志望動機が「成長したい」で終わる:AIの質問で具体的な理由に近づける3段階
AIを使いこなす執筆にClaudeを使用しています。

「成長したい」で止まる志望動機は、AIに文章を書かせても直りにくいものです。足りないのは言い回しではなく、材料だからです。材料は3つに分けられます。きっかけ(なぜその分野か)、仕事内容との接点(なぜその会社・職種か)、入社後にやりたいこと(何をするか)です。 この記事では、AIに文章を作らせる代わりに質問させます。3段階の質問セットに順に答えれば材料がそろいます。最後に、抽象的な文を直した前後の例と、AI案の確認表も載せます。本文のサンプルはすべて説明用の例で、実際に試した結果ではありません。
「成長したい」が弱く見える理由
成長は、入社して働いた結果として起きることです。応募先を選んだ理由としては、どの会社にも当てはまります。会社名を入れ替えても通じる文だと、読む側には「なぜうちなのか」が伝わりにくくなります。
そこで、動機を次の3段階に分けて掘ります。この分け方は、この記事の編集上の整理です。
- 1 きっかけ、答えるべき問い:その仕事に関心を持った出来事は何か、材料の例:経験した場面、困った・うれしかったこと
- 2 接点、答えるべき問い:求人の仕事内容と、自分の経験のどこが重なるか、材料の例:求人票の業務、必要なスキル
- 3 入社後、答えるべき問い:3か月後と1年後に何をしたいか、材料の例:担当したい業務、身につけたい技能
始める前に:AIに渡す情報を決める
AIに渡すのは、自分の経験の事実(いつ、何をしたか)と、応募先の求人票の文面です。氏名、住所、連絡先、現職の社名や取引先名、社外秘の数字は入れず、「飲食店A」「取引先B」のように置き換えます。
AIサービスの学習設定は、秘密保持とは別の話です。OpenAIのChatGPTのデータコントロールのヘルプは、個人向けプラン(Free、Go、Plus、Pro)で「Improve the model for everyone」をオフにすると、新しい会話は学習に使われないと説明しています。ただし、👍👎などのフィードバックを送ると、その会話全体が学習に使われる可能性があるとも書かれています。一時チャットは、一時チャットのままなら学習に使われないとされています。
AnthropicのClaudeのヘルプ(個人向けのFree、Pro、Max向けの説明。最終更新は2026年5月22日と表示)は、シークレットチャットはモデル改善設定が有効でも学習に使われないとしています。同じ記事は、財務情報、医療記録、パスワード、機密文書などの入力には慎重になるよう勧めています。組織向けプランや設定によって扱いは変わるので、使う前に自分の画面で確認してください。
3段階の質問セット
最初に、役割と禁止事項を伝える依頼文を貼ります。この依頼文は3段階を通して使います。
あなたは就職・転職の面接官役のコーチです。
私の志望動機を具体的にするため、質問だけをしてください。
- 質問は一度に1つだけ
- 私の回答にない事実を足さない
- 志望動機の文章は、私が「文章にして」と言うまで書かない
- 答えが抽象的なら「例えばどんな場面でしたか」と聞き返す
現在の志望動機(下書き):
「(ここに今の文章を貼る)」
まず段階1として、この仕事に関心を持ったきっかけを聞いてください。AIの質問は毎回表現が変わります。以下の質問セットを手元に置き、AIの質問が浅いと感じたら貼り足してください。
段階1:きっかけを掘る
- その分野や仕事に初めて関心を持った出来事は何ですか。
- そのとき、誰が、何に困っていましたか(または、何がうまくいきましたか)。
- 自分は何をして、結果はどうなりましたか。
- 同じ種類の経験が、ほかにもありますか。
目的は、場面を1つ言葉にすることです。立派な出来事である必要はなく、アルバイトの一場面でも、授業の課題でも、前職の小さな改善でも構いません。
段階2:仕事内容との接点を探す
求人票の「仕事内容」「応募資格」をAIに貼り、段階1の場面とつなぎます。職種そのものの理解を補いたいときは、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)が使えます。愛知労働局のハローワークの案内ページによると、このサイトは職業情報を「見える化」したもので、仕事内容やスキルを調べられます。求人票の言葉が分かりにくいときの補助になります。
段階2です。以下は応募先の求人票の抜粋です。
「(仕事内容と応募資格を貼る。社名は伏せてよい)」
私の段階1の回答と、この求人の仕事のあいだで、重なる点を探す質問をしてください。
ただし、求人票に書いていない業務を、あるものとして扱わないでください。- 求人票の業務のうち、いちばんやってみたいものはどれですか。なぜですか。
- その業務に近いことを、これまでにやった経験はありますか。
- 他社の同じ職種ではなく、この会社を選ぶ理由は何ですか。求人票や会社の公開情報から1つ挙げてください。
3問目に答えられないときは、動機が弱いのではなく、会社の情報が足りないだけのこともあります。公式サイトや求人票を読み直してから戻ります。
段階3:入社後にやりたいことを決める
段階3です。入社後のことを聞いてください。
「最初の3か月」「1年後」の2つに分けて、
私が具体的な行動で答えられるよう質問してください。- 最初の3か月で、何を覚えたいですか。誰から、どう学びますか。
- 1年後、どんな仕事を一人で任されていたいですか。
- そのとき、段階1の経験はどう役に立ちますか。
ここで「成長したい」が出てきたら、「成長して、具体的に何ができるようになっている状態ですか」と聞き返してもらってください。
抽象表現から具体表現への書き換え例
3段階の回答がそろったら、「文章にして。ただし、私の回答にある事実だけを使って」と頼みます。以下は説明用の例で、応募先は架空の「飲食店向け食材宅配会社の法人営業」とします。
書き換え前
貴社で成長したいと思い志望しました。幅広い経験を積み、社会に貢献したいです。
書き換え後
飲食店のアルバイトで発注を任された際、納品の遅れでメニューが出せない日があり、食材の届け方が店の運営を左右すると実感しました。求人票には、取引先の発注状況を聞いて提案する業務とあり、この経験と重なると考えました。入社後は、まず先輩に同行して取引先ごとの発注の傾向を覚え、1年後には欠品を減らす提案を自分で行える担当を目指します。
直した点は3つです。「成長」が「発注の傾向を覚える」「提案を自分で行う」という行動に変わりました。「社会に貢献」が、きっかけの場面に置き換わりました。求人票の業務と自分の経験が、一文でつながりました。文字数や体裁は、応募書類の欄に合わせて調整してください。
AIが作った案を確認する表
AIの文章は、もっともらしく整っていても、事実とずれていることがあります。提出前に次の表で確認します。
- 事実、見るポイント:書かれた出来事は、本当に自分が経験したことか、問題があるとき:回答にない部分は削除する
- 求人との一致、見るポイント:書いた業務は、求人票にあるか、問題があるとき:求人票の表現に戻す
- 入れ替え可能性、見るポイント:会社名を他社に変えても通じないか、問題があるとき:段階2の質問に戻る
- 面接で話せるか、見るポイント:「それはなぜ」と聞かれて、1分話せるか、問題があるとき:話せない部分は削る
- 言い過ぎ、見るポイント:「必ず」「誰よりも」など、根拠のない強調がないか、問題があるとき:事実の描写に置き換える
AIは質問役として使い、できあがった文章は声に出して読み、自分の言葉として言える内容かを確かめてから提出してください。

