企画の「問い」が決まらないとき、AIと3案に絞って選ぶ手順
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企画の問いが決まらないときは、次の順で進めます。 1. AIに、視点を変えた問いの候補を3案出させる 2. 影響・緊急度・確かめやすさの3項目で、自分が採点する 3. 点差が小さければ、確かめやすさで決める AIに任せるのは候補を広げる作業までです。採点と決定は人が行います。この記事では、そのための依頼文、判断シート、記入例を順に示します。記入例の業務や数値は説明用の架空の例で、実際に調査・実行した結果ではありません。
この記事の目次
先に決めておく「問い」の形
問いが定まらない原因の多くは、テーマ(例:月次報告の改善)と問いが混ざっていることです。この記事では、次の3点を満たす1文を「問い」と呼びます。
- 疑問文で終わる(「〜はどこか」「〜は何か」「〜は減るのか」)
- 答えが出たとき、誰かの判断や行動が変わる
- 解決策を先に埋め込んでいない(「AIを導入すれば〜」は、答えを決めた形です)
この3点は、AIに候補を出させるときの条件にもなります。
材料を5行にまとめ、AIに3案出させる
手順1:状況を5行でまとめる
AIに渡す材料は長くなくて構いません。次の5項目を書き出します。
- 誰が困っているか(部署・役割)
- 何が起きているか(事実だけ。推測は分ける)
- 企画の読み手と、その人が下す判断
- 期限と使える時間
- 手元で使えるデータ(件数、記録、アンケートの有無など)
社名、個人名、顧客名、未公開の数値は、この段階で「A部」「約◯件」のように置き換えておきます。
手順2:問いの候補を3案出させる
次の依頼文の【状況】を差し替えて使います。
あなたは社内企画の壁打ち相手です。以下の状況から、企画書で解くべき「問い」の候補を3案出してください。
【状況】
(手順1の5項目を貼る)
【条件】
- 各案は疑問文1文にする
- 解決策を問いに埋め込まない
- 3案は視点を変える(例:原因を探る/対象者を確かめる/効果を測る)
- 各案に「この問いが前提にしている仮定」と「答えるために必要なデータ」を1行ずつ添える
- 点数づけや推奨はまだしない「点数づけや推奨はまだしない」と入れるのは、AIの順位づけに引きずられないためです。案が似通っていたら、「3案目は別の視点で作り直して」と一度だけ頼み直します。
手順3:判断シートで3案を比べる
次の3項目を、各1〜5点で自分が採点します。AIに根拠の下書きを作らせてもよいですが、点数は自分で決めます。
- 影響、見ること:答えが出たとき、変わる範囲や判断の重さ、5点の目安:複数部署や予算判断に関わる、1点の目安:個人の作業の工夫で終わる
- 緊急度、見ること:先送りした場合のコスト、期限、5点の目安:今期中に決めないと機会を失う、1点の目安:来期でも困らない
- 確かめやすさ、見ること:手元のデータで、期限内に答えを出せるか、5点の目安:既存の記録で数日あれば確認できる、1点の目安:新規の大規模調査が必要
判断シートの雛形です。
- A、問い:、影響:、緊急度:、確かめやすさ:、合計:、根拠・懸念:
- B、問い:、影響:、緊急度:、確かめやすさ:、合計:、根拠・懸念:
- C、問い:、影響:、緊急度:、確かめやすさ:、合計:、根拠・懸念:
記入例(説明用の架空の例)
営業部の月次報告で、作成に時間がかかり、上長からの差し戻しも多いという想定です。
- A、問い:月次報告の作成時間は、どの工程で膨らんでいるのか、影響:3、緊急度:2、確かめやすさ:4、合計:9、根拠・懸念:工程別の時間記録が要る。自己申告で足りるか
- B、問い:月次報告の差し戻しは、どの種類の指摘が多いのか、影響:4、緊急度:3、確かめやすさ:4、合計:11、根拠・懸念:過去の修正履歴が残っていれば集計できる
- C、問い:月次報告は、誰のどの判断に使われているのか、影響:5、緊急度:2、確かめやすさ:2、合計:9、根拠・懸念:重要だが、読み手へのヒアリングに日数がかかる
この例ではBが最高点です。差し戻しの種類が分かれば、様式の見直しと記入ガイドのどちらが効くかを判断でき、データも手元にある想定だからです。Cは影響が大きい一方で確かめるコストが高いため、Bの結果を踏まえた次の問いとして残します。
手順4・5:僅差の決め方と、反対意見の確認
手順4:同点や僅差のときの決め方
合計の差が1点以内なら、次の順で決めます(編集上の提案で、絶対のルールではありません)。
- 影響が2点以下の案は外す
- 残った案のうち、確かめやすさが高い方を選ぶ
- それでも決まらなければ、最初の答えが出るまでの日数が短い方を選ぶ
確かめやすさを優先するのは、企画書の前段階では、早く小さく答えを出して次の問いを選び直せることに価値があるからです。ただし、予算の大枠に関わるような影響が極端に大きい案は、確かめにくくても別枠で検討する価値があります。
手順5:AIに反対意見を出させ、人が確認する
1案に絞ったら、決定を確かめるために次の依頼文を使います。
次の問いを、企画書の中心に据えようと考えています。
問い:(選んだ1文)
読み手:(誰が、どんな判断をするか)
手元のデータ:(あるもの)
次の点を、箇条書きで指摘してください。
- 問いの言葉が曖昧で、人によって解釈が分かれる箇所
- 読み手が「それで何が決まるのか」と聞きそうな点
- 手元のデータだけでは答えられない部分
- 見落としている可能性のある別の原因(推測と分かるように書く)AIの指摘はそのまま採用せず、次の3点を自分で確認します。
- 指摘が自分の状況の事実と合っているか(AIは社内事情を知りません)
- 指摘を受けて、判断シートの点数が変わらないか
- 読み手に問いの1文だけを見せて、意味が通じるか
社内情報をAIに渡すときの確認
状況メモには社内事情が混ざります。何を入力してよいかは、まず所属組織のルールに従ってください。そのうえで、サービス側の設定を把握しておきます。以下は2026年10月27日に各公式ヘルプを閲覧した範囲の内容で、プランや設定によって異なり、仕様は変わり得ます。
- ChatGPT:個人向けプラン(Free、Plus、Pro)では、入力内容がモデルの学習に使われることがあり、「Settings > Data controls」で「Improve the model for everyone」をオフにできると説明されています。ChatGPT Business、Enterprise、Edu、APIは、既定では入出力をモデル改善に使わないとされています。ただし、回答への評価(フィードバック)を送ると、その会話が使われ得る旨の注意もあります(OpenAI:How your data is used to improve model performance)。
- Claude:ヘルプでは、金融情報、パスワードなどの認証情報、機密性のある事業・個人の文書などは入力しないよう案内されています(Claude:機密データの入力について)。シークレットチャット(Incognito)は学習に使われず、履歴にも残りませんが、安全のために既定で30日間保持され、組織の設定によってはさらに長くなると説明されています。プロジェクト外のチャットでのみ使える点にも注意が必要です(Claude:Use incognito chats)。
学習に使われない設定と、機密を預けてよいかは別の問題です。保持期間、管理者の閲覧権限、社内規程は別に判断が要ります。迷う情報は「A部」「約◯件」のように置き換えて渡すのが無難です。
使い始めの最小セット
最初は次の3つがあれば始められます。
- 手順1の5行メモ(固有名詞を置き換えたもの)
- 手順2の依頼文
- 手順3の判断シートの雛形
3案を出して採点し、1案に絞ります。かかる時間は状況次第ですが、採点自体は短時間で済ませる想定です。残った問い1文と、採点時に書いた「根拠・懸念」は、そのまま企画書の冒頭(背景と目的)の下書きになります。

