求人票の読み方をAIで補う:曖昧な表現を拾い、面接で確かめる質問に変える
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求人票の曖昧な表現は、AIに「確認すべき点の候補」として拾わせ、「事実を確かめる質問」に変えて面接や選考の場に持ち込むのが現実的です。AIに任せられるのは、書かれていない点や幅のある言葉を見つけて質問文にするところまでです。その会社が実際にどうかは、求人票だけでは、AIにも読者にも分かりません。 したがって「この求人はブラックか」とAIに判定させる使い方はおすすめしません。「どの言葉の何が分からないか」「何を聞けば分かるか」を出させ、答えは企業から直接受け取ります。この記事では、依頼文、項目別チェック表、質問の例文集、返ってきた回答の見方を順に示します。
求人票に何が書かれるはずか:AIに渡す前の土台
企業側に明示が求められている事項を知っておくと、「書かれていない」ことに気づきやすくなります。
厚生労働省のハローワーク東京の案内ページによると、2024年4月1日以降の求人票では、次の3点が新たに明示事項として加わっています。
- 従事すべき業務の変更の範囲
- 就業場所の変更の範囲
- 有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間や更新回数の上限を含む)
同ページでは「変更の範囲」を、雇入れ直後だけでなく、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、契約期間中の変更の範囲としています。「入社時の配属先」だけが書かれていて、その先がどうなるのか読み取れない場合は、確認候補になります。
固定残業代についても、厚生労働省の「確かめよう労働条件」に、固定残業代を除いた基本給の額、固定残業代に関する労働時間数と金額の計算方法、固定残業時間を超えた分の割増賃金を追加で支払う旨を明示する必要があると説明されています。この3点がそろっているかどうかは、AIに読ませる前から自分で見られる観点です。
なお、これらは募集する企業側のルールの説明です。「書かれていない=違法」とは限りません。本記事では、あくまで確認質問の根拠として使います。
AIに渡す情報と依頼文
渡すもの
- 求人票の本文(自分で気になる箇所だけでも可)
- 自分の優先条件(例:転居を伴う異動は避けたい、残業は月◯時間まで)
- 面接で質問できる場面(一次面接、内定後の面談など)
置き換えるもの
求人票そのものは公開情報であることが多いですが、自分の氏名、現職の社名、年収、家族の事情などは入力しないか、「現職A社」「年収◯◯万円」のように置き換えます。
ChatGPTの場合、OpenAIのヘルプ(Temporary chat in ChatGPT、英語)では、一時チャットは保存しない限り履歴に残らず、一時チャットのままであればモデル改善に使われないとされています。一方で、安全上の目的で最長30日間コピーが保持される場合があるとも書かれています。学習に使われない設定と、内容が外部に残らないことは別の話です。ほかのサービスを使う場合も、データの扱いの設定は各自で確認してください。
依頼文(コピーして使えます)
以下は私たちが用意した雛形です。実際の出力はサービスやモデル、入力内容で変わるため、結果は必ず自分の目で確かめてください。
あなたは求人票の読み方を支援するアシスタントです。
次の求人票を読み、「事実が書かれていない点」「幅のある言葉」「数字の前提が不明な点」を拾ってください。
ルール:
- 企業の良し悪しや違法性を断定しない。
- 求人票に書かれていることと、書かれていないことを分けて示す。
- 拾った点ごとに、面接で聞ける確認質問を1〜2個作る。
- 質問は、相手を疑う言い方ではなく、入社後の働き方を具体的に想像したいという形にする。
- 出力は表(該当箇所/何が不明か/確認質問)にする。
私の優先条件:【例:転居を伴う異動は避けたい/残業時間の実態を知りたい】
聞ける場面:【例:一次面接】
求人票:
【ここに貼り付け】項目別チェック表
求人票を読む観点を項目別にまとめました。AIの出力と照らし、拾い漏れがないかを見るために使えます。
- 仕事内容、気になる書きぶり:「幅広い業務」「状況に応じて」、確認したい点:入社後1年ほどの主担当と、業務の割合
- 就業場所、気になる書きぶり:「本社ほか」「全国」、確認したい点:変更の範囲、過去の異動の実態
- 賃金、気になる書きぶり:「月給◯万円〜」、確認したい点:下限が適用される条件、手当の内訳
- 固定残業代、気になる書きぶり:「みなし残業代含む」、確認したい点:基本給の額、対象時間数、超過分の扱い
- 労働時間、気になる書きぶり:「残業月平均◯時間」、確認したい点:部署別・繁忙期の実態、算出方法
- 休日、気になる書きぶり:「年間休日◯日以上」、確認したい点:休日の内訳、有給休暇の取得状況
- 試用期間、気になる書きぶり:「試用期間あり」、確認したい点:期間、期間中の条件の違い、本採用の判断基準
- 契約期間、気になる書きぶり:「契約更新あり」、確認したい点:更新の基準、通算期間や回数の上限
- 選考、気になる書きぶり:「随時」「書類選考後に連絡」、確認したい点:選考回数、内定までの目安、入社時期
- 職場の紹介、気になる書きぶり:「アットホーム」「風通しが良い」、確認したい点:具体的な仕組み(面談頻度、チーム人数など)
気になる表現から作る確認質問の例文集
以下は説明用の例です。実在の求人や、実際にAIへ入力して得た出力ではありません。AIが作った質問も、そのまま使わずに自分の言葉に直すと、面接で自然に聞けます。
- 幅広い業務をお任せします、確認質問の例:入社後半年から1年の間に、主に担当する業務はどれですか。業務全体のうち、それぞれの割合の目安はありますか。
- 就業場所:本社(変更の範囲は会社の定める場所)、確認質問の例:将来的に配属が変わる場合、どの拠点まで想定されていますか。直近数年で転居を伴う異動があった例はありますか。
- 月給27万円(固定残業代を含む)、確認質問の例:固定残業代を除いた基本給はいくらですか。対象の時間数と、それを超えた分の支払い方法を教えてください。
- 月平均残業20時間程度、確認質問の例:この数字は配属予定の部署のものでしょうか。繁忙期はどのくらいになりますか。
- 年間休日120日、確認質問の例:休日の内訳を教えてください。有給休暇は、平均してどのくらい取得されていますか。
- 試用期間あり、確認質問の例:期間は何か月ですか。給与や待遇は本採用後と変わりますか。本採用の判断で見られる点は何ですか。
- 契約更新あり、確認質問の例:更新するかどうかは何を基準に決まりますか。通算の期間や回数に上限はありますか。
- アットホームな職場です、確認質問の例:日々のコミュニケーションの取り方や、新しく入った人へのサポートの仕組みを教えてください。
- 頑張り次第で高収入、確認質問の例:評価の基準と、賞与や手当が決まる仕組みを教えてください。直近の実績の幅は聞けますか。
質問は一度に10個も聞くと負担になります。優先条件に直結するものを3〜4個に絞ってください。AIには「優先度の高い順に並べ、最初に聞く3つを選んで」と追加で依頼すると整理しやすくなります。
回答の受け止め方と、書面で残す
求人票で条件を確認し、面接でも再度確認する流れは、前述の「確かめよう労働条件」でも勧められています。回答を得たら、次のように整理します。
- 数字や条件を具体的に答える、受け止め方:判断材料が増えた、次の行動:内容を自分のメモに残す
- 「部署による」「人による」、受け止め方:幅がある、という情報、次の行動:配属予定の部署の場合はどうかを聞き直す
- 「入社後に説明します」、受け止め方:現時点では判断できない、次の行動:いつ、どの書面で示されるかを確認する
- 答えが求人票と食い違う、受け止め方:認識のずれの可能性、次の行動:どちらが正しいか、書面での確認をお願いする
口頭の回答は、後から確認しにくい点が弱みです。賃金、勤務地、労働時間に関わる内容は、入社前に受け取る労働条件の書面と照らし合わせ、食い違いがあれば入社を決める前に問い合わせます。同ページによると、ハローワークの求人で求人票と面接での説明に相違がある場合は、ハローワークの窓口に申し出ることもできます。
AIの出力を使う前の点検
- 求人票に書いていないことを、AIが推測で補っていないか。「一般に〜」という説明は、その会社の事実ではありません。
- 質問が詰問調になっていないか。「入社後の働き方を具体的に知りたい」という目的が伝わるかを見ます。
- 法律や制度の説明が出た場合は、厚生労働省などの公的な資料で自分で確認します。AIが示した条文や数字は、一次資料で裏取りするまで仮のものとして扱います。
- 優先条件に合わない質問が混ざっていないか。多すぎる場合は削ります。
AIは、求人票の言葉を「聞くべきこと」へ変換する作業を手伝います。最終的な判断は、企業の回答と書面を見て、自分で行います。

