企業研究をAIで進める手順:公開情報の集め方と、推測を事実と混ぜない整理法
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AIで企業研究を進めるときは、AIに「調べる項目と確認先の候補」を出させ、公式の資料は自分で開き、メモには事実・推測・未確認のラベルを付けて残します。AIの要約は地図として使い、根拠にはしません。根拠になるのは、企業や公的機関が出している原文です。 AIの文章は、もっともらしいまま間違うことがあります。企業研究でそれが混ざると、志望動機や面接での発言にまで残ります。以下では、確認先のリスト、AIへの依頼文、企業メモの書式をそのまま使える形で示します。
この記事の目次
全体の流れ:AIに任せる部分と、自分で確認する部分
- 1. 調査項目を決める、AIに任せる:項目と確認先の候補を出させる、自分で行う:自分の判断軸を先に書く
- 2. 公式情報を集める、AIに任せる:候補の整理、自分で行う:公式ページを開いて原文を確認する
- 3. 原文を整理する、AIに任せる:貼った本文から該当箇所を抜き出す、自分で行う:抜粋が原文どおりか照合する
- 4. メモに残す、AIに任せる:ラベル付けの下書き、自分で行う:事実に昇格させるかを決める
- 5. 面接用に変換する、AIに任せる:未確認事項を質問文にする、自分で行う:質問する相手と場を選ぶ
以降、手順ごとに説明します。
手順1〜2:一次情報の確認先を決めて、自分で開く
最初に、気になる点を3つ書き出します。たとえば「残業の実態」「配属の決まり方」「事業の柱」などです。そのうえでAIに、確認先の候補を出させます。
確認先リスト
下の表は、編集上の整理です。企業の種類によって、あるものとないものがあります。
- 事業内容・沿革・拠点、一次情報の確認先:企業の公式サイト(会社概要)、注意点:更新日が書かれていないページもあります
- 経営方針・業績(上場企業)、一次情報の確認先:企業のIRページ、有価証券報告書、決算説明資料、注意点:資料の対象期間を必ず記録します
- 最近の動き、一次情報の確認先:公式のプレスリリース、ニュースルーム、注意点:発表と実行は別です。計画段階の記述を事実扱いしないようにします
- 募集条件、一次情報の確認先:求人票、募集要項、注意点:年度と職種ごとに違います
- 働き方の数値、一次情報の確認先:職場情報総合サイト「しょくばらぼ」、注意点:掲載企業に限られます
- 若者雇用・女性活躍・両立支援、一次情報の確認先:厚生労働省の「企業・職場を知りたい」から各サイトへ、注意点:サイトごとに掲載対象が違います
厚生労働省の説明によると、しょくばらぼは残業時間、有給休暇取得率、平均年齢などの職場情報を検索・比較できるサイトです。2025年2月27日のリニューアルでは、従来の3サイトに載っていなかった企業も掲載できるようになり、テレワーク制度、副業・兼業、中途採用の定着率などの項目が加わりました(2026年10月28日に閲覧して確認)。
ただし、載っていないことは問題があることを意味しません。単に掲載がないだけかもしれないので、その場合は「未確認」として扱います。掲載元と数値の対象時点も、メモに書きます。
手順3:AIへの依頼文と、渡してよい情報
AIに検索機能がある場合は、使うとよいでしょう。Claudeでは、ウェブ検索を使うと出典へのリンク付きで回答が返り、重要な判断には信頼できる情報源を使うよう案内されています。利用できるかどうかはプランや設定によって異なり、TeamやEnterpriseでは組織の管理者が先に有効にする必要があります。他のAIでも、出典リンクを自分で開いて確かめる点は同じです。
AIに渡すのは、公開されている資料の本文と自分の判断軸です。選考で個別に受け取った非公開の資料、面談の内部情報、他人の個人情報は貼りません。必要なら架空の社名や数値に置き換えます。
依頼文A:調べる項目と確認先を出させる
就職活動中の学生(または転職希望者)として、企業研究を始めます。
対象企業:株式会社サンプル商事(説明用の仮の社名)
私の判断軸:①未経験でも育成の仕組みがあるか ②残業の実態 ③事業の安定性
次の形式で出してください。
- 判断軸ごとに、確認すべき項目
- 各項目の確認先(公式サイト、公的機関のサイトなど、一次情報を優先)
- 一般論で推測した内容には「推測」と明記する
あなたが実際に見ていないページの内容は書かないでください。
URLを推測で書かず、分からない場合は「URL不明」としてください。依頼文B:自分が貼った原文から抜き出させる
Anthropicの幻覚を減らす手引きには、「分からない」と答えてよいと明示する方法と、先に原文の引用を抜き出させてから分析する方法が載っています。これを企業研究用に直したのが、次の依頼文です(開発者向けの文書にある考え方を、こちらで応用したものです)。
以下は株式会社サンプル商事の公式サイトから私がコピーした本文です。
<本文>
(ここに貼る)
</本文>
1. 「育成」「研修」「配属」に関する記述を、原文のまま番号付きで抜き出してください。
2. 本文に書かれていない点は「記載なし」としてください。
3. 本文以外の知識で補わないでください。抜き出された文が原文にあるかは、自分で検索して照合します。AIが指示を守ったとは限りません。同じ手引きにも、こうした方法は幻覚を大きく減らしても、なくしはしないと書かれています。
手順4:事実・推測・未確認を分ける企業メモの書式
メモの各行に、必ず3つのラベルのどれかを付けます。
- 事実:公式の原文で確認し、出典・確認日・原文の抜粋を書けるもの
- 推測:事実から考えた解釈。誰が(AIか自分か)、何を根拠にそう考えたかを書く
- 未確認:まだ根拠がないもの。確認方法を書く
以下は説明用の例で、実在の企業や実測の結果ではありません。
■ 株式会社サンプル商事(説明用の例) 最終更新:2026-10-27
[事実] 新卒入社者向けに入社後の研修がある
出典:採用ページ「研修制度」(URL) 確認日:2026-10-27
原文:「入社後3か月間、全職種共通の研修を実施」(例)
※期間と内容は募集年度のもの
[推測] 配属は研修後に決まる可能性がある
根拠:研修が全職種共通であること 判断者:AI/自分
→ 配属時期の記載は未確認
[未確認] 月平均の残業時間
確認方法:しょくばらぼで掲載を検索/面接で質問
AIの回答(保留):「月20時間程度」→ 出典なし、使用しない最後の行がポイントです。出典のないAIの数値は、消さずに「保留」として残します。後で同じ数字を別の場所で見かけたときに、裏付けと混同しにくくなります。
事実に昇格させる判断表
- 公式ページを開き、原文と対象時点を確認した、ラベル:事実
- AIが出典リンクを示したが、まだ開いていない、ラベル:未確認
- 出典は開いたが、書いてあるのは計画や目標、ラベル:「〜を目指している」という事実。実績とは書かない
- 複数の情報から自分が考えた、ラベル:推測
- 口コミや噂、ラベル:未確認(出所と日付を書く)
- AIが出典なしに断言した、ラベル:未確認(保留欄へ)
手順5:未確認を、面接やOB訪問の質問に変える
メモの「未確認」と「推測」は、そのまま質問の材料になります。AIに次のように頼みます。
次の「未確認」「推測」の項目を、面接やOB訪問で聞く質問文にしてください。
・公開情報を調べたうえで聞く形にする(例:「採用ページで〜と拝見しましたが」)
・相手が答えにくい聞き方や、待遇だけを探る聞き方は避ける
・1項目につき質問は1つ
(項目を貼る)出てきた質問は、そのまま使わず、自分の言葉に直して使います。回答が得られたら、誰がいつ言ったかを書いて、事実ではなく「本人の説明」としてメモします。公式の資料で確認できるまでは、そのように区別しておくと扱いやすくなります。

