤.docx
会員施策企画書_v1.0_確定_20261030_佐藤.docx

各項目のルール

  • 文書略称、ルール:全版で固定。スペースなし、理由:検索で全版が並ぶ
  • 版番号、ルール:作業ごとに小数を上げる(0.3→0.4)。確定した版だけ整数にする(1.0、2.0)、理由:整数なら「確定した版」と分かる
  • 状態、ルール:AI案/修正中/レビュー中/確定 の4種に限定、理由:表記ゆれを防ぐ
  • 日付、ルール:YYYYMMDD、理由:並べ替えで時系列になる
  • 担当、ルール:人は姓、AIの出力は AI- に用途を付ける、理由:人の手が入ったか一目で分かる

運用の約束

  • AIの出力は、人が読んで直すまで AI案 のまま置く。 人が手を入れた時点で版を上げ、修正中 にします。
  • 確定 は1版だけ。 新しい確定版を作るときは、前の確定版を 旧確定 フォルダへ移します(ファイル名は変えません)。
  • 「最終」「最終版」は使わない。 状態欄と版番号に任せます。
  • 配布用にPDFを作る場合は、拡張子以外を編集用と同じ名前にすると取り違えを減らせます。

変更履歴欄と確定版表示の雛形

変更履歴欄

文書の末尾、または1ページ目の直後に置きます。AIが関わった版は、使った道具と指示の要約まで書きます。

【変更履歴】(説明用の例)
| 版 | 日付 | 担当 | 元の版 | 変更内容 | AI利用 | 確認者 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.1 | 10/25 | 佐藤 | - | 初稿作成 | なし | - |
| 0.2 | 10/26 | 佐藤 | 0.1 | 第3章に費用試算を追記 | なし | - |
| 0.3 | 10/27 | AI | 0.2 | 要約と見出しを書き直し | 〇〇(ツール名)/「500字以内に要約、数値は変えない」 | 未確認 |
| 0.4 | 10/27 | 佐藤 | 0.3 | AI案から要約のみ採用。見出しは0.2に戻す | あり(0.3の一部) | 佐藤 |
| 0.5 | 10/28 | 佐藤 | 0.4 | レビュー依頼用に体裁を整える | なし | - |
| 1.0 | 10/30 | 佐藤 | 0.5 | 部長承認を受け確定 | あり | 田中部長 |
  • 「元の版」列を必ず埋める。 0.4が0.3ではなく0.2を土台にした、といった枝分かれが見えます。
  • 「AI利用」列にはツール名と指示の要点を書く。 全文は不要です。社内でAI利用の記録を求められる場合にも使えます。
  • 確認者が「未確認」のAI案は、他人に回さない。

確定版表示

1ページ目の上部に置きます。

文書名:会員施策企画書
版:v1.0 状態:確定 確定日:2026年10月30日
承認者:田中部長 作成責任者:佐藤
正本の保存場所:(共有フォルダのパスまたはURL)
この文書の写しは参考扱いです。最新かどうかは上記の保存場所で確認してください。

作業中の版には、同じ位置に次を入れます。

状態:作業中(v0.4) この版は確定版ではありません

同じ位置に置くと、印刷や転送で文書だけが出回っても状態が分かります。

AIに書き直させるときの依頼文

本文と一緒に「何を変えたか」も出させると、変更履歴欄の下書きになります。機密の数値や顧客名は入れず、架空の値や記号に置き換えて渡してください。社内にAI利用の規程がある場合は、それに従います。

以下は企画書 v0.2 の本文です。次の条件で書き直してください。
- 目的:役員向けに要点が伝わるよう、第1章を読みやすくする
- 守ること:数値、固有名詞、日付は変更しない。事実を追加しない
- 出力は2つ:(1)書き直した本文 (2)変更点の一覧
  (箇所/変更前/変更後/変更の理由を表で)
- 数値や固有名詞を触った場合は、(2)の末尾に「数値・固有名詞の変更」欄を設けて列挙する(なければ「なし」)

【本文】
(ここに貼る)

出力を受け取ったら、人が次の順で確認します。

  1. 「数値・固有名詞の変更」欄が「なし」でも、元の版と数値を目視で突き合わせる(AIの自己申告だけに頼らない)
  2. 変更点の一覧と実際の本文が一致しているか、数か所を抜き取って確認する
  3. 採用する箇所を決め、新しい版番号で保存し、変更履歴欄に追記する

OneDriveやSharePointに保存している場合は、前述のとおり以前の版を別ウィンドウで開けるので、現在の版と見比べる材料にできます。それ以外の保存先では、AIの変更点表と原文の照合で代用します。

迷ったときの判断表

  • AIの書き直しを一部だけ採用したい、判断:元の版から新しい版を作り、変更履歴に「採用した箇所」を書く
  • 二人が同時に別々に直してしまった、判断:両方を別ファイルで残し、統合した版に新しい番号を付ける。元の2版は「元の版」欄に併記
  • AIが数値を変えていた、判断:その版は AI案 のまま保管し、採用しない。変更履歴に理由を残す
  • 確定後に誤字だけ見つかった、判断:1.1などの作業版で直す。再承認が要るか、要る場合に2.0として確定するかは社内ルールで決める
  • 確定版を戻したい、判断:古い確定版を新しい版番号で保存し直し、履歴に「v1.0へ差し戻し」と書く

最初から全項目を運用する必要はありません。まず「AIの出力を上書きしない」「ファイル名に状態と担当を入れる」の2点から始め、2週間ほど使って足りない列を足す形が現実的です。自社の文書管理規程や承認フローがある場合は、そちらを優先して雛形の語句を合わせてください。

出典・参考資料